リンクボール

リンクボールとは

リンクボール

リンクボール (英: Link Balls) とは、スタッド (ねじ加工された軸) の付いた球面すべり軸受です。

ボールジョイント、ロッドエンドロッドエンドベアリング、リンクボールロッドエンド、球面滑り軸受とも呼ばれます。JIS B0601 「球面滑り軸受−用語」によれば、部品間の相対運動及び部品間を連結するためのロッドエンドハウジング及び軸受で構成するリンクボールをロッドエンド、ロッドエンドハウジングとスタッド付き又はスタッドなし球面滑り軸受で構成するリンクボールを球面滑り軸受ロッドエンドと規定しています。

リンクボールの使用用途

リンクボール_図1

図1. 自動車のリンクボール使用例

リンクボールは、ボール部の隙間が小さく、スムーズな動作を実現する球面すべり軸受です。回転や揺動運動を行うと部品間の連結と運動伝達として各種のリンクモーション機構で使用されています。自動車のサスペンションやステアリングは身近な使用例です。産業用途では、工作機械や繊維機械、包装用機械、ロボットなど大きな揺動角が求められる場面で使用されています。

その他、航空機、トラクターなどの建設・土木用機械、コンバインのような農業機、トンネル切削用シールドマシンなどで使われます。特に無給油タイプは、食品関連機械に最適です。

リンクボールの原理

リンクボールは、ボール付きシャンクとボールを保持するホルダーで構成され、それぞれの球面が接触した状態で、シャンクの回転または揺動運動を支持しています。このような支持は、球面すべり軸受としての機能です。

ホルダー端部はおねじまたはめねじで、連結棒などの端部に締結します。2つの部品を固定・連結し、回転や傾斜に自由度のある接続方法で、両部品の相対的な変位を、球面すべり構造によって許容する機械要素が特徴です。連結棒とのねじ込み深さで部品間の距離と、リンク機構の角度を調整できます。

リンクボールの種類

リンクボールは、シャンクの向き、荷重負荷の方向、材質・製造方法、潤滑の有無により種類が異なります。以下に、それぞれの分類方法を詳しく解説します。

1. シャンクの向きによる分類

リンクボール_図2

図2. リンクボールの種類

リンクボールは、ボールにねじ付加工されたシャンク (軸) が溶接され、このシャンクの向きによってインライン形とアングル形に分類されます。前者はボール付きシャンクとホルダーが同軸で、後者はボール付きシャンクとホルダーが直角に配置されているのが特徴です。両者ともに自動調心式の球面すべり軸受の機構であり、幅広い自動化装置で傾斜、揺動、低トルク回転、スムーズな動力伝達を可能にします。

2. 荷重負荷方向による分類

リンクボール_図3

図3. 押込荷重と引抜荷重

リンクボールのボール付きシャンク部の軸方向 (アキシアル方向) には、上図のようにホルダーに押し付ける方向の押込荷重と、ホルダーから引き抜く方向の引抜荷重がかかります。インライン形は、アキシアル方向には適応不可ですが、ラジアル方向には適用可です。アングル形は、ラジアル方向には適用不可ですが、アキシアル方向には適用可ですので、注意してください。

3. 材質・製造方法による分類

リンクボールは製造方法によって、ボール付きシャンクの球面部に高精度の軸受用鋼球を使用し、ねじ加工された鋼製のシャンクを溶接して接合する特殊溶接型と、ダイカスト鋳造でホルダを成形するダイカスト鋳造型に分類されます。またホルダーの材質によって、耐摩耗性が高く軽量の高強度アルミ合金製と、機械的性質や耐焼付性・耐摩耗性に優れた亜鉛合金製に分類されます。

4. 潤滑の有無

リンクボールは、ボールとホルダーの接触面がスムーズな動きになるように精細加工がなされ、材質も耐摩耗性です。しかし、金属同士の接触であることから必ず摩耗が発生します。そのため、球面の摺動部に潤滑が必要なものと、必要がないものに分類されます。前者は、グリースなどの潤滑剤を充填し、長期間にわたるスムーズな動作と耐摩耗性の維持が可能です。後者は、リンクボール自体に自己潤滑性を持たせたり、潤滑なしで動作するドライベアリングを採用したりして、メンテナンスの工数を削減できます。

ローリングセンター

ローリングセンターとは

ローリングセンター

ローリングセンターは、旋盤などの工作機械の部品であるセンターの一種で、回転センターやライブセンターなどと呼ばれることもあります。

センターは旋盤などの心押台に取りつけ、切削加工の際に心押しを行うために、また、工作物(ワーク)の回転の中心を保持するために使います。

センターの種類には固定センターとローリングセンターがあります。ローリングセンターはベアリングを内蔵したセンターで、固定センターに比べ高速回転時の摩擦を抑えることができるという特徴があります。

ローリングセンターの使用用途

ローリングセンターは、普通旋盤NC旋盤研削盤歯車研削盤・ホブ盤・研磨盤など、さまざまな工作機械で回転する工作物を支えるために使用されます。

ベアリングを内蔵しない固定センターが、回転によって生じる摩擦のために回転速度に制限があるのに対し、ローリングセンターはベアリングによって摩擦を低減しているため高速回転の加工が可能です。

一方、ベアリングの回転が加工精度に影響するため、ローリングセンターは高精度の加工には向いていません。

ローリングセンターの特徴

ローリングセンターは、本体にベアリングを内蔵しており、旋盤などの工作機械の主軸と連動して工作物を保持することができます。長い工作物であっても安定して保持し、高速回転の加工時でも工作物が振れるのを防ぐことができます。ベアリングによって摩擦が軽減されるため、ローリングセンターには寿命が長いというメリットもあります。

ローリングセンターは、ベアリングが内蔵されている分ヘッダ部分が太くなっています。そのため、工作物の形状や直径によっては、工具(バイト)とセンターが干渉して加工ができない場合もあり、加工前に治具間の干渉をチェックする必要があります。

ローリングセンターは、ヘッダ部にベアリングが内蔵されているため支点距離が長くなり、その距離に比例した大きさの荷重モーメントが先端部にかかります。また、支点距離が長い分、加工時のたわみも大きくなります。そのため、ローリングセンターは固定センターに比べ、剛性・精度の点で劣っているというデメリットがあります。

ロールボックスパレット

ロールボックスパレットとは

ロールボックスパレット

ロールボックスパレット (英: roll box pallet) とは、格子状のカゴの下に車輪が付いている運搬用台車です。

物流の分野では欠かせないものとなっています。使用しない時は折りたためるため場所をとりません。商品を積み込んで倉庫の所定の場所に移動して保管することも、そのままトラックに積み込むことも可能です。カゴ車、カゴ台車、カーゴテナー、ロールボックスとも呼ばれます。

大型ディスカウントショップでは、ロールボックスパレットがそのまま商品陳列台として使用でき便利です。以下にロールボックスパレットの使用用途・原理・種類を詳しく解説します。

ロールボックスパレットの使用用途

ロールボックスパレットは、物流の配送センターをはじめ、保管倉庫、製造工場の搬出入エリア、農水産業関連市場、各種部材や商品の入出庫で活躍しています。また、商業施設をはじめ、大型スーパー、小売店など商品流通関連施設でも、商品を倉庫から売り場へ移送する際に使われます。

そのほか産業廃棄物処理場など環境衛生施設では、区分されたあとの運搬などで利用される便利な台車です。ロールボックスパレットに載せたまま商品や部材を保管する場合もあります。

ロールボックスパレットの原理

ロールボックスパレットは、3方向を柵で囲い、底部に車輪がついています。これで重量がある荷物でも、荷崩れなく軽い力で動かせます。倉庫、物流センター、トラックに積み重ねられるため、トラックから荷下ろし後、店舗まで積み替えなしで搬送が可能です。車輪には移動中の音を極力押さえる工夫や、材質に防錆処理が施されています。また、折りたためる仕様のため、使わないときはコンパクトに収納しておけます。

ロールボックスパレットの種類

ロールボックスパレットは、床板の材質、柵のデザイン、収納の際の折りたたみ方によっていくつかの種類に分かれます。主な種類の特徴を以下にご紹介します。

1. 床板の材質

  • 樹脂製:軽量で錆びに強く、湿気が多いところでも使用できるが、スチールに比べ頑丈さが劣る
  • 鋼製:底板に穴がないため物品が落ちる心配はなく、頑丈であることから重い荷物の移動に適すが、錆びやすい

2. 柵のデザイン

  • 標準:3方向を柵で囲い、段ボールなどを重ねて運ぶ際によく使用されるが、搬送中に荷崩れの可能性あり
  • 観音扉:柵が左右に開く観音扉付で、背の高い荷物や大きな荷姿の荷物も容易に入り、搬送中は扉を閉めるため荷崩れの心配がない
  • ダブルゲート:扉が上下2段になっていて、棚板を設置すれば積載量を増やせる
  • SGめっき:柵を構成するパイプに溶融亜鉛アルミニウム合金めっきSG鋼管を使用し、耐食性を向上
  • 内張りボード:軽量で強いポリオレフィン製プラパールの内張りボードを使用し、ワンタッチで取付が可能
  • 樹脂ネット張り:丈夫な素材の樹脂ネットで荷物や商品を保護し、ネットはインシュロックで固定

3. 折りたたみ方

  • L字仕様:底板を持ち上げ、右側の側面を折りたたみ、L字型にするタイプ
  • I字仕様:底板を持ち上げ、左右側面を共にたたみ、I字型にするタイプで、L字タイプより小さくなるため、保管効率がより高い

ロールボックスパレットのその他情報

ロールボックスパレットによる事故防止のため、国や地方自治体の労働局などが主体となり、「ロールボックスパレット使用時の労働災害防止マニュアル」が作成されました。マニュアルではルールを8つにまとめてあります。例えば、事故多発場所が段差や傾斜のある場所のため、折り畳んだ状態やトラックへの搬入では特に注意するよう呼びかけられています。

また、車輪の前に足を置かないように気を付けること、製品や箱を高く積み過ぎないことなど、怪我を防ぐための安全対策も重要です。さらに、車輪がついているため、操作を誤って作業者が手を離してしまうと、台車が勝手に動きかねませんので注意してください。

ロックライン

ロックラインとは

ロックライン

ロックラインとは、機械加工で必要となる加工スポットへの冷却などを行うパイプシステムのことです。

ホースやノズルといったパーツを組み合わせたもので、フレキシブル性とセットの容易性から主に機械加工の冷却で使用されます。液体のほか空気などにも使用可能です。

米国企業による登録商標「LOC-LINE」の称呼 (しょうこ: 商標法上の呼び方) で同じような分野での商品で出願した場合拒絶される場合があります。

ロックラインの使用用途

ロックラインは、機械加工で発生する加工スポットの発熱の冷却や潤滑油の給油、加工時発生する切粉の除去などが使用されています。加工スポットへのセッティングが容易で、一度セットすれば内部圧力で動いてしまうこともありません。

各種専用パーツの組み合わせによりマルチパイプラインといった構成や複数ポイントへの吐出なども可能となり、金属配管と異なり樹脂製パーツが使用されているため周辺機械との接触や腐食といった心配はありません。

ロックラインのその他情報

ロックラインの特徴

ロックラインの基本構成は、吐出ノズルと延長可能なホースで、ホースは「ピース」と呼ばれる基本部材を専用工具により継ぎ足していくことで延長することが可能です。微妙なクーラントのセッティングが容易なうえ、構造上一度セットしたパイプラインを保持できるため、あとのメンテナンスにもあまり手間がかかりません。

また、ロックラインは吐出だけでなく吸引も可能となるため1台で二役をこなすことができます。吸引パイプラインとしての使用例としては、健康被害が指摘されているはんだ付け時の煙 (ヒュームと呼ばれています) の吸引などがあります。

そのほか、湿式研磨のミストをはじめとした各種ミスト・グラファイト・粒子の吸引、薬品メーカなどで設置されているヒュームフード内に吸引、木工加工時の切りくず吸引などがあります。ロックラインの先端にスマートフォンなどのモバイル機器を取り付け自在スタンドに使用するケースもあります。

温水洗浄機

温水洗浄機とは

温水洗浄機 (英: hot water washing machine) とは、水を加熱して温水を噴射することで汚れや油脂を効果的に除去する洗浄装置です。

温水を使用することで落ちにくい油汚れの除去や殺菌効果があり、食品加工、工場設備、車両などの洗浄に広く活用されています。通常、洗浄力を高めるため、高圧の温水を使用したものが主流です。

屋内で使用されるものだけでなく、屋外で使用される自動車洗浄機や、AC電源を必要としないエンジンで動かす機械も生産されています。

温水洗浄機の使用用途

1. 工場・製造業

工場では、機械や設備の油汚れ、切削油、金属粉などを効率的に除去するために温水洗浄機が活用されます。特に食品工場では、衛生管理の観点から床や作業台の洗浄にも使用され、細菌の繁殖が抑えられます。

また、金属部品やプラスチック製品の洗浄では、加工工程で付着した油や異物を、温水洗浄機によって短時間で除去可能です。高温の水は洗浄力が強く、洗剤と併用することでより効果的に汚れを落とせるため、生産効率の向上にも貢献します。

2. 食品業界

食品加工工場や飲食店では、厨房機器や調理器具に付着した油脂や食品残渣を効果的に洗浄するために温水洗浄機が使われます。また、食品輸送に使用するコンテナや配送車両の内部洗浄にも適しており、食材の衛生的な管理に欠かせません。

温水は細菌やウイルスを除去する効果が高いため、HACCP (食品衛生管理) 基準をクリアし、衛生レベルを維持できるのが大きなメリットです。

3. 自動車・運輸業

温水洗浄機はトラック、バス、タクシーなどの商用車はもちろん、建設機械や農業機械の洗浄にも使用される機器です。特に車両の下部やエンジンルームには泥や油汚れが付着しやすく、通常の水では落ちにくいため、温水を利用することで効率のいい汚れの除去が可能です。

また、凍結防止剤や塩害による腐食を防ぐ目的でも使われ、冬季のメンテナンスにおいても重要な役割があります。

4. 一般家庭

家庭での温水洗浄機の役割は、外壁や屋根のコケ・カビ除去、ベランダや玄関の清掃や、浴室のタイル目地や排水口の汚れの除去です。

冬場では凍結防止剤が付着した車の洗浄にも温水洗浄機が利用されます。通常の高圧洗浄機では落としにくい油汚れや水アカも、温水を使用することで短時間で取り除けます。

温水洗浄機の原理

温水洗浄機は、水を加熱して高温の温水を噴射することで洗浄力を高める装置です。水道水をポンプで加圧し、ボイラーを通過させることで温水に変換し、ノズルから噴射します。

1. 水を加熱する仕組み

温水洗浄機の水を加熱する原理は、ボイラー (熱交換器) を利用し、水が流れる配管を高温の熱源で加熱する仕組みです。主な熱源は電気ヒーター、ガスバーナー、ディーゼル燃焼装置などがあります。

ボイラー内部のらせん状の配管に水が通り、熱源によって急速に加熱されます。電気式は抵抗発熱で加熱し、ガスやディーゼル式は燃焼熱を利用します。サーモスタットで温度を管理し、設定温度を維持しながら温水供給が可能です。

2.水を高圧にする仕組み

温水洗浄機の水を高圧にするため、高圧ポンプを用いて水を加圧し、ノズルから噴射する仕組みが利用されます。一般的にプランジャーポンプが使用され、ピストン運動により圧縮された水の生成が可能です。

加圧された水はホースを通り、高速の水流として噴射されます。噴射された水は汚れを物理的に剥離し、温水との相乗効果で洗浄力を向上できます。

3. 温水洗浄機の設計

高温・高圧の水を扱うため、温水洗浄機には安全装置が備わっています。過熱防止機能により、設定温度を超えないよう制御し、異常加熱時には自動停止が可能です。

圧力調整機能により、ノズルやホースの破損を防ぎ、安全に使用できます。また、一部の機種には漏電防止装置や燃焼安全装置が搭載されており、火災や感電のリスクを低減します。安全かつ効率的に使用するため、適切な取り扱いとメンテナンスが必要です。

温水洗浄機の構造

温水洗浄機は、高圧ポンプ、加熱装置、制御システムなどの複数の部品で構成されており、それぞれが連携して機能します。

1. 高圧ポンプ

高圧ポンプは、水を加圧してノズルから噴射するための心臓部です。一般的にピストン式やプランジャーポンプが使用され、高圧を安定して供給できるように設計されています。

プランジャーポンプは耐久性が高く、大容量の水を扱えるため、業務用温水洗浄機に多く採用されています。また、圧力調整機能が備わっており、洗浄対象に応じた適切な圧力に調整できるのも特徴です。

2. 加熱装置

温水洗浄機の加熱装置には、電気ヒーター、ガスボイラー、ディーゼルボイラーなどがあり、用途に応じて異なります。ボイラー内部には熱交換器があり、水が流れる配管がらせん状に配置されているのが一般的です。

そのため、熱源からのエネルギーを効率よく水に伝え、短時間で加熱できます。温水の温度はサーモスタットによって管理され、必要以上に高温にならないよう制御されます。

3. 水路システム

温水洗浄機には、水を供給するための吸水ホース、ボイラーを通って高温になる循環経路、ノズルへと送る高圧ホースが組み込まれています。吸水ホースにはフィルターが取り付けられており、一般的には不純物や異物がポンプに入らないような設計です。

さらに、安全弁やリリーフバルブが装備されており、圧力が異常に高くなった場合に自動的に圧を逃がし、機器の故障や事故を防ぎます。

4. 操作・制御システム

温水洗浄機の操作パネルには、温度設定、圧力調整、電源スイッチなどが搭載され、制御機能も特徴の1つです。電子制御モデルでは、センサーが水温や圧力をリアルタイムで監視し、異常が検出された場合には自動停止できます。

また、一部の業務用モデルでは、リモコンや遠隔操作機能が搭載されており、作業効率を向上させる工夫がされています。

5. ノズル・ガン

ノズルは温水を噴射するための重要なパーツです。汚れの種類や用途に応じて異なる形状のものが使われています。

標準的な直射ノズルのほか、広範囲を洗浄できる扇状ノズル、泡立てて洗剤を噴射するフォームノズル、高温スチームを発生させるスチームノズルなどがあります。ガン (トリガー) 部分には安全ロック機構が備わっており、誤作動を防ぐ設計です。

温水洗浄機の種類

温水洗浄機は主に、電気式、ガス式、ディーゼル式があります。

1. 電気式

電気式は、ヒーターを用いて水を加熱するタイプで、環境に優しく、排ガスや騒音が発生しません。そのため、屋内での使用に適しており、食品工場や病院、実験施設などで採用されています。

ただし、加熱能力はガスやディーゼルに比べて低く、大量の温水が必要な作業には向いていません。電気式は定期的なメンテナンスが少なく済み、操作も簡単なため、小規模な施設や家庭向けに最適です。

2. ガス式

ガス式は、プロパンガスや都市ガスを使用して水を加熱するタイプです。電気式よりも高い加熱能力を持ち、連続使用が可能なため、飲食店や食品加工工場、工業施設などで活用されています。

燃料コストが比較的安いため、ランニングコストを抑えられる点もメリットです。ただし、ガスボンベの管理や換気対策が必要であり、設置場所に制約がある場合があります。

3. ディーゼル式

ディーゼル式は、軽油を燃料として使用するタイプで、最も強力な加熱能力を持っています。工事現場、建設機械の洗浄、畜舎の清掃など、大規模な屋外作業に適しており、長時間の連続運転が可能です。

また、高温・高圧の組み合わせで、頑固な油汚れや泥を素早く除去できます。ただし、排ガスや騒音が発生するため、屋外使用が前提です。

開袋機

開袋機とは

開袋機とは、袋詰めされた材料を自動で開封し、中身を取り出すための装置のことです。

工場や物流現場で使用され、従来の人手による開封作業を効率化します。対象となる袋は紙袋、ポリ袋、ポリエチレンラミネート袋、多層袋など多岐にわたり、多種多様な包装形態に対応可能です。開袋機の導入により、省人化だけでなく、内容物へのゴミや異物混入を防ぐ効果もあります。

開袋機の一連の工程には、袋の搬送、装置への投入、開袋処理、内容物の払い出し、そして空袋の排出と処理が含まれます。そのため、袋の開封から中身の活用、残材の処理までがシームレスに行うことが可能です。

開袋機の使用用途

開袋機の使用用途として、食品工場での活用、建設および土木分野での活用、農業や酪農分野での使用、重工業での利用、環境への配慮の5つを解説します。

1. 食品工場での活用

食品関連工場では、搬入された袋詰めの原材料を自動で開封するために開袋機が使用されています。例えば、小麦粉や砂糖といった粉状の原材料の投入前工程や、内容物をサイロへ移す工程で活用できます。

2. 建設および土木分野での活用

開袋機は、セメント、石灰、コンクリート二次製品、添加剤などの袋詰めされた材料の開封にも使用されます。こうした建築現場や生コン工場で直接活用されることが多く、大量の袋を迅速かつ安全に開封できる点で活用されています。

3. 農業や酪農分野での使用

農業や酪農では、飼料や添加物を開封し、必要な量を効率よく投入するために開袋機が活躍します。袋の種類を問わず正確に開封する能力が求められるため、農業用の専用機種も多く製作されています。

4. 重工業での利用

セメントや鉱物加工品、各種添加物など、重工業分野でも搬入物の自動開封に開袋機が利用されています。大容量のフレコンバッグ対応機種もあるため、工場規模に合わせた運用が可能です。

5. 環境への配慮

開袋機の多くは、開封後の空袋を自動回収・処理する機能を備えており、現場の衛生管理や作業効率を向上させます。環境配慮型の機種ではリサイクル工程への適合も進められています。

開袋機の原理

開袋機の原理として、搬送と投入、切断工程、内容物の取り出し、空袋の排出と処理の4つを解説します。

1. 搬送と投入

袋詰めされた材料はコンベアや搬送装置によって開袋機に投入され、投入の過程で袋を正確に装置に供給する仕組みが整っています。袋の形状やサイズに合わせたアタッチメントやセンサーで適切に位置決めが行われます。

2. 切断工程

開袋機のメインとなる工程は袋の切断です。袋の材質に応じて、ナイフ式カッターやロータリーカッター、高圧エアブローなどの方法が選択されます。紙袋には切断力が強いナイフカッター、ポリ袋には熱処理を施す装置が使われることが一般的です。

3. 内容物の取り出し

開袋後、袋内の内容物を払い出す工程では、重力、振動、または高圧エアが使用されます。高圧エアにより、中身が効率よく排出され、袋内に残留物がほとんど残らないよう工夫されています。

4. 空袋の排出と処理

内容物を払い出した後の空袋は自動で排出され、処理装置に送られます。空袋を裁断してリサイクル可能な状態にする機能を持つ装置もあり、持続可能性を考慮した設計が進んでいます。

開袋機の種類

開袋機の種類として、材質別対応機種、対応袋サイズによる分類、容量別対応機種、工程自動化タイプの4つを解説します。

1. 材質別対応機種

  • 紙袋用開袋機:紙袋専用の開袋機は、紙粉の飛散を防ぐ構造を備えています。また、切断後のゴミ混入を防ぐために密閉型構造を採用するケースが多いです。
  • ポリ袋用開袋機:ポリエチレンやポリプロピレン袋の開封に適した設計。熱処理や特殊カッターを使用し、内容物を傷つけずに開袋可能です。

2. 対応袋サイズによる分類

  • 単層袋対応型:比較的小型でシンプルな設計。食品や小規模工場での利用が多いです。
  • 多層袋対応型:厚みや構造が複雑な袋を開封するために調整可能なカッターや特殊センサーを搭載しています。

3. 容量別対応機種

  • 小袋用開袋機:10kg以下の袋を効率よく開封する装置。
  • フレコンバッグ対応機:大容量のフレコンバッグを開封し、中身を直接大型容器に投入する工程に利用されます。

4. 工程自動化タイプ

  • 全自動開袋機:搬送から開袋、内容物の払い出し、空袋処理までを完全自動で行うタイプ。
  • 半自動開袋機:人手での補助作業を一部残しながら、自動化機能を取り入れたモデル。コストを抑えたい場合に適しています。

拡大鏡

拡大鏡とは

拡大鏡

拡大鏡は、物体を大きく見えるようにして観察するための光学機器です。

一般的には虫眼鏡やルーペとも呼ばれます。拡大倍率は1桁程度と比較的低めですが、身近な道具として広く親しまれています。昆虫などの小さな生き物を観察する際に使用されることから「虫眼鏡」とも呼ばれ、顕微鏡や双眼鏡と並んで、子供のころから馴染みのある光学機器のひとつです。最近では、樹脂製レンズを用いた拡大鏡も登場しています。

拡大鏡の使用用途

拡大鏡は、家庭内では読書や子供の学習支援に使用されるほか、製造現場では検査用機器として活躍しています。また、医療分野では治療部位の拡大や宝石の鑑定といった用途でも広く利用されています。さらに、ロービジョン (老眼や白内障、糖尿病などによる視力低下) の補助や、時計修理や歯科治療などの精密な作業をサポートするために、単眼および双眼タイプの製品が使われています。

最近では、樹脂製レンズの採用による軽量化や大型化が進み、照明付きモデルや眼鏡型デザインなど、多様な製品が次々と登場しています。加えて、仕組みは異なるものの、スマートフォンのソフトウェアを利用した拡大機能も普及しつつあります。

拡大鏡の原理

拡大鏡は、1枚または複数のレンズで構成され、主に凸レンズやフレネルレンズが使用されます。それぞれの原理について以下に説明します。

1. 凸レンズの原理

凸レンズは、光軸に平行に入射した光を1点に集めます。この点を焦点と呼びます。また、焦点を通過した光はレンズを出た後、光軸に平行になります。さらに、レンズの中心を通る光は、角度を変えずにそのまま直進します。

  • 虚像の形成
    物体が凸レンズの焦点より近い位置にある場合、物体からの光の一部はレンズを通過して虚像を形成します。この虚像は、物体が実際に存在する位置より遠いところにあるように見えます。
    拡大鏡は、このように形成された虚像を観察するための道具です。
  • 倍率の定義
    拡大鏡の倍率は、拡大鏡を通さずに見た物体の大きさと、虚像として観察したときの大きさの比率で表されます。倍率は、物体・レンズ・目の位置によって変わります。

2. フレネルレンズの原理

フレネルレンズは、通常の凸レンズを薄型化するため、同心円状に分割し、厚みを大幅に減らした構造を持つレンズです。

  • 特徴と欠点
    フレネルレンズは軽量化に優れる一方で、同心円状の構造による回折現象の影響で結像が不鮮明になる欠点があります。そのため、照明用や簡易的な拡大鏡として利用されます。
  • 拡大鏡への応用
    フレネルレンズを用いた拡大鏡は、透明なアクリル樹脂などを材料に作られ、薄型かつ軽量で携帯性に優れています。また、非球面形状の溝を採用することで、回折による像の明るさや鮮明度を改善した製品も登場しています。拡大鏡は、これらの原理を活かして多様な場面で使用されています。凸レンズの精密さやフレネルレンズの軽量性を適宜選ぶことで、用途に応じた最適な拡大鏡が提供されています。

拡大鏡の選び方

拡大鏡を選ぶ際は、使用目的に合わせた倍率やレンズの種類を確認することが重要です。

読書や細かい作業には、倍率が2倍から5倍程度の手持ち型やスタンド型が便利です。一方、趣味や専門的な用途には、高倍率のものやライト付き拡大鏡が役立ちます。また、長時間の使用を考える場合、軽量で手が疲れにくいデザインや、目に優しい非球面レンズを選ぶと快適です。持ち運びを重視する場合は、コンパクトな折りたたみ式が便利です。さらに、品質やコストパフォーマンスも考慮し、自分の用途に最適な拡大鏡を選ぶことが大切です。

拡大鏡のその他情報

拡大鏡の特性

拡大鏡は、眼鏡のように個々の視力に合わせて調整される製品とは異なり、一般的に市販されているものは使用時にピントを合わせる必要があります。

従来は、机上で使うデスクルーペや頭部に装着するヘッドルーペが主流でしたが、眼鏡型の拡大鏡が登場したことで、拡大鏡はより身近な道具となりました。また、以前はガラス製レンズが主流でしたが、樹脂の性能向上により、軽量で耐衝撃性に優れた樹脂製レンズを使用する製品が増えています。これにより、拡大鏡の利便性がさらに向上しました。

さらに、観察対象となる物体が小型化している現代では、それに使用される部品も微細化が進んでいます。このため、標準的な視力を持つ人であっても、拡大鏡を使用しなければ作業が困難になるケースが増えています。

曲尺

曲尺とは

曲尺

曲尺(かねじゃく)とは、直角に折れ曲がった形状をした、長手方向と短手方向の直線の物差しが正確に直角に交わって接続されている物差しのことです。金属製のものが多く、木材や鋼材の一辺の長さを測定したり、その金属のたわみや鋼性を利用して正確な直線や曲線を引いたりするために使います。

曲尺は別名で、かねざしやまがりがねなどとも呼ばれています。ちなみに、和裁用の物差しである鯨尺の8寸が、曲尺の1尺に当たります。

曲尺の使用用途

曲尺は、その構造上、建材等を日々扱う大工や建築士などの職人が主に用いる工具です。木材や鋼材は丸形のものも多く、その断面の測定から簡便に取得可能な一辺の長さの直方体の角材の柱を計測したり、大工作業の高度な計測の目的で使用されています。

実は曲尺の歴史は非常に古く、中国では漢の時代から、日本でも平安時代からすでに曲尺は広く用いられていたといわれており、江戸時代には大工職にかかわる曲尺関連の書物も出版がなされています。

曲尺の原理

曲尺の原理ですが、一般に表側にはメートル法のミリ単位の目盛りが記載されており、裏側にはこの表側の目盛りの数字に2の平方根(ルート)をかけた数字と円周率で割った数字が記載されています。前者の数を角目、後者の数を丸目と呼ぶことがあります。

真鍮(黄銅)やステンレス、および銅などの金属製が多い曲尺ですが、上記の目盛りは通常は直角の長手方向と短手方向の物差しの双方についています。

使い方の一例として、例えば丸太の直径に曲尺を当てると、そこから取得できる角材の1辺の長さや、その丸太の円周の長さが一目でわかる仕組みになっています。ただ、正確に円ではない、丸太の直径を判断するのは容易ではありません。よって曲尺を用いて円周角の定義から、曲尺の直角の箇所を丸太の円周にあて、長手方向と短手方向が丸太の円周と交差する箇所に印をつけて結ぶとその線は丸太の直径に相当します。さらにこの操作を繰り返すことで、正確に円ではない丸太のおよその中心がわかります。

直角を計測する上記の目的以外の、他の高度な使い方として、相似三角形の平方根の数字の関係を巧みに使い、直角で無い角度をもつ屋根の傾斜と柱での適した組み合わせの長さを求めるためにも、曲尺は使われています。

なお、建築士や大工などの職業に就いている方は、寸法精度が高く保証されているJIS規格に適合された製品を選ぶとよいでしょう。

歯切り盤

歯切り盤とは

歯切り盤

歯切り盤とは、歯車の溝を切削によって作出する工作機械の一種です。

歯車は転造歯車や鋳造歯車によって製造され、歯切り盤で加工された歯車を使う場合が多いです。歯車の形状や寸法に対応した工具を用いて歯切り加工が行われます。

歯切り盤にはホブカッタを使った外歯車加工のホブ盤や外・内歯加工が可能なピニオンカッタによる形削り盤などがあり、ブローチカッタを使ったブローチ盤も製造可能です。歯割り盤、ラック歯切り盤、ウォームホイールホブ盤、すぐばかさ歯車歯切り盤、まがりばかさ歯車歯切り盤などもあります。

歯切り盤の使用用途

歯切り盤による加工は、数多くの形状の歯車の製作に用いられます。歯切り盤で製作される歯車には平行軸と言われる平行した軸の間で動力を伝える平歯車はすば歯車、内歯車、ラックなどがあります。

歯切り盤は動力伝達軸が交差した交差軸としてすぐばかさ歯車、まがりばかさ歯車、フェースギアなどの製作にも使用可能です。そのほか食い違い軸と言われるウォームギア、ハイポイドギア、ねじ歯車や、特殊形状歯車である非円形歯車、円錐歯車、間欠歯車などの製作に使われています。

歯切り盤の原理

歯切り盤の加工は、次の動作が行われます。

1. カッターの回転

歯車を切削するためのカッターは、ワークとカッターが噛み合うように回転します。

2. ワークの回転

ワークは、カッターの回転に対して一定の角度で回転し、必要な歯の数や形状に合わせて、切削を行います。

3. 送り動作

カッターとワークは送り機構によって少しずつ動かされ、全体の歯形が完成するまで繰り返し切削されます。歯切り盤は主に円筒歯車の加工に使用され、ホブを使ったホブ盤とピニオンカッタを使った研削盤、ギアシェーパーなどがあります。かさ歯車のような特殊な歯車を加工するかさ歯車歯切り盤では、創成法と成形法の両者を組み合わせて加工されます。

また、歯車には平歯車以外にも、はすば歯車やウォームギヤなどがあります。創成法による歯切り加工は溝を一本一本切削していく成形法より精度的に優れていますが、コスト的にNC工作機械での加工が可能な成形法には劣ります。

歯切り盤の種類

歯切り盤は、加工の方法により以下の種類に分類されます。

1. ホブ盤

ホブを取り付けて旋回させながら歯切り加工を行います。ホブは成形する歯車に食い合うように切れ刃や溝が外周に設置されています。

2. ギアシェーパー

歯切り加工にピニオンカッタやラックカッタを使い、刃物の上下運動によって形削り加工を行います。作業効率は低いですが、加工が難しい特殊な歯車の形にも対応可能です。

3. 歯車研削盤

高速で砥石を旋回させて歯車を成形します。焼入れした硬い素材から歯車を高精度で加工可能です。

4. 歯車シェービング盤

歯切り加工で作られた歯車の最終プロセスに使用します。食い合わせた歯車状の工具を旋回させて表面を滑らかにでき、食い合わせも補正可能です。

5. かさ歯車歯切り盤

円盤のような形状の切削工具を使って歯切りを行い、かさ歯車の歯切りを行います。 

歯切り盤のその他情報

歯車の種類

歯切り盤による加工で数多くの形状の歯車が作れます。

1. 平歯車
最も一般的な歯車で、歯すじが歯車軸に平行です。平行な2つの歯車を組み合わせて動力を伝達します。

2. はすば歯車
平歯車の歯すじが斜めになっているため歯車と歯車が食い合いやすい構造です。平歯車と比べて音が静かで強度が高いのが特徴です。

3. 内歯車
歯が円筒の内向きにあります。円筒内部にある小型の歯車を旋回させて使用します。

4. かさ歯車
傘のような円錐形で、歯すじが外向きにあり、軸の向きが違うかさ歯車と歯車を食い合わせてエネルギーを伝えます。かさ歯車の歯すじによって、直歯かさ歯車と斜歯かさ歯車に分類されます。直歯かさ歯車はすぐばかさ歯車とも呼ばれ、平歯車と同じようにまっすぐです。斜歯かさ歯車ははすば歯車のように歯すじが斜めで、別名はすばかさ歯車です。

5. ウォームギヤ
棒状の素材に螺旋状の斜歯を取り付けたねじ歯車であるウォームと歯車に合うウォームホイールを食い合わせています。かさ歯車と比較して小さく、音も静かです。

6. ラックアンドピニオン
ラックピニオンとも呼ばれ、まっすぐな棒に歯すじを付けたラックと平歯車のようなピニオンを組み合わせ、歯車の回転力を直線に変える際に利用されます。身近な使用例はカメラの三脚の高さを調節する部分や自動車のステアリング機構に採用されています。

軸付砥石

軸付砥石とは

軸付砥石

軸付砥石とは、金属加工に多用される工具で、軸が取り付けられた砥石です。

このツールは、工具の研削、製品の研磨、面取り、サビ除去などの用途に幅広く使われています。砥石の形状や種類に応じて、アルミナ、シリコンカーバイド、セラミックスなど、さまざまな材質や硬度の砥粒が使用されます。適切な砥粒の選択は、使用する砥石の種類に依存します。

使用時には、電動工具や研削盤に取り付けます。装着する機械に応じた適切なサイズの選定が必要です。

軸付砥石の使用用途

軸付砥石は、金属や非金属の表面加工や仕上げ作業に広く使用される工具です。小型で使いやすく、ドリルやグラインダーなどに装着して使用されるのが特徴です。主な用途として、バリ取りや錆の除去、溶接部分の研削、金型の仕上げ作業などが挙げられます。さまざまな粒度や形状があるため、細かな加工から粗削りまで対応可能です。

また、狭い箇所や複雑な形状の部品にも使用しやすく、精密加工に最適です。さらに軸付砥石は、工業分野だけでなく趣味のDIYや模型製作にも活用されています。適切な粒度と材質を選ぶことで、効率的かつ高品質な仕上がりを実現します。

軸付砥石の原理

軸付砥石は、円形の砥石を軸に取り付けた構造を持ち、金属や木材の表面を滑らかにするために使われます。原理としては、軸が回転することで砥石が高速回転し、砥石表面の研磨粒子が対象物に接触して削り取ることで平滑化や切削を行います。

この砥石にはダイヤモンドやアルミナなどの硬い素材が使用され、粒度や形状に応じて適切な作業に対応します。効率的な研削には、回転速度や圧力、砥石の種類の調整が重要で、取り付けが簡単で様々な部品に対応できるため精密加工や仕上げ作業に広く利用されています。

軸付砥石の構造

軸付砥石は、研削や研磨作業で使用される工具で、その構造はシンプルながら高い機能性を持っています。主な構成要素は、砥石本体、軸、そして軸に取り付けるための取り付け部分です。砥石本体は、硬い研磨粒子をバインダーで固めたもので、これが研削を行う部分です。砥石の形状は円形が一般的で、研磨粒子の粗さや形状により仕上がりが異なります。

軸は、砥石を回転させるための部分で、主に金属製で強度が求められます。軸の一端には、砥石を固定するための取り付け部分があり、もう一端は回転機械に取り付けられます。取り付け部分には、ねじ山やクランプ方式などがあり、使用する機械や目的に応じて選ばれます。軸付砥石は、回転によって砥石の表面が研磨され、対象物の加工が行われます。この構造により、精密な研削作業や効率的な表面仕上げが可能になります。

軸付砥石の特徴

1. メリット

  • 軸に正確に固定されるため、高精度な研削が可能です。
  • 作業中のぶれが少なく、安定した切削力を保てます。
  • 直接取り付けられているため振動が少なく、砥石の寿命が長くなります。
  • 迅速で正確な研削が可能で、全体の作業効率が向上します。

2. デメリット

  • 砥石の直径や幅に制約があり、特定のサイズの軸にしか適応できません。
  • 直径が大きくなると、砥粒が飛び出すリスクがあり、回転数を抑える必要があります。
  • 取り付けに時間がかかるため、取り付け不良による事故のリスクがあります。

軸付砥石の種類

軸付砥石は、使用される切削材料によって分類されます。これらの種類は、使用する材料や加工の目的に応じて選ぶことが重要です。

1. アルミナ砥粒

酸化アルミニウムを主成分とし、高い硬度と切削精度を持ちます。硬質鋼や超硬合金の加工に適し、ガラス、セラミック、石材などの非金属素材にも使用されます。

2. シリコンカーバイド砥粒

シリコンカーバイドを主成分とし、アルミナに比べてやや低い硬度ですが、耐摩耗性や耐熱性に優れます。鉄鋼やステンレス鋼の加工に適し、高速回転での作業にも対応します。

3. 窒化ホウ素砥粒

非常に高い硬度と耐摩耗性を持ち、硬質鋼や超硬合金の加工に最適です。高速回転や深穴加工にも対応し、耐久性が非常に高いです。

4. ダイヤモンド砥粒

極めて高い硬度と切削精度を持ち、非常に硬い素材や精密加工に使用されます。高温下でも変質しにくく、高速回転にも耐えられます。

軸付砥石の選び方

軸付砥石を選ぶ際には、使用目的に応じた砥石の種類と特性を理解することが必要です。

研磨する材料に応じて、適切な粒度や素材を選びます。例えば、硬い金属や精密加工にはダイヤモンド砥石や超硬砥石が効果的で、柔らかい素材にはアルミナやシリコンカーバイド製の砥石が一般的です。作業の精度や仕上げに合わせた粒度の選択も重要です。さらに、冷却液や潤滑剤の使用に適した砥石を選ぶと効率的です。

軸付砥石のその他情報

1. 軸付砥石に使用される結合剤

結合剤は砥粒を基材に結びつけ、砥石の特性を決定します。以下のような結合剤が一般的に使われます。

  • 金属結合剤
    金属粉末を焼結して作られ、高速回転での加工や耐熱性に優れますが、精密な研磨作業には不向きな場合があります。
  • セラミックス結合剤
    高温でも優れた耐久性を持ち、アルミナ砥粒との相性が良く、細かい研磨作業に適しています。
  • 樹脂結合剤
    金属や非金属の加工に使われ、低速回転での作業に適しています。砥粒の露出量が多く、滑らかな表面仕上げが可能ですが、寿命が短いことがあります。

2. 軸付砥石の使い方

穴あけの手順は以下の通りです。軸付砥石を正しく使うことで、効率的かつ高精度な作業が可能になります。

  • 砥石の取り付け
    適切なサイズの砥石を選び、電動工具や研削盤に取り付けます。
  • 研削位置の調整
    素材を正確な位置にセットし、砥石が適切に接触するように調整します。
  • 砥石の回転
    砥石を回転させ、研磨粒子が素材に接触するようにします。回転数や位置を適切に設定します。
  • 研削作業
    砥石を研削面にしっかりと接触させ、素材を切削します。冷却液や潤滑剤を使用して熱を逃がしながら作業を進めます。
  • 研削面の仕上げ
    作業後、研磨布やポリッシュ剤を使って仕上げを行います。