貯水タンクとは
貯水タンクとは、水や希釈した液体を貯めるタンクのことです。
ローリータンクとも呼ばれます。農業用や飲料水用、工業用、消防用など、さまざまな場面で使える貯水タンクが存在しますが、本記事では農業用の貯水タンクについて解説します。
貯水タンクの使用用途
貯水タンクは、農作物に散水したり、液肥や農薬を希釈し、防除用として使用したりします。農業用水が通っている場所では、用水路からの水を引いて散布することが可能です。
しかし、直接水を引けない場所や降水量がない時期や地域では、特に貯水タンクが活躍します。雨水を貯めておけば、散布することが可能です。
貯水タンクの特徴
長所
家庭菜園や田畑などで貯水・散水する際に、貯水タンクが活躍します。何度も行き来して水を持ち運ばなくて済みます。また、農業用以外においても、災害時の貯水にも役立つので、場所さえ確保できれば万が一に備えて置くことも可能です。
短所
耐久性があるものでも、長い間日の当たる場所に置いたり、定期的にメンテナンスをしなかったりすると、劣化速度は速くなります。エンジン、モーターなど発熱するものや排気ガスなどが当たると変形する可能性があるので、当たらないように注意が必要です。
場所の確保や使わなくなった時の処分方法まで考慮したうえで購入する必要があります。
貯水タンクの種類
1. 容量による分類
メーカーにもよりますが、100L、250L、500L、1,000Lが主流となります。大きなものですと3000Lのものがあります。
2. 色による分類
オレンジか黒が主流です。オレンジはタンクの中に入っている液体が透けて見えるため、内容量の確認がしやすくなっています。
また、黒は光を通さないので、タンク内に藻が発生しにくく紫外線に強いです。光によって変性しやすい薬剤を入れるのに適しています。
3. 素材による分類
広範囲にポリエチレン製 (PE) ・ステンレス製・FRP製 (繊維強化プラスチック) ・コンクリート製などがありますが、市場で流通されている素材としては、PEが代表的です。
PEは原価が安く、成形しやすいので、用途の広い樹脂として知られています。また、耐久性・耐薬品性・耐衝撃性・耐寒性に優れています。
4. その他
ドレン口に向かって傾斜がついているタイプのものだと、排水時に傾けなくても液体が残らず洗浄がしやすくなります。また、設置しやすいパレット付きのタイプもあります。
排水口がバルブ状になっており、動力噴霧器と連結し、農作物に散布することができるもの、コック状になっており、好きな量だけコックを開いて使用するものもあります。
貯水タンクの選び方
貯水タンクを選ぶ際は、サイズが重要なポイントになります。特に家庭菜園のようなコンパクトな場所に設置する場合、サイズもコンパクトなものがおすすめです。サイズが合っていないと、農作物の陰になり、生育の妨げとなります。
また、液肥や農薬を希釈し散布する場合も、畑の広さや作る農作物によって、選ぶ容量が変わります。農作物の生育初期には、散布量は少ないので、比較的容量の小さいものでも問題ありません。
なすやトマトなど木の状態に成長する農作物、生育後期の農作物は、散布する量も増えるので、容量の大きなものが適しています。
貯水タンクの使い方
貯水タンクを使用する前は、必ず用途ごとにタンクを変えることが重要です。特に農薬に使用するタンクは注意が必要となります。
液肥・農薬散布に使用する際、使用する量を考慮して希釈します。貯水タンクに動力噴霧器のホースを入れて、ホースから液剤を吸い込めるようにし、散布用のノズルを使って対象の農作物に散布します。液剤がタンクの底に溜まらないように撹拌するのがポイントです。作った液剤は最後まで使い切ります。
また、使用後は放置したままにせず、3回以上洗浄することが重要です。農薬の成分が残っていると、次回混入禁止の薬剤を使用した場合に、悪影響が及ぶ可能性があるうえ、タンク内の劣化の原因にもなります。貯水に関して意外と忘れがちなのが、貯水タンクの移動です。
水が入った状態での移動は困難なので、田畑などに長期間置く際は、散水の導線や場所を考える必要があります。また、メンテナンスを適切に行わないと、藻やボウフラが発生しますので、定期的に水を抜いて清掃することが大切です。