ビタミンa

ビタミンaとは

レチノールの基本情報

図1. レチノールの基本情報

ビタミンa (Vitamin A) とは、物質としてはアルコールであるレチノール(Retinol, ビタミンA1) を指す、脂溶性ビタミンの1つです。

広義には広義にはアルデヒド体であるレチナール (Retinal) 、カルボン酸であるレチノイン酸 (Retinoic Acid) 、および、これらの3-デヒドロ体 (ビタミンA2と呼ぶ) や関連物質・誘導体を含めて総称されることもあります。

主要物質であるレチノールは、化学式 C20H30O、分子量 286.4516、CAS登録番号は68-26-8です。融点は62-64℃、沸点は137-138℃です。

水に不溶で、酸化を受けやすく、空気、酸素、湿気、熱、光などによって容易に分解される性質があります。皮膚細胞の分化を促進する必須栄養素で、皮膚や粘膜を健康に保つ役割を持っていることが知られています。

ビタミンaの使用用途

ビタミンaはレチノール、レチナール、レチノイン酸などを指した総称ですが、ヒト血液中のビタミンaはほとんどがレチノールであるとされています。レチノールは必須栄養素であり、皮膚細胞の分化を促進することからサプリメントや、ビタミン剤として医薬品に用いるなどの用途があります。

ビタミンaの中でレチノイン酸は、皮膚に関する効果が多く報告されており、米国ではニキビの治療薬としても認可されています。日本では、医薬部外品として、化粧品におけるレチノールのシワ改善作用の効能表示が承認されました。

ビタミンaの特徴

レチノールの代謝

図2. レチノールの代謝

ビタミンA1と呼ばれるレチノール (アルコール体) は、レチナール (アルデヒド体) 、レチノイン酸 (カルボン酸) へと順に酸化されます。実際は、これらの物質が活性作用の本体です。ここまでを広義にビタミンaと分類し、その類縁物質を含めてレチノイドと呼びます。尚、レチナールは視覚に関与し、レチノイン酸は遺伝子発現の調整に関わるとされています。

この他にも摂取されて体内でビタミンaの生理作用を起こす物質があります。具体的には、レチニル脂肪酸エステルやプロビタミンaに分類されるカロテノイドなどです。

プロビタミンaには、β-カロテンなどおよそ50種類があります。カロテノイドでは摂取による過剰症が起こらない点が特徴です。β-カロテンは、体内で小腸の吸収上皮細胞、もしくは、肝臓や、腎臓において分解されて、ビタミンaとなります。

一般的に、レチニル脂肪酸エステルは動物性食品に含まれ、プロビタミンaのカロテノイドは主に植物性食品に含まれ、体内へ摂取されています。

ビタミンaの種類

ビタミンaは必須栄養素であることから、サプリメントや医薬品としてのビタミン剤として広く販売されています。脂溶性ビタミンであるため、剤形はカプセルが用いられることも多いです。

ただし、レチノールを過剰に摂取すると、めまい、悪心、頭痛、昏睡を生じ、命に関わる場合もあるとされているため注意が必要です。また、妊婦の過剰摂取は胎児の先天性異常につながる場合があります。

それ以外には、試験研究用としても販売されています。純粋なレチノールとして販売されている他、レチノール酢酸塩や、HPLC用の標準液としてパルミチン酸レチノール標準液として販売されている場合などがあります。

ビタミンaのその他情報

ビタミンaの生理活性

ビタミンAの生理活性

図3. ビタミンaの生理活性

ビタミンaは、必須栄養素としてヒトの身体の機能を正常に保つのに欠かせない物質です。例えば、レチノールは必須栄養素で皮膚細胞の分化を促進し、網膜細胞の保護に用いられます。レチノールが不足すると視細胞におけるロドプシンが機能しなくなり、夜盲症が発症すると言われています。

ロドプシンとは、視色素の一つであり、視細胞における、光による興奮 (視興奮) の引き金機構として重要な物質です。また、免疫システムや、DNAの遺伝子情報の制御、すなわち生殖の機能にも必要であり、心臓、肺、腎臓やその他の臓器が適切に機能するのを助けます。

参考文献
https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c03/06.html

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