単相変圧器

単相変圧器とは

単相変圧器

単相変圧器とは、一次側巻線または二次側巻線が単相の変圧器です。

主に単相交流電力の変換に使用されます。単相変圧器は、1つの入力巻線1つ以上の出力巻線から構成されます。単相変圧器は、比較的簡単な構造を持ちます。

一次巻線と二次巻線からなるシンプルな設計であり、製造と保守が容易です。そのため、比較的低コストで入手できる点が特徴として挙げられます。

また、一般的に小型でコンパクトな設計が可能です。これにより、スペースの制約のある場所や移動式機器にも適しています。三相変圧器と比較して軽量なため、取り扱いや設置が容易です。

単相変圧器の使用用途

単相変圧器は主に商業施設や産業施設などで使用され、電力の配電や制御に広く使われています。主な目的は電力を送電用の高電圧から、低電圧の使用電圧に変換することです。

電力ネットワークの送配電線は、AC6.6kV以上の高電圧で電力を配っています。電圧が高いほど電圧降下などのロスを起こしにくいため、送配電業者としては都合が良いためです。ただし、一般的な家電はAC100VやAC200Vで駆動する機器がほとんどで、このままの電圧では使用できません。

そこで、単相変圧器などによって電圧を低下させます。送配電網は銅線使用量を必要最小限にするために、3相電源として配電するのが一般的です。3相のうち1相を使用し、単相で電気を分配する場合があります。

鉄道車両においても、単相変圧器が使用されることもあります。高電圧の交流電力を変換して、列車や地下鉄、路面電車などの照明電源や空調電源として利用されます。

単相変圧器の原理

単相変圧器の原理は、電磁誘導の法則に基づいています。単相変圧器は、一次巻線と二次巻線からなる磁気回路で構成されます。一次巻線には入力電圧が供給され、二次巻線からは出力電圧が取り出されます。

一次巻線に入力される交流電圧は、変圧器の二次巻線に流れる電流によって磁界が生成されます。発生した磁界は鉄心 (磁気回路) を通じて、二次巻線に伝達されます。鉄心は磁束の経路として機能し、磁束の漏れを最小限に抑える役割を果たします。

二次巻線には、一次巻線の磁界によって誘導された電圧が生じます。二次巻線の巻き数に応じて、入力電圧とは異なる出力電圧が生成されます。巻線のタップ位置を変えることで、出力電圧の調整も可能です。

変圧比は、一次巻線の巻数と二次巻線の巻数の比によって決まります。変圧比は出力電圧と入力電圧の比として表され、二次巻線の巻き数が多い場合には降圧変圧器、一次巻線の巻き数が多い場合には昇圧変圧器となります。

単相変圧器の種類

単相変圧器には大きく分けて2種類の構造があり、単相複巻変圧器と単相単巻変圧器と呼ばれる構造があります。

1. 単相複巻変圧器

単相複巻変圧器は、一次巻線と二次巻線が別々の巻線として物理的に絶縁された変圧器です。一次巻線には入力電圧が供給され、二次巻線からは出力電圧が取り出されます。一次巻線と二次巻線は絶縁物質や鉄心によって絶縁されており、絶縁性が保たれます。

2. 単相単巻変圧器

単相単巻変圧器は、1つの巻線が入力側と出力側の両方で使用される変圧器です。入力電圧と出力電圧を共有するため、一次巻線と二次巻線は同じ巻線です。単相複巻変圧器よりもコンパクトで軽量な設計が可能ですが、絶縁が必要な場合には適さないことがあります。

一般的に単相単巻変圧器は材料や製造コストが単相複巻変圧器に比べて低くなるため、コストを抑えたい場合には単相単巻変圧器が適しています。

小型設計が可能であり、天井クレーン上部などのスペースが制限されている場所や携帯製品に適しています。ただし、単相複巻変圧器における絶縁性の観点から、現在広く使用されているのは単相複巻変圧器です。

単相変圧器の選び方

単相変圧器を選ぶ際には、電圧や容量、負荷の特性などを考慮して選定します。

1. 電圧

必要な入力電圧と出力電圧を確認します。変圧器は入力電圧を出力電圧に変換するために使用するため、要件に合った変圧器を選ぶ必要があります。

2. 容量

必要な電力容量を考慮して変圧器を選ぶことも必要です。電力容量は変圧器が供給する電力の最大量を示し、負荷に対して十分な電力を供給できるように選定する必要があります。

3. 負荷の特性

接続する負荷の特性も考慮します。負荷の種類や動作条件に応じて、適切な変圧器を選択する必要があります。モーターなど負荷を接続する場合、起動時の負荷特性を考慮して適切な変圧器容量を選定することが大切です。

参考文献
https://www.daihen.co.jp/technologygeeks/cat01/cat01_01/29/

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