塩化第二鉄エッチング

塩化第二鉄エッチングとは塩化第二鉄エッチング

エッチングは、金属・ガラス・セラミックなどの材料表面をガス・ビーム・溶液などによって浸食除去して目的の形状にする加工技術です。大きく分けて、ガス・ビームなどを用いるドライエッチングと、溶液を用いるウェットエッチングの2種類の手法があります。

塩化第二鉄エッチングはウェットエッチングの一種で、加工用の溶液として塩化第二鉄(FeCl3)の水溶液を用いるエッチングです。

ウェットエッチングでは、加工する材料によって適用できるエッチング溶液が限定されますが、塩化第二鉄溶液はチタンなど一部の金属を除いてほぼ全ての金属に適用できます。

塩化第二鉄エッチングの使用用途

エッチング加工は、機械加工に比べ微細加工が可能です。さらに、塩化第二鉄溶液はほとんど全ての金属のエッチング加工に適用できるため、塩化第二鉄エッチングは金属加工を行う分野で幅広く応用されています。

特に、プリント基板の配線パターン形成、プレス加工より微細な加工を必要とするICリードフレームの製造など電子工業分野で多く使われます。また、金属・セラミックに対する、機械加工では対応できない微細加工を必要とする製造分野、銅板エッチング版画などの美術分野でも応用されています。

塩化第二鉄エッチングの原理

塩化第二鉄エッチングでは、まず、金属表面の除去しない部分のレジストと呼ばれる耐食性の物質を塗布します。プリント基板の場合、基板表面の配線パターン部分をはんだ・スズなどの金属レジストやインク・フィルムなどの有機レジストでマスキングします。

その後、プリント基板を塩化第二鉄溶液に浸すと、基板表面で酸化還元反応が起こって、が酸化されて塩化第二銅(CuCl)になり、塩化第二鉄が還元されて塩化鉄(FeCl2)になります。

この反応では、溶液中の第二鉄イオン(Fe3+)が基板表面へ拡散し、銅原子と第二鉄イオンとの間で電子の授受が起こって銅イオン(Cu2+)と鉄イオン(Fe2+)になり、生成された銅イオンと鉄イオンが溶液中に拡散し、基板表面から銅が取り除かれることになります。

不要な銅が除去された後、レジストを除去します。金属レジストの場合は酸性水溶液、有機レジストの場合はアルカリ水溶液を用います。

最後に基板の洗浄を行い、基板上に残っている薬剤やレジスト残滓を除去します。

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