機構解析ソフトウェアとは
機構解析ソフトウェアとは、主に複数の装置にて構成される機械システムの機構や部品の動きを予測し、さらに複数の部品間の接触箇所に加わるトルクや反力、変位等の応力計算を行うための、動力学計算の解析用のソフトウェアです。
構造解析が、基本的に一つの物体に関する有限要素法での解析を行うのに対して、機構解析では、ある機構を構成する複数の部品間の相互作用や位置関係について、運動方程式を元に解析する点が大きく異なっています。
機構解析ソフトウェアの使用用途
複数の部品の相互作用の解析が重要な事例に、エンジン全体の振動解析やピストンの挙動解析、カムシャフトのスプリング反力解析等が挙げられます。
複数部品からなる装置の全体の挙動にかかわる解析用途には機構解析ソフトウェアは欠かせないツールです。
よって、自動車関連やロボット、FA機械などの産業機械の解析ツール用途が主な使用用途といえます。
実際の機構解析は、動作アニメーションの作成から着手されることが多く、動的干渉や反力、必要な駆動力バネ剛性の判断など、機構の設計者には得るものが多いメリットがあります。
機構解析ソフトウェアの原理
機構解析の基本は古典力学からなります。ニュートンやオイラー、ラグランジュなどの有名な物理学者によって導かれた剛体の動力学がベースになっています。
ボディ、ジョイント、力要素の三つの要素から構成され、その定式には、質量と慣性モーメントを考慮したボディに作用する力とトルクおよびジョイントの拘束式が用いられています。
運動方程式の意味は、物体への作用力が物体の質量と加速度をかけたもので表現出来るという定義です。ただし実際には物体の変位や剛性、速度減衰なども考慮が必要であり、複雑な行列演算の連立方程式を解いて、ボディの六つの方向の加速度やジョイントに発生する力とトルクなどを求めます。解析時刻毎の加速度を積分して速度を、さらに積分して構成部品の変位を得ることができます。
ジョイントの種類は多いため、複雑な定義の理解が追いつかない設計者が、機構解析に戸惑う場面も多いです。よって最近では3D-CADの構造解析ツールをベースに、自動的にジョイントを生成し機構解析も同時に可能な、複合機能を有するソフトウェアも登場しています。