ACアダプター

ACアダプターとは

ACアダプター

ACアダプターとは、電源コンセントと電子機器間で交流電源直流電源に変換する装置のことを指します。

AC (英: Alternating Current) は交流電源を意味します。交流電源は、電力会社から一般家庭のコンセントに商用電源として供給されています。一般的な電子機器は直流電圧で動作するため、交流電源から直流電源への変換が必要です。持ち運ぶ必要のない大型家電などには、あらかじめ変換回路が内蔵されています。

一方で、よく持ち運ぶような電子機器には携帯性の観点から変換回路が内蔵されていません。こうした背景からACアダプターが活用されており、交流電源を直流電源に変換する役割を担っています。

ACアダプターの使用用途

ACアダプターは我々の日常生活に広く普及しています。例えばスマートフォンやタブレット、ゲーム機、ノートパソコンなどが挙げられます。

ACアダプターは小型で持ち歩けるモバイル機器に多く用いられており、機器本体の軽量化や安全性の面においても重宝されています。機器本体と変換回路を分割することで軽量化を図り、高圧な商用電源を低電圧に変換することで利用者の安全性も確保しています。

また、入力と出力に適したアダプターを用意すれば100Vや200Vの商用電源以外にも自動車や航空機などからも電力を供給することができるため、特定の電源に縛られることなく給電が可能な汎用性の高い製品として活用されています。

ACアダプターの原理

ACアダプターは、一般的に入力電源からの交流電流をまずACピンによって受け取ります。電流はヒューズを通過し、ラインフィルタに流れ込みます。ラインフィルタでは電流の変化によって生じるノイズを低減させます。

その後、ダイオードに電流が流れ込み全波整流します。この仕組みによって電源から入力した負の電圧を正の電圧に変換し、整流することで直流に変化させます。

しかし、ダイオードで整流した電流は完全な直流ではないため、次に電流が流れ込む電解コンデンサの仕組みによって電気の波をより直線に近い波に平滑します。

直流に変換された電流はトランジスタに入り、矩形波に変換されることで出力電圧が安定的に保たれます。矩形波に変換された電流がトランスに入り、最適な電圧に調整されます。最後に出力側の電解コンデンサでさらに平滑します。

ACアダプターは、上記の流れを繰り返すことで安定的な直流を生み出しています。

ACアダプターの構造

ACアダプターは電源プラグ、本体、出力コネクタから構成されています。

ACアダプターの電源プラグはコンセントを差し込む部分を指します。地域ごとに規格で標準化された形状となっており、自国以外でACアダプターのプラグを使いたい場合には、別途変換アダプターが必要です。

ACアダプターの本体部分には、交流電源を直流電源に変換する回路が組み込まれています。整流回路や安定化回路はACアダプターの機能を有する部分です。ACアダプターは出力する電力が大きいほど回路が大規模となり、本体のサイズも大きくなります。

出力コネクタは電子機器に接続する部分です。標準化された規格のコネクタやメーカー独自のものを用いているコネクタなど、様々なタイプがあります。

ACアダプターの種類

ACアダプターにはスイッチング式とトランス式の2種類があります。

1. スイッチング式ACアダプター

スイッチング式ACアダプターは2000年代から主流となった方式です。1960年代にロケット用の電源としてアメリカ航空宇宙局 (NASA) が開発したのが起源と言われています。

小型で軽量なうえ、トランジスタなどの制御回路によってパルス幅を調整し電圧の安定化を図っているため、ムダがなく高効率な電源アダプターです。

2. トランス式ACアダプター

トランス式ACアダプターは、別名リニア式やドロッパ式とも呼ばれています。スイッチング式ACアダプターが普及する前から活用されており、制御回路が簡易的で安価なACアダプターです。また、鉄心にコイルを巻いた構造の電源トランスを使用する大型で重いアダプターでもあります。

一方で、スイッチング式と比べるとノイズが生じにくい特性があり、オーディオ機器や医療用機器などに使用されています。

ACアダプターの選び方

ACアダプターを選ぶ際は、ACアダプターの本体に記載されているラベル表示と接続機器の定格電圧表示を確認します。また、変換方式や出力コネクタの種類が適合している必要もあります。

ACアダプターは電源機器のため、適切に使用しなければアダプターや機器の故障だけでなく火災などの事故の原因にもなり得ます。

一般的にラベル表示にはモデル名や型式が記載されています。そのほかにI/PやO/P、L.P.S、プラグの極性など多くの情報が記載されています。

1. I/PとO/P

I/Pは入力電圧を示しており、国内であればAC100Vから240Vまでの表示がされています。国外では110Vから240Vまで幅があり、国によって取り扱われている電圧が異なります。

日本国内では多重定格周波数も示されており、50Hzから60Hzの記載がされています。これらはおおまかに分けて50Hzが東日本の取り扱い範囲で、60Hzが西日本の取り扱い範囲です。

O/Pは出力電圧を示しています。

2. L.P.S

L.P.Sは、Limited Power Sourceの略で最大の出力電圧と出力電流、定格電力に制限がある電源を指しています。IEC60950の国際規格で規定されています。

3.プラグの極性

プラグの極性はプラグの外径と内径を示しており、センタープラスとセンターマイナスの表記があります。一般的に市販されている多くのアダプターがセンタープラスですが、誤ってプラス表記のアダプタにマイナス表記のアダプタを差し込んでしまうと機器故障の原因になるため、プラグの極性も確認が必要です。

参考文献
https://contents.zaikostore.com/semiconductor/4299/
https://www.724685.com/word/wd141126.htm

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