ローラプランジャ

ローラプランジャとは

ローラプランジャ_図0

ローラプランジャ (英: Roller Plunger) とは、ワークなどの対象物に接触して動作する部分 (アクチュエータ) に、ローラまたはベアリングを使用しているプランジャの一種です。

プランジャ (またはプランジャー) とは、ワークの位置決めや位置固定するための機械要素です。本体にスプリングが内蔵され、先端アクチュエータに荷重が働くと本体の内部に沈み込み、荷重が無くなるとスプリング力で元の位置に戻ります。

ローラプランジャ以外に、アクチュエータがボールのボールプランジャ、ピンのピンプランジャ (ストロークプランジャ) があります。

ローラプランジャ_図1

ローラプランジャの使用用途

ローラプランジャ_図2

図2. ローラプランジャの使用例

ローラプランジャは、工作機械や工場の生産設備機械などで、ワークなどの位置決めや固定目的で使用します。ワークなどの対象物に溝状のくぼみがあり、このくぼみにローラが落ち込み、この状態でプランジャのスプリング力でローラがワークを押し付け固定されます。

ローラ部分にはミニチュアボールベアリング (小径玉軸受) が使用されているものも多く、ローラは対象物と滑らかに接触し回転できるのが特徴です。また、その他にリミットスイッチのアクチュエータの種類として、ローラプランジャタイプのものがあります。

ローラプランジャの原理

ローラプランジャ_図3

図3. ローラプランジャの種類と動作

ローラプランジャは、主にローラ (ベアリング) 、ボディ (本体) 、ピン、スプリングで構成されています。

1. 動作方式

ローラプランジャの動作方式は下記の2種類です。

スライド式
スライド式は、ローラが先端に穴あけされたピンにシャフトで固定され回転します。ピンがボディ内でスライドし、挿入方向でスプリングを押し込み、引き抜き方向でスプリングに押されるように動作します。

回転式 (レバー式)
回転式は、ローラが先端に穴あけされたレバーにシャフトで固定され回転します。レバーはボディにシャフトでピン接合され、微小角度回転するように動作します。

2. スプリング力

ローラプランジャの対象物拘束力は、スプリング力によって決まります。軽荷重用は、スプリング力が少し弱くローラが対象物を押さえる荷重が小さく、重荷重用は、スプリング力が強くローラが対象物を押さえる荷重が大きいタイプです。

また、スプリングの高さを調整ができる仕様のもあり、ローラ付きピンによる拘束力を微調整することができます。

ローラプランジャの種類

1. ボディ形状

ローラプランジャの種類は、前述の動作方式以外に、ボディ形状と取り付け方法による下記2種類があります。

ボルトタイプボディ
は円筒状で外面にねじ加工が施され、穴あけされたブラケットなどに差し込み、ナットで締め付けて取り付けます。

マウントタイプ
ボディは箱体で、ボディの取り付け用穴と穴あけされたブラケットなどに、ボルト・ナットで締め付けて取り付けます。

2. 荷重

前述したように軽荷重用と重荷重用があり、メーカのカタログなどでこの荷重を確認し、適切な型式を選定します。

3. ローラの向き

マウントタイプ (スライド動作) は、ローラの向きにより下記2種類あります。

  • 縦向き: ローラとボディ取り付け面が平行
  • 横向き: ローラとボディ取り付け面が平行

マウントタイプで回転動作のレバー方式は、ローラの向きは一定で、ローラとボディ取り付け面は平行です。ボルトタイプは、取り付け時にローラの向きを調整して取り付けます。

ローラプランジャのその他情報

リミットスイッチのローラプランジャ

ローラプランジャ_図4

図4. リミットスイッチのローラプランジャ

リミットスイッチは、機械部品の動きや物体の存在によって作動するスイッチです。リミットスイッチはアクチュエータをワークなどが押すことにより動作します。

プランジャ式リミットスイッチは、アクチュエータにローラプランジャが使用されています。また、プランジャ部分の防塵対策の保護構造で、ゴム製のブーツでカバーしたシール形があります。

スライドプレート

スライドプレートとは

スライドプレートとは、機械などに取り付けてスムーズなスライドを可能にするプレートです。

摩擦や抵抗を最小限に抑えることで、部品同士の動きや位置の変更を円滑に行うために使用されます。産業用機器は、スライド動作を伴うものが多いため摩耗性の優れた材質および、交換頻度が少ないものが理想です。

使用対象は電子デバイスなどの小さな製品から建築物のような大きな構造物まで広範囲にわたり、多くの分野で使用できます。スライドプレートにより、機械や装置内の部品がスムーズに移動し、位置調整が容易に行えます。

部品同士の摩擦も軽減され、エネルギー損失が減少することで機械の効率を向上させることが可能です。また、摩耗や熱の発生も低減されるため、耐久性が向上します。

スライドプレートの使用用途

スライドプレートは、多くの産業分野で活躍する重要な部品です。以下はスライドプレートの使用用途です。

1. 自動車

自動車の運転席や助手席のシートは、運転者の快適性と視界を向上させるために調整可能です。スライドプレートを使用することで、シートの前後位置を調整することができます。

また、シートベルトのリール機構にもスライドプレートが使用され、ベルトを引き出す際の滑らかな動きを実現しています。

2. 工業機械

工業プロセスにおいて、異なるサイズや形状の製品を効率的に輸送するために、コンベアベルトの位置調整が必要です。スライドプレートを使用することで、ベルトのガイドやテンションを調整し、製品の適切な配置を確保することが可能です。

エレクトロニクス分野などでは半導体製造装置などにおいて、スムーズなスライド機構を必要な装置に使用されます。

3. 家具

シンクの水切りなどに、スライドプレートが使用されることがあります。補助台として後付けすることが可能です。滑らかに動くため、作業効率を向上させることができます。

また、拡張可能なテーブルにおいて、追加の板を取り付けるためのスライドプレートが使われることがあります。これにより、テーブルの大きさを調整して必要に応じて拡張することが可能です。

スライドプレートの原理

スライドプレートは、部品同士の滑らかな動きや位置調整を実現するための部品です。その原理は、低摩擦性の材料や潤滑剤を使用して、部品同士の接触面の摩擦を最小限に抑えることにあります。

材質としては、入手が容易で加工性も優れた炭素鋼といわれるS45CSS400などが使用される場合が多いです。これらの材料は、耐摩耗性にも優れています。金属以外では、テフロンやポリテトラフルオロエチレンなどが使用されます。

また、部品同士の摩擦を低減するために潤滑剤を使用することがあります。材料表面に薄く塗布されたり、内部に組み込まれたりする場合が多いです。潤滑剤は部品同士の接触面で摩擦が発生する際、摩擦熱を吸収しつつ滑らかな動きを維持する効果があります。

スライドプレートが使用されるときは、ガイド機構が設けられるのが一般的です。これにより、部品が一方向に滑り、他方向には安定して固定されるようになります。ガイド機構は、スムーズな動きと位置の正確さを保つために重要です。

スライドプレートの選び方

スライドプレートを選ぶ際には、さまざまな要因を考慮します。

1. 材質

スライドプレートの用途に応じて、適切な材質を選ぶことが重要です。摩擦を低減し、耐摩耗性や耐化学性を持つ材料が一般的に使用されます。耐熱性や耐薬品性が求められる場合は、それに適した材質を選ぶ必要があります。

2. サイズ

スライドプレートの寸法は、装着する装置やシステムの要件に合わせて選定する場合が一般的です。部品同士のクリアランスやガイド機構の設計などを考慮して、スムーズな動きと正確な位置調整ができるようなサイズを選びます。

また、スライドプレートが使用される動作範囲も考慮してサイズを選ぶ必要があります。十分な動作範囲を確保することで、要求される動きを実現することが可能です。

3. 穴加工

スライドプレート自体や関連する部品を固定するための取り付け用穴も重要です。これにより、プレートを正確に配置し、安定した取り付けを実現できます。

また、スライドプレートがガイド機構と連携して使用される場合、プレートにはガイド用の穴が設けられます。プレートが適切な方向に動くことを確保する穴加工です。

ストッパボルト

ストッパボルトとは

ストッパボルトとは、可動部の動作制限や部品の位置決めに使用されるボルトです。

別名としてストップボルトとも呼ばれています。頭面や底面を対象物に衝突または接触させるため、衝突時の衝撃吸収や位置決め時の精度に優れています。ストッパボルトはタップ穴に取り付ける場合や、ナットやロックナットとセットで使用される場合があります。

ストッパボルトの使用用途

図1. ストッパボルトの使用例

ストッパボルトは、以下のように様々な用途で使用されます。

1. 位置の固定

ストッパボルトは、装置や各部品の位置を固定するために使用されます。ストッパボルトを相手対象物に当てた状態でストッパボルトを固定することで、相手対象物をより強固に固定することができます。

2. 治工具の段替え時の位置決め

ストッパボルトは、治工具の段替え時や交換時の位置決めに使用されます。設備側の基準位置の固定に使用する場合や、治工具側にストッパボルトを使用することで治具毎の誤差を調整して位置決めできます。

3. 可動部の位置ストッパ-

装置の可動部を停止させるためのストッパーとして使用される場合があります。可動部をストッパボルトに当てることで、可動部を停止させます。ストッパボルトの位置を調整を調整することにより、可動範囲の調整が可能です。

主にシリンダなど任意位置で停止できない、または停止精度の低い機器で可動範囲を調整するために使用します。可動部とストッパボルトの衝突時の衝撃を緩和させるために、ショックアブソーバを併用する場合もあります。

4. 安全装置

ストッパボルトは、装置の可動部の機械的な限界端の機械的ストッパとして使用される場合があります。機械的ストッパはメカストッパとも呼ばれます。装置は通常、メカストッパの内側で動作しますが、何らかの異常により通常の動作範囲を超えた場合、メカストッパで装置の動作を止めることができます。これにより、装置の干渉や破損を防ぐことが目的です。

ストッパボルトの原理

ストッパボルトは、ボルトの頭面または底面を相手対象物に接触させることにより、相手対象物を固定または停止させます。

相手対象物に接触するボルトの頭面または底面は、平面に仕上げられています。耐摩耗性向上のために焼入れ処理などの硬化処理がされたものが多いです。相手対象物を傷つけないように、接触部に保護用の樹脂などが接着されたストッパボルトもあります。

ストッパボルトは強度を上げるため、炭素鋼、クロモリ鋼、ステンレス鋼が使われるのが一般的です。ボルトのねじ込み量を変えることにより、ボルトの高さを調整することができます。その場合は、ナットを使用して必要な高さで固定します。

ストッパボルトの種類

図2. ストリッパボルトの種類

ストッパボルトには以下のように、様々な種類があります。

1. 六角ボルト型

六角ボルト型は、六角ボルトの頭面を接触面とします。ボルトの底面を接触面とする場合に比べ接触面積が広いため、安定した位置決めができます。

2. ねじ端型

ねじ端型は、ボルトの底面を接触面として使用するタイプです。ボルトの形状は、六角ボルト、六角穴付きボルトなどがあります。

3. 止めねじ型

止めねじ型は、六角穴付き止めねじ (イモネジ) と似た形状です。ボルト底面のねじ端は平面に仕上げられ、焼入れ処理がされたものもあります。ストッパスクリューとも呼ばれます。

4. 樹脂・ゴム付型

樹脂・ゴム付型は、ストッパボルトの接触部に保護用の樹脂などが接着されたものです。相手材を傷つけないこと、停止時の衝撃吸収、衝撃音低減を目的として使われます。

保護材は、MCナイロン、ポリアセタールなどの樹脂や、ウレタンゴム、低弾性ラバーなどのゴムが使用されます。六角ボルト頭端やねじ端部に保護剤を接着、はめ込んだものや、ボルト頭部を丸ごと保護材で覆ったものがあります。

 ストッパボルトのその他情報

ストッパボルトとよく似たボルトで調整ねじ、位置決めボルトなどがあります。調整ねじなどは対象物の位置を調整、または位置決めに使用する目的のため、高精度ねじや細目ねじを使用され、強度より精度が求められており固定には向きません。

ストッパボルトは固定するのが目的のため、並目ねじが主であり、ねじ精度は一般的なボルトと同等です。

高さ調整ピン

高さ調整ピンとは

高さ調整ピンは、機械加工などの工程で高さ精度を確保するために使用される重要な部品です。

高さを正確に決められ、加工の精度が向上できます。例えば、寸法公差が0/+0.01mmといった高い精度が求められる場合に対応でき、形状や仕様は多種多様で目的に応じた設計が必要です。さらに、高さ調整後の固定方法についてもさまざまで、特殊仕様でもオーダーメイドで対応が可能です。

このように、高さ調整ピンは生産現場で欠かせない部品のひとつです。用途が多岐にわたるため、現場のニーズに応じた仕様の選択が重要となります。

高さ調整ピンの使用用途

高さ調整ピンは、主に機械加工や生産現場での治工具やベース高さの調整や固定に多く使用されています。

特に、精度が要求される加工や組立工程において重要です。また、位置決めはフランジ部分にテーパをつける工夫で精度が安定します。先端の形状は、フラット、球面、またはおねじ仕様など、用途に応じた選択ができることで幅広い分野に活用されています。

機械加工だけでなく、自動車産業や医療機器などの特殊な現場でも使用されています。治工具製造や研究開発においても、微調整が求められる工程には不可欠な存在です。これにより、幅広い産業で生産効率と精度向上のために必要な部品となっています。

高さ調整ピンの原理

高さ調整ピンの原理は、精密な調整が必要な機械や装置の位置決めの仕組みに基づいています。

先端形状や固定方法により、特定の高さで部品や装置を安定して保持できます。圧入タイプのピンは取付穴に固定されて移動や緩みを防ぐことに最適です。一方、ねじ付きタイプは、微調整が可能でミクロン単位の高さ設定が可能です。さらに、材料や構造により荷重や振動にも耐え、周囲環境や温度による耐食性なども考えられた設計になっています。

高さ調整ピンの精密な設計が、生産効率の向上と製品の品質確保に大きく貢献しています。また、内部構造においては特殊な設計をすることで振動や負荷に対応ができ、高度な要求にも応え、広範囲に及ぶ産業分野で利用されています。

高さ調整ピンの構造

高さ調整ピンの構造は、用途や要求される精度に応じて多種多様です。多様な構造設計が可能であるため、各産業での幅広いニーズに応える製品として位置づけられています。

1. 基本的な構造

軸部分と先端部分で構成され、軸は固定や高さ調整の基盤となります。先端は、フラット、球面、またはテーパ形状などがあり、接触面の形状に応じて選択します。

2. 材質や表面処理

材質や表面処理によって性能の強化が可能です。スチール製は高い剛性と耐久性を持ち、ステンレス製は耐食性に優れています。また、ポリアセタールなどの樹脂製は軽量で、特定用途で活躍します。これらの材料特性に加え、表面処理や熱処理が施されることで、さらに高い耐久性や精度が必要な場面に対応可能です。

3. 構造の設計

細かな寸法調整が可能な設計が重要視されます。特に、調整ねじを使用したピンは、精密な位置決めが可能であるため、研究施設や医療機器の開発においても重宝されています。また、特殊な環境には、防錆加工や追加の補強構造を持つ製品が必要です。

高さ調整ピンの選び方

1. 固定方法

高さ調整ピンの固定方法は、「圧入」「めねじ」「おねじ」「ボルト止め」などがあります。固定方法に応じて、外径寸法や取付仕様が異なり、圧入タイプでは取付側外径との適合が、めねじタイプでは二面幅や軸長がポイントです。おねじタイプではねじ径や長さが重要で、ボルト止めタイプはボルト規格に応じて選択します。これらの固定方法は、設置環境や使用条件に応じて最適なものを選ぶことが求められます。

2. 先端形状

先端形状は、フラット、テーパR、止めねじなどの選択肢があります。テーパRは先端が60°の角度で設計され、軸径やR寸法が用途で異なります。これにより、特殊なニーズの対応やフラット形状は広い接触面を提供し、安定した固定が可能です。先端形状の選択は、接触する部品の形状や必要な精度によって決定されます。

3. 材質

高さ調整ピンに使用される材質は、スチール (SKS3相当) 、ステンレス (SUS304 /SUS440C) 、ポリアセタールなどがあります。これらの材質は、耐久性や用途に応じて選択されます。スチールは高強度と剛性を提供し、ステンレスは腐食環境での使用に最適です。ポリアセタールは軽量でありながら適度な耐久性を備え、軽量化が必要な用途に適しています。

4. 表面処理

硬質クロムメッキ、四三酸化鉄被膜などの表面処理が施された製品もあり、耐摩耗性や防錆性が向上します。これにより、厳しい環境条件下でも長期間使用可能な耐久性が確保されます。

5. 焼き入れ

焼き入れの有無も選択可能であり、用途に応じて「あり」または「なし」を選択します。焼き入れにより、ピンの硬度と耐摩耗性が向上し、高負荷環境での使用に耐えられるようになります。

6. 高さ

公差については、高精度な0/+0.01mmから中精度の0/+0.05mmまでの範囲が選べるため、用途に応じた選定が可能です。これにより、微細な調整が求められる工程から、一般的な高さ調整まで幅広く対応します。

調整ねじ

調整ねじとは

調整ねじとは、機械部品や治工具の位置調整や高さ調整に広く使用されるねじです。

調整の幅は大きく動かせるタイプから微調整が可能なものまでさまざまであり、用途に応じた最適なねじピッチが選ばれます。調整後の位置を保持し、変動を防止するためにナットで固定が一般的です。

また、機械や設備での位置調整だけでなく、圧力や流量、電圧、周波数などの調整を行うねじも調整ねじと呼ばれます。

調整ねじの使用用途

図1. 調整ねじの使用例

1. 機械・設備の位置調整

調整ねじは、機械部品の位置を微調整するために使用されます。組立時に加工精度だけでは十分な精度を出せない場合や、組立後に位置の微調整が必要な場合に特に効果的です。

2. 治工具の位置調整

治具や工具を機械設備に正確な位置に固定する際、調整ねじが役立ちます。正確な位置決めを求められる場面で使用され、作業効率や精度向上に役立ちます。

3. 検出器・センサーの位置調整

検出器やセンサーなど、高精度な位置決めが必要な場合にも調整ねじが用いられます。光電センサーの光軸調整など、微調整を必要とする用途に適しており、取り付けブラケットに内蔵されているケースもあります。マイクロメータと併用で、調整具合を目視で確認も可能です。

4. 傾きの調整

調整ねじ1本の使用で一方向の位置調整が可能ですが、2本を同一平面に配置すると接触面の傾きを調整できます。例えば、シュートの支持部を調整ねじで押し上げて傾きを変えるといった使い方があります。

調整ねじの原理

調整ねじは、ねじ山のリードを利用して回転させることで軸方向に移動し、相手材を押すことで位置調整が可能です。

ねじ端が相手材に接触する面は球面状であり、接触面の影響を最小限に抑える設計が一般的です。耐摩耗性を向上させるため、焼入れ処理されたねじが多く使用されます。また、相手材の接触面には硬度の高い材料や滑らかな表面仕上げが求められる場合もあります。

調整ねじのピッチは微調整を容易にするため細目ねじが一般的です。ねじの精度は通常6g以上 (旧JIS2級以上) が多く、ねじ穴の精度も同等以上が必要です。そのため、使用時には相互の精度に注意する必要があります。

調整ねじの種類

図2. 調整ねじの種類

1. 止めねじ型

止めねじ (イモネジ) に似た形状で、ねじ端が接触面となり球面で焼入れ処理されています。六角穴付きやスパナ用に二面取りされたものもあり、用途に応じて選択可能です。

2. 六角ボルト型

六角ボルトと同様の形状で、ねじ端を接触面として使用します。六角頭をスパナやレンチで締め付けることで、高い締付トルクを得ることが可能です。一部では六角頭部に六角穴を設け、工具の選択肢を広げた設計もあります。

3. スピンドル型

精密ねじで構成されたスピンドル型は、微細な調整が可能です。通常よりも微調整が必要な場面で用いられ、マイクロメータや精密ステージの送り機構に活用されます。

調整ねじの構造

調整ねじの構造は、多種多様で大きな機械や作業台の水平を保つために使用されます。レベル調整ねじとして知られるタイプは、他のねじと異なり数十センチサイズのものが多く、主に工場や作業現場で活躍します。

これらのねじは、高さ調整や水平調整に必要です。たとえば、脚がガタつく机や椅子を調整や機械、作業台の安定性を確保する目的で使用されます。水平が保たれていないと、作業効率低下や事故原因となる可能性があるためです。

調整ねじは長さを調整できる構造を持ち、ねじ部を回転させることで高さを変えます。脚の長さが異なる場合でも、レベル調整ねじの使用で同じ高さに調整が可能です。また、防錆加工や耐久性を考慮した材質が使うこともあります。

調整ねじのその他情報

1. 調整ねじの材質

調整ねじには炭素鋼、クロモリ鋼、ステンレス鋼が使用されます。多くの場合、外部に露出しやすいため、防錆性や耐食性を高めるためにユニクロメッキ、三価クロメート、無電解ニッケルメッキなどの表面処理が施されています。

2. 調整ねじの使い方

調整ねじは調整ブロックや専用機器のねじ穴に取り付け、相手材に押し当てて位置を調整が可能です。調整後、位置がずれないようにナットで固定しますが、ナットの締付時にねじが回転して位置が変わらないよう注意する必要があります。また、調整ねじを複数配置し、対象物を前後や左右に動かす方法も一般的です。

リフタピン

リフタピンとは

リフタピン (英: lifter pin) とは、製品や部材を上げ下げする「リフタ」の構成部品のひとつです。

スプリングと組み合わせて使われます。スプリングとその固定台座となるスクリュープラグと合わせてホールに収容され、リフタピンの一方で上げ下げする仕組みです。そのため、ホールの径にはたわみやガタツキがないように設計されています。

リフタピンの使用用途

リフタピンは、ファクトリーオートメーション化された生産ラインで、流れてくる製品や部材の位置決めに利用されます。処理が完了すると押さえが解除され、自然に持ち上がって次の工程へと流れていく機構です。プレス機械加工では、プレス時のワーク表面の平滑化に使われ、プレスが解除されるとスプリングの力で浮き上がり、完成品の取り外しが可能になります。

また、半導体製造装置内で、基盤を所定位置で固定し、処理後に移動させる際にも活躍しています。物流システムでも、倉庫内のパレットを運搬する装置にリフタピンを組み込み、自動化や無人化を促進しています。

リフタピンの原理

リフタピンは、ピンの部分に駆動メカニズムを組み合わせた基本構造で成り立っています。駆動力には、油圧、空圧、あるいは電気モーターの3種類があり、用途に応じて選択します。例えば、素早く持ち上げる必要があれば、空圧式がおすすめです。高く持ち上げる必要があれば、油圧式を選びます。使用環境にも考慮が必要です。長時間にわたり過酷な環境で使用されても、高品質な作動性能を維持できる耐久性が求められます。

また、製品や部材を上げ下げする位置の精度も重要です。リフタピンは、ミクロン単位の精度で位置決めが可能であり、製造工程の精密さと効率性を支えています。

リフタピンの種類

リフタピンは、用途に応じて多くのバリエーションがあります。分類項目には、形状・材質・穴の種類があり、使用目的により最適な組み合わせを選定してください。各項目の詳しい内容を説明します。

1. 形状

円柱型は均一な直径を持つため、持ち上げる際の安定性が高い特徴があります。角柱型は持ち上げる際の安定性がさらに向上し、特に重心が高い物体を持ち上げる際に有効です。ブロック型はピンと穴との接触面積が大きくなり、高い保持力を発揮します。そのため、振動や衝撃が加わっても、ピンが抜けるリスクを低減できます。

2. 先端

先端の形状がフラットなリフトピンは、対象物を傷つけるリスクが低く、保持力が高いです。樹脂かしめ加工先端は、柔らかい素材のため対象物を傷つけるリスクはさらに低く、静電気が発生しにくいため、精密機器などの取扱いに向いています。先端が円錐形の場合、挿入抵抗が小さいためスムーズに挿入できるだけでなく、穴径が小さい加工物や、深穴への挿入に適しています。ダイヤ形の場合は、接点が4つあるため高い保持力を発揮します。特に振動や衝撃が発生する工程におすすめです。先端にツバがついている形状は、対象物によりフィットする設計で、軸方向への動きが抑制され安定性が高まります。

4. 材質

炭素工具鋼を使ったリフトピンは、強度が高く加工物をしっかりと保持します。耐摩耗性に優れており、長寿命で経済的です。ポリアセタール樹脂など樹脂製のリフトピンは、軽量で耐腐食性に優れています。また、絶縁性により電子部品の上げ下げに適しています。切削や成形がしやすいので、複雑な形状の対象物に対応が可能です。着色により製品の識別にも活用できます。

5. 穴

スプリング穴付きは、スプリングの働きで衝撃や振動の影響を受けにくく、安定した位置決め性能を発揮します。パイロット逃し穴付きは、ピンにかかるストレスが分散され、安定的に長期にわたり使用可能な耐久性が確保可能です。エア穴付きは、ピン先端部にかかる応力の集中を緩和して対象物の破損を防ぎます。また、組み付け時に潤滑が可能であるだけでなく、抜き差し作業が容易です。他にもマグネット穴付きや六角穴付きなどがあります。

リフタピンの一種に「ガイドリフタ」がありますが、これはリフタとしての役目とガイド部分で材料 (薄板) の固定も行えます。

リフタピンのその他情報

リフタピンを使用する際には、いくつかの注意点に気を配ることが重要です。まず高温の環境下で使用しないようにしてください。材料のコンビネーションによっては溶着が発生する可能性があります。また、対象物との接触面に異物が付着していないか確認してください。清掃により位置決め精度が維持できます。過負荷で事故を引き起こすことがないように、対応できる最大重量を把握し、それを超えないように注意が必要です。リフタピンは衝撃に強くないため、運搬や設置の際に衝撃を避けるようにすることが大切です。

スクリュープラグ

スクリュープラグとは

スクリュープラグ (英: Screw plugs) とは、ねじ込み式の栓 (プラグ) で、流体や液体の漏洩を止めるために、油槽や配管などを塞ぐ部品です。

一般的に、スクリュープラグは、ねじプラグとも呼ばれています。プラグという名称ですが、ガソリンエンジン点火用のスパークプラグや、電気コンセント差し込み用のプラグではありません。

スクリュープラグは、JIS規格で規定されている「自動車部品-ねじプラグ」ですが、ねじ込み式管継手のプラグもスクリュープラグと呼ばれることがあります。

スクリュープラグの使用用途

スクリュープラグ_図1

図1. 使用例

1. 自動車部品用

自動車用の場合、エンジンや各種ギアボックス内のオイル (潤滑油) の排出用穴の栓 (プラグ) や、その他液体状のものを排出させる穴の栓として使用します。使用例として、エンジンや各種ギアボックスハウジングの側面や底部には、オイル排出用穴にねじ加工が施されていて、その穴にスクリュープラグをねじ込み封止します。

2. 配管用

配管用の場合、管継手の穴を閉止または開放し、内部流体の流出を閉止するために使用します。

スクリュープラグの原理

スクリュープラグ_図2

図2. 種類と形状

1. ねじの種類、頭部の形状

スクリュープラグの種類は、ねじの種類、頭部の形状によって下記のとおりに分けられます。

種類
ねじ 頭部形状
1種 A形 管用テーパねじ 四角頭

B1形

六角穴付き

B2形

四角穴付き

C形

六角頭

2種

A形

メートル並目ねじ

メートル細目ねじ

六角頭

B形

つば付き六角頭

C形

つば付き六角穴付き

JIS B2301 ねじ込み式可鍛鋳鉄製管継手

Ⅰ形

管用テーパねじ

四角頭

JIS B2308 ステンレス鋼製ねじ込み式管継手

P1

管用テーパねじ

四角頭

P2

六角頭または八角頭

2. ねじ先端の形状

スクリュープラグ_図3

図3. ねじの先端形状

スクリュープラグは、ねじ先の形状が平坦のものと、外径が少し細くなっているパイロット形状があり、ストレート形とテーパ形 (管用テーパねじの場合のみ) があります。

3. 漏洩防止方法

スクリュープラグ_図4

図4. 漏洩防止方法

管用テーパねじの場合、スクリュープラグのおすねじ外周にシールテープを巻き、めすねじに側にねじ込むことで、ねじ相互間が密着し封止します。

メートル並目・細目ねじの場合、スクリュープラグ座面と相手側取り付け面の間にガスケットを挟み込み、スクリュープラグをめすねじ側にねじ込み、座面相互が密着し封止します。このガスケットは、JIS D2101の附属書 表3 2種のプラグのガスケット形状・寸法に記載されています。

4. 材質

一般的なスクリュープラグの材質例を下表に示します。

材質

適用規格

JIS D2101 自動車部品–ねじプラグ

SWCH10A~12A、SWCH10K~12K、SWCH43K~48K

冷間圧造炭素鋼

JIS G3539

S10C~S20C、S43C~S48C

機械構造用炭素鋼鋼材

JIS G4051

C3604

銅及び銅合金の棒

JIS H3250

JIS B2301 ねじ込み式可鍛鋳鉄製管継手

FCMB27-05

黒心可鍛鋳鉄

JIS G5705

FCMW34-04

白心可鍛鋳鉄

JIS G34-04

FC200

ねずみ鋳鉄

JIS G5501

JIS B2308 ステンレス鋼製ねじ込み式管継手

オーステナイトステンレス鋼

ステンレス鋼鋳鋼品

JIS G5121

圧力容器用ステンレス鋼鍛鋼品

JIS G3214

ステンレス棒鋼

JIS G4303

冷間圧造炭素鋼、機械構造用炭素鋼鋼材製は、防錆のためにJIS D0201 自動車部品-電気めっき通則に規定されている、Ep-Fe/Zn5cの表面処理が施されています。可鍛鋳鉄製は、溶融亜鉛めっきを施している場合があります。

角度調整金具

角度調整金具とは

角度調整金具とは、ディスプレイや照明などの機器の取り付け角度や照射角度を調整するために使われる金具です。

機器の設置作業では、位置決めだけでなく角度調整が求められますが、上下左右の位置決めは比較的簡単でも、角度調整は難しい場合が多いです。この難しい角度調整を金具を用いることで簡単に行える点が大きなメリットです。さまざまな用途に応じた角度調整金具が考案・製作されています。

角度調整金具の使用用途

角度調整金具は、さまざまな構造物や機器の角度を自在に調整するための便利な部品です。

主に建築やインテリア、家具製作などの分野で使用され、部材同士を一定の角度で固定する際に活躍します。例えば、棚やディスプレイラックの角度調整、壁面や天井への取り付け角度の変更などに利用されます。また、ソーラーパネルの傾斜角度を調整するためにも用いられ、効率的な発電をサポートします。

その他、モニターアームや照明器具の可動部、機械部品の接続箇所でも使用され、自由な配置や方向調整を可能にします。耐久性や固定力に優れた設計が求められるため、用途に応じて材質やサイズを選ぶことで、安定した機能性と利便性を提供します。

角度調整金具の原理

角度調整金具は用途に応じて、異なる仕組みが採用されています。

取り付け後にほとんど動かさないタイプと、頻繁に調整するタイプがあり、それぞれに適した仕組みが考案されています。例えば、三角形の一辺を固定し、他の辺を調整する方法では、簡単に角度を変更できますが、調整範囲が限定されるため、使用機器も限定されます。一方、ギアとラチェットを組み合わせたタイプは、ギアの位置をラチェットで固定することで任意の角度で固定でき、頻繁に調整する機器に適しています。

その他にも、丸棒を挟み込む金具の弛緩を利用する方法など、角度調整の頻度に応じたさまざまな方法が存在します。調整が少ない場合には、角度の維持方法が重要となります。

角度調整金具の種類

角度調整金具にはさまざまな種類があります。それぞれの角度調整金具には、用途に応じた特徴と利点があり、選択肢の幅が広がります。

1. ピボット式角度調整金具

一般的に用いられるのがピボット式角度調整金具です。これは、ピボットポイントを中心に回転して角度を調整する仕組みで、家具や電子機器など多くの場面で使用されます。

2. ギア式角度調整金具

ギア式角度調整金具も人気があります。これは、内部のギアが噛み合って角度を調整する方式で、精密な角度調整が可能です。

3. クランプ式角度調整金具

クランプ式角度調整金具は、クランプを緩めたり締めたりすることで角度を変更できます。

4. クランプ式角度調整金具

スライド式角度調整金具は、スライド機構を使用してスムーズに角度を調整できるため、特にモニターや照明器具で多用されています。

角度調整金具の特徴

角度調整金具は、その名の通り、物体の角度を自由に調整するための金具です。主な特徴を以下で解説します。

1. 精密性

主な特徴としては、まず精密性が挙げられます。ギア式やクランプ式など、多くのタイプがあり、それぞれが高い精度で角度を調整できるよう設計されています。

2. 耐久性

耐久性も重要な特徴です。頑丈な素材で作られているため、長期間にわたって使用することができます。さらに、「多用途性」も見逃せません。家具、電子機器、照明器具など、さまざまな場面で使用されており、その適応性が広いのも特徴です。

3. 簡便性

操作の簡便性も大きな魅力です。ユーザーフレンドリーなデザインが多く、誰でも簡単に角度を調整できるようになっています。これらの特徴から、角度調整金具は日常生活や業務において非常に便利なアイテムとなっています。

角度調整金具の選び方

角度調整金具を選ぶ際には、いくつかのポイントを考慮することが重要です。

1. 調整範囲

まず、使用用途に応じた調整範囲を確認します。家具やモニターなど特定の角度で固定する必要がある場合、ピボット式やギア式の精密な調整が必要です。

2. 耐荷重

耐荷重も重要な要素です。特に重い物を支える場合、丈夫で信頼性の高い金具を選ぶことが求められます。

3. 操作性

操作性も考慮する必要があります。クランプ式やスライド式は、直感的に操作できるため、初心者にも扱いやすいです。

4. 素材

さらに、設置場所や環境に適した素材を選ぶことも重要です。湿気の多い場所では、錆びにくいステンレス製が適しています。

角度調整金具の構造

角度調整金具の構造は、その用途に応じてさまざまです。これらの角度調整金具の多様な構造は、それぞれの用途に応じた最適な性能を発揮するために設計されています。

1. ピボット式角度調整金具

一般的なピボット式角度調整金具は、中央に配置されたピボットポイントを中心に回転する仕組みになっており、回転軸や支点部品が含まれます。

2. ギア式角度調整金具

ギア式角度調整金具は、内部に複数のギアが配置されており、それらが噛み合うことで微調整が可能です。このタイプは高精度な角度設定が求められる場合に適しています。

3. クランプ式角度調整金具

クランプ式角度調整金具は、主にクランプ機構を用いて固定されます。クランプ部分を緩めたり締めたりすることで、使用者が希望する角度に簡単に調整できます。

4. スライド式角度調整金具

スライド式角度調整金具には、滑らかに動くスライド機構が組み込まれており、特にモニターや照明器具に適しています。

手動油圧ポンプ

手動油圧ポンプとは

手動油圧ポンプ (英: hydraulic hand pump) とは、手動で操作可能な油圧ポンプです。

一般的には、ポンプのレバーを操作することでオイルを圧縮して高圧を発生させる装置です。この高圧のオイルを用いて、油圧シリンダーや油圧モーターなどの油圧機器を動かします。電源が不要でありながらも比較的高い圧力を生成することができ、場所や環境に制約されない利便性があります。電源の使えない現場や停電時に備える水門・浸水防止板などの作動に使用します。

手動油圧ポンプの使用用途

手動油圧ポンプは、停電時の非常用から小型油圧機器の駆動まで、幅広い用途に対応します。主な使用例を以下に挙げます。

1. 停電時や補助用

水門の開閉、消防設備の作動、ゲートの開閉、バルブの開閉、浸水防止板の作動など、停電で電源が使用できない場合や補助用に使われます。

2. 油圧機器の作動

手動ジャッキの作動、スプレッダー・油圧式カッター・ラムシリンダーの作動、手動リフター・音響探知機・破壊構造物探知機の作動など、小型の油圧機器の作動に使われます。

3. 水路の切換え

排水設備の水路切換え、用水路の切換え、発電用水路の切換えなどに使われます。

4. グリースアップ

発電機、電動機、大型車両などのメンテナンスで、グリースを注入するために使用されます。手動油圧ポンプは、最高使用圧力が高く、グリースなど粘度の高い流体でも使用が可能です。

手動油圧ポンプの原理

長いレバーを本体側へ押し倒すことで、内部のプランジャ (ピストン部分) に圧力がかかり、オイルを加圧します。この加圧されたオイルがポンプ内部を通じて吐出部に伝達され、本体内のタンクに蓄えられたオイルを高圧で吐出する仕組みになっています。

手動油圧ポンプは、「パスカルの原理」と「てこの原理」が応用されている機器です。

1. パスカルの原理

パスカルの原理とは、「密閉された容器に満たされた流体の1カ所に加えられた圧力Fは、流体を介して容器の内面全体に同じ値の圧力がかかる」という原理です。

例えば、手動油圧ポンプのレバーを7kNの力で1cm2の面積を押し下げると、流体内では70MPaで容器全体に伝えられ、吐出部にも同じ圧力70MPaがかかります。この圧力が、吐出量とどのように関係してくるかは、受圧面積とストロークに関わってくるため、それぞれのカタログなどで確認が必要です。

2. てこの原理

「てこの原理」により、レバーの長さはレバーを押すのに必要な力と反比例するので、ハンドルが長くなるほど小さな力で操作できます。手動油圧ポンプは、力のない人でも大きな力を発生させることができます。

手動油圧ポンプの特徴

1. 軽い操作力で高圧が得られる

手動油圧ポンプの最高使用圧力は、一般のもので70MPa程度、超高圧と称するものは300MPa程度まで達します。レバーを長くすれば軽い力で作動できます。レバーを押すだけなので、操作が簡単です。

2. 電源が不要

電源は一切使用していません。電源のないところや防爆が必要な所でも安心して使用できます。また、異常時には高圧作動安全弁が作動するため、安全性も確保されています。

3. 効率的な作業

高低圧自動2段切替吐出型の場合、負荷のかかり具合で油圧ポンプからのオイル吐出量が自動的に切り替わります。負荷が少ない時 (低圧時) は吐出量が増加し、作業時間が短くなります。負荷が大きくなった時 (高圧時) は吐出量が減少するので、精密な操作が可能になります。

4. メンテナンスが簡単

シンプルな構造のため、必要な部品交換やメンテナンスが容易に行えます。

手動油圧ポンプの種類

手動油圧ポンプの種類は、材質や操作方式により次のように分類できます。

1. 材質による分類

手動油圧ポンプの本体部分の材質は、スチール、アルミ、強化プラスチックなどが使われます。

  • スチールタイプ:最も一般的で、操作力を極力軽減しています。高い耐久性を持ちます。
  • アルミタイプ:ポンプ本体が腐食に強いオールアルミ合金製で、軽量化したものです。本体重量はスチールタイプに比べ、約1/2の軽さです。
  • 強化プラスチックタイプ:強化プラスチックを多く使った超軽量型で、アルミタイプと同様、スチールタイプの約1/2の重量です。

2. 操作方式による分類

手動油圧ポンプには、手動式と足踏み式があります。

  • 手動式:手でレバーを操作してオイルを吐出させます。
  • 足踏み式:床面にポンプを置いて、足で駆動します。手を使わずに操作が可能です。操作が簡単で過酷な作業に耐え、ポンプ本体を安定させるフレームが付いています。

ラッチハンドル

ラッチハンドルとは

ラッチハンドル (英: Latch Handle) とは、ドアやゲートをラッチ機構によって固定することができる取っ手です。

主に家庭や商業施設、車両などで使用されることがあります。ラッチハンドルは一般的に操作が簡単で、ドアを開閉するのが容易です。また、施錠機構が組み込まれていることが多いです。

その場合は、ドアを閉めたときに自動的に施錠されるため、セキュリティを向上させることができます。さまざまなデザインやスタイルがあり、建物や部屋の内装に合わせて選択することができます。デザインの多様性は、装飾的な要素を考慮する際に重要です。

ただし、安価なラッチハンドルは耐久性が低く、頻繁な使用や過酷な環境には適さない場合があります。また、高齢者や身体的制約のある人々にとって操作が難しい場合があるため、バリアフリーな設計を心掛けることが大切です。

ラッチハンドルの使用用途

ラッチハンドルはさまざまな場所でドアやゲートの操作に利用される部品です。以下はラッチハンドルの使用用途です。

1. 住居

住宅の玄関ドアや内部ドアには、セキュリティと便利さを両立させるためのラッチハンドルが使用されます。ドアノブやレバーハンドルは使いやすさを提供する一方で、施錠機構を備えていることが多いです。これにより、住居のプライバシーや安全を確保することができます。

2. 商業施設

オフィスやレストランなどの商業施設では、顧客と従業員のアクセス管理が重要です。セキュリティのために、電子鍵やカードアクセスなどの高度な施錠システムを組み込んだラッチハンドルが使用されることがあります。

3. 公共施設

公共施設では、大勢の人々の出入りやセキュリティを管理することが必要です。ドアにはバータイプのハンドルや、プッシュバータイプのハンドルが使用されます。これにより、非常時にも簡単に開閉することが可能です。

4. 車両

車両のドアやトランクの操作には、手で簡単に扱えるラッチハンドルが使用されます。特にドライバーや乗客が安全にドアを開け閉めできるようにデザインされていることが多いです。また、走行中には施錠することによって、乗客の安全性を確保することができます。

ラッチハンドルの原理

ラッチハンドルは、ドアを開閉するための機構です。ドアの閉めるときにはドアを固定し、開けるときにはドアを解放するのが基本的な原理となります。構成要素はラッチボルトやハンドル、ラッチ機構などです。

1. ラッチボトル

ラッチボルトは、ドアを閉めたときにドア枠に噛み込んでドアを固定する部品です。ラッチハンドルを操作することで引っ込むことができ、ドアを解除します。

2. ハンドル

ハンドルは、ドアを開閉するために手で操作する部分です。ドアノブやレバーハンドルなどが一般的です。人が手に持ちやすい形状に成形されます。

3. ラッチ機構

ラッチ機構は、ハンドルなどとラッチボルトを制御するための機構です。開けるときにラッチボルトを引っ込め、閉めるときにラッチボルトを出す役割を果たします。

ラッチハンドルの種類

ラッチハンドルにはさまざまな種類が存在します。以下はラッチハンドルの代表的な種類です。

1. 電子ラッチ

電気信号によってラッチ機構をどうさせるラッチです。公共の建物や機械室などに多く使用されてきました。近年では、マンションなどの一般住居に使われることも多く、暗証コードの入力などで解錠する仕組みです。

2. カムラッチ

カムによって開閉するラッチです。カムがフレームに抑えられる仕組みの製品が多く販売されています。振動などにつよく、ガタツキも少ない点が特徴です。

3. スライドラッチ

ドアを開け閉めする際に、横にスライドさせることで操作するタイプのラッチハンドルです。スライド操作によって、ラッチボルトが引っ込む仕組みが採用されます。主に内部ドアやキャビネットなどで使用されます。

4. ドローラッチ

ラッチハンドルを引き出すことで動作するラッチハンドルです。ドローイング (引き出す) 動作が名前の由来であり、両開きの扉などに多く見られます。