流体実験装置

流体実験装置とは

流体実験装置とは、流体の速度・圧力・温度・流れなどを測定・観察するために設計された実験用機器です。

大学・研究機関・産業技術研究所などで、流体の基礎データの取得や、製品開発に必要な流動特性の検証に用いられています。装置には、内部の流れを解析する管路実験装置・外部流れを扱う風洞装置・流れの可視化を行う水槽装置などがあります。

流体実験装置に搭載されているシステムは、流速計・差圧計・マイクロ波式計測器・可視化システムなどです。計測器に加えて、画像処理システムが搭載された流体実験装置を利用すれば、高度な解析もできるようになります。これにより、流れ場の構造やエネルギー損失が把握できるようになり、工学的な検証がしやすくなります。

流体実験装置の使用用途

流体実験装置は、建設・自動車・化学などの業界で使用されています。

1. 建設・土木業界

建設や土木の分野では、水理模型の実験に流体実験装置が利用されています。実験できる項目としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 天候による河川流量の変化
  • 堤防周辺の流れの解析
  • 橋脚周りの渦構造の可視化

他にも、洪水時の予測シミュレーションや水理施設の最適化に活用されています。

2. 自動車・航空業界

自動車や航空機の開発では、物理特性の評価に流体実験装置が欠かせません。風洞装置を使用し、車体や翼に作用する揚力・抗力を測定することで、燃費の向上や騒音の低減に必要な形状を検証できます。これらの計測データは、設計改良やCAE解析の検証に利用可能です。

3. 化学業界

化学業界では、配管内の流体の動きを把握する目的で流体実験装置が用いられています。具体的には、配管内における流体の挙動・圧力損失・流速分布などを測定し、設備の設計や運転条件の最適化を図ります。

特に反応装置や熱交換器の設計では、事故防止のために流体実験装置は不可欠です。スケールアップしたときの挙動や乱流の発生を予測し、効率的かつ安全な運用を支えます。