ブタン

ブタンとは

ブタン (英: Butane) とは、炭化水素ガス特有の匂いのある無色の気体です。

化学式は C4H10、分子量は58.12、CAS番号は106-97-8です。炭素原子の結合様式により、直鎖状のn-ブタンと枝分かれしたイソブタンの2種類の異性体が存在します。これらは異性体をもつアルカンの中では、もっとも小さいものになります。

ブタンは、主にガス燃料として用いられる化学物質で、1849年にイギリスの化学者エドワード・フランクランドによって発見されました。

ブタンの性質

1. 物理的特性

ブタンは、融点が-138℃、沸点が-0.5℃です。水には溶けにくい (0.061g/100mL) ですが、エタノール、エチルエーテル、クロロホルムにはよく溶けます。

2. その他の特徴

ブタンは液化しやすい性質があり、燃料や化学工業用の原料等に用いられています。ブタンの可燃性はきわめて強いため、熱や火、酸化剤に触れると大きな爆発を呼び起こす危険があります。n-ブタンの爆発限界は、空気中で1.9~8.5vol%です。

ブタンの使用用途

1. 工業用燃料

n-ブタン (直鎖構造をしたブタン) は、工業用燃料として使用されています。ガソリンの蒸気圧を変えたり、オクタン価を高めるために添加されることもあります。水蒸気や酸素等と反応させるか熱分解させることで、合成ガスや都市ガス等としても利用されます。

2. 家庭用燃料

ライターの燃料、エアロゾルスプレーの噴射剤のほか、調理用やキャンプ用など手軽に利用可能な、カセットコンロの燃料としてガス缶が市販されています。

3. イソブタンの使用用途

イソブタン (枝分かれ構造をしたブタン) は、イソパラフィン類の製造原料として使用されています。液化したイソブタンは、ガスライター用や工業用燃料等として用いられています。さらに、イソブタンは、脱水素によるイソブチレンの製造等にも利用されています。

4. その他

純粋なブタンをフロンガスの代わりに冷媒として用いるという提案もあり、実際に国産ノンフロン冷蔵庫の冷媒にイソブタンが使われた例もあります。液化石油ガス (LPG) の成分として燃料に用いられたり、ブテンブタジエン等の石油化学製品の原料にも使われたりと、幅広い用途で利用されています。

ブタンのその他情報

1. ブタンの製法

ブタンは、実験室レベルでは、ヨウ化エチルとナトリウムから合成できます。工業的には、石油系炭化水素の分解ガスおよびナフサから、低温分留法等によって分離することで生成されます。原油中に溶存しており、石油精製の際に発生する蒸留ガスにも含まれていていたり、重質油の熱分解あるいは接触改質の際にも、副産物としてブタンが生成します。

2. ブタンの反応

ブタンは、十分な酸素がある場合、燃焼により二酸化炭素と水を生成します。酸素が不足した場合は不完全燃焼が起こり、すすや一酸化炭素も副生してしまいます。フリーラジカル的に1-クロロブタンや 2-クロロブタンなどの塩素化物に変わる反応も進行します。

3. 法規情報

ブタンは、毒物及び劇物取締法や化学物質排出把握管理促進法では指定がありません。労働安全衛生法では、危険物・可燃性のガス、名称等を表示・通知すべき危険物及び有害物、危険性又は有害性等を調査すべき物に指定されており、取り扱いには注意が必要です。 

4. 取扱いおよび保管上の注意

取扱い及び保管上の注意は、下記の通りです。

  • 保管容器には専用の高圧ガス容器を使用し、換気の良い冷所で保管する。
  • 発火の恐れがあるため、高温の物体、火花、裸火との接触は避けて保管する。
  • 使用後は、容器のバルブを完全に閉め、口金キャップと保護キャップを付ける。
  • 爆発の恐れがあるため、酸素に富む物質 (強酸化剤)やニッケルカルボニル、酸素との接触は避ける。
  • 屋外や換気の良い区域、防爆仕様の局所排気設備などで使用する。
  • 使用時は保護手袋、保護眼鏡を着用する。
  • 窒息の恐れがあるため、蒸気の吸入を避ける。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/106-97-8.html

フッ化水素

フッ化水素とは

フッ化水素とは、特有の刺激臭のある無色の発煙性液体です。

フッ素原子と水素原子が約92pmの距離で結合した直線分子です。水素結合により、分子間に強い相互作用を持っています。フッ素の電気陰性度が大きいので、フッ化水素同士で二量体かそれ以上の多量体を形成しています。

無機化合物で、化学式はHF、分子量は20.01、CAS登録番号は7664-39-3です。フッ化水素の水溶液はフッ化水素酸  (英: Hydrofluoric acid) やフッ酸と称されます。

フッ化水素の性質

1. 物理的特性

フッ化水素は、融点が-84℃、沸点が20℃、密度が0.92です。分子間で水素結合を有するため、沸点が他のハロゲン化水素に比べて異常に高いことが特徴的です。水やエタノールにはよく溶け、ベンゼントルエン等の有機溶媒にも溶けます。

2. その他の特徴

液体フッ化水素は、様々な物質に対して溶解能の大きいプロトン性極性溶媒です。水などと同じく自己解離が存在しますが、陰性度が大きいフッ化物イオンは別のフッ化水素分子と結合して溶媒和します。フッ化水素の水溶液であるフッ化水素酸は、腐食性があるなど毒性が極めて強く、取り扱いには注意が必要です。

フッ化水素の使用用途

1. 半導体関連

純度99.999%以上の5Nクラスのフッ化水素は、液晶パネルなどの集積度が比較的低い製品に利用されています。不純物量が歩留まりに影響する最先端の半導体プロセスでは、超高純度のものが求められ、エッチング工程など向けに12Nの超高純度品が生産されています。フッ化水素は、モバイル機器用ディスプレイパネルに使われるフッ化ポリイミドの原料でもあり、ハイテク産業を支える重要な物質の一つです。

2. フッ素化合物原料

フッ化水素は、フレオン(冷媒)や有機フルオロカーボン、フッ素樹脂、フッ化水素酸の二次製品 (フッ化カリウムフッ化マグネシウム) などのフッ素化合物の製造に広く用いられています。

3. その他

フッ化水素は他にも、ガラスの目盛付けや模様付け、つや消し、金属表面のフッ化処理、アルキル化パラフィン製造の有機合成触媒などに使われています。また、メッキ (亜鉛メッキの際の酸洗い) や分析試薬としての用途など、フッ化水素は広く用いられています。 

フッ化水素のその他情報

1. フッ化水素の製法

フッ化水素は、蛍石 (フッ化カルシウムが主成分の鉱石) に濃硫酸を添加して加熱することで製造できます。水に対してフッ素を加えると、激しく反応してフッ化水素と酸素が生成します。フッ化水素カリウムを加熱することによっても、フッ化水素を得られます。

2. フッ化水素とガラス

フッ化水素のフッ化物イオンは、ケイ素原子との強い結合形成と、ケイ酸骨格へのプロトン化の相互作用により、ガラス中のケイ酸と反応してヘキサフルオロケイ酸を生じ、これらを腐食させます。気体のフッ化水素は、ケイ酸と反応して四フッ化ケイ素を生じます。フッ化水素の容器には、ガラスの代わりにポリエチレンやテフロンのボトルが使用されます。

3. 法規情報

フッ化水素は、毒物及び劇物取締法で医薬用外毒物に、労働安全衛生法で第2類特定化学物質に指定されており、取り扱いには厳重に注意が必要です。ウラン濃縮やサリンなど毒ガスの製造にも使用可能なため、輸出が統制される品目であり、日本では外国為替及び外国貿易法によって経済産業大臣の許可なく輸出することが禁止されています。

4. 取扱いおよび保管上の注意

取扱い及び保管上の注意は、下記の通りです。

  • 保管容器は、換気の良い場所で保管する。
  • ガラスや無機物を侵すため、接触を避ける。
  • 屋外や換気の良い区域のみで使用する。
  • 使用時は保護手袋、保護衣、保護眼鏡、保護面を着用する。
  • 皮膚に付着した場合は、直ちに流水またはシャワーで洗い流す。
  • 眼に入った場合は、直ちに水で数分間注意深く洗う。
  • 身体への付着、曝露があった場合には、直ちに医師に連絡する。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/0063.html

フェノールフタレイン

フェノールフタレインとは

フェノールフタレインの基本情報

図1. フェノールフタレインの基本情報

フェノールフタレイン (Phenolphthalein) とは、有機化合物の一種で、化学式C20H14O4で表される物質です。

2つのフェノール骨格と無水フタル酸由来の構造を有し、フタレイン染料の1種に分類されます。pHによって溶液の色が変化することから、分析化学において 酸塩基指示薬に用いられる物質です。

PP、HInもしくはphph などの略称が用いられることがあります。CAS番号は77-09-8 です。分子量は318.32、融点は258〜263°Cであり、常温では白色または淡黄色の固体です。水には溶けません。

その他の溶媒に対しては、エタノールにはやや溶けやすい性質ですが、ジエチルエーテルには溶けにくく、ベンゼンには不溶、DMSOにわずかに溶けるとされています。密度は1.277g cm−3です。

フェノールフタレインの使用用途

フェノールフタレインの代表的な使用用途は、分析化学における酸塩基指示薬です。フェノールフタレインをエタノール、もしくはエタノールと水の混合溶媒に溶解したフェノールフタレイン溶液が用いられ、塩基性を検出すると赤紫色に呈色します。

酸塩基指示薬としての性質を応用した利用例の一つが、コンクリートの検査です。コンクリートが劣化すると炭酸塩が生成してpHが低下します。そのため、フェノールフタレインを用いると、新しいコンクリートのみが呈色し、古いコンクリートは呈色しないという原理により、コンクリートの劣化を調べることができます。

その他の用途には、血液の検出 (カスル・マイヤー試験) 、カドミウムや金の検出、つや消しのインクや、おもちゃの人形の染髪などがあります。かつては下剤としても使用されましたが、齧歯類における実験の結果発がん性が疑われたため、現在では臨床利用はされていません。

フェノールフタレインの特徴

フェノールフタレインの合成

図2. フェノールフタレインの合成

フェノールフタレインは、無水フタル酸フェノールを酸性条件で加熱混合することにより、無水フタル酸1分子に対して フェノールが2分子縮合して合成されます。光による変質の恐れがあるのが特徴です。

そのため、高温と直射日光を避けた保管が必要となります。また、強酸化剤との混触は危険であり、分解生成物として一酸化炭素 (CO) や二酸化炭素 (CO2) が挙げられます。

フェノールフタレインの種類

フェノールフタレインは主に、試験研究用試薬・指示薬として、試薬メーカーから販売されています。純物質としての販売のほか、中和滴定用指示薬としてそのまま使用できる1.0w/v%エタノール溶液製品があります。

純物質製品の容量の種類は、25g , 100g , 500gなどです。室温保管可能な試薬製品として取り扱われます。1.0w/v%エタノール溶液製品は、100mL , 500mLなどの容量で提供されています。室温保管可能な試薬です。

光による変質を防ぐため、包装に褐色ガラス瓶が用いられる場合があります。

フェノールフタレインのその他情報

1. 分析化学におけるフェノールフタレイン

pHの変化とフェノールフタレインの構造

図3. pHの変化とフェノールフタレインの構造

フェノールフタレイン溶液は、pHによって色が変化することが特徴です。変色が明瞭で、共存物質の影響を受けにくいため酸塩基指示薬として広く用いられています。

pH8.3未満 の酸性側で無色、pH8.3〜13.4 の塩基性側でピンクから赤紫色を示し、pH 13.4よりも更に塩基性の条件では再び無色となります。これは塩基性条件において、フェノール部位が脱プロトン化を受けて分子構造が変化することによるものです。

2. フェノールフタレインの法規制情報

フェノールフタレインは、発がんのおそれ、遺伝性疾患のおそれなど、人体への有害性が指摘されています。そのため、令和6年より労働安全衛生法にて「名称等を表示すべき危険物及び有害物」「名称等を通知すべき危険物及び有害物」に指定されることが決まっています。

化学物質排出把握管理促進法では、令和5年3月31日までは「第2種指定化学物質」ですが、令和5年4月以降は非該当物質となることが決まっている物質です。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/cas-77-09-8.html

フェノール

フェノールとは

フェノールの基本情報

図1. フェノールの基本情報

フェノールとは、1つのヒドロキシ基を持つ芳香族化合物です。

室温でフェノールは固体であり、特有の臭気を持つ無色の結晶です。フェノールは、古くはコールタールから得られていました。現在ではベンゼンを原料として、スルホン化法、塩素化法、クメン法等によって、フェノールが生成されています。

フェノールには、強力な殺菌効果があるものの、皮膚につくと腐食性を示すため毒性があり、取り扱いには注意が必要です。

フェノールの使用用途

フェノールは、フェノール樹脂やエポキシ樹脂の原料であるビスフェノールA、ポリカーボネート樹脂ナイロンカプロラクタムアニリン等の原料として使用されています。その他にも、染料、界面活性剤、農薬、医薬、その中間体等、化学薬品の原料として幅広く使用可能です。

フェノールは、殺菌効果が強いことから、消毒・殺菌・防腐剤として用いることが可能です。消毒用に使用される際には、1~5%のフェノール水溶液が用いられます。

また、弱い知覚麻痺作用を有することから、痛みやかゆみを止める目的で配合されるといった用途もあります。

フェノールの性質

フェノールの密度は1.07g/cm3、融点は40.5°C、沸点は181.7°C、示性式はC6H5OH、分子量は94.11です。エタノールジエチルエーテル等の有機溶媒に、よく溶けます。水にはやや溶けにくいです。アルコールのヒドロキシ基とは異なり、フェノールのヒドロキシ基は弱酸性を示します。

フェノールは広義だと、芳香環にヒドロキシ基が結合している化合物全般を指します。狭義には、フェノール類の中で、最も簡単な化合物のヒドロキシベンゼンのことを指します。つまり、ベンゼンの水素原子の1つが、ヒドロキシル基に置換された化合物のことです。

フェノールのその他情報

1. フェノールの共鳴効果とケト-エノール互変異性

フェノールの共鳴効果とケト-エノール互変異性

図2. フェノールの共鳴効果とケト-エノール互変異性

フェノールの共役塩基のフェノキシドイオンは、芳香環の共鳴効果により安定化されています。ヒドロキシ基を有するアルコール類よりも、5桁以上も高い酸解離定数を示します。実際にフェノールの酸解離定数は、pKa = 9.95です。したがって、フェノールは弱酸性を示し、カチオン種と塩を形成します。フェノールの塩は、カチオン種名にフェノキシドを合わせて命名することが可能です。

また、フェノールからケト-エノール互変異性 (英: keto–enol tautomerism) により、シクロヘキサジエノン (英: cyclohexadienone) が生じると考えられます。しかし、ほとんどがエノール型の、フェノールとして存在します。脂肪族のエノールとは異なり、フェノールがケト型に変異した場合には、芳香族性を失う不安定化の影響が大きいためです。

2. フェノールの反応

フェノールの反応

図3. フェノールの反応

フェノールはナトリウム水酸化ナトリウムとの反応によって、ナトリウムフェノキシドを生じます。フェノールは無水フタル酸との縮合によって、フェノールフタレイン (英: phenolphthalein) を得ることが可能です。

臭素水溶液をフェノール水溶液へ加えると、2,4,6-トリブロモフェノール (英: 2,4,6-Tribromophenol) が合成されます。フェノールのニトロ化によって、ピクリン酸 (英: Picric acid) が生成可能です。ただしフェノールは濃硝酸で酸化されるため、まず濃硫酸でスルホン化してからニトロ化する必要があります。

3. フェノールの検出

フェノール性のヒドロキシ基を有する化合物は、塩化鉄 (III) 水溶液を用いて、簡易的に検出可能です。塩化鉄 (III) 水溶液を滴下すると、鉄フェノール錯体が生成して、赤紫色に変わります。Fe3+は6配位のイオンです。フェノキシドイオンが立体的にかさ高いため、[Fe(OC6H5)n(H2O)6-n]3-nのような錯体になっていると考えられています。

フェノキシエタノール

フェノキシエタノールとは

フェノキシエタノール(別称:エチレングリコールモノフェニルエーテル、フェニルセロソルブ)とは、エチレングリコールフェノールがエーテル結合した有機化合物です。沸点247℃、融点-2℃、密度1.10 g/cm3で、常温では無色の粘性液体、バラのような香りがするのが特徴です。

水やアルコール類、グリセリンなど様々なものにも溶解しやすいことから取り扱いが容易といえます。緑茶にも含まれており、自然界にも存在する天然有機化合物です。可燃性の物質で、日本の消防法では第4類第3石油類に区分されています。常圧での引火点は121 ℃です。

フェノキシエタノールの使用用途

フェノキシエタノールは、抗菌力を持つことから、様々なものに対する防腐剤として使用されることが多いです。

特に化粧品での使用が多く、パラベンフリーなどが注目を集める中、安全性が高く多種の微生物に広く効果がある防腐剤として添加されることが多くなってきました。フェノキシエタノールが配合された化粧品は、香料などを使用していなくても花のような特徴的な香りがします。

化粧品以外にも、防腐の効果を必要とするものは多数あります。医薬品、染料、インク、樹脂、潤滑剤、防虫剤、塗料の防黴剤、写真フィルムの添加剤、消毒薬など幅広い分野に使用されています。

フェノキシエタノールの合成

フェノールとオキシラン(エチレンオキシド)やブロモエタノール、エチレンカーボネートと反応させることでヒドロキシエチル化が進行し合成される。

フェノキシエタノールの合成

フェニルアラニン

フェニルアラニンとは

フェニルアラニンとは、必須アミノ酸の一種です。

アラニンの側鎖の水素原子の1つがフェニル基に置換されていることから、この名前が付けられました。略号はPheあるいはFと表されます。光学異性体があり、生合成されるのはL体のL-フェニルアラニンです。

フェニルアラニンは、肉類、魚介類、卵、乳製品など様々な食品に含まれています。フェニルアラニンの摂りすぎによる危険性は低いと考えられています。過剰に摂取しすぎると、高血圧や心臓病を引き起こすリスクがあります。

フェニルアラニンを代謝する酵素が十分に分泌されない、フェニルケトン尿症という疾患が存在します。この病気を持った人は、フェニルアラニンが体内に過剰に蓄積してしまう可能性があるため、摂取には注意が必要です。 

フェニルアラニンの使用用途

フェニルアラニンは、人工甘味料であるアスパルテームの原料として利用されます。アスパルテームは、フェニルアラニンとアスパラギン酸から合成されます。顆粒状やシロップ状で利用されたり、清涼飲料水や菓子類、医薬品などに添加されたりします。

また、体内でドーパミンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質の材料として利用されます。これらの物質は、精神を高揚させたり、血圧を上昇させたりする効果を持っています。そのため、うつ病の改善効果などが期待されています。

化粧品としてヘアコンディショニング剤、皮膚コンディショニング剤に使用されます。コンディショニング剤とは皮膚の水分の蒸発を防ぎ、保湿性を与えて皮膚や毛髪を保護するための原料のことです。感触の改善が主な目的なので感触改良剤に近い意味合いです。

フェニルアラニンの性質

フェニルアラニンは白色の結晶で、少量の水には溶けますが、エタノールなどの有機溶媒には溶けにくい特性があります。約283℃で分解融解します。100分の1 水溶液の pHは5.4から6.0の間で、酸性をしめします。

フェニルアラニンは人工甘味料アスパルテームの原料になりますが、それ自体には苦みがあります。光学異性体のD-フェニルアラニンは甘味があります。

フェニルアラニンの構造

フェニルアラニンはベンゼン環を持つアミノ酸です。アラニンの側鎖の水素原子がフェニル基で置き換えられた構造を持っています。実際、フェニルアラニンという名前もこの構造に由来しています。

フェニルアラニンのその他情報

1. フェニルアラニンから生成される物質

アスパルテーム
人工甘味料であるアスパルテームは、フェニルアラニンとアスパラギン酸のジペプチド誘導体です。ジペプチド誘導体は、2つのアミノ酸がアミド結合によって結びついたアミノ酸ポリマーのことです。具体的には、フェニルアラニンのアミノ基がアスパラギン酸のカルボキシル基とアミド結合を形成することで、アスパルテームが生成します。

チロシン
フェニルアラニンは肝臓でチロシンに代謝されます。フェニルアラニンのパラ位にヒドロキシ基が置換された分子はチロシンと呼ばれ、タンパク質中のチロシン残基のリン酸化は生体内の情報伝達機構において非常に重要な役割を果たしています。

また、チロシンへのヒドロキシ化反応を触媒する酵素が欠損することで、フェニルアラニンが正常に代謝できなくなる遺伝病がフェニルケトン尿症です。この病気は幼児期に発症し、低フェニルアラニン食などの治療が必要ですが、現在では新生児の血液検査で早期発見が可能です。

2. フェニルアラニンの生合成

植物や多くの微生物で、糖代謝産物であるプレフェン酸からシキミ酸を経て生合成されます。プレフェン酸が脱炭酸されると同時にヒドロキシ基を失うとフェニルピルビン酸になります。フェニルピルビン酸がアミノ基転移を受け、フェニルアラニンと α-ケトグルタル酸が生成します。

ほとんどの芳香族生体分子合成はこの経路によっており、このシキミ酸経路をもたない哺乳動物では体内で合成することができません。人間はこのシキミ酸経路を持たないので、フェニルアラニンは必須アミノ酸の1つとして分類されます。

ピルビン酸

ピルビン酸とは

ピルビン酸は、化学式C3H4O3で表される有機化合物で、英語名はpiruvateです。ピルビン酸は、常温では無色の液体で、酢酸に似た酸味臭を呈します。ピルビン酸の融点と沸点はそれぞれ13.6℃、165℃です。また、CAS番号は127-17-3です。

水、エーテル、エタノールなどのさまざまな極性溶媒、および無極性溶媒と任意の比率で混合することができます。

赤リンゴなどの果物や野菜、黒ビール、赤ワインなどに含まれています。

ピルビン酸の性質

1.ピルビン酸の合成法

ピルビン酸の実験室での合成方法としては、酒石酸硫酸水素カリウムを加熱下で反応させることによりピルビン酸を得ることが出来ます。また、大規模なスケールで合成する際には、プロピレングリコール(1,2-プロパンジオール)の酸化や、あるいは塩化アセチルとシアン化カリウムの反応から得られるシアン化アセチルの加水分解によって合成することができます。

ピルビン酸は、ヒト生体内では、エネルギー(ATP)を得るためや、その他の物質の原料として非常に重要な役割を果たしています。

2.解糖系におけるピルビン酸

一つ目に、ピルビン酸はグルコースを分解する一つ目の段階である解糖系の最終生成物です。

解糖系では、まずグルコースが様々な反応を経て二つの分子に分割され、2分子のピルビン酸へと変換されます。解糖系はATPを生成するだけでなく、その後の代謝の段階においてATPを生成するために必要な物質を合成する重要な反応です。

ここで生成したピルビン酸はさらに様々な反応の原料となります。

3.クエン酸回路におけるピルビン酸

解糖系で生成したピルビン酸は、ピルビン酸デヒドロゲナーゼによってアセチルCoAに変換されます。アセチルCoAは様々な反応に利用されますが、主な使い道として、オキサロ酢酸に変換されてクエン酸回路に組み込まれるというものがあります。

クエン酸回路では、オキサロ酢酸が様々な反応を経て構造を変え、最終的に1分子のアセチルCoAと結合してもう一度オキサロ酢酸に戻るという反応が行われます。この回路ではNADHやFADH2などの補酵素が生成し、これらの物質は電子伝達系で多くのATPを生成することが役割です。

また、ピルビン酸カルボキシラーゼという酵素によって、ピルビン酸は直接オキサロ酢酸に変換されることもあります。この酵素によって反応が進められる場合では、解糖系の逆反応が起きます。

4.その他の生体内での反応

その他の反応としては、低酸素時の代謝において不足したNAD+を補充するためにピルビン酸を乳酸に発酵させるといった反応があります。この反応では乳酸デヒドロゲナーゼによってピルビン酸が乳酸に還元されるため、同時にNADHがNAD+に酸化されます。

また、アミノ酸を体内で生成するために、アラニントランスアミラーゼによってピルビン酸からアラニンが合成されます。

ピルビン酸の使用用途

ピルビン酸の使用用途として、生物学実験での試薬が挙げられます。

ピルビン酸は生物のエネルギー供給に重要な役割を果たすだけでなく、グルタミン酸からピルビン酸へのアミノ基転位により、アミノ酸の1種であるアラニンを産生します。

このようにピルビン酸は、アミノ酸、タンパク質、ATP合成など、生物の生体内反応に極めて重要な化合物です。そのためピルビン酸は、細胞や微生物を培養するために用いられています。具体例として、ピルビン酸は、ピルビン酸ナトリウムとして細胞培養液の材料や細胞培養液の添加物として使用されています。

また、ピルビン酸はヒトにとって欠かせない栄養素です。そのため、サプリメントなどにも含まれていることもあります。

ピルビン酸をメチル化して合成できるピルビン酸メチルは、香料などとして食品添加物に使用されることがあります。ピルビン酸メチルは水中でピルビン酸に加水分解されるため、摂取しても危険性はないとされています。

ピリドキシン

ピリドキシンとは

ピリドキシンとは、水溶性のビタミンB群の一種です。

熱や酸性では比較的安定ですが、中性やアルカリ性では光により分解されやすいので、一般に安定性を高めたピリドキシン塩酸塩として取り扱われています。ピリドキシン塩酸塩はや塩酸ピリドキシンともいわれる物質です。化粧品分野では他に誘導体が登録されています。本品は、白色~微黄色の結晶性の粉末で、水に溶けやすくエタノールに溶けにくい性質を持っています。融点は約206℃です。

ピリドキシンの使用用途

ピリドキシンは主に下記の3つにおいて使用されています。

1. 医薬品

ピリドキシンは、医薬品としてビタミンB6欠乏症の予防及び治療の他以下のような場合に用いられます。

  • ビタミンB6の需要が増大し、食事からの摂取が不十分な際の補給 (消耗性疾患、妊産婦、授乳婦など) 
  • ビタミンB6依存症 (ビタミンB6反応性貧血など) 
  • ビタミンB6の欠乏又は代謝障害が関与すると推定される次のような症状
    口角炎、口唇炎、舌炎、急・慢性湿疹、脂漏性湿疹、接触皮膚炎、ニキビ、末梢神経炎、放射線障害

2. 食品添加物

ピリドキシンは、塩酸ピリドキシンとして食品添加物としても使用されます。調整粉乳や小麦粉に、ビタミンB6の強化のために加えられたり、健康的なイメージを付加した菓子や飲料などの食品に使用されたりしています。

3. 化粧品

化粧品の用途には、塩酸ピリドキシンやトリスヘキシルデカン酸ピリドキシンが使用され、それぞれ用途が違います。

塩酸ピリドキシン
塩酸ピリドキシンは、皮脂抑制作用を期待されて化粧品に配合されています。過剰な皮脂分泌を抑制することから毛髪用のコンディショニング剤などや、皮膚のテカリを防止する目的で、スキンケア製品などに使用されています。

トリスヘキシルデカン酸ピリドキシン
トリスヘキシルデカン酸ピリドキシンは、ピリドキシンの3個のヒドロキシ基にイソパルミチン酸が結合したビタミンB6誘導体です。液状の油溶性の物質で、皮膚への浸透力が高いです。

フィラグリンとは角質層にあるたんぱく質ですが、皮膚に水分が不足すると、角質層の骨格となるたんぱく質「ケラチン」を集め、保湿力のある角質層をつくるはたらきの中心的役割を果たしています。トリスヘキシルデカン酸ピリドキシンはフィラグリンの産生を促進し、皮膚の保湿へ作用していると考えられています。

ピリドキシンの原理

ピリドキシンは、動物細胞中に含まれているときには、リン酸化したピリドキサールリン酸 (PLP) やピリドキサミンリン酸 (PMP) として酵素たんぱく質と結合した状態で存在しています。調理や加工の過程や、食品として胃に入ってから、ほとんどの PLPと PMP遊離したのちに加水分解されて、消化管から吸収されます。

一方、植物の生細胞中にはピリドキシン 5ʼβ‒グルコシド(PNG) のかたちで存在しており、消化管内で一部が加水分解を受け、そのまま加水分解された形で吸収されます。吸収されたピリドキシンは、様々な体内反応の補酵素として使われます。主な役割を以下にあげます。

  • アミノ酸やタンパク質の代謝
  • 不飽和脂肪酸の生体内利用
  • 胎児や乳児の脳の発達
  • 免疫機能

ピリドキシンのその他情報

1. ピリドキシンの摂取目安

日本人の食事摂取基準 (2020年版) によると、ピリドキシンの摂取量は、18歳以上で男性1.4mg/日、女性1.1mg/日です。

2. ピリドキシンの摂取上限

ピリドキシンを、1日数グラムを数カ月摂取すると、感覚性ニューロパシーという明確な悪影響が観察されることが知られています。 体や内臓の感覚を伝える神経の感覚障害です。

3. ピリドキシンを含む食品

ピリドキシンを含む食品は多く、動物性の食品では赤身の魚や肉類、レバーなど。植物性の食品にはバナナやトウガラシ、海苔、ゴマなどに含まれています。

4. ピリドキシンの欠乏症

通常の食事をしていて、ピリドキシンが 欠乏することは、まれです。しかし、結核治療薬や抗うつ病薬のなかには、ピリドキシンの吸収を阻害する作用を持つものがあります。

ピリドキシンが欠乏すると、皮膚炎やけいれん、免疫の低下、貧血などがあらわれることがあります。重くなると舌炎や口内炎、精神的な錯乱が起こる場合があります。

参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen_pg/KAG_DET.aspx?joho_no=37784

ピクリン酸

ピクリン酸とは

フェノール誘導体のニトロ化合物で、2,4,6-トリニトロフェノールの慣用名です。ピクリン酸という名前は、「苦い」を意味するギリシャ語「pikros」に由来しています。

CAS番号は88‐89‐1、融点は122.5℃、密度1.76g/cm3、発火点322℃で、常温においては淡黄色の結晶です。水や極性を持つ有機溶媒に可溶で、非極性溶媒には溶けにくいです。

ピクリン酸の性質

通常のフェノール類は弱酸性を示しますが、ピクリン酸の水溶液は強い酸性を示します。その理由は、ベンゼン環に強い電子求引基であるニトロ基が3つもついているため、プロトンを電離した後のアニオンが通常より大幅に安定化されるからです。

具体的に酸解離定数(pKa)を比較すると、フェノールのpKa 9.95に対し、ピクリン酸は0.38なので、かなり強酸性を示すことがわかると思います。

ピクリン酸は有毒性で、摂取すると下痢や嘔吐などを引き起こします。日本の消防法において、第5類危険物(自己反応性物質)に属しています。

ピクリン酸ピクリン酸は、加熱や衝撃によって爆発します。さまざまな金属と反応して、爆発性の塩を形成します。多くの有機化合物と反応して、ピクラートと呼ばれる塩を生成します。

フェノール類の検出方法の一つに、塩化鉄(Ⅲ)による呈色反応が知られていますが、ピクリン酸はこの試薬による呈色反応を示しません。通常のフェノール類は、ベンゼン環の電子密度が高いためにフェノール性水酸基の酸素原子と鉄イオンが結合したような錯体を形成し、この部分が呈色反応を示します。

しかし、ピクリン酸では電子求引基であるニトロ基によってベンゼン環中の電子密度が低下して、その分フェノール性水酸基の酸素原子の非共有電子対の電子密度が下がり、鉄イオンへ配位しにくくなるという事が原因と考えられています。

ピクリン酸の使用用途

ピクリン酸は分子内にニトロ基を3つ持ち、ニトロ基は分解する際に多量の熱を放出するため、強い爆発性を持ちます。さらに、1つのニトロ基から熱が放出されると他のニトロ基も分解されるため連鎖的に発熱反応が発生します。

この性質を利用して、軍用の爆薬として使用されていました。1885年にフランス軍が軍用爆薬として用いると、各国へと広がりました。日本でも、日露戦争や太平洋戦争において砲弾や魚雷の爆薬として用いられ、下瀬(しもせ)火薬と呼ばれました。

しかし、爆薬としてのピクリン酸には、衝撃や摩擦に敏感すぎる、金属と反応して爆発性の塩を生成するなどの欠点があります。そのため今では爆薬として使われることは少なく、これらの欠点のないTNT(トリニトロトルエン)が、主要な爆薬として使われるようになりました。

ピクリン酸-TNT現在では、金属や有機化合物との反応性を利用して、生物組織標本作成用の固定液、酸塩基指示薬等の分析用試薬として用いられています。また、花火、農薬原料、染料、ガス脱硫触媒などに使用されています。

ピクリン酸のその他情報

ピクリン酸は、フェノールのニトロ化反応で合成されてきました。

通常のニトロ化反応では、濃硫酸と濃硝酸を混合した混酸が用いられます。しかし、フェノールと混酸によるニトロ化では、酸化反応が優先して起きてしまうため、分子量の大きいタール状の物質が得られ、純度が低くなってしまいます。この副反応を抑えるため、まずフェノールと濃硫酸でスルホン化し、続いて濃硝酸でニトロ化する方法が取られている(スルホフェノール法)。

ピクリン酸の合成

その他の合成法には、比較的安定なクロロジニトロベンゼンを加水分解して合成する方法などが存在します。

また、経口で摂取すると人体には毒性があり、皮膚や目にも強い刺激性を持つため、取り扱う際には十分に注意する必要があります。

保管する際には、施錠をして換気のよいところで保管する必要があり、廃棄する際には内容物や容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に委託して廃棄することが必要です。

ビタミンa

ビタミンaとは

レチノールの基本情報

図1. レチノールの基本情報

ビタミンa (Vitamin A) とは、物質としてはアルコールであるレチノール(Retinol, ビタミンA1) を指す、脂溶性ビタミンの1つです。

広義には広義にはアルデヒド体であるレチナール (Retinal) 、カルボン酸であるレチノイン酸 (Retinoic Acid) 、および、これらの3-デヒドロ体 (ビタミンA2と呼ぶ) や関連物質・誘導体を含めて総称されることもあります。

主要物質であるレチノールは、化学式 C20H30O、分子量 286.4516、CAS登録番号は68-26-8です。融点は62-64℃、沸点は137-138℃です。

水に不溶で、酸化を受けやすく、空気、酸素、湿気、熱、光などによって容易に分解される性質があります。皮膚細胞の分化を促進する必須栄養素で、皮膚や粘膜を健康に保つ役割を持っていることが知られています。

ビタミンaの使用用途

ビタミンaはレチノール、レチナール、レチノイン酸などを指した総称ですが、ヒト血液中のビタミンaはほとんどがレチノールであるとされています。レチノールは必須栄養素であり、皮膚細胞の分化を促進することからサプリメントや、ビタミン剤として医薬品に用いるなどの用途があります。

ビタミンaの中でレチノイン酸は、皮膚に関する効果が多く報告されており、米国ではニキビの治療薬としても認可されています。日本では、医薬部外品として、化粧品におけるレチノールのシワ改善作用の効能表示が承認されました。

ビタミンaの特徴

レチノールの代謝

図2. レチノールの代謝

ビタミンA1と呼ばれるレチノール (アルコール体) は、レチナール (アルデヒド体) 、レチノイン酸 (カルボン酸) へと順に酸化されます。実際は、これらの物質が活性作用の本体です。ここまでを広義にビタミンaと分類し、その類縁物質を含めてレチノイドと呼びます。尚、レチナールは視覚に関与し、レチノイン酸は遺伝子発現の調整に関わるとされています。

この他にも摂取されて体内でビタミンaの生理作用を起こす物質があります。具体的には、レチニル脂肪酸エステルやプロビタミンaに分類されるカロテノイドなどです。

プロビタミンaには、β-カロテンなどおよそ50種類があります。カロテノイドでは摂取による過剰症が起こらない点が特徴です。β-カロテンは、体内で小腸の吸収上皮細胞、もしくは、肝臓や、腎臓において分解されて、ビタミンaとなります。

一般的に、レチニル脂肪酸エステルは動物性食品に含まれ、プロビタミンaのカロテノイドは主に植物性食品に含まれ、体内へ摂取されています。

ビタミンaの種類

ビタミンaは必須栄養素であることから、サプリメントや医薬品としてのビタミン剤として広く販売されています。脂溶性ビタミンであるため、剤形はカプセルが用いられることも多いです。

ただし、レチノールを過剰に摂取すると、めまい、悪心、頭痛、昏睡を生じ、命に関わる場合もあるとされているため注意が必要です。また、妊婦の過剰摂取は胎児の先天性異常につながる場合があります。

それ以外には、試験研究用としても販売されています。純粋なレチノールとして販売されている他、レチノール酢酸塩や、HPLC用の標準液としてパルミチン酸レチノール標準液として販売されている場合などがあります。

ビタミンaのその他情報

ビタミンaの生理活性

ビタミンAの生理活性

図3. ビタミンaの生理活性

ビタミンaは、必須栄養素としてヒトの身体の機能を正常に保つのに欠かせない物質です。例えば、レチノールは必須栄養素で皮膚細胞の分化を促進し、網膜細胞の保護に用いられます。レチノールが不足すると視細胞におけるロドプシンが機能しなくなり、夜盲症が発症すると言われています。

ロドプシンとは、視色素の一つであり、視細胞における、光による興奮 (視興奮) の引き金機構として重要な物質です。また、免疫システムや、DNAの遺伝子情報の制御、すなわち生殖の機能にも必要であり、心臓、肺、腎臓やその他の臓器が適切に機能するのを助けます。

参考文献
https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c03/06.html