光学式エンコーダとは
光学式エンコーダ (英: optical encoder) とは、物理量の検出方式として光センサーを用いるエンコーダの1種です。
エンコーダは直線軸の移動量や回転角度などの物理量を検出し、位置情報を電気信号として出力する位置センサーです。光学式ロータリーエンコーダの場合には、コードホイールと呼ばれるスリットの入った円盤を回転させ、スリットを通過または反射した光を光センサーで検出します。
直線移動量を検出するリニアエンコーダと回転量を計測するロータリーエンコーダの2種類のタイプがあり、モーターと組み合わせて広い応用範囲を持つロータリーエンコーダが圧倒的に多く使われています。
光学式エンコーダの使用用途
エンコーダは、産業用機器分野などで広く応用されています。特に光学式エンコーダは高精度・高分解能で比較的高速対応可能です。そのため、産業用機器の中でも信号の精度が要求されるサーボ制御、エレベータ用モーターの制御、中空貫通軸モーターの制御、高速回転するモーターの制御などの用途に使われています。
また、周辺磁場の影響を受けずに強い磁界が発生する環境でも使用できるため、MRI (核磁気共鳴) 装置の駆動部や位置決め制御、リニアモーター型アクチュエータなどにも有用です。
光学式エンコーダの構造
光学式エンコーダは、LEDなどの発光素子、フォトダイオード、フォトトランジスタなどの受光素子、レンズ、コードホイールと呼ばれるスリットの入った円盤で構成されています。
1. 発光素子 (LED)
一般的に光学式エンコーダで用いる発光素子は赤外光LEDです。光の拡散を抑えるため、短波長の有色LEDが使用される場合もあります。高性能や高分解能が必要な用途では、高価なレーザーダイオードが使われます。
2. レンズ
発光素子が発する光は指向性が少ない拡散光です。凸レンズを用いて平行光にしています。
3. コードホイール
コードホイールとは光を通過/遮断させる穴が開いた円盤のことです。材質には金属製、樹脂製、ガラス製などがあります。金属製は振動や温湿度の耐性が強いため、産業分野で利用可能です。
樹脂製は安価で大量生産に適しており、民生用途で使われます。ガラス製は、高精度や高分解能が必要な場合に使用されます。
4. 受光素子
一般的に受光素子には、シリコン、ゲルマニウム、インジウムガリウムリンのような半導体材料で作成したフォトダイオードやフォトトランジスタが使用されています。
光学式エンコーダの種類
光学式エンコーダには透過型と反射型の2つのタイプがあります。
1. 透過型
透過型では発光素子と受光素子がコードホイールを挟んで対面上に配置され、発光素子から出た光がコードホイールのスリットを透過/遮断されたことを検出します。
2. 反射型
反射型では発光素子と受光素子が同一面に配置され、コードホイールの反射板で光が反射/非反射したことを検出します。
光学式エンコーダの原理
光学式エンコーダではコードホイールを通過または反射した光を受光素子で受け取り、電気信号に変換します。コードホイールの1スリットごとに光のオン・オフが発生して、それを受けた受光素子がパルス信号を出力します。スリットは等間隔にあるため、パルス数をカウントして回転速度を検出可能です。
光学式エンコーダでは、一般的に位相が4分の1周期ずれた2つのパルス信号を用いて回転の方向を検出します。
光学式エンコーダの選び方
反射部分やスリットの物理的な寸法が決まっているため、光学式エンコーダの信号精度は高いです。ただし、分解能を高めるためには物理的にスリットの形成に限界があり、複雑な光学系や機構の設計が必須になり、大型化して価格も高くなります。
光を遮るホコリや油分による汚染には弱いです。信号出力を安定させるには発光素子に電流を流す必要があるため、低消費電力化が困難です。