ACリアクトル

ACリアクトルとは

ACリアクトルとは、交流電気・電子回路に挿入する素子の一種です。

主に、インバータの力率改善や高調波抑制などを目的に設置されます。大電流を扱う回路では必要となる素子です。

ACリアクトルの使用用途

ACリアクトルは交流回路に対して用いられます。具体的な使用用途は、以下の通りです。

  • インバータを駆動装置とする空調設備
  • 工作機械や電車
  • 電気自動車

昨今、話題となる脱炭素化社会実現へ向けて、産業界ではCO2を直接発生しない電気を用いる装置が増加しています。交流送電やインバータに代表される交直変換装置に対して、ACリアクトルはその需要を増しています。

ACリアクトルの原理

ACリアクトルは、全体のほとんどがコイルです。コイルと絶縁充填剤、架台などの部品で構成されます。コイルは電線を複数回巻いた部品です。巻く回数が多いほどリアクタンス成分が増加します。電源に挿入されるコイルはチョークコイルなどとも呼ばれます。

また、鉄心を中心に電線を巻く鉄心型リアクトルと鉄心を持たない空芯リアクトルがあります。絶縁充填剤は、コイルに流れる電気が外部へ漏れないように絶縁するための充填剤です。主に、絶縁樹脂や油紙などが用いられます。コイルや架台は金属で構成されるため、一般的にリアクトルの耐熱温度は絶縁充填剤によって決定されます。

コイルは金属電線を複数回巻いた塊なので、体積に比べて重量があります。そのため、金属の架台で支持しますが、金属架台は多くの場合、床や壁面に縫い付けるための穴を開けてあります。

ACリアクトルのその他情報

1. ACリアクトルとDCリアクトルの違い

ACリアクトルのACとは、「Alternating Current (交流電流) 」の略です。それに対して、「Direct Current (直流電流) 」を扱うDCリアクトルと呼ばれる素子があり、どちらもインバータ向けに使用されます。

インバータは内部で交流電流を直流化し、直流をスイッチングして交流出力します。電流・電圧の波形を大きく変化させるため、歪みが生じて回路全体の力率を遅らせつつ高調波を発生させます。ACリアクトルとDCリアクトルの設置目的は、インバータ回路の力率改善や高調波抑制です。

DCリアクトルは一般的にインバータの内部直流回路に接続されます。交流を直流化する際の脈流を平滑化するために設置され、力率・高調波の改善効果がACリアクトルよりも高いのが特徴です。ACリアクトルはインバータの出力回路に設置されます。改善効果が高いDCリアクトルを優先して設置し、それでも高調波などが問題となる場合にACリアクトルを設置するのが一般的です。

また、遅れ力率や高調波を考慮する必要がない小規模な負荷回路に対しては、どちらも省略される場合があります。

2. リアクトルの種類

リアクトルは用途に応じて名称が異なります。主に使用されるリアクトルは限流リアクトル、分路リアクトル、AC / DCリアクトルなどです。

限流リアクトル
電気回路には、短絡事故時に安全に回路を遮断することができる遮断器を設置します。遮断器は高電圧化・高電流化するほど性能を向上させる必要があり、高価です。

リアクトルには電流を遅らせる特性があるため、限流リアクトルを回路に直列設置することで短絡時の電流を制限します。これにより、安価な遮断器を採用することが可能となります。

分路リアクトル
分路リアクトルは力率改善用リアクトルです。夜間の電力消費が少ない場合などには送配電線が進相してしまうことがあります。分路リアクトルを回路に並列設置することで、進相した系統力率を遅らせて改善します。

AC / DCリアクトル
上述した通り、インバータの力率改善や高調波抑制を目的に設置されます。なお、これらのリアクトルは規模や材料は異なりますが、構造の違いはありません。リアクトルは全て電線をコイル状に巻いた構造です。

電動油圧シリンダ

電動油圧シリンダとは電動油圧シリンダ

電動油圧シリンダとは、電動モーターと油圧ポンプおよび油圧シリンダとバルブブロックを一体化させたアクチュエータ機器のことを指します。

モーターに電流を流すと、油がシリンダに送り込まれて、伸びたり縮んだりするアクチュエーター機能を有しており、産業機械や農作業機械、除雪機等に装着して、各々の作業の自動化や労力低減等に貢献する油圧応用品です。

またシリンダのストロークの長さを可変可能な製品もあります。

電動油圧シリンダの使用用途

油圧シリンダは、産業機械の圧入や搬送用の直線運動、幅寄せなど工場ラインで活躍し、また重機のアーム制御等で必ず用いられる必須の機械部品ですが、油漏れ対策や配管メンテナンスが不可欠という課題がありました。

電動油圧シリンダは、電動モーターと油圧ポンプやバルブブロックを内蔵して油圧を機械内部ですべて調整が可能なため、屋外の農作業機械や除雪機、各種の産業機械にも場所を選ばずに独立で使用可能な利点があり、そのような用途で使用されています。

電動油圧シリンダの原理

油圧シリンダは、基本的にパスカルの原理を応用した部品であり、小さいシリンダ面積の押し込む力を利用して、大きな面積のシリンダを、てこの原理のように動かします。シリンダを押し込む力には、油圧ポンプの力を利用しますが、これは一般に配管分岐等であらかじめ設置用意された箇所に接続するようになっています。

油圧ポンプには手動(足ふみ)タイプのものと、電動式のものがあり、この電動式の油を送り込むポンプと油圧シリンダを一体にして、屋外での自由度があり汎用的な使用に耐えられるように設計開発されたものが、電動油圧シリンダです。

なお、電動モーターのみで駆動する電動シリンダはその利便性とエネルギー効率の良さから油圧シリンダからの置き換えが進んでいますが、重量の大きなものの駆動には、油圧式に比べて制御機構が大掛かりでコスト高になってしまう欠点があり、油圧シリンダが優位な状況にあります。このような背景の元、電動油圧シリンダは、油圧式でありながら電動式の利便性を追求した製品でもあります。

なお、電源には電源DC12VとDC24Vが一般的ですが、DC100V(AC100V全波整流)タイプもあります。

ダイセット

ダイセットとは

ダイセット

ダイセット (英: Die set) とは、塑性加工用のプレス機械へ金型を固定するための治工具です。

上下のダイセットはガイドポストで連結され、金型に関するプレス機械の上下運動を支えています。取り付ける金型の変更により、複数の工程や異なる仕様の製品の塑性加工が可能です。ガイドの役割を果たすため同芯度や同軸度が正確で、金型や他部品の交換を簡単に行うことができます。

ダイセットの使用用途

ダイセットは金属成形などの塑性加工をプレス機械で行う際の治工具として用いられます。成形品の事例には自動車や産業機械用部品のベベルギヤやヘリカルギヤ、各種ジョイント等が挙げられます。

塑性加工は少ない工程で最終形状近くまで成形でき、強度を持つ製品を低コストで大量生産可能です。そのため産業用機械や自動車用部品等の生産時によく用いられる加工方法です。

ダイセットの原理

ダイセットはプレス機械に搭載するための取り付け部、金型や製品へのプレス機械の圧力を伝達する受圧部、金型等の製品の形を作る形成部から構成されます。

最も重要な金型部分はパンチ側 (上側) とダイス側 (下側) に分けられ、各々をダイホルダやパンチホルダで格納しています。上下のプレスを伝達する箇所がガイドポスト、ガイドブッシュ、ノックピン等のピンホルダです。プレス機械からの上下運動を支えています。

ダイセットは金型交換が容易で汎用性が高い治工具ですが、その一方で偏芯精度の確保が重要です。もし位置精度が保てないと製品の品質や金型に悪影響を及ぼします。材質はスチールタイプとアルミ合金タイプが一般的です。

ダイセットの種類

ダイセットにはバックポスト (B形) 、センターポスト (C形) 、ダイアゴナルポスト (D形) 、フォアポスト (F形) などの種類があります。

1. バックポスト (B形)

前や左右が解放されており、単発作業で使用しやすいです。ロボット加工でアームやフィードバーの通過を妨害しません。片側だけで重い部分を支え、前が下がりやすく精度が低いです。

2. センターポスト (C形)

金型の荷重が中央に位置しています。前後に作業できる場合に適したタイプで、主に単発加工の穴抜き、曲げ、ブランク抜きに用いられます。

3. ダイアゴナルポスト (D形)

小さめの順送金型の自動化型などで用いられます。

4. フォアポスト (F形)

四隅にガイドが配置され、金型の精度を維持でき、順送金型に向いています。ただしポストが邪魔になり、単発作業用では作業性が悪いです。

ダイセットの選び方

ダイセットには要求される精度、剛性、用途に合わせて幅広い種類が存在し、機能性、品質、価格を考えて決定する必要があります。

ガイドポストと金型の位置関係は用途に応じて種類が複数あります。4隅にガイドポストを有するタイプ、対角に配置されたタイプ、左右2か所のタイプなどです。ガイドの形式にも精度を出しやすいプレーンタイプと大型化に適したボールガイドタイプが使われています。近年はより高性能なローラー形式のガイドも登場しています。

1. ダイセットのメリット

共通で対応できる標準のダイセットを製作すると成形部の金型などの一部分だけを交換すれば、複数の工程や製品の塑性加工が可能です。

2. ダイセットのデメリット

偏芯精度の確保が重要です。組付け精度や加工精度が悪いとパンチ側とダイス側の同芯が確保できません。

ダイセットの構造

ダイセットはガイドポスト (英: guide post) やガイドブッシュ (英: guide bush) で構成されています。

1. ガイドポスト

ガイドポストはダイセットの上下の型ズレを防止し、嵌め合わせを正確にするため、上下の芯合わせをします。

2. ガイドブッシュ

ガイドブッシュはガイドポストを導くためのスリーブです。円筒の中をガイドポストが上下にスライドし、正確に嵌め合わせ可能です。

ベルトスリング

ベルトスリングとは

ベルトスリング

ベルトスリングとは、荷物をクレーンやホイストで吊り上げの際に使用するベルト器具を言います。

スリングとはつり索の意味であり、材質には大きく分けてワイヤロープと繊維ベルトおよびチェーンの3つがあります。このうち繊維ベルトを用いたスリングを総称してベルトスリングと呼んでいます。

チェーンやワイヤロープに比べて、軽量であり、繊維そのものが柔らかい材質ですので、荷物を傷つけにくいという特徴があります。

また、コンパクトにたためますので、持ち運びにも便利です。

ベルトスリングの使用用途

荷物の吊り上げ、吊り卸し時の荷物をくるむための用途が主たる使い方です。

大きく分けてストレート吊り、目通し吊り(チョーク吊り)、バスケット吊りの手法が取られ、各々ベルトの幅や材質などにより詳細な荷物の最大重量が定められています。

荷物の大きさによっては、複数の本数のベルトスリングを吊り上げの際の荷物の安定のために活用しますが、この場合は同一メーカーの同時期に購入したベルトを用いるのが鉄則です。メーカーや保管状況によって、ベルトスリングの強度に有意差が生じるためです。

このように、大切な荷物を運ぶ、いわば命綱ともいえる存在です。

ベルトスリングの原理

ベルトスリングの材質はかつてはナイロン系が用いられていましたが、現在は硬さと吸水率の低さでナイロン系を凌ぐポリエステル系の素材が多く使われています。

またベルトスリングには、JIS規格で規定の等級が存在し、ベルト幅が同じでも等級が異なると最大使用荷重が違います。例えばベルト幅50mmの一等級のベルトとバルト幅35mmの二等級のベルトが同じ一トンの最大使用荷重で定義されていたりするわけです。

ベルトスリングは、その材質から耐熱性や化学薬品には弱い場合が多く、メッキ現場や薬品を扱う場合、高温での使用環境には適しません。そのような場合はチェーン式のものを用いる必要があります。

さらに日々の使用で少しずつですが、ベルトの繊維が摩耗していくため、ある摩耗箇所でそのベルトは、強度的に使用できなくなります。

メーカーによっては摩耗の度合いが目視で分かりやすいようにリミットラインと呼ばれる赤色の芯糸が、ベルト内部に織り込まれているベルトもあります。リミットラインが確認できるベルトや、汚れがひどくリミットラインやベルト損傷が見えにくいベルトは、強度面で危険なため使用しないようにしましょう。

また玉掛け作業を行う場合には免許が必要で、必ず労働安全衛生法に定められた有資格者が行う必要があります。

ベルトラッシング

ベルトラッシングとは

ベルトラッシング

ベルトラッシングとは、荷物を締め付けて固定するためのバックル付きのベルト器具をいいます。

加重するトルクに応じて固定するカムバックル式とラチェット機構を備え、反復に応じてベルトを締め付けるラチェット式があります。ラチェット式は、通称で「ガチャ」とも呼ばれ、産業界のみならず個人消費者向けにも需要は高まっています。

用いられるベルトは、ナイロン系やポリエステル系の素材が多く、当然のことながら引っ張り強度には優れている必要があります。

ベルトラッシングの使用用途

軽自動車やトラックの荷台に大きな荷物を載せて運搬する際に、走行中の振動や急ブレーキ時の加重から荷台上で荷物が動いて破損したりするのを防ぎ、荷台上に安定して固定するための器具として用いるのが代表的な使用用途です。

ベルトラッシングとよく対比される器具にベルトスリングがありますが、こちらは荷物の締め付け用途ではなく、荷物の運搬、特に吊り上げや吊り下げ時によく使用され、両方とも大切な荷物にとってはまさに命綱ともいえる存在です。

ベルトラッシングの原理

器具を構成するベルトの種類については、ナイロン系やポリエステル系が多く、硬さと吸水率の低さではポリエステルがナイロンを凌ぐ性質を有しています。ナイロンは、しなやかで伸びが大きい特徴を有しており、破断に至る引張強度はポリエステルを上回ります。

締め付け部の代表例のラチェット式に関しては、一方向の回転のみを伝え、反対の回転は伝えない機構をいいます。回転時ギアに爪がかかり、その運動を伝え、逆回転時にはギアが爪にかからずに空転するため、ベルトラッシングでは締め付け方向にのみ力が加わるのが特徴です。自転車の後輪などにもラチェット式の機構は用いられています。

ラチェット式で荷物の締め付けが強すぎて破損する可能性がある場合には、カムバックル式が用いられます。衣服のベルトでもよく用いられる機構であり、適切なトルクをバックルに伝えてカムの力でベルトを固定する原理です。締め付け強度は、低いですが、バックル器具を軽量にできます。

この他にも、宅配業者がよく利用する箱車内において、カゴ台車の固定などで金具を折り返して固定したり、ラチェットとカムの中間のオーバーセンターバックル方式もあります。

モータープーリー

モータープーリーとは

モータープーリー

プーリーとは、機械設備や自動車などの動力源で頻繁に使われている滑車のことですが、特にモータープーリーの場合は、プーリーの内部に駆動用のモーターとモーターの回転速度の調整のための減速ギアを組み込んだ、一体型のローラー駆動構造物を意味します。

モーターを覆ったローラーが回転し、搬送用ベルトコンベアの駆動部としての役割を果たすだけでなく、密閉構造で駆動部が内蔵されているため、安全かつ消音、省スペース性にも優れた動力源であると言えます。

モータープーリーの使用用途

モータープーリーの代表的な使用用途は、搬送用ベルトコンベア内部に設置されたベルトの回転用動力源向けです。数か所に設置され、搬送用ベルトに応じてローラーの種類もゴム仕様のほかにマグネットリング仕様など様々なタイプがあります。またモーターですので給油等のメンテナンスも不要です。

広義のモータープーリーとしては、自動車向けのCVTなどの自動トランスミッション変速用途なども含まれます。この場合は、実行的な径の異なるプーリーに対して、加速トルクや回転数に応じてプーリーにかかるベルトの位置が変化していく仕組みを利用しています。

モータープーリーの原理

モータープーリーの動力源はモーターですが、そのモーターの回転速度は通常一定であり、ベルトコンベヤの速度変更にはインバータを用います。

ベルトでなくローラーの回転をそのまま活用して物を搬送する機械としてローラーコンベヤがありますが、その用途のローラーの外径は比較的小さいものが多いです。一方ベルトコンベヤ向けには大きな外径と回転トルクを有するモーターがよく用いられます。

Vベルトやローラーチェーンを活用したプーリーも頻繁に見かけますが、この場合の回転速度の変更には、Vプーリーの外径の比率をベルトの位置で変更することで対応します。もちろんインバータの併用も可能です。

モーター一体型のプーリーの場合は、モーターはプーリの芯に精密に収まり、内部のギアを介して直接ローラーを駆動するためにロスを発生することなく、回転トルクへの伝達効率が非常に高いのが利点です。性能向上のためにオイルをモータープーリー内部に3割程度封入し、ベアリングの潤滑と冷却の役目を兼ねているものもあります。

リニアレール

リニアレールとは

リニアレール

リニアレールとは、稼働可能な箇所が取り付けられ、目的の長さに切断された直線状のレールのことであり、リニアガイド、ガイドレール等とも呼ばれ、産業機械の駆動部には欠かせない機械部品の一つです。

代表例は、ベアリングボールやローラー内蔵のキャリッジと呼ばれる稼働箇所が配置されたタイプであり、レールの方向に滑らかに稼働できます。さまざまなタイプの設置手法があり、ドアや各種機械のガイド、台座などで目にすることができます。

リニアレールの使用用途

リニアレールは、機械の構成部品の一つであり、直線運動を頻繁に行う箇所に用いられます。工作機械向けの台座や検査装置、搬送装置など、産業用としては幅広い用途で使われています。

また、工作機械向け以外にも、ロボットや航空機、鉄道車両、建築機器、医療機器、自動車など、さまざまな分野において目にすることができます。特に動作方向の正確な直線性が求められる場合には、リニアレールを2本用い、平行配置することで、正確かつ安定な直線稼働動作を実現できます。

リニアレールの原理

レール内でキャリッジが動くのが動作原理であり、例えば机の引き出しのスライドレールのように伸びて使用することはありません。レールの長さで稼働範囲は決まっています。キャリッジ内には、ベアリングボールないし、ローラーが組み込まれており、接触点を微小にすることで、滑らかな動作と摩耗故障による機械の寿命劣化を抑制しています。前者は、2点接触ないし、4点接触の製品バリエーションがあります。

重量物の加重に対応するにはキャリッジを用いたタイプではなく、ローラーが用いられることが多いです。ローラーには再循環式ないし、非再循環式があり、再循環式の設計では、レールに沿って動きが継続するため、距離に制限がありません。 非循環設計ではベアリングの長さによって、距離は制限されます。また、リニアレールへの機械の負荷加重は、装置の寿命に密接な関係を有するため、その仕様と環境には十分留意する必要があります。

リニアレールの材質には、一般にV型のスチール製レールとアルミ製レールがあり、その用途に応じて多くの種類があります。各社、さまざまなリニアレール、リニアガイドを提供していますが、市場要求の高耐性かつ、メンテナンスフリーな製品を提供すべく、その機構には工夫を凝らし、技術でしのぎを削っている状況です。

音響解析ソフトウェア

音響解析ソフトウェアとは

音響解析ソフトウェア

音響解析ソフトウェアとは、音の伝播や、反射、吸収および干渉などの基本特性を考慮した解析を行い、目に見えない音の性質を可視化することで、音響現象の理解をサポートするソフトウェアです。

特に、有限要素法による音響解析は、構造解析同様、設計の初期段階で解析を行い、早期に設計にフィードバックすることを可能にすることで、音響の不具合による設計の手戻りを防ぎます。

他にも差分法や境界要素法と呼ばれる解析手法があります。

音響解析ソフトウェアの使用用途

鉄道車両の騒音レベルや自動車のエンジンの放射音、マフラー音の解析など、音に関わる解析はその重要度を増しています。

騒音を抑制するという観点では、防音用の構造物や音の吸収材でいかに音を遮蔽吸収できるかという観点での解析が必要になります。

また、音の広がりや音響性能を評価する目的で、例えばカーオーディオ機器の音響特性や、コンサートホールなどでの大規模空間の音質調査、高周波数までの取り扱いが必要なケースなど、音にかかわる用途は多数存在します。

近年では、人間の声の音響解析から、感情を読み取ったり、会議の出来栄えの良しあしを定量的に評価するような、通常の音響解析から一歩進んだソフトウェアも登場しています。

音響解析ソフトウェアの原理

解析の原理については、そのベースになるのは波動方程式です。特に空間での音の広がりが重要な解析では、3次元の波動方程式を解く必要がありますが、容易に解けない場合も多く、解析空間を離散的にモデル化したソルバーを通常用います。境界条件を明確にした有限要素法や境界要素法と呼ばれる解析はその代表的な解析手段です。

人間の耳で聞こえる音の周波数は、20Hzから20000Hz程度の範囲ですが、低い周波数の音は聞き取りにくい傾向があり、これを人の聴感特性といいます。自動車の加速時のエンジンの騒音や、ジェット機の騒音などでは、この聴感特性に合わせて、騒音の周波数に対し信号レベル(dB)を補正する補正係数を適用し、現場での人の音の感じ方に合わせた解析がなされます。

また、有限要素法での解析ではそのメッシュの設定の仕方(解析の個々の要素の規模)は非常に重要であり、波長λは周波数fに反比例しますから、音響解析の周波数を考慮した波長すなわちメッシュの大きさに設定せねばなりません。なお、無限境界要素法では、その解析アルゴリズムの制約から、メッシュの大きさ(要素の規模)は、解析周波数の波長に対して、1/4以下にする必要があります。

機構解析ソフトウェア

機構解析ソフトウェアとは

機構解析ソフトウェアとは、主に複数の装置にて構成される機械システムの機構や部品の動きを予測し、さらに複数の部品間の接触箇所に加わるトルクや反力、変位等の応力計算を行うための、動力学計算の解析用のソフトウェアです。

構造解析が、基本的に一つの物体に関する有限要素法での解析を行うのに対して、機構解析では、ある機構を構成する複数の部品間の相互作用や位置関係について、運動方程式を元に解析する点が大きく異なっています。

機構解析ソフトウェアの使用用途

複数の部品の相互作用の解析が重要な事例に、エンジン全体の振動解析やピストンの挙動解析、カムシャフトのスプリング反力解析等が挙げられます。

複数部品からなる装置の全体の挙動にかかわる解析用途には機構解析ソフトウェアは欠かせないツールです。

よって、自動車関連やロボット、FA機械などの産業機械の解析ツール用途が主な使用用途といえます。

実際の機構解析は、動作アニメーションの作成から着手されることが多く、動的干渉や反力、必要な駆動力バネ剛性の判断など、機構の設計者には得るものが多いメリットがあります。

機構解析ソフトウェアの原理

機構解析の基本は古典力学からなります。ニュートンやオイラー、ラグランジュなどの有名な物理学者によって導かれた剛体の動力学がベースになっています。

ボディ、ジョイント、力要素の三つの要素から構成され、その定式には、質量と慣性モーメントを考慮したボディに作用する力とトルクおよびジョイントの拘束式が用いられています。

運動方程式の意味は、物体への作用力が物体の質量と加速度をかけたもので表現出来るという定義です。ただし実際には物体の変位や剛性、速度減衰なども考慮が必要であり、複雑な行列演算の連立方程式を解いて、ボディの六つの方向の加速度やジョイントに発生する力とトルクなどを求めます。解析時刻毎の加速度を積分して速度を、さらに積分して構成部品の変位を得ることができます。

ジョイントの種類は多いため、複雑な定義の理解が追いつかない設計者が、機構解析に戸惑う場面も多いです。よって最近では3D-CADの構造解析ツールをベースに、自動的にジョイントを生成し機構解析も同時に可能な、複合機能を有するソフトウェアも登場しています。

打錠機

打錠機とは

打錠機

打錠機の打錠(だじょう)とは、医薬品等で広く知られています錠剤を成形する工程を意味します。その形成工程のための装置が打錠機であり、別名、回転式成形機とも呼ばれています。

錠剤の混合材料の粉末を自動軽量し、金型である「臼」の穴に投入し、「杵」と呼ばれる対の金型が上下から材料に加圧することで錠剤の形状に成形し、錠剤として取り出します。

回転しながら、この工程を連続的に行い、錠剤の大量生産が可能になる装置です。

打錠機の使用用途

打錠機で形成するのが錠剤と一言で言っても、その使用用途や形状は実に様々なものがあります。医薬品やサプリメントで用いられる一般の錠剤や、キャンディーやガム等の菓子類、洗浄剤や磁石、電池や触媒等の様々な用途に用いられています。

また、形成する形状についても、単層構造だけでなく、二層や三層の複数層への対応や特殊形状品、チップインタブレット等、そのアプリケーションに応じて豊富なバリエーションがあります。

打錠機の原理

通常の打錠機は、原料粉末を充填し、圧縮し錠剤の形へ成形、製品の取り出しの3工程を有しています。

医薬品をはじめとし、生産効率に優れた大量生産が求められる製造現場では、これらの工程をシームレスに連続で回転しながら実施可能なロータリー式打錠機が一般に使用されています。

生産現場での打錠機の不具合でよく見かけるのが、打錠障害と言われる、生産した錠剤に不良品が発生することです。
これは、原料粉末中に含有される結合剤の量の過不足で発生する場合があり、錠剤の中間層が剥離してしまうラミネーションや錠剤の成分が杵の表面に付着することで、円状の剥がれが生じるピッキング等の不具合品が生産されてしまうケースです。

これらの対策には、原料粉末の材料成分比を適切に管理することや、臼への投入量の管理、結合剤を錠剤表面に分布させる等の手法がとられます。

さらに昨今の少量多品種への効率的な生産対応の観点から、様々な形状の錠剤へのマルチファンクション対応機能を有する打錠機や高速性に優れたタイプ、毒性を考慮した錠剤では、特殊な封じ込め仕様を有するもの等の多種多様な打錠機があります。