洗浄ノズルとは
洗浄ノズルとは、流体を噴射して対象物の汚れを除去するための産業用部品です。
この部品は、ポンプ等から供給される液体が持つ圧力エネルギーを運動エネルギーへと変換し、高速の液滴や水流として吐出する機能を持ちます。吐出される流体の流量・噴射角度・粒子径・流速分布を精密に制御することで、対象物に物理的な衝撃力を与え、表面に付着した異物や汚れを剥離させます。
そのため、洗浄ノズルには、単なる散水とは異なり、目的に応じた最適な衝撃力や被覆範囲を実現するために、流体力学に基づいた高度な設計がなされています。適切なノズル選定は、洗浄品質の向上のみならず、水や洗浄液の使用量削減による環境負荷の低減や、タクトタイム短縮による生産性の向上にも直結するため、製造プロセスにおいて極めて重要です。
洗浄ノズルの使用用途
洗浄ノズルの主な使用用途を以下に示します。
1. 自動車・機械分野
自動車のエンジンブロックやトランスミッション、機械加工部品の製造工程では、切削油や微細な金属粉 (切粉) の除去が不可欠です。
ここでは、強力な打力を持つ扇形ノズルや直進ノズルが選定され、複雑な形状をしたワークの隙間に入り込んだ油分や異物を、高圧水流の物理的衝撃によって洗い流します。
2. 電子・半導体分野
プリント基板・液晶ガラス基板・シリコンウェハーなどの製造現場では、目に見えない微細なパーティクルの除去が求められます。
製品へのダメージを防ぎつつ高い清浄度を確保するため、二流体ノズルを用いて生成した微細なミストや、超音波を重畳させた洗浄液を噴射します。これにより、ナノレベルの異物を除去する高度な洗浄を実現しています。
3. 食品・医薬品分野
飲料タンク・醸造タンク・反応釜などの内部洗浄には、回転式ノズルや3次元洗浄ノズルが多用されます。
これらはCIP (定置洗浄) システムの一部として機能し、ノズルヘッドが回転しながら全方位に洗浄液を噴射することで、タンク内壁の死角をなくし、菌の繁殖やクロスコンタミネーション (交差汚染) を確実に防止します。
4. 鉄鋼・製紙分野
製鉄所における鋼板のデスケーリング (酸化被膜除去) や、製紙工場の抄紙用具 (ワイヤー・フェルト) の洗浄では、極めて高い衝撃力が必要です。
数百MPaに達する超高圧ポンプと組み合わせた特殊なノズルにより、強固に固着したスケールや汚れを物理的に剥離させます。