ローラプランジャ

ローラプランジャとは

ローラプランジャ_図0

ローラプランジャ (英: Roller Plunger) とは、ワークなどの対象物に接触して動作する部分 (アクチュエータ) に、ローラまたはベアリングを使用しているプランジャの一種です。

プランジャ (またはプランジャー) とは、ワークの位置決めや位置固定するための機械要素です。本体にスプリングが内蔵され、先端アクチュエータに荷重が働くと本体の内部に沈み込み、荷重が無くなるとスプリング力で元の位置に戻ります。

ローラプランジャ以外に、アクチュエータがボールのボールプランジャ、ピンのピンプランジャ (ストロークプランジャ) があります。

ローラプランジャ_図1

図1. ローラプランジャ以外のプランジャ

ローラプランジャの使用用途

ローラプランジャ_図2

図2. ローラプランジャの使用例

ローラプランジャは、工作機械や工場の生産設備機械などで、ワークなどの位置決めや固定目的で使用します。ワークなどの対象物に溝状のくぼみがあり、このくぼみにローラが落ち込み、この状態でプランジャのスプリング力でローラがワークを押し付け固定されます。

ローラ部分にはミニチュアボールベアリング (小径玉軸受) が使用されているものも多く、ローラは対象物と滑らかに接触し回転できるのが特徴です。また、その他にリミットスイッチのアクチュエータの種類として、ローラプランジャタイプのものがあります。

ローラプランジャの原理

ローラプランジャ_図3

図3. ローラプランジャの種類と動作

ローラプランジャは、主にローラ (ベアリング) 、ボディ (本体) 、ピン、スプリングで構成されています。

1. 動作方式

ローラプランジャの動作方式は下記の2種類です。

スライド式
スライド式は、ローラが先端に穴あけされたピンにシャフトで固定され回転します。ピンがボディ内でスライドし、挿入方向でスプリングを押し込み、引き抜き方向でスプリングに押されるように動作します。

回転式 (レバー式)
回転式は、ローラが先端に穴あけされたレバーにシャフトで固定され回転します。レバーはボディにシャフトでピン接合され、微小角度回転するように動作します。

2. スプリング力

ローラプランジャの対象物拘束力は、スプリング力によって決まります。軽荷重用は、スプリング力が少し弱くローラが対象物を押さえる荷重が小さく、重荷重用は、スプリング力が強くローラが対象物を押さえる荷重が大きいタイプです。

また、スプリングの高さを調整ができる仕様のもあり、ローラ付きピンによる拘束力を微調整することができます。

ローラプランジャの種類

1. ボディ形状

ローラプランジャの種類は、前述の動作方式以外に、ボディ形状と取り付け方法による下記2種類があります。

ボルトタイプボディ
は円筒状で外面にねじ加工が施され、穴あけされたブラケットなどに差し込み、ナットで締め付けて取り付けます。

マウントタイプ
ボディは箱体で、ボディの取り付け用穴と穴あけされたブラケットなどに、ボルト・ナットで締め付けて取り付けます。

2. 荷重

前述したように軽荷重用と重荷重用があり、メーカのカタログなどでこの荷重を確認し、適切な型式を選定します。

3. ローラの向き

マウントタイプ (スライド動作) は、ローラの向きにより下記2種類あります。

  • 縦向き: ローラとボディ取り付け面が平行
  • 横向き: ローラとボディ取り付け面が平行

マウントタイプで回転動作のレバー方式は、ローラの向きは一定で、ローラとボディ取り付け面は平行です。ボルトタイプは、取り付け時にローラの向きを調整して取り付けます。

ローラプランジャのその他情報

リミットスイッチのローラプランジャ

ローラプランジャ_図4

図4. リミットスイッチのローラプランジャ

リミットスイッチは、機械部品の動きや物体の存在によって作動するスイッチです。リミットスイッチはアクチュエータをワークなどが押すことにより動作します。

プランジャ式リミットスイッチは、アクチュエータにローラプランジャが使用されています。また、プランジャ部分の防塵対策の保護構造で、ゴム製のブーツでカバーしたシール形があります。

スライドプレート

スライドプレートとは

スライドプレートとは、機械などに取り付けてスムーズなスライドを可能にするプレートです。

摩擦や抵抗を最小限に抑えることで、部品同士の動きや位置の変更を円滑に行うために使用されます。産業用機器は、スライド動作を伴うものが多いため摩耗性の優れた材質および、交換頻度が少ないものが理想です。

使用対象は電子デバイスなどの小さな製品から建築物のような大きな構造物まで広範囲にわたり、多くの分野で使用できます。スライドプレートにより、機械や装置内の部品がスムーズに移動し、位置調整が容易に行えます。

部品同士の摩擦も軽減され、エネルギー損失が減少することで機械の効率を向上させることが可能です。また、摩耗や熱の発生も低減されるため、耐久性が向上します。

スライドプレートの使用用途

スライドプレートは、多くの産業分野で活躍する重要な部品です。以下はスライドプレートの使用用途です。

1. 自動車

自動車の運転席や助手席のシートは、運転者の快適性と視界を向上させるために調整可能です。スライドプレートを使用することで、シートの前後位置を調整することができます。

また、シートベルトのリール機構にもスライドプレートが使用され、ベルトを引き出す際の滑らかな動きを実現しています。

2. 工業機械

工業プロセスにおいて、異なるサイズや形状の製品を効率的に輸送するために、コンベアベルトの位置調整が必要です。スライドプレートを使用することで、ベルトのガイドやテンションを調整し、製品の適切な配置を確保することが可能です。

エレクトロニクス分野などでは半導体製造装置などにおいて、スムーズなスライド機構を必要な装置に使用されます。

3. 家具

シンクの水切りなどに、スライドプレートが使用されることがあります。補助台として後付けすることが可能です。滑らかに動くため、作業効率を向上させることができます。

また、拡張可能なテーブルにおいて、追加の板を取り付けるためのスライドプレートが使われることがあります。これにより、テーブルの大きさを調整して必要に応じて拡張することが可能です。

スライドプレートの原理

スライドプレートは、部品同士の滑らかな動きや位置調整を実現するための部品です。その原理は、低摩擦性の材料や潤滑剤を使用して、部品同士の接触面の摩擦を最小限に抑えることにあります。

材質としては、入手が容易で加工性も優れた炭素鋼といわれるS45CSS400などが使用される場合が多いです。これらの材料は、耐摩耗性にも優れています。金属以外では、テフロンやポリテトラフルオロエチレンなどが使用されます。

また、部品同士の摩擦を低減するために潤滑剤を使用することがあります。材料表面に薄く塗布されたり、内部に組み込まれたりする場合が多いです。潤滑剤は部品同士の接触面で摩擦が発生する際、摩擦熱を吸収しつつ滑らかな動きを維持する効果があります。

スライドプレートが使用されるときは、ガイド機構が設けられるのが一般的です。これにより、部品が一方向に滑り、他方向には安定して固定されるようになります。ガイド機構は、スムーズな動きと位置の正確さを保つために重要です。

スライドプレートの選び方

スライドプレートを選ぶ際には、さまざまな要因を考慮します。

1. 材質

スライドプレートの用途に応じて、適切な材質を選ぶことが重要です。摩擦を低減し、耐摩耗性や耐化学性を持つ材料が一般的に使用されます。耐熱性や耐薬品性が求められる場合は、それに適した材質を選ぶ必要があります。

2. サイズ

スライドプレートの寸法は、装着する装置やシステムの要件に合わせて選定する場合が一般的です。部品同士のクリアランスやガイド機構の設計などを考慮して、スムーズな動きと正確な位置調整ができるようなサイズを選びます。

また、スライドプレートが使用される動作範囲も考慮してサイズを選ぶ必要があります。十分な動作範囲を確保することで、要求される動きを実現することが可能です。

3. 穴加工

スライドプレート自体や関連する部品を固定するための取り付け用穴も重要です。これにより、プレートを正確に配置し、安定した取り付けを実現できます。

また、スライドプレートがガイド機構と連携して使用される場合、プレートにはガイド用の穴が設けられます。プレートが適切な方向に動くことを確保する穴加工です。

ストッパボルト

ストッパボルトとは

ストッパボルト (英: Stopper bolt) とは、ストップボルトとも呼ばれ、部品、機械の位置決めや可動部のストッパーとして使用されるボルトです。

ボルトの頭面やねじ部端面を対象物に接触させるため、位置決めの精度向上や接触時の衝撃緩和を図れるような工夫が接触部に施されています。

一般的に、位置を固定する際にナットやロックナットとセットで使用されます。

ストッパボルトの使用用途

図1. ストッパボルトの使用例

ストッパボルトは、ストッパーとしての利用のほか、位置決め用の部品としても使われます。ロックナットなどと合わせて使用し、確実な設定位置調整が可能です。

1. 位置の固定

ストッパボルトは、機械の各部品や装置の位置を確実に固定するために使用可能です。ストッパボルトを固定し、ボルト接触面に相手対象物を押し当てることで、所定の位置が維持されます。

2. 治工具の段替え時の位置決め

ストッパボルトは、治工具の段替え時や交換時の位置決めに使用可能です。設備側の基準位置に使用する場合や、治工具側にストッパボルトを使用し治具毎の誤差を調整して位置決めできます。

3. 可動部の位置ストッパ-

ストッパボルトは、機械や装置の直動、回転などの可動部と当てることで、機器の可動位置のストッパ-として利用できます。また、ストッパーの位置が調整できるため、可動範囲の調整も可能です。

主にシリンダなど任意位置で停止できない、または停止精度の低い機器で可動範囲を調整するのに使用します。ショックアブソーバなどと併用することもあります。

4. 安全装置

ストッパボルトは、機械や装置の可動部の機械的な限界端のストッパ- (メカストッパ-) として使用可能です。機械の可動範囲を規制することで、異常動作時などに機器を停止させ事故、破損などを防ぎます。

ストッパボルトの原理

ストッパボルトの原理は、接触面の位置をねじ部により調整可能としつつ、ナットを使用し一度設定された位置を確実に固定することです。ストッパーとしての基本的な役目があるため、接触する面を含め本体の材質には、炭素鋼、クロモリ鋼、ステンレス鋼が使われています。

ボルトの頭面または、ねじ部端面の接触部は、平面で仕上げられており、耐摩耗性向上のため焼入れ処理など硬化処理のされたものが多いです。相手対象物を傷つけないので、接触部に保護用の樹脂などが接着されたストッパボルトもあります。

ストッパボルトの種類

図2. ストリッパボルトの種類

1. 六角ボルト型

六角ボルトの頭面を接触面として使用するタイプです。ねじ径に比べ接触面積が広く、安定した位置決めができます。

2. ねじ端型

ボルト端を接触面として使用するタイプです。ボルトの形状は、六角ボルト、六角穴付きボルトなどがあります。

3. 止めねじ型

六角穴付き止めねじ (イモネジ) と似た形状で、ねじ端は平面で面仕上げ、および焼入れ処理され接触面として使用します。ストッパスクリューとも呼ばれます。

4. 樹脂・ゴム付型

ストッパボルトの接触部に保護用の樹脂などが接着された物です。相手材を傷つけないためや停止時の衝撃吸収、衝撃音低減のために使われます。

保護材は、MCナイロン、ポリアセタールなどの樹脂や、ウレタンゴム、低弾性ラバーなどのゴムが使用されます。保護材を六角ボルト頭端や、ねじ端部に接着やはめ込まれているタイプや、ボルト頭部を丸ごと保護材で覆ったタイプがあります。

ストッパボルトのその他情報

ストッパボルトの注意点

ストッパボルトとよく似たボルトで調整ねじ、位置決めボルトなどがあります。調整ねじなどは対象物の位置を調整、または位置決めに使用する目的のため、高精度ねじや細目ねじを使用され、強度より精度が求められており固定には向きません。

ストッパボルトは固定するのが目的で、並目ねじが主であり、ねじ精度は一般的なボルトと同等程度となる点が異なるので用途により選択が必要です。

高さ調整ピン

高さ調整ピンとは

高さ調整ピンとは、機械加工などで高さ精度を厳しくしたいときに使用される高さ決めピンです。

寸法公差は、0/+0.01mmといったレベルまで要求される場合もあるほか、形状を含め仕様についても種々のものが製作されています。

高さ調整後の固定方法なども、いくつかのパターンのものが作られています。用途によって材質なども合わせ検討できるため、流通されている製品では対応できない場合もあります。そのような場合は、特殊仕様で高さ調整ピンを特注することも、選択肢に入れておく必要があります。

高さ調整ピンの使用用途

高さ調整ピンは、機械加工といった生産・製造現場で治工具やベースの高さ調整に使用されます。

通常、先端をボルト頭部のように面精を広くし、極力フラットとなるような使い方をします。位置決めの要求が厳しい時は、フランジにテーパをつけるといった工夫もされています。

高さ調整ピンの先端部分は、フラットのものや球面、おねじになったものなど各種製作されています。用途に応じて、最適なものを選択できます。

高さ調整ピンの選び方

1.固定方法
「圧入」「めねじ」「おねじ」「ボルト止め」といった選択が可能です。外形寸法は、固定方法別に変わってきます。圧入タイプは、取付側外径とピンの外径の組み合わせが選択可能です。めねじタイプでは、二面幅と軸長、おねじタイプでは、ねじ径・長さ・外径の組み合わせ、ボルト止めタイプは、適用ボルト・外径・軸方向に長さの組み合わせとなります。

2.先端形状
「フラット」「テーパR」「止めねじ」などの選択があります。ここで「テーパR」とは、60°テーパで先端が軸径6・7mmでR3、8mmでR4、9mmでR5、13mmでR6となります。

3.材質
「スチール (SKS3相当) 」「ステンレス (SUS304)  (SUS440Cか13Cr) 」「ポリアセタール」といった選択が可能です。

4.表面処理
「硬質クロムメッキ」「四三酸化鉄被膜」などの選択が可能です。

5.焼き入れ
「あり」「なし」の選択が可能です。

6.高さ
公差高精度タイプが「0/+0.01mm」、中精度タイプは、「0/+0.05mm」といった指定が選択できます。

調整ねじ

調整ねじとは

調整ねじとは、機械部品や治工具の位置調整や高さ調整などに、幅広く使用されるねじのことです。

調整の幅は大きく動かせるものから微調整ができるものまであり、用途に応じてねじピッチは最適な物が選択されます。調整後の位置保存と変動防止のため、ナットによる固定が一般的です。

機械や設備などで、位置調整のみでなく圧力や流量、電圧、周波数など各機能を調整するためのねじも調整ねじと呼ばれます。

調整ねじの使用用途

図1. 調整ねじの使用例

1. 機械・設備の位置調整

調整ねじは、機械部品の位置を微調整するのに使用されます。機械、設備などで組立の際、加工精度のみでは精度が出し切れない場合や組立後に位置の調整が必要な場合があります。この場合の部品の位置を微調整するために、調整ねじが利用可能です。

2. 治工具の位置調整

治具や工具などは、機械設備に正確な位置に固定する必要があります。調整ねじは、治具や工具などを正確な位置に調整するのに利用可能です。

3. 検出器・センサーの位置調整

検出器やセンサーは、高精度な位置決めが必要なことが多く、対象物に合わせて位置調整します。これらの微調整に調整ねじは利用可能です。光電センサーなどの光軸調整にも活用でき、取り付けブラケットに内蔵されていることもあります。

調整具合が目視できるように、マイクロメータを組み合わせた使用方法もあります。この場合、マイクロメータの破損を防ぐため、位置調整は調整ねじのみで行います。マイクロメータ端を離しておき、位置決め後マイクロメータを当て位置を確認する手順が必要です。

4. 傾きの調整

調整ねじ1本で押すことで、一方向の位置調整が可能ですが、同じ面に2本配置することで、接触面の傾きを調整できます。シュートなどで、支持部の一端をヒンジピンとして、他端を調整ねじで押し上げることで傾きを調整できます。

調整ねじの原理

調整ねじはねじ山のリードにより、ねじを回転させると軸方向に移動し、相手材を押し位置を調整します。ねじ端を相手材に当て調整するため、ねじ端当て面は球面となっており、面の状態の影響を少なくします。

また、耐摩耗性向上のために焼入れ処理をされたものが多いです。相手材側の接触面は、硬度の高い材料の使用や表面仕上げが必要です。調整ねじのピッチは、微調整するため細目ねじが多く、用途によっては並目ねじも使用されます。

ねじ精度は6g以上 (旧JIS2級以上) が多く、ねじ穴の精度も同等以上の精度が要求されるので注意が必要です。

調整ねじの種類

図2. 調整ねじの種類

1. 止めねじ型

止めねじ (イモネジ) と似た形状で、ねじ端は接触面として、球面で焼入れ処理されています。ねじ締め付け部は、六角穴のほか、スパナ用に二面取りされたものもあります。

2. 六角ボルト型

六角ボルトと似た形状で、ねじ端を接触面とした調整ねじです。ボルト頭分のスペースが必要になりますが、六角頭をスパナで締め付けるので、締め付けトルクをかけやすいです。

六角頭部に六角穴を設け、スパナ、レンチどちらも使用可能としたものもあります。

3. スピンドル型

精密ねじの真鍮製のブッシュとスピンドルの組み合わせた調整ねじのことです。高精度かつ微細ピッチのねじにより、通常の調整ねじよりさらに微細な調整が可能です。マイクロメータの内部や精密ステージの送りに使用されます。

調整ねじのその他情報

1. 調整ねじの材質

調整ねじの材質は、炭素鋼、クロモリ鋼、ステンレス鋼が使われています。また、用途上機械外部に露出することが多く、常に調整可能とするため、防錆や耐食性が必要です。ユニクロメッキ、三価クロメートや無電解ニッケルなど表面処理が施されます。

2. 調整ねじの使い方

調整ねじは、調整ねじブロックや機器に設けられたねじ穴に締め込み、相手材に押し当てることで位置を調整します。位置調整後は緩まないようにナットによりねじを固定しますが、ナット締め付け時にねじが回転し位置がずれないように注意が必要です。

調整ねじを対象物の対面に配置し、双方から押し付けることで、対象物を前後に移動させる使用方法もあります。

リフタピン

リフタピンとは

リフタピンとは、製品や部材を上げ下げする「リフタ」の構成部品のひとつをいい、スプリングと組み合わせて使われるもので被加工物を上げ下げするために使用されています。

リフタピンは、スプリングとその固定台座となるスクリュープラグと合わせて収容されるホールに設置され、リフタピンの一方で被加工物の上げ下げを行います。

そのため、リフタピンやスプリングが収容されるホールの径は、たわみやガタツキを考慮して設計していく必要があります。

リフタピンの使用用途

リフタピンは、FA化された生産ラインなどでは流れてきた製品や部材の位置決めに使われ、処理が終わると押さえが解除され、自然と持ち上がり次工程へと流していくといった使い方もされています。

また、リフタピンは、プレス機械加工では、プレス時のワーク表面のレベル面平滑化に使われ、プレスが解除されるとスプリングの力で浮き上がり完成品取り外しに寄与しています。

さらに、リフタピンは、半導体製造装置内での基盤の所定位置での固定と処理後の移動にも使用されています。

リフタピンの選び方

リフタピンは、用途に応じ多くのバリエーションがありますが、一番オーソドックスなタイプの仕様の一例を以下挙げてみます。

標準タイプのリフタピンの仕様例は、全長10mmで軸径2mm(ツバ軸径3mm)かつ先端部Rが0.3mmです。材質は「SK4」で、ねじはM4×P0.7 h4、公差は0/-0.05mm、硬度が53~58HRC(但し、ツバ部焼きなまし45HRC以下)となっています。

そのほか、リフタピンの形状が一般的な円柱以外に角柱、ブロック形(ピンが2本)などもあり、また先端形状もフラット以外も製作されており、金属以外に樹脂製も作られています。

さらに、リフタピンのバリエーションは、スプリング穴付き、パイロット逃し穴付き、エア穴付き、マグネット付きなど多彩です。リフタピンの一種で「ガイドリフタ」というものがありますが、これはリフタとしての役目とガイド部分で材料(薄板)の固定も行えるという一石二鳥の部品です。

また、パイロット逃し穴付きリフタピンは、薄板加工の位置決めで使われるパイロットが逆にワークを押し下げてしまわないよう、リフタピンの逃がし穴で吸収することで防止を図ったものです。

スクリュープラグ

スクリュープラグとは

スクリュープラグとは、ねじ込み式のプラグです。

ねじ込む方法や穴の貫通有無など、各種製作されています。例えば、6角穴タイプや6角フランジタイプ、すり割り付き6角フランジなどがあり、穴についても貫通しているもの、していないもの様々な組み合わせがあります。

さらに、ねじピッチもm10以下は並目ねじ、m12以上は1.5mmと使い分ける場合もあれば、他仕様で製作されるなど多種多様です。

スクリュープラグの使用用途

スクリュープラグは、活用分野によって呼び方も変わる場合があります。

流体の開口穴を塞ぐためや、機構要素部品として金型関連分野で使われる場合もあります。

ねじの大きさは、小さいものではm3程度からm48 (ピッチは2mm) と大口径のものまであり、用途に応じて最適のものを選びます。大きな口径になってもフランジの厚みは極力同程度となるよう使い勝手の考慮がされています。

スクリュープラグの特徴

スクリュープラグは、一般的に口径の大きなねじ部となっています。

ねじの呼び径は、m5~m18と大きめで使用される材質もオイル缶などが多く、強度よりは耐久性や耐薬品性、気密性が要求されます。

たとえば、本体の材質は「快削鋼」といわれる低炭素含有の「sum22k」、「三価クロメート処理」で、オイルシールとしてニトリルゴムといわれる「nbr」が通常つけられており、漏れ防止と気密性を確保しています。

一方、配管などに使用されるスクリュープラグは、頭部がない止めねじで別名「沈みプラグ」と呼ばれ、六角穴で材質もオーステナイト系ステンレス鋼といわれる「susxm7 (sus304相当) 」などが使われています。

同じ名称でも分野によって印象が変わる製品が多く見られます。

角度調整金具

角度調整金具とは

角度調整金具とは、ディスプレイのような機器の取付け角度や照明の照射角度といった角度を調整可能とする金具です。

機器の取付け作業は、上下左右という位置決めとともに角度の調整が必要です。比較的容易な上下左右の位置決めに対し、角度調整には意外と手間取る場合が多く見られます。

この比較的難しい角度調整を、金具を使うことで簡便にできるというメリットがあります。調整の仕組みを含め、各種考案・製作されています。

角度調整金具の使用用途

角度調整金具は、特定機器専用、汎用性をもたせたものなど各種製作されています。必要に応じて選択して活用されています。

形状や材質をはじめ角度調整の仕組みを工夫されたものが製作されています。座椅子の背もたれの角度を調整できる角度調整金具は、ギアと固定を解除するレバーによって、ある程度任意に角度調整が可能です。

また、屋外の設置が基本のアンテナの取り付け作業では、高所作業となる場合が多く危険を伴います。角度調整金具は、作業者の安全確保という点でも役立っています。

角度調整金具の原理

角度調整金具は、角度を調整する仕組みが用途に応じて、工夫されています。一度取り付けてしまえば以降はめったに動かさないタイプと、頻繁に調整されるタイプに分けられ、仕組みも適したものが考案されています。

三角形の斜辺片方を固定し、他方を付け替えていけば、斜辺長の届く範囲なら斜辺の底辺のなす角度の調整が可能で固定も確実です。この方法は、調整範囲が限られ使える機器や装置も限定されますが、仕組み自体は単純で確実です。

一方、ギアとラチェットを組み合わせたタイプでは、ギアの回転位置をラチェットで固定すれば、ギアの溝角度の任意のところで固定が可能となり、頻繁に調整する機器などに適しています。

そのほか、角度調整には、丸棒と挟み込む金具の弛緩で行うものをはじめ、各種の方法が考えられていますが、調整頻度の少ないタイプでは角度維持の仕方がポイントとなります。

手動油圧ポンプ

手動油圧ポンプとは

手動油圧ポンプ (英:: hydraulic hand pump) とは、手動で操作可能な油圧ポンプです。

電源の使えない現場や停電時に備える水門・浸水防止板などの作動に使用します。長めのハンドルを本体側へ押し倒すことで、プランジャに圧力がかかり本体内部を通じて吐出部へ圧力が伝わります。

そして、本体内のタンクに貯えられたオイルなどを吐出できるようにしたものです。

手動油圧ポンプの使用用途

手動油圧ポンプは、停電時や補助用、小型の油圧機器、水路切換え、グリースアップなどに使用されます。

1. 停電時や補助用の用途

停電時や補助用の用途では、水門などの開閉、消防設備の作動、ゲートの開閉、バルブの開閉、浸水防止板の作動、電源が使用できない場合などに使われます。

2. 油圧機器の用途

小形の油圧機器では、手動ジャッキの作動、スプレッダー・油圧式カッター・ラムシリンダー・手動油圧ポンプの作動、手動リフター・音響探知機・破壊構造物探知機の作動などの用途です。

3. 水路切換え用途

水路切換えでは、排水設備の水路切換え、用水路の切換え、発電用水路切換えなどに使われます。

4. グリースアップ用途

グリースアップでは、発電機、電動機、大型車両などに使用されます。手動油圧ポンプは、最高使用圧力が高く、グリースなど粘度の高い流体でも使用が可能です。

手動油圧ポンプの原理

手動油圧ポンプは「パスカルの原理」と「てこの原理」が応用されている機器です。パスカルの原理とは、「密閉された容器に満たされた流体の1カ所に加えられた圧力Fは、流体を介して容器の内面全体に同じ値の圧力がかかる」という原理です。

例えば、手動油圧ポンプのハンドルを7kNの力で1cm2の面積を押し下げると、流体内では70MPaで容器全体に伝えられ、吐出部にも同じ圧力70MPaがかかります。この圧力が、吐出量とどのように関係してくるかは、受圧面積とストロークに関わってくるため、それぞれのカタログなどで確認が必要です。

また、手動油圧ポンプは、ハンドルを長めにすることで「てこの原理」により、長さに反比例した力で済むため、力のない人でも7kN/cm2の力がかけられます。

手動油圧ポンプの特徴

1. 軽い操作力で高圧が得られる

手動油圧ポンプの最高使用圧力は、一般のもので70MPa程度、超高圧と称するものは、300MPa程度まで可能です。また、てこの原理を使うので、操作レバーを長くすれば軽い力で作動できます。

2. 電源が不要

電源は一切使用していません。電源のないところや防爆が必要な所でも安心して使用できます。また、高圧作動安全弁などが付いており、異常な時は作動するようになっています。

3. 効率的な作業

高低圧自動2段切替吐出型の場合、負荷のかかり具合で油圧ポンプからのオイル吐出量が自動的に切り替わります。負荷が少ない低圧時は、高圧時に比べて吐出量が増加し、作業時間が短くなります。

手動油圧ポンプの種類

手動油圧ポンプの種類は、次のように分類できます。

1. 材質による分類

手動油圧ポンプの本体部分の材質は、スチール、アルミ、強化プラスチックなどが使われます。スチールのタイプは、最も一般的で、操作力を極力軽減しています。

また、アルミタイプは、ポンプ本体が腐食に強いオールアルミ合金製で、軽量化したものです。本体重量はスチールタイプに比べ、約1/2の軽さです。強化プラスチックタイプは、強化プラスチックを多く使った超軽量型で、スチールタイプの約1/2の重量となっています。

2. 操作方式による分類

手動油圧ポンプには、手動式と足踏み式があります。手動式はてこの原理を利用して、手でオイルを吐出させます。足踏み式は床面にポンプを置いて、足で駆動します。操作が簡単で過酷な作業に耐え、ポンプ本体を安定させるフレームが付いています。アルミ部分が多く軽量仕様です。

ラッチハンドル

ラッチハンドルとは

ラッチハンドル (英: Latch Handle) とは、ドアやゲートをラッチ機構によって固定することができる取っ手です。

主に家庭や商業施設、車両などで使用されることがあります。ラッチハンドルは一般的に操作が簡単で、ドアを開閉するのが容易です。また、施錠機構が組み込まれていることが多いです。

その場合は、ドアを閉めたときに自動的に施錠されるため、セキュリティを向上させることができます。さまざまなデザインやスタイルがあり、建物や部屋の内装に合わせて選択することができます。デザインの多様性は、装飾的な要素を考慮する際に重要です。

ただし、安価なラッチハンドルは耐久性が低く、頻繁な使用や過酷な環境には適さない場合があります。また、高齢者や身体的制約のある人々にとって操作が難しい場合があるため、バリアフリーな設計を心掛けることが大切です。

ラッチハンドルの使用用途

ラッチハンドルはさまざまな場所でドアやゲートの操作に利用される部品です。以下はラッチハンドルの使用用途です。

1. 住居

住宅の玄関ドアや内部ドアには、セキュリティと便利さを両立させるためのラッチハンドルが使用されます。ドアノブやレバーハンドルは使いやすさを提供する一方で、施錠機構を備えていることが多いです。これにより、住居のプライバシーや安全を確保することができます。

2. 商業施設

オフィスやレストランなどの商業施設では、顧客と従業員のアクセス管理が重要です。セキュリティのために、電子鍵やカードアクセスなどの高度な施錠システムを組み込んだラッチハンドルが使用されることがあります。

3. 公共施設

公共施設では、大勢の人々の出入りやセキュリティを管理することが必要です。ドアにはバータイプのハンドルや、プッシュバータイプのハンドルが使用されます。これにより、非常時にも簡単に開閉することが可能です。

4. 車両

車両のドアやトランクの操作には、手で簡単に扱えるラッチハンドルが使用されます。特にドライバーや乗客が安全にドアを開け閉めできるようにデザインされていることが多いです。また、走行中には施錠することによって、乗客の安全性を確保することができます。

ラッチハンドルの原理

ラッチハンドルは、ドアを開閉するための機構です。ドアの閉めるときにはドアを固定し、開けるときにはドアを解放するのが基本的な原理となります。構成要素はラッチボルトやハンドル、ラッチ機構などです。

1. ラッチボトル

ラッチボルトは、ドアを閉めたときにドア枠に噛み込んでドアを固定する部品です。ラッチハンドルを操作することで引っ込むことができ、ドアを解除します。

2. ハンドル

ハンドルは、ドアを開閉するために手で操作する部分です。ドアノブやレバーハンドルなどが一般的です。人が手に持ちやすい形状に成形されます。

3. ラッチ機構

ラッチ機構は、ハンドルなどとラッチボルトを制御するための機構です。開けるときにラッチボルトを引っ込め、閉めるときにラッチボルトを出す役割を果たします。

ラッチハンドルの種類

ラッチハンドルにはさまざまな種類が存在します。以下はラッチハンドルの代表的な種類です。

1. 電子ラッチ

電気信号によってラッチ機構をどうさせるラッチです。公共の建物や機械室などに多く使用されてきました。近年では、マンションなどの一般住居に使われることも多く、暗証コードの入力などで解錠する仕組みです。

2. カムラッチ

カムによって開閉するラッチです。カムがフレームに抑えられる仕組みの製品が多く販売されています。振動などにつよく、ガタツキも少ない点が特徴です。

3. スライドラッチ

ドアを開け閉めする際に、横にスライドさせることで操作するタイプのラッチハンドルです。スライド操作によって、ラッチボルトが引っ込む仕組みが採用されます。主に内部ドアやキャビネットなどで使用されます。

4. ドローラッチ

ラッチハンドルを引き出すことで動作するラッチハンドルです。ドローイング (引き出す) 動作が名前の由来であり、両開きの扉などに多く見られます。