電源トランス

電源トランスとは

電源トランス

電源トランスとは、交流電源の電圧変化させるための装置です。

電圧を変化させるため、日本語名称は「変圧器」と呼ばれています。電磁誘導作用を利用して電圧を昇降圧します。

発電所で作られた電力は送電線を伝わって工場や各家庭に分配されますが、作られる電気は何万ボルトという超高電圧です。このまま一般家庭で使うのは危険であるため、電源トランスで降圧して分配されます。日本では、100ボルトまで降圧して一般家庭で使用されます。

電源トランスの使用用途

電源トランスは産業用から一般家庭向けまで多くの場所で使用されます。具体的な使用用途は以下の通りです。

  • 発電所・変電所の電源変換用
  • 工場・商業施設の電源供給用
  • 一般住宅への送電用
  • 電源設備の耐雷用
  • 古いACアダプタの内部

電源トランスは、電気の使用に欠かせない機器であると言えます。

電源トランスの原理

電源トランスの構成はシンプルで、2つのコイル (線をバネ状に巻いたもの) と鉄心です。2つのコイルのうち1次コイルは電力源に接続し、2次コイルは需要機器に接続します。

1次コイルに電気が流れると鉄心内部に磁力が発生し、2次コイルに達します。磁力を受けた2次コイルは、両端に電圧が発生します。この現象が電磁誘導作用です。電源トランスは電磁誘導作用を巧みに利用して電圧を昇降圧します。

そして、1次コイルと2次コイルはボビンと呼ばれる巻枠で完全に分離・絶縁されます。つまり、電源トランスでは1次コイルと2次コイルを電気的には絶縁しながら、電磁誘導作用で電気エネルギーを伝達します。この絶縁作用により、電源側で発生した異常が需要機器側へ伝達するのを防止できます。

電源トランスの種類

電源トランスは、主に「油入変圧器」と「モールド変圧器」の2種類に分類されます。

1. 油入変圧器

巻線や鉄心を絶縁油に浸した変圧器です。変圧器は使用すると発熱しますが、絶縁油を冷媒とできるため密閉可能なのが特徴です。巻線や鉄心を密閉するため、屋外設置も可能となります。

ただし、絶縁油が鉱油の場合、土壌汚染の原因となるため漏洩に十分注意が必要です。近年では環境に配慮して植物油を使用した油入変圧器も販売されています。

2. モールド変圧器

巻線や鉄心をエポキシ樹脂で覆った変圧器です。絶縁油を使用しないためメンテナンス性に優れます。ただし、放熱手段が限られるため屋内設置が基本です。また、油入変圧器よりも高価であるというデメリットもあります。

電源トランスのその他情報

1. 電源トランスの役割

電源トランスは「変圧」と「絶縁」という2つの役割を持っています。

変圧
発電した電力を使用に適した電圧まで昇降圧する役割が変圧です。一般家庭では100ボルトに降圧されて使用されます。産業用途では、200ボルトや400ボルトでの使用が主流です。

送配電用途では送電ロス削減のため、66,000ボルトなどの超高電圧が使用されます。また、電圧降下の対策として変圧される場合もあります。送電距離が長くなると使用場所で低電圧となる電圧降下現象が起こります。この電圧降下現象は、電源トランスで微昇圧することで対策可能です。

絶縁
一般的な電源トランスの場合、入力側電線と出力側電線が繋がっていません。入力側の電気は電磁誘導によって出力側に伝えます。このように、入力と出力が分離しているトランスを「絶縁トランス」と呼び、入力側の異常が出力側に伝わるのを防ぎます。

2. 電源トランスの電圧

電源トランスには、日本国内で良く使用される電圧が存在します。

低電圧の場合
低電圧でよく使用される電圧は100ボルト、200ボルト、400ボルトです。100ボルトは家庭用電源などに使用されます。対して、400ボルトは工場の大型機器などに使用されます。

高電圧の場合
高電圧でよく使用される電圧は3,300ボルト、6,600ボルトです。電力会社の使用電圧は6,600ボルトがほとんどです。

特別高圧の場合
特別高圧は変電所間や巨大工場に使用される超高電圧です。送配電用には主に66,000ボルトや154,000ボルトが使用されます。

参考文献
http://fa-ubon.jp/tech/001_bell52_54-55.html
https://www.kitagawa-denki.co.jp/products/about/whats/
https://www.kamidenshi.co.jp/magazine/1497/
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/technical_data/td06/x0425.html

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