ガラス温室とは
ガラス温室とは、ガラスで覆われた温室のことです。
ガラス温室は、主に農作物や植物の栽培、育苗を目的として使用されます。温室効果によって室内の温度や湿度を制御し、屋外の気象条件から農作物などを保護します。
ガラス温室の使用用途
ガラス温室は幅広い農作物の栽培環境に適しているため、野菜や果実、花、観葉植物などの生育環境を、人工的に作り出す目的で使用されます。また、ガラス温室は試験農場・研究施設・教育機関でも活用されており、新しい品種の育成や生産技術の開発、遺伝子組み換え作物の研究開発なども用途の1つです。
農業以外でも、ガラスケースのようなコンパクトなタイプは、花・野菜などのガーデニングや爬虫類・両生類の生息地に近い飼育環境を作り出すために使われています。
ガラス温室の特徴
長所
1. 気密性
ガラス温室は、特殊なゴムでガラス壁面を固定しているため、気密性・耐風性・耐候性を発揮します。また、気密性の高いガラス温室は、獣害や鳥害による被害を防ぐためにも有効です。
2. 耐久性
ガラス温室は、温室内外の気温変化や風雨、紫外線などの自然環境に対する耐久性が高く、ビニールハウスよりも、長期間の使用が可能です。
3. 透明性
ガラス温室のガラスは、太陽光を効率的に取り込める高い透明性があります。これにより、植物が必要とする光を最大限に利用でき、生育に適した環境を作ります。
4. 熱伝導率
ガラス温室のガラスは、熱伝導率が低く、内部の温度を一定に保ちます。また、遮熱コーティングを施すことにより、夏場の高温や紫外線による影響の軽減が可能です。
短所
1. 病害虫の発生
ガラス温室は、気密性が高いものの、温室内の空気や熱が十分に循環しないと温室内の湿度や温度が上昇しやすいのが短所です。そのため、作物の品質低下や病気、害虫の発生など植物の成長に影響を与える場合があります。
2. 温度管理の難しさ
ガラス温室では、温度管理が重要な課題です。夏場には過熱し、冬場には寒冷化することがあります。温室内の温湿度や室外の日射を自動計測できる換気設備やシステム、二重ガラスの利用により、最適な環境作りが可能です。
3. 高コスト
ガラス温室のガラスは比較的高価な素材であり、建設コストが高くなることがあります。また、二重ガラスは太陽エネルギーを通過しやすく、室内温度をコントロールしやすいものの、従来の強化ガラスの価格の約3倍と高価です。
ガラス温室の種類
ガラス温室は、以下の2種類に大別できます。
1. 大屋根型
単棟・連棟のいずれにも対応した両屋根型のガラス温室です。主に、小・中規模施設として、野菜や花き栽培などで利用されます。
単棟のガラス温室は、天窓と側窓からの換気がしやすい長所があります。連棟のガラス温室は、同じ面積の施設と比較すると建設コストを削減でき、作業性にも優れます。
2. フェンロー型
フェンロー型は、オランダで開発されたガラス温室です。主に、中・大規模施設として、トマト栽培などで利用されます。
間口が狭く軒高が高いため、採光性や適切な空気容量に優れるのが特徴です。また、風速50mにも耐え得る堅牢さを備えています。
ガラス温室のその他情報
1. 換気方法
換気方法としては、温室内に風を送り込むファンや、天窓を開放するなどの方法があります。これにより、新鮮な空気が温室内に取り込まれ、温湿度や二酸化炭素濃度が調整可能です。適切な換気を行うことで、農作物や植物の健康状態を維持できます。
2. 固定資産税
ガラス温室は減価償却資産であり、土地や家屋と同じく建物として課税されるため、固定資産税がかかります。ただし、家屋などのように市町村から通知書が送付される訳ではないため、所得税同様に市町村役場に申告する必要があります。
詳細は、お住まいの地域の税務署や行政機関に問い合わせることをおすすめします。