ストッパボルトとは
ストッパボルトとは、可動部の動作制限や部品の位置決めに使用されるボルトです。
別名としてストップボルトとも呼ばれています。頭面や底面を対象物に衝突または接触させるため、衝突時の衝撃吸収や位置決め時の精度に優れています。ストッパボルトはタップ穴に取り付ける場合や、ナットやロックナットとセットで使用される場合があります。
ストッパボルトの使用用途
図1. ストッパボルトの使用例
ストッパボルトは、以下のように様々な用途で使用されます。
1. 位置の固定
ストッパボルトは、装置や各部品の位置を固定するために使用されます。ストッパボルトを相手対象物に当てた状態でストッパボルトを固定することで、相手対象物をより強固に固定することができます。
2. 治工具の段替え時の位置決め
ストッパボルトは、治工具の段替え時や交換時の位置決めに使用されます。設備側の基準位置の固定に使用する場合や、治工具側にストッパボルトを使用することで治具毎の誤差を調整して位置決めできます。
3. 可動部の位置ストッパ-
装置の可動部を停止させるためのストッパーとして使用される場合があります。可動部をストッパボルトに当てることで、可動部を停止させます。ストッパボルトの位置を調整を調整することにより、可動範囲の調整が可能です。
主にシリンダなど任意位置で停止できない、または停止精度の低い機器で可動範囲を調整するために使用します。可動部とストッパボルトの衝突時の衝撃を緩和させるために、ショックアブソーバを併用する場合もあります。
4. 安全装置
ストッパボルトは、装置の可動部の機械的な限界端の機械的ストッパとして使用される場合があります。機械的ストッパはメカストッパとも呼ばれます。装置は通常、メカストッパの内側で動作しますが、何らかの異常により通常の動作範囲を超えた場合、メカストッパで装置の動作を止めることができます。これにより、装置の干渉や破損を防ぐことが目的です。
ストッパボルトの原理
ストッパボルトは、ボルトの頭面または底面を相手対象物に接触させることにより、相手対象物を固定または停止させます。
相手対象物に接触するボルトの頭面または底面は、平面に仕上げられています。耐摩耗性向上のために焼入れ処理などの硬化処理がされたものが多いです。相手対象物を傷つけないように、接触部に保護用の樹脂などが接着されたストッパボルトもあります。
ストッパボルトは強度を上げるため、炭素鋼、クロモリ鋼、ステンレス鋼が使われるのが一般的です。ボルトのねじ込み量を変えることにより、ボルトの高さを調整することができます。その場合は、ナットを使用して必要な高さで固定します。
ストッパボルトの種類
図2. ストリッパボルトの種類
ストッパボルトには以下のように、様々な種類があります。
1. 六角ボルト型
六角ボルト型は、六角ボルトの頭面を接触面とします。ボルトの底面を接触面とする場合に比べ接触面積が広いため、安定した位置決めができます。
2. ねじ端型
ねじ端型は、ボルトの底面を接触面として使用するタイプです。ボルトの形状は、六角ボルト、六角穴付きボルトなどがあります。
3. 止めねじ型
止めねじ型は、六角穴付き止めねじ (イモネジ) と似た形状です。ボルト底面のねじ端は平面に仕上げられ、焼入れ処理がされたものもあります。ストッパスクリューとも呼ばれます。
4. 樹脂・ゴム付型
樹脂・ゴム付型は、ストッパボルトの接触部に保護用の樹脂などが接着されたものです。相手材を傷つけないこと、停止時の衝撃吸収、衝撃音低減を目的として使われます。
保護材は、MCナイロン、ポリアセタールなどの樹脂や、ウレタンゴム、低弾性ラバーなどのゴムが使用されます。六角ボルト頭端やねじ端部に保護剤を接着、はめ込んだものや、ボルト頭部を丸ごと保護材で覆ったものがあります。
ストッパボルトのその他情報
ストッパボルトとよく似たボルトで調整ねじ、位置決めボルトなどがあります。調整ねじなどは対象物の位置を調整、または位置決めに使用する目的のため、高精度ねじや細目ねじを使用され、強度より精度が求められており固定には向きません。
ストッパボルトは固定するのが目的のため、並目ねじが主であり、ねじ精度は一般的なボルトと同等です。