整流器

整流器とは

整流器

整流器とは半導体素子などで整流する機器です。

整流とは交流電流を直流電流に変換することで、ダイオードなどが電流を一方向のみに流す性質を利用して製作されます。

整流器の使用用途

整流器は直流電源を供給するために広く使用されます。

身近な例では、PCやスマートフォン給電用のACアダプタです。産業用途では、大型モータ制御や電気分解に使用されます。サイリスタなどの整流器は、古くからモーター制御に使用されてきました。

電車は直流モーターを動力源とし、整流器を用いて給電してきた代表的な機械です。近年では交流モーターの速度制御が一般的となり、新幹線路線などでは交流モーターを動力源とした電車が普及しています。交流モーターを速度制御するインバータでは、バイポーラトランジスタIGBTと呼ばれる半導体が使用されます。

整流器の原理

整流器は、半導体によって交流電源を直流電源へ変換します。半導体には様々な種類があり、一方向のみ電流を流すダイオードや、ゲートに信号が来た時のみ電流を流すサイリスタなどがあります。

これらの半導体はいずれもp型半導体とn型半導体を組み合わせたpn接合によって作られ、半導体のエネルギー準位差異を利用しています。

整流器のその他情報

1. 整流器に使用される半導体

ダイオードはp型半導体とn型半導体から構成されます。n型に比べp型はエネルギー準位が高いため、p型の正孔はn型へ流れやすい反面、n型の電子はp型へは流れづらくなります。これにより、p側の電位が高い場合は電流が流れ、n側の電位が高い場合は電流が流れません。

p側端子はアノード、n側端子はカソードです。サイリスタはp、n、p、nの順に半導体が積層され、中間のp部分からゲート端子を取り出します。このゲート部からカソード側へ電圧を掛けることで、アノードからカソードへ電流を流せるようになります。

これをターンオンと言います。ターンオンしたサイリスタをターンオフさせたい場合は、カソード側の電圧をアノード以上にすることで元の状態へ戻すことができます。

2. 整流器の工業や家庭での役割

整流器は工場や家庭で古くから使用されています。家庭用固定電話に使われる電気は、整流器で直流変換された直流電圧です。パソコンやスマートフォンの充電にも用いられるACアダプタにも整流器が内蔵します。家庭用エアコンは温度調整をインバータで行っており、インバータ電子回路内部には整流器が必ず用いられます。

工業にも現代まで広く使用されています。電車も整流器による直流給電線路が多数現存します。アルミメッキを行う工場では、整流器を用いて電解精製することでメッキを施しています。一部のアーク炉などでは直流電流を使用しており、電源に整流器が用いられます。

将来的にも、整流器の需要は向上すると予想されます。電気自動車は長距離走行に耐えるために、電池を多く積載しています。電池の充電は交流電源では行うことができず、整流器を用いて整流しなければなりません。このように、整流器は重要な役割を果たしているため、今後も広く使用されます。

3. 整流器の電圧

整流器によって整流された電源電圧は、供給元に合わせて変化させることができます。ダイオードで整流された電圧は、コンデンサやリアクトル、抵抗を用いて変化させます。ただし、抵抗を用いて変化させた場合は熱損失を発生させます。

電圧を変化させる場合、現在はサイリスタやIGBTを用いた整流器が広く用いられます。点弧角を変化させるだけで電圧を連続的に変化させることができるためです。

4. 整流器の容量

整流器も電気部品の一部であるため、電流の許容値が存在します。許容電流によって容量も決定されます。

配線や接触器接点などと同様に、大型化することで整流器の容量は大きくなります。整流器の容量は個々の部品が耐えうる電流値や電圧値で決まり、最も電気的に弱い部品が許容値を決定します。一般的に、平滑化するコンデンサの容量によって整流器全体の容量が決まる場合が多いです。

参考文献
https://electric-facilities.jp/denki7/se/004.html

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