積層セラミックコンデンサについての概要、用途、原理などをご説明します。また、積層セラミックコンデンサのメーカー27社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。積層セラミックコンデンサ関連企業の2023年11月注目ランキングは1位:株式会社MARUWA、2位:新電元工業株式会社、3位:TDK株式会社となっています。
積層セラミックコンデンサは、MLCC (Multi -Layer Ceramic Capacitor)とも呼ばれ、内部電極と誘電体層が多層に積層されたチップ部品タイプのコンデンサです。小型化、大容量化が進むコンデンサ業界の中でも一層の進化が期待されています。
誘電体として主にチタン酸バリウムや酸化チタンなどが利用され、内部電極と誘電体がいくつもの層になって形成されています。積層数を増やすことで静電容量を大きくすることが可能で、MLCCの小型化に繋がっています。
最近のMLCCの主流のサイズは、0603(0.6x0.3mm)およ0402(0.4x0.2mm)です。一部の容量値では、すでに次世代の0201サイズも実現できていますが、ハンドリングの難しさもあり、まだ市場で広まるには至っていません。
積層セラミックコンデンサはチップ型とラジアル型があります。他のコンデンサと比較して高周波のインピーダンス、ESR(等価直列抵抗)が低く、高周波特性が良い特徴があります。
積層セラミックコンデンサは様々な特徴を備えたものが製品化されていますが、用途によって大きさ(サイズ)、耐電圧、温度特性等を考慮して採用する品種を決定することが求められます。積層セラミックコンデンサは、特性面から大きくClass1・Class2の2種に分類されます。
Class1は温度補償型とも呼ばれますが、ESRが極めて小さいうえ、静電容量の温度変化が少なくかつ変化も直線的であるため比較的容易に補正ができます。
しかしながら静電容量は1pF~1μF程度と小さなものが主流です。 主に発振回路や時定数回路など、静電容量の変化が望ましくない用途に使われます。
Class2は強誘電型とも呼ばれ、チタン酸バリウムを主原料として、小型でも100μF程度の大きな静電容量が得られます。しかしながらESRは大きめで、静電容量の温度変動が大きく、かつDCバイアスが加わると実質的な静電容量が低下するなど、使用する上で留意すべき事項が多々あります。
従って、Class2の積層セラミックコンデンサを採用する場合は、その特性を踏まえた上での回路設計が必須となります。 主な用途としては電源源の平滑用やデカップリングコンデンサなど、静電容量が多少変化しても影響が少ない回路に用いられます。
積層セラミックコンデンサは層の数に応じて性能を選択することができ、ラインナップが幅広いので用途も広いです。積層セラミックコンデンサは、デカップリング、カップリング、平滑回路、DC/DCコンバータの平滑用、コンピュータ電源、ノイズ除去用として、携帯電話やテレビ、産業機器に搭載されています。
車載用には、長寿命で故障しにくいものが選ばれています。産業機器用には、高容量で小型のものが多く使用されており近年では他のコンデンサからの置き換えも進んでいます。
現在主流の積層セラミックコンデンサの大きさは1.0x0.5x0.5mmの1005サイズや0.6x0.3x0.3mmの0603サイズでかなり小さいですが、今後市場ですでに使われ始めている0402サイズおよびさらに次世代の0201サイズなどの超小型のコンデンサが主流になると考えられています。
コンデンサの静電容量Cは誘電体の誘電率ε及び電極面積Sに比例し、電極間距離dに反比例します。また、コンデンサ同士を並列に接続すると、全体の静電容量は各コンデンサの静電容量を合計したものと等しくなります。
そのため、コンデンサの静電容量を増やすには誘電率の高い誘電体を使用し、電極面積を増やして電極板間の距離をできるだけ小さくすることがポイントです。積層セラミックコンデンサは、非常に薄い電極板を何層にも積み重ねた構造をしており、これは電極板間距離が近いコンデンサがたくさん並列に繋がれたものと考えることができます。
つまり積層数Nは、コンデンサの静電容量Cに比例します。そのため、積層数Nで容量を大きくすることにより、積層セラミックコンデンサは小型化と大容量化を両立することが可能です。
また、誘電体には誘電率の非常に高いチタン酸バリウムが使用されることが主流ですが、その性能はやがて頭打ちになると見込まれています。そこで、より優秀な誘電率を持ち、かつ疲弊しにくい材料の開発が期待されています。
電極にニッケル、誘電体には主にチタン酸バリウムが使用されています。シート状の誘電体に内部電極となるニッケルのペーストが塗られ、そのシートを何枚も重ねて圧力をかけて成型します。
その後、小さくカットされて1000℃程度で焼結し、外部電極を取り付けると積層セラミックコンデンサになります。内部電極が左右交互に外部電極と接続されるようにすることで、層が並列に接合されていることと同じ状態になっています。
シート状で作製されるようになってから効率的になり、小型化、薄型化が一層進化しました。層の数は多くて1000層に及ぶものもあります。誘電体に主に酸化チタンを用いた低誘電率系とチタン酸バリウムを用いた高誘電率系に分類されます。
また、静電容量変化率と温度範囲によってClass1とClass2に分類されています。Class1は温度補償用、低容量で信号回路等に使用されます。Class2は高誘電率で温度係数が大きくなっており、電源のデカップリングや平滑回路用に利用されます。
積層セラミックコンデンサは温度によって静電容量が変動します。そのため、積層セラミックコンデンサを選ぶときには、容量や定格電圧から選択するだけでなく、使用環境での温度も考慮する必要があります。
積層セラミックコンデンサは、電極にニッケルや銅などの金属を使用しているため、等価直列抵抗(ESR)が低いことが特徴です。また、積層セラミックコンデンサはその構造上、寄生インダクタンス(ESL)が小さいことも特徴で、これにより、高周波での利用に適しています。
すなわちこれらのESRやESLが小さい特徴を生かすことで高いQ値を有する共振回路や、低損失な整合回路を形成することができ、電源箇所のデカップリング用途や、ノイズ対策用途と共々に、MLCCは高周波回路製品の分野ではなくてはならない部品の一つです。
電極板の層数を変えることで小容量から大容量まで自在なコントロールが可能です。そのため、製品としての積層セラミックコンデンサは、用意されたラインナップの静電容量の範囲が非常に広いことも特徴の一つと言えます。
コンデンサの静電容量は内部電極板の面積に比例して大きくなります。積層セラミックコンデンサのサイズを変えずに大容量化を実現するにはできるだけ多くの電極層を積み重ねることが重要です。
一般に小型化、かつ大容量を実現するには、サブミリメートルオーダーの厚みで形成された電極を積層することが求められるため、電極層の薄層化が必須技術となります。電極層の薄層化には誘電体の原料である酸化バリウムの調整と、ペースト状の内部電極をシートにするための印刷技術が重要です。
誘電体は、酸化バリウムに添加物を加え、シート状に印刷した後焼結することで形成されるグレインと呼ばれる微粒子がその役割を担っています。薄層化した誘電体が十分に機能するかはグレインの微細構造を如何に設計するかが重要です。
また、ペースト上の内部電極を薄く印刷するには、シルクスクリーンで用いられるような、スクリーン印刷技術が用いられています。微細孔からペーストを押し出すことで均一な内部電極の薄層を形成することが可能です。
電子機器の世界で、積層セラミックコンデンサは、今や産業の米とまで言われるほど広く利用されています。例えばTV受像機1台当たり200個から300個程度、スマートフォンでは1台当たり1,000個程度の積層セラミックコンデンサが使われています。
また、電気自動車であれば1台当たり15,000個以上です。この積層セラミックの生産において、日本の企業が多くのシェアを占めています。少し古いデータではありますが、2017年の金額ベースのシェア上位4社は下記となっており、日本企業3社で世界市場のシェアの過半数を占めています。
特に自動車では高性能な積層セラミックコンデンサが要求されますが、村田製作所とTDKが世界市場を独占している状態です。積層セラミックコンデンサは、5G世代のスマートフォンが普及する2021年以降更に使用量が増えることが予想され、当分の間品薄状態が続くと考えられています。
参考文献
https://www.chemi-con.co.jp/catalog/pdf/ce-j/ce-all-1002a-2020.pdf
https://www.yuden.co.jp/jp/solutions/mlcc/
https://article.murata.com/ja-jp/article/basics-of-capacitors-2
https://article.murata.com/ja-jp/series/capacitor-guide
https://jp.rs-online.com/web/generalDisplay.html?id=ideas-and-advice/multilayer-ceramic-capacitors-guide
https://toragi.cqpub.co.jp/Portals/0/backnumber/2005/04/p211-212.pdf
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
2023年11月の注目ランキングベスト10
注目ランキング導出方法順位 | 会社名 | クリックシェア |
---|---|---|
1 | 株式会社MARUWA |
16.6%
|
2 | 新電元工業株式会社 |
9.1%
|
3 | TDK株式会社 |
8.7%
|
4 | 株式会社村田製作所 |
8.7%
|
5 | 太陽誘電株式会社 |
7.9%
|
6 | 株式会社トーキン |
7.5%
|
7 | 日本ケミコン株式会社 |
5.7%
|
8 | Yageo Corporation |
4.2%
|
9 | 京セラ株式会社 |
4.2%
|
10 | サムスン電機株式会社 |
4.2%
|
注目ランキング導出方法について
注目ランキングは、2023年11月の積層セラミックコンデンサページ内でのクリックシェアを基に算出しています。クリックシェアは、対象期間内の全企業の総クリック数を各企業のクリック数で割った値を指します。社員数の規模
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企業
株式会社トーキン 日本ケミコン株式会社 Prosperity Dielectrics Co., Ltd.積層セラミックコンデンサRCシリーズは、従来品と比べて小型で大容量なセラミックコンデンサです。
内部電極にはニッケル金属を、端子電極には銅、ニッケルメッキ、錫メッキを、誘電体にはBT系原料の材質を使用しています。
温度特性はX7Rで、マイナス55度から125度と広範囲の温度帯に対応し、高温域で使用することができます。
主な用途として、電源や産業用機器に用いるのに適しており、アプリケーションの例には、デジタル回路全般やSW電源のスナバ回路などに用いることが出来ます。
積層セラミックコンデンサNTSシリーズは、一般品対応で、小型で大容量のチップ型積層セラミックコンデンサです。
製品の特長として、許容リプル電流が大きい点や、ノイズの吸収性能に優れている点や、X7R,X7Sの温度特性を有する点などがあります。
主な用途として、高い信頼性を要求される機器に用いたり、DC-DCコンバータの平滑や、オンボードやコンピュータの電源、電子機器の吸収などに使用することが出来ます。
積層セラミックコンデンサCMシリーズは、一般向けからRoHS対応品に対応しており、民生機器や産業機器など幅広く使用することができるスタンダードな製品です。
精度の高い生産技術に加え、誘電率の高い材料を用いて、小型で大容量であることと、純度が高いセラミックス原料と内部電極とのモノリシック構造によって、高い信頼性を実現しています。
主な用途として、民生機器や産業機器など幅広く使用することができ、アプリケーションには、スマートフォンやパソコン、産業機器などがあります。
積層セラミックコンデンサCGAシリーズは、端子の電極構造に導電性樹脂層を用いた樹脂電極品です。
銅、ニッケル、錫の3層構造になっている通常の端子と違い、銅とニッケルの間に導電性樹脂の層が設けられた4層の端子構造にすることで外部の基板から伝わる応力を吸収してストレスを低減し、クラックを防ぐことが出来ます。
また、樹脂によって熱衝撃が吸収され、固着強度が低下することも押さえることが出来ます。
はんだ接合部の応力や熱衝撃の吸収が出来るので、主な用途として、基板の製造における割板やビス止めや、車載電装機器や鉄道車両用機器に使用されています。
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