ベルトスリングとは
ベルトスリングとは、荷物をクレーンやホイストで吊り上げの際に使用するベルト器具を言います。
スリングとはつり索の意味であり、材質には大きく分けてワイヤロープと繊維ベルトおよびチェーンの3つがあります。このうち繊維ベルトを用いたスリングを総称してベルトスリングと呼んでいます。
チェーンやワイヤロープに比べて、軽量であり、繊維そのものが柔らかい材質ですので、荷物を傷つけにくいという特徴があります。
また、コンパクトにたためますので、持ち運びにも便利です。
ベルトスリングの使用用途
荷物の吊り上げ、吊り卸し時の荷物をくるむための用途が主たる使い方です。
大きく分けてストレート吊り、目通し吊り(チョーク吊り)、バスケット吊りの手法が取られ、各々ベルトの幅や材質などにより詳細な荷物の最大重量が定められています。
荷物の大きさによっては、複数の本数のベルトスリングを吊り上げの際の荷物の安定のために活用しますが、この場合は同一メーカーの同時期に購入したベルトを用いるのが鉄則です。メーカーや保管状況によって、ベルトスリングの強度に有意差が生じるためです。
このように、大切な荷物を運ぶ、いわば命綱ともいえる存在です。
ベルトスリングの原理
ベルトスリングの材質はかつてはナイロン系が用いられていましたが、現在は硬さと吸水率の低さでナイロン系を凌ぐポリエステル系の素材が多く使われています。
またベルトスリングには、JIS規格で規定の等級が存在し、ベルト幅が同じでも等級が異なると最大使用荷重が違います。例えばベルト幅50mmの一等級のベルトとバルト幅35mmの二等級のベルトが同じ一トンの最大使用荷重で定義されていたりするわけです。
ベルトスリングは、その材質から耐熱性や化学薬品には弱い場合が多く、メッキ現場や薬品を扱う場合、高温での使用環境には適しません。そのような場合はチェーン式のものを用いる必要があります。
さらに日々の使用で少しずつですが、ベルトの繊維が摩耗していくため、ある摩耗箇所でそのベルトは、強度的に使用できなくなります。
メーカーによっては摩耗の度合いが目視で分かりやすいようにリミットラインと呼ばれる赤色の芯糸が、ベルト内部に織り込まれているベルトもあります。リミットラインが確認できるベルトや、汚れがひどくリミットラインやベルト損傷が見えにくいベルトは、強度面で危険なため使用しないようにしましょう。
また玉掛け作業を行う場合には免許が必要で、必ず労働安全衛生法に定められた有資格者が行う必要があります。