ダイセット

ダイセットとは

ダイセット

ダイセット (英: Die set) とは、塑性加工用のプレス機械へ金型を固定するための治工具です。

上下のダイセットはガイドポストで連結され、金型に関するプレス機械の上下運動を支えています。取り付ける金型の変更により、複数の工程や異なる仕様の製品の塑性加工が可能です。ガイドの役割を果たすため同芯度や同軸度が正確で、金型や他部品の交換を簡単に行うことができます。

ダイセットの使用用途

ダイセットは金属成形などの塑性加工をプレス機械で行う際の治工具として用いられます。成形品の事例には自動車や産業機械用部品のベベルギヤやヘリカルギヤ、各種ジョイント等が挙げられます。

塑性加工は少ない工程で最終形状近くまで成形でき、強度を持つ製品を低コストで大量生産可能です。そのため産業用機械や自動車用部品等の生産時によく用いられる加工方法です。

ダイセットの原理

ダイセットはプレス機械に搭載するための取り付け部、金型や製品へのプレス機械の圧力を伝達する受圧部、金型等の製品の形を作る形成部から構成されます。

最も重要な金型部分はパンチ側 (上側) とダイス側 (下側) に分けられ、各々をダイホルダやパンチホルダで格納しています。上下のプレスを伝達する箇所がガイドポスト、ガイドブッシュ、ノックピン等のピンホルダです。プレス機械からの上下運動を支えています。

ダイセットは金型交換が容易で汎用性が高い治工具ですが、その一方で偏芯精度の確保が重要です。もし位置精度が保てないと製品の品質や金型に悪影響を及ぼします。材質はスチールタイプとアルミ合金タイプが一般的です。

ダイセットの種類

ダイセットにはバックポスト (B形) 、センターポスト (C形) 、ダイアゴナルポスト (D形) 、フォアポスト (F形) などの種類があります。

1. バックポスト (B形)

前や左右が解放されており、単発作業で使用しやすいです。ロボット加工でアームやフィードバーの通過を妨害しません。片側だけで重い部分を支え、前が下がりやすく精度が低いです。

2. センターポスト (C形)

金型の荷重が中央に位置しています。前後に作業できる場合に適したタイプで、主に単発加工の穴抜き、曲げ、ブランク抜きに用いられます。

3. ダイアゴナルポスト (D形)

小さめの順送金型の自動化型などで用いられます。

4. フォアポスト (F形)

四隅にガイドが配置され、金型の精度を維持でき、順送金型に向いています。ただしポストが邪魔になり、単発作業用では作業性が悪いです。

ダイセットの選び方

ダイセットには要求される精度、剛性、用途に合わせて幅広い種類が存在し、機能性、品質、価格を考えて決定する必要があります。

ガイドポストと金型の位置関係は用途に応じて種類が複数あります。4隅にガイドポストを有するタイプ、対角に配置されたタイプ、左右2か所のタイプなどです。ガイドの形式にも精度を出しやすいプレーンタイプと大型化に適したボールガイドタイプが使われています。近年はより高性能なローラー形式のガイドも登場しています。

1. ダイセットのメリット

共通で対応できる標準のダイセットを製作すると成形部の金型などの一部分だけを交換すれば、複数の工程や製品の塑性加工が可能です。

2. ダイセットのデメリット

偏芯精度の確保が重要です。組付け精度や加工精度が悪いとパンチ側とダイス側の同芯が確保できません。

ダイセットの構造

ダイセットはガイドポスト (英: guide post) やガイドブッシュ (英: guide bush) で構成されています。

1. ガイドポスト

ガイドポストはダイセットの上下の型ズレを防止し、嵌め合わせを正確にするため、上下の芯合わせをします。

2. ガイドブッシュ

ガイドブッシュはガイドポストを導くためのスリーブです。円筒の中をガイドポストが上下にスライドし、正確に嵌め合わせ可能です。

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