アングル加工機

アングル加工機とは

アングル加工機は、アングル(等辺山形鋼、不等辺山形鋼)の切断・曲げなどの加工するための専用機械です。

可搬式で現場などへ持ち込んで使用する小型の加工機から、工場などに常設する大型の加工機まであります。また、切断・曲げ・切り欠き・Vノッチ・コーナーカット・面取り・穴あけなど、複数の加工を1台の加工機で行えるものもあります。

また、小型のアングル加工機には、AC電源式と充電式(バッテリー式)があります。

アングル加工機の使用用途

アングル加工機は、アングル加工の専用機のため、使用される場面は非常に限定的になります。

ただし、大量のアングルを加工する必要がある製造・建設現場においては、専用加工機の役割は非常に大きくなり重要になります。
同じサイズのアングルに対して、同じ加工を繰り返して行うような場合には有効で、効率の良い作業が可能になります。

また小型のアングル加工機は可搬性に優れているため、現場で寸法を決めて加工する場合などには非常に便利な機械となります。

アングル加工機の選び方

アングル加工機の選定は、加工対象のアングルサイズや可能な加工方法の種類・可搬性の要否、常設するかどうかなどにより、適した機種を選定する必要があります。

  1.  アングルサイズ
    加工可能なサイズは L50x50xt4/t6, L75x75xt6 からL100x100xt7 などで、特に小型のアングル加工機は、アングルサイズが限定されている場合があり、選定は注意が必要です。
  2.  加工方法
    切断・曲げ・切り欠き・Vノッチ・コーナーカット・面取り・穴あけなど、どの加工方法に対応しているかを考慮する必要があります。
  3.  可搬性/常設
    可搬性が必要か、あるいは常時1か所に据え付けて使用するかで選定します。
  4.  ポンプ容量
    作業頻度や作業不可に応じ1か所な油圧ポンプの容量選定が必要になります。また、加工機本体と油圧ポンプユニットが一体式か、別々のセパレートタイプかも作業性が変わるため、選定に必要な項目になります。

    その他にも、複数の加工方法を行う場合は、加工方法によって金型の取り換えが必要か不要かなども選定も必要になります。

ミゾキリ

ミゾキリとは

ミゾキリは、木材に溝を掘るための電動のカッターで、ミゾキリカッターとも呼ばれます。かなり重い機械ですが高精度で溝を掘ることができるのがミゾキリの特徴です。ミゾキリは和室を作る際には必要不可欠な道具として日本で古くから使われている大工道具ですが、プレカットが登場したことでその使用頻度は年々下がっています。ミゾキリは一見丸ノコと似ており、それぞれの特徴や違いをよく理解して使う道具を選ぶ必要があるでしょう。

ミゾキリの代わりに丸ノコを使うことができる場合があります。丸ノコは精度が必要な作業には向きませんが、危険度の高い作業などではミゾキリよりも扱いやすい丸ノコが適している場合があります。

ミゾキリの使用用途

ミゾキリはもともと敷居や鴨居の溝加工のために開発された道具です。敷居・鴨居とは和室において障子やふすまをはめ込むための横木のことで、天井側に位置するものを鴨居、床側に位置するものを敷居と呼びます。ミゾキリは敷居・鴨居に障子やふすまをはめ込むための高精度な溝を掘ることができます。

敷居・鴨居を作る際以外にも、精度の高い溝を掘りたいときにはミゾキリを使うことができます。ミゾキリは非常に重く力が強いため、使用場面は大工作業場に限られていると言えます。

ミゾキリの選び方

ミゾキリを選ぶ際のポイントをご紹介します。

重さ

一般的なミゾキリの重さは、4kg~7kgです。大型のミゾキリではより重くなるため扱いづらくなる一方、安定性が増すという特徴があります。

刃の種類

ミゾキリの刃には自在カッター刃と七分カッター刃の大きく分けて2種類があります。

  • 自在カッター刃
    自在カッター刃は刃を捻らせながら回転させることで溝の幅を決めることができます。刃を捻らせることで幅を出すため、溝の幅が大きくなるほど溝の底が丸みを帯びた形になります。また溝の幅が大きくなるほど刃の捻りが大きくなり、振動が大きくなります。
  • 七分カッター刃
    敷居鴨居の加工に使われるのは七分カッター刃です。七分カッター刃は刃そのものに幅があることで溝を掘ることができます。そのため溝の幅は変えることができません。七分カッター刃を使うと溝の底は水平になります。鴨居敷居の加工以外にも、間柱加工や階段の側板の加工などにも使われます。

 

なお、ミゾキリは古くから現在に至るまで機能に大きな変化がない機械なので、古い製品と新しい製品に大きな違いはありません。

卓上グラインダー

卓上グラインダーとは

卓上グラインダー.

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卓上グラインダーは、ディスク上の砥石を高速で回転させることにより、金属や刃物などの研磨を行う工具です。

ディスクグラインダーなどの他の研磨工具との違いは、対象とする材料の大きさにあります。

ディスクグラインダーは両手に持ち、固定された材料に対して用いるため、小さな材料の研磨には不向きです。卓上グラインダーでは、固定されたグラインダーに対して材料を手に持って使用するため、小さな素材でも研磨することができます。

卓上グラインダーの使用用途

卓上グラインダーの使用用途としては、金属の研磨や刃物の砥ぎが挙げられます。

卓上グラインダーの左右にはそれぞれ別の砥石が付いており、粗削り用と磨き用であることが一般的です。さらに、砥石をバフと呼ばれる仕上げ用のものと交換することで、粗削りから仕上げまで一通りの作業を行うことができます。

刃物を砥ぐ場合には、グラインダーの中央で回転するディスクに対して刃物を押し当てます。強く押し当てすぎると自己の原因となるため、適切な力加減が必要です。

卓上グラインダーの選び方

卓上グラインダーを選ぶ際に気を付けることは、以下の通りです。

  • 砥石のサイズ
     卓上グラインダーの機種によって、取りつけられる砥石のサイズは決まっています。砥石のサイズには125mmから305mmまでがあり、一般的に用いられているサイズは150 mmです。最も一般的なサイズの卓上グラインダーにはたくさんの種類があり、砥石も手に入りやすいというメリットがあります。
  • 使用用途
     卓上グラインダーでは金属の研磨や刃物の砥ぎが可能ですが、それぞれの用途によって使用できるグラインダーが異なる場合があります。主に刃物の研ぎに使うのであれば、刃物研磨機を選ぶことが推奨されます。金属研磨と刃物の砥ぎがどちらも可能な両頭グラインダもあるため、さまざまな作業を行いたい場合はこのタイプを選択できます。
  • 重量
     持ち運びが容易な2 kg程度の軽い製品から、10 kgを超える重い製品まで幅広い重量やサイズの卓上グラインダーがあります。持ち運んで使うことが多いのであれば、軽い製品を選ぶことが推奨されます。

ポリッシャー

ポリッシャーとは

ポリッシャーとは、先端のディスク状のバフを回転させることにより材料表面の研磨を行う工具です。

他の研磨工具であるディスクグラインダーなどとの違いは、ディスクグラインダーでは比較的粗い研磨しかできないのに対して、ポリッシャーでは車のツヤ出しなど細かい研磨を行うことができる点にあります。

自動車や家具、金属などの表面をピカピカに磨くことが可能です。手作業で磨くよりも効率的に美しい仕上がりを実現します。ポリッシャーは、専門的な職人さんだけでなく、DIY好きな方々にも使われます。

ポリッシャーの使用用途

ポリッシャーの主な用途としては、材料のツヤ出しなどの細かい研磨作業が挙げられます。ディスクグラインダーやディスクサンダーなどの研磨工具では基本的に粗い研磨しかできず、仕上げ作業などには不向きです。

特によく用いられる用途は、自動車やバイクのボディの磨きです。車のボディに傷がついた場合や、色あせた場合にポリッシャーを使うと、新品のような輝きを取り戻すことができます。 また、家具や床、壁などの木材の表面を磨くのにも利用されます。

木材は時間とともに色が変わる特性がありますが、ポリッシャーで磨くことで元の美しい色を保つことができます。 さらに、金属製品の錆びを取ったり、食器や宝飾品をピカピカに磨いたりするのにも有用です。

ポリッシャーの原理

ポリッシャーは電源を接続するとモーターが回転し、その回転力を磨きパッドに伝えることで物を磨きます。磨きパッドは、一定の速度で回転し、その摩擦力で物の表面を磨く仕組みです。

また、磨きパッドには研磨剤と呼ばれる特殊な液体を塗布します。研磨剤には微細な粒子が含まれており、これが物の表面の汚れや傷を取り除く役割を果たします。

このように、ポリッシャーはモーターの力と研磨剤の力を組み合わせて物を磨く原理を利用しています。

ポリッシャーの種類

ポリッシャーには回転方式によって、シングルアクション、ギヤアクション、ダブルアクションの3種類があります。

1. シングルアクション

シングルアクションは、バフが一方向にのみ回転し、研磨力が最も高いタイプです。パワーがあり、広範囲を短時間で磨くことができますが、傷がつきやすいなど扱いが難しいデメリットがあります。

2. ギアアクション

ギヤアクションでは、回転運動に変則的な動きが加わるため、研磨力はシングルアクションに比べて劣りますが、ダブルアクション以上です。材料に傷がつきにくいメリットがあります。

3. ダブルアクション

ダブルアクションでは、回転運動に偏芯運動が加わった動き方をするため、研磨力は最も低くなります。反面、材料に傷がつきにくく、最終仕上げに用いられ、繊細な研磨が行えるメリットがあります。均一に磨きやすいため、初心者におすすめです。 

ポリッシャーの選び方

ポリッシャーを選ぶ際のポイントは以下の通りです。

1. 動力源

ポリッシャーには充電式と電源式の2種類があります。ポリッシャーが消費する電力は非常に大きいため、一般的には電源式の製品が主に用いられます。狭い範囲や短い時間での研磨をする場合であれば、充電式を用いることも可能です。

2. 回転数

ポリッシャーは、製品によってさまざまな回転数があります。回転数が高いほど研磨力は高くなりますが、傷がつきやすくなり、また摩擦熱が発生しやすくなります。

回転数が多い製品では取り扱いに技術を要するため、初心者の方の場合は回転数が低いタイプや調整できるタイプを選ぶことが推奨されます。

3. 磨きパッドの大きさ

大きなパッドを使うと広範囲を磨くことができますが、細かい部分には小さなパッドが必要です。用途に合わせて適切な大きさのパッドを選ぶことが大切です。

4. 重さと形状

長時間使う場合、重さが軽いものの方が疲れにくいです。また、握りやすい形状のものを選ぶと作業がしやすくなります。

集塵丸ノコ

集塵丸ノコとは

集塵丸ノコとは、従来の電動丸ノコに集塵機能を備えた工具です。

材料切断時に生じる粉塵や切りくずを吸引しながら作業ができます。防塵丸ノコとも呼ばれます。

特に粉塵が飛散する石膏ボードやサイディングボードの切断に最適です。作業環境をクリーンに保つため、呼吸器への影響が少なく、作業者を健康被害から守れます。また、掃除の手間も軽減されます。

周囲に粉塵の影響を与えないため、他の作業を並行して進めることも可能です。

集塵丸ノコの使用用途

集塵丸ノコは、粉塵の出やすい石膏ボードやサイディングボードの切断に使用されることが多いです。他にも木材や金属、プラスチックなどさまざまな素材に対応できます。素材に応じて、適切なチップソーを選定することが重要です。

建築現場やリフォーム、家具製作、DIYなど幅広いシーンで利用されています。粉塵や切りくずが飛散しないため、作業現場を汚したくない方や、健康被害を防ぎたい方、掃除をラクにしたい方などに好まれています。

集塵丸ノコの原理

集塵丸ノコの原理

図1. 集塵丸ノコの原理

集塵丸ノコは、集塵機能をもつ吸引口を切断部近くに配置しています。これにより、粉塵や切りくずが飛散する前に吸引されるため、作業環境をクリーンに保てます。

吸引口から吸い込まれた粉塵や切りくずは、本体備え付けのダストボックス、または外付けの集塵機に集められる仕組みです。

集塵丸ノコの選び方

集塵丸ノコを選ぶ際に気をつけるポイントは、以下の3点です。

1. コードタイプ / バッテリータイプ

集塵丸ノコの電源供給には、コードタイプとバッテリータイプがあります。コードタイプは、バッテリーの容量を心配せずに作業できますが、コードがあるため取り回しがやや不便です。

バッテリータイプは、コードに煩わされないため操作性に優れます。作業が長時間になる場合は、予備バッテリーがあると安心です。

2. ダストボックスタイプ / 集塵機接続タイプ

ダストボックスタイプと集塵機接続タイプ

図2. ダストボックスタイプと集塵機接続タイプ

集塵丸ノコには、本体備え付けのダストボックスタイプと、外付けの集塵機接続タイプがあります。ダストボックスタイプは単独で使用できるため、手軽に持ち運べて作業性も良いです。しかし、容量が集塵機と比較して小さく、頻繁にゴミを処分する必要があります。

集塵機接続タイプは、ダストボックスタイプに比べて集塵率が高く、容量も大きいです。集塵機をホースで接続しているため、操作性は若干悪くなります。

3. コンセント連動タイプ / 無線連動タイプ

コンセント連動タイプと無線連動タイプ

図3. コンセント連動タイプと無線連動タイプ

集塵機接続タイプには、コンセント連動タイプと無線連動タイプがあります。コンセント連動タイプは、集塵丸ノコの電源を集塵機から取ることで、集塵丸ノコと集塵機のスイッチを連動させます。

無線連動タイプは、集塵丸ノコと集塵機をBluetooth接続することにより、無線でのスイッチ連動が可能です。

集塵丸ノコのその他情報

集塵丸ノコの使い方

集塵丸ノコの使い方は、大きく分けて以下の4ステップに分けられます。

1. 集塵丸ノコの準備
まず、石膏ボードやサイディングボード、木材、金属など、それぞれの素材に適したチップソーを集塵丸ノコに装着します。次に、切断する材料の厚さに応じて、刃の出しろを調節します。

材料から3〜5mm程度出るのが適切です。外付けの集塵機を使用する場合は、ホースが確実に接続されていることを確認します。

2. 切断作業準備
切断する材料を安定した台に置いて、クランプや万力などで固定します。材料には切断線をけがきます。

切り落とし側が大きい場合、材料がたわんで刃をはさみ、キックバックを起こすおそれがあります。切り落とし側にも受け材などの台を用意が必要です。

3. 切断作業
切断作業は、適切なスピードと進行方向を維持することが重要です。刃に圧力をかけすぎたり、進行方向が曲がったりすると、刃と材料が噛み合いキックバックを起こします。

キックバックが起きてもケガや事故につながらないように、切断線の真後ろには立たないようにします。また、コードやホースなども避けておく必要があります。

4. 切断作業終了後
作業終了後は、ダストボックスや集塵機のゴミを処分します。刃の点検もして、汚れていれば清掃、摩耗していれば交換などのメンテナンスも行います。

磁気ボール盤

磁気ボール盤とは

磁気ボール盤は、鉄骨などの鋼材に穴をあける電動工具です。

本体底面に強力な磁石が内蔵されていて、電源を入れると磁気ボール盤本体が磁力で鋼材に固定されます。磁石で本体を固定するため、鋼材以外の材料に取り付けることができません。

磁気ボール盤には、穴開け作業が全自動で行えるものと、手動タイプの2種類があります。全自動タイプは手動に切り替え可能です。

磁気ボール盤は持ち運びができ、一般的な電気ドリルより作業速度が速いため、大型機械で作業することのできない建築現場などでの穴開け作業に使用されています。

磁気ボール盤の使い方

磁気ボール盤本体を作業場所まで移動し、材料の加工場所で位置決めをします。

磁石スイッチを入れ、所定の位置でマグネットを吸着させます。このとき、マグネット表面に錆や異物が付着していると吸着力が弱くなるため、マグネット表面はきれいにしておきます。

ドリルスイッチを入れて送りハンドルをゆっくり動かし、ドリルの先を材料に当て、さらに力を加えて穴開け作業を行います。ドリルが材料を突き抜けるときは、ドリルにかかる抵抗が大きくなるため、送りハンドルにかける力を弱めます。穴開けが終わってもドリルのスイッチは切らず、ドリルを完全に引き戻してからスイッチを切りモーターを停止します。

全自動タイプの磁気ボール盤の場合は、ドリルのスイッチを入れると自動的にドリルが送られ、穴開けが終了するとドリルは自動的に戻ります。

磁気ボール盤の選び方

磁気ボール盤を選ぶときは、まず穴開け能力(穴開けサイズ・最大板厚)を考慮します。

ドリルやスチールコアは交換ができ、さまざまなサイズの穴を開けることができますが、最小穴開けサイズと最大穴開けサイズを確認する必要があります。また、最大板厚は穴開けが可能な鋼材の厚さです。加工する鋼材の厚さの最大値で選択するとよいでしょう。

磁気ボール盤のスペックとしては、他にもドリルやスチールコアが下がる長さの最大値である最大ストローク、モーターの無負荷回転数、マグネットの吸引力を表す最大磁力、ドリルの最大錐推力、マグネットで固定後に本体を移動させることができる移動量などがあります。穴開け作業を行う現場の状況に合わせて、これらのスペックを選択します。

また、磁気ボール盤には、全自動タイプと手動タイプ、電源コード付とコードレスタイプなどさまざまな種類があります。磁気ボール盤のタイプも作業現場に合わせて選択するとよいでしょう。

磁気ボール盤のサイズや重量も、現場の状況に合わせて選択するのが望ましいですが、磁気ボール盤のサイズや重量は、穴開け能力と連動している場合もあるため、双方を考慮する必要があります。

はつりハンマ―

はつりハンマ―とは

はつりハンマー

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はつりハンマーとは、コンクリートを叩き破壊するためなどに用いられる工具です。

電動ハンマーや電動ピックなどとも呼ばれ、英語ではchipping (チッピング) やbreak up (ブレイクアップ) と呼ばれています。一般的にはコンクリートに対して用いられるイメージが強いですが、先端工具を付け替えることにより管の打ち込みや土掘り、塗装の剥がしなど広い用途に用いることができます。

はつりハンマ―は、電動ドリルなどの工具で歯が立たない固いコンクリート構造物などでも、強力な打撃で破壊することができるため、建設現場などでは欠かせない工具です。

はつりハンマ―の使用用途

はつりハンマーは、コンクリートに打撃を与えて破壊することに適しており、主に道路工事や電気工事などで使用されます。

具体的な使用例は以下の通りです。

  • 道路の表面を削る作業
  • コンクリート構造物の取り壊し
  • コンセント用の穴あけ作業
  • 造園工事での地面の掘削
  • 石材の加工
  • タイルやレンガの取り外し作業

はつりハンマ―の構造

はつりハンマ―は、本体とブルポイントやチゼルと呼ばれる刃で構成され、通常電気で駆動します。人がノミをハンマーで叩くのと同じ原理で、先端に付いている刃を押しつけ、強い力で打撃することで、固いコンクリートや石材などを破壊します。

はつりハンマ―には、低振動機構を備えたものもあり、振動を抑制することで、作業者の負担を軽減し白蝋病を予防します。

はつりハンマ―の選び方

はつりハンマーを選ぶ際に気を付けることは、以下の通りです。

1. 軸の規格

はつりハンマーで使用する先端工具の軸をシャンクと呼び、製品により形状が異なります。六角軸は、軸の形状が六角になっいて、サイズは4~30mm まであります。軸の途中に凹みがありしっかり固定されるため、スリップすることがなく安定した作業が可能です。

SDS-MAX軸 (直径18mm) とSDSプラス軸 (直径10mm) は、ボッシュによって開発された規格です。SDSマックス軸は中・大型のタイプに使われることが多く、頑丈かつパワーロスの少ない規格です。SDSプラス軸は小型から大型まで幅広く、こちらもパワーロスが少なく最近の主流の規格です。

シャンクの形状が違うと、本体に取り付けすることができないため、購入する際は事前に確認する必要があります。

2. 打撃力

はつりハンマーの打撃力は製品によって異なり、6 J程度の軽いものから70 J程度の重いものまで広く存在します。一般的にサイズが大きく打撃力の強い製品を使う場合は取り扱いが難しく、また使用に伴う疲労も大きくなるため、目的に応じた打撃力を持つ製品を選ぶことが推奨されます。

3. 動力源

電源式のものとバッテリー式のものがあります。はつりハンマーは消費する電力が大きい工具のため、十分な打撃力を出そうとすれば充電は15分程度しか持ちません。長時間使用する場合は、電源式を選ぶことが推奨されます。 

はつりハンマ―のその他情報

はつりハンマ―を操作する際の注意事項

  • 作業する時は、目を保護するための保護メガネを着用し、顔を上にして作業するときは、防塵マスクを着用する必要があります。また、はつり作業で大きな音が発生する場合は、必要に応じ耳栓や耳覆 (イヤマフ) などの防音保護具を着用します。
  • 現場に接続されている電源が、電動ハンマーの銘板と一致しているか確認する必要があります。表示を超える電圧で使用した場合、速度が異常に速くなり、怪我の原因になります。
  • 作業中の感電を防ぐため、身体をアースされているものへ接触させないよう、注意する必要があります。
  • 壁、天井、床に穴を開けるときは、事前にケーブルやパイプが埋まっていることを確認する必要があります。
  • ダブダブの服やネックレスなどは工具に巻きこまれる恐れがあります。作業時はきちんとした服装で作業することで事故を予防します。

ダイヤモンドコアドリル

ダイヤモンドコアドリルとは

コアビット

図1. コアビットの構造

ダイヤモンドコアドリルとは、先端がダイヤモンド粒子でコーティングされたコアビットを使用し、硬い素材にも穴あけ加工ができる工具です。

通常のドリルと比較して切削力が高く、耐久性にも優れています。コンクリートなどの硬い素材に穴をあける場合、振動や打撃などの強い力が必要になるため、大きな騒音が出ます。

しかし、ダイヤモンドコアドリルは穴をあける際に回転の力しか使わないため、騒音を抑えられるのが特長です。

ダイヤモンドコアドリルの使用用途

ダイヤモンドコアドリルは、建設やリフォーム、インフラ整備、岩盤掘削のほか、石材やガラスなどの加工にも使われます。高い切削力と耐久性をもつため、硬いコンクリートの床や壁に穴をあけて水道管やガス管などの配管を通したり、岩盤を掘削して地質調査をしたりすることが可能です。

石材やガラス、タイル、セラミックなど、硬質でありながら脆い素材にも、ダイヤモンドコアドリルは有用です。適切な速度と圧力で作業をすれば、割れや欠けを防ぎながら穴あけ加工を行えます。

ダイヤモンドコアドリルの原理

ダイヤモンドコアドリルで使用されるコアビットは、極めて高い硬度をもつダイヤモンド粒子を先端にコーティングしています。これにより、コンクリートなどの硬い素材に対しても穴あけ加工が可能です。さらに、ダイヤモンドは耐久性が高いため、長時間の使用や大量の作業でも劣化しにくくなっています。

また、ダイヤモンドコアドリルは、ハンマードリルのような打撃力を使わず、回転の力だけを利用するのが特長です。これにより、振動や騒音を抑えられるほか、石材やガラスなどの脆い素材であっても、破損させることなく穴あけ加工ができます。

ダイヤモンドコアドリルの選び方

ダイヤモンドコアドリルを選ぶ際に気をつけるポイントは、以下の4点です。

1. サイズ

ダイヤモンドコアドリルは、小型のものから大型のものまで、さまざまなサイズの製品があります。あけたい穴の径に応じて、適切なサイズを選ぶことが大切です。

2. ポールベースタイプ / ハンディタイプ

ポールベースタイプとハンディタイプ

図2. ポールベースタイプとハンディタイプ

ダイヤモンドコアドリルには、ポールベースタイプとハンディタイプの2種類があります。ポールベースタイプは、ベースを床や壁にアンカーで固定できるため、大きな穴や深い穴でも安定した穴あけ作業が可能です。

ハンディタイプは、小さな穴や浅い穴を効率的にあけるのに適しています。ポールベースタイプとハンディタイプのどちらにも対応可能なハイブリッドタイプもあります。

3. 湿式タイプ / 乾式タイプ

ダイヤモンドコアドリルには、湿式タイプと乾式タイプの2種類があります。湿式タイプは摩擦熱を低減できるため、コアビットの劣化を抑えます。水を使うため養生や掃除が必要です。

乾式タイプは、水を使わないため通常のドリルと同じ感覚で使えます。しかし、摩擦熱によってコアビットが劣化しやすいほか、粉塵が出るのが難点です。

4. 取り付けネジ規格

ダイヤモンドコアドリルは、コアビットの取り付けがネジ式になっています。AロッドやCロッド、M27など、いくつか規格があるため、ネジ規格が合うようにドリル本体とコアビットを選ぶことが大切です。

異なる規格を使いたい場合は、ネジ規格を変換できるレジューサーがあります。

ダイヤモンドコアドリルのその他情報

ダイヤモンドコアドリルの使い方

ダイヤモンドコアドリルの使い方は、大きく分けて「マーキング」「ドリルの準備」「穴あけ作業」の3ステップに分けられます。

1. マーキング
ガイドリングと芯出しシート

図3. ガイドリングと芯出しシート

正確な作業ができるよう、穴あけ位置にマーキングをつけます。ガイドリングや芯出しシートなどの治具が付属している製品もあります。

2. ドリルの準備
穴あけをする素材の硬さや穴の大きさに応じて、適切なコアビットを選択します。ドリルの回転速度やトルクの設定は、硬い素材であれば低速、高トルクが適切です。

3. 穴あけ作業
まずは治具やセンターピンを利用して、3〜5mmの案内溝を作ります。案内溝ができたら、治具やセンターピンを外して、本格的な穴あけ作業に移ります。

対象を破損させないよう、適切な回転速度と圧力を維持することが肝要です。穴あけ完了間際は、安全のため回転速度と圧力をゆるめます。

コアビットは摩擦熱で熱くなります。そのため、火傷に注意し、作業環境に応じて保護メガネや防塵マスク、耳栓など保護具の着用が必要です。

インパクトドライバー

インパクトドライバーとは

インパクトドライバーとは、ねジを締める際や穴あけを行う際に使用する電動ドライバーの一種です。

回転の力だけでなく打撃の力も加えることができる強力な製品を指します。パワーが強い点が特徴であり、通常のドライバーよりも高速でねじを締めることが可能です。

また、先端のビットを付け換えることでボルトやナットなどの締め付けも可能な製品が販売されています。

インパクトドライバーの使用用途

インパクトドライバーは作業効率を向上させるために使用されます。具体的な使用用途は、以下の通りです。

  • 工事現場における組立作業
  • DIYにおける木工工作
  • 工場などにおける保全作業

いずれも電動工具を使用せずに実施することは可能ですが、インパクトドライバーやインパクトレンチを使用することで、作業効率が向上します。

また、電動で締結するため作業員の力加減による締結力のばらつきも発生しないという利点があります。

インパクトドライバーの原理

インパクトドライバーは、アンビル、ハンマー、スプリング、モーター・バッテリーなどから構成されます。

1. アンビル

アンビルとはビットと呼ばれる部分保持する器具です。インパクトドライバーの場合、プラス・マイナスドライバーをビットに使用します。アンビルがハンマーと締結された状態で回転することでドライバーを共に回転させます。

2. ハンマー

ハンマーはアンビルを叩いて衝撃を与える部品です。アンビルとの締結部分は遊びを持たせたうえで斜めに溝が切ってあり、設定した応力を超えると締結が解かれてアンビルに衝突します。

3. スプリング

スプリングはハンマーを押し付けるパーツです。ハンマースプリングとも呼ばれます。常にハンマーをアンビル側に押し付けており、ハンマーへ力を加える役割を担っています。

4. モーター・バッテリー

インパクトドライバーは多くの製品が直流モーターとバッテリーによって動力を得ています。バッテリーの電力を直流モーターで回転力へ変換しています。バッテリーは取り外し可能な製品と、本体と一体型の製品があります。

インパクトドライバーの選び方

インパクトドライバーを選定する際、重要な基準は以下3点です。

1. 形状やサイズ

インパクトドライバーにはいくつか形状があります。最も一般的なのは、持ち手とビットの先端が90°となった形状です。ヘッド部分と持ち手が一直線になるペン型も販売されています。

ペン型の中には、持ち手を90°折り曲げて使用できる製品もあります。作業場所が狭いためにインパクトドライバーがに入らない場合は、持ち手の角度を調節できるペン型を重宝します。

2. トルク (パワー)

インパクトドライバーの性能指標の一つがトルクです。トルクとは締め付けの力を表した単位であり、N・m (ニュートン・メートル) で表されます。トルクの値が高いほど締め付けが強いことを示します。ただし、トルクが高いほど重量や価格が高くなります。

使用する際、ねじ山を潰す危険もあるため注意が必要です。予算や使用シーンに合わせて適切なものを選定します。

3. ビットの形状

インパクトドライバーを使用する場合、ビットの付け替えによってさまざまな材料を締めつけることが可能になります。種類によって対応しているビットが異なるため、使用したいビットに合うものを選定します。

インパクトドライバーのその他情報

インパクトドライバーの使い方

インパクトドライバーの使い方は電動ドライバーと大きく変わりません。一般的な電動ドライバーと同様に充電式となっているものが多いため、バッテリーをしっかり充電した上で使用します。

作業を行う場合は、締めたいねじにあわせて先端のビットを交換し、ネジ山にしっかり合わせてトリガーを引きます。製品によっては回転速度の変更も可能です。トリガーを押す強さによって回転速度が変化するものや、ボタンによってあらかじめ速度を選んで使用するものがあります。また、多くの製品ではプッシュボタンで回転方向を切り替えることも可能です。

ダイヤルゲージ

ダイヤルゲージとはダイヤルゲージ

ダイヤルゲージとは、製品の寸法精度を測ったり、設備や機器などの静的精度、動的精度を測るための計測機器です。対象物に測定子を当てることで針が振れ、目盛りを指します。ダイヤルゲージは実寸法を測ることはできません。

しかし、基準寸法からの差を見るのに適しており、基準寸法を0点としたときに、出来上がり寸法にどれだけ差があるかを測ることが、主要な目的になります。ダイヤルゲージには「てこ式」と「スピンドル式」があり、使用目的に合わせて適した方式のものを使い分ける必要があります。

ダイヤルゲージの使い方

ダイヤルゲージは、基本的にスタンドや治具に固定して使います。

スタンドは、マグネットスタンドと呼ばれるものが多く、台座部分にマグネットがついており、磁力によってスタンドを固定します。

アーム部分は締め付けネジを緩めると、比較的自由に可動するので、取り付け姿勢を考えながら測定子を測定対象に当てます。測定子の当て方は、「てこ式」は測定物に対してなるべく平行になるよう当てるのに対し、「スピンドル式」は測定物に対し、垂直となるように当てるようにします。

ダイヤルゲージの選び方

ダイアルゲージを選ぶ際は、まず「てこ式」か「スピンドル式」かを選択します。「てこ式」は、設備の静的精度を測るのに適しており、「スピンドル式」は、寸法精度を測るのに適しています。動的精度を測る場合は、動きが大きいところでは「スピンドル式」の方が測りやすくなります。

  • てこ式ダイヤルゲージ
    てこ式ダイヤルゲージは、平行度や軸の振れ、設備のガタなどを測るのに適しています。1目盛りが0.001mmのものや0.01mmのものがあり、測定基準に合わせて最小目盛りを選ぶ必要があります。測定子が長いタイプや、短いタイプをあるので、測定物の形状や測定場所などに合わせて選ぶことが出来ます。測定子は、細くて折れやすいので取り扱いには注意が必要です。
  • スピンドル式ダイヤルゲージ
    スピンドル式ダイヤルゲージは、測定子の可動域が大きいため、動作の繰り返し精度を測ることができます。また、治具と組み合わせると、外形寸法や段差などを簡単に測ることができるため、寸法精度の測定にも適しています。