ACモーター

ACモーターとは

ACモーター

ACモーターとは、交流電源で駆動する電動機のことです。

ACとはalternating currentの略で、時間とともにプラスとマイナスが入れ替わる周波数を持つ電流のことを指します。このような電流を出力する電源を交流電源 (AC電源) といいます。

ACモーターは、大きくステーターとローターで構成されています。

  • ステーター : 電磁鋼板にコイルを巻線したものです。
  • ローター (回転子) : 電磁鋼板で構成されるローターコアに、アルミやコイルの巻線で導体をかご状に構成したものです。

直流電源で駆動する電動機を直流モーター、またはDCモーター (英: direct current motor) といいます。

ACモーターの使用用途

ACモーターはポンプなどの機器や、工場内の搬送用のコンベアやローラー、ファンなどを回転させるために用いられています。回転させたい設備とローターの出力軸をカップリングと呼ばれる機器などでつなぎ合わせ使用します。

ACモーターは、直流電源にて駆動するDCモーターに比べブラシと呼ばれる消耗部がないといった点でメンテナンス性に優れ、幅広く使用されています。

元々は速度制御で運転するにはDCモーターの方が扱いやすいとされていましたが、ACモーターでも速度制御が一般的にできるようになったため、より一層使用用途が高まっています。

ACモーターの原理

回転磁界

図1. 回転磁界の発生原理

 

ACモーターは120度ずつ位相のずれた3相交流電源を固定子のコイルに与え、コイルに流れる電流により電磁鋼板が電磁石となり、電動機内に磁界を形成します (右ねじの法則により電磁石の極性が決まります) 。

交流電源は時間とともに位相がずれるため、時間に応じて磁界の向きが回転します。

図1に回転磁界の発生原理を示します。3相交流電源のU相、V相、W相の位相が変わるにつれ、ステーターの磁界の向きが変わる (図1では、回転磁界は反時計回りに回転する) ことがわかります。

磁界が回転することで回転子へ渦電流が生じ、渦電流と磁界により回転力が生じ、回転子が回転します。回転力は、フレミングの左手の法則により方向が決まります。

この回転原理はアラゴの円盤の原理と同じものです。

また、固定子の数を極数 (ポール数) といい2ポールや4ポールなどと表します。回転磁界Nsの速度はこのポール数pと電源の周波数fとで定まりNs=120f/pで求めることができます。

回転子の速度Nは後述するACモーターの種類によっても異なりますが、誘導モーターは回転磁界よりも少し遅い速度で回ります。回転磁界と回転子の速度差を「すべり」と呼ぶパラメーターsを使って、N=120f(1-s)/pで表します。

ACモーターの種類

ACモーターの種類

図2. ACモーターの種類

 

AC モーターは、主に図2のように分類されています。

大きく同期モーター、誘導モーターに分かれますが、AC電源の種類によって分類することもできます。

  • 単相交流モーター
    家庭に配電されているようなAC100Vを電源とします。洗濯機用モーターなど、家電に使われるモーターがこの分類になります。
  • 三相交流モーター
    工場等に配電されているような三相電源で動くポンプ用、コンベヤ用のモーターがこの分類になります。日本ではAC200Vが主流です。

また、直流電源からACモーターを駆動することもできます。この場合、直流を三相交流に変換するインバーターを合わせて利用します。

1. 同期モーター

同期モーターは、回転磁界とローターとの回転速度にすべりが生じない (同期する) モーターのことで、モーターの極数 (ポール数) と電源の周波数によって回転速度が決まります。

同期モーターは、ローターの構造によって様々な種類に分かれていますが、ここでは比較的よく使われる永久磁石型について説明します。

永久磁石型の同期モーターは、ローターコアに磁石を配置し、磁石の磁界が電源の回転磁界と同期することで回転します。

磁石をローターコア表面に固定したものを表面磁石型 (Surface Permanent Magnet, SPM) 、ローターコア内部に埋め込んだものを埋め込み磁石型 (Interior Permanent Magnet, IPM) と呼びます。

2. 誘導モーター

誘導モーターのローター構造

図3. 誘導モーターのローター構造

 

誘導モーターは、インダクションモーターとも、非同期モーターとも呼ばれています。

誘導モーターはローターの回転速度が同期速度よりも若干遅い (電源の回転数とローターの回転数が非同期である) という特徴があります。

図3に誘導モーターのローター構造を示しました。誘導モーターは、図のようにアルミなどの導体をかご型に構成するのが一般的です。

交流電源からの回転磁界によって、電磁誘導の原理からかご型の導体に誘導電流が発生し、フレミングの法則から電流と磁界の作用で力が発生します。この力によって、ACモーターは回転し、出力軸につながる機械を動かすことができます。

参考文献
https://www.orientalmotor.co.jp/tech/reference/ac_motor01/
https://www.nidec.com/jp/technology/motor/basic/00006/
https://www.orientalmotor.co.jp/tech/webseminar/ac_kiso_1_6/
https://www.nidec.com/jp/technology/motor/basic/00026/

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