直流クランプメーター

直流クランプメーターとは

直流クランプメーター

直流クランプメーターとは、クランプメーターの一種であり、直流 (DC) 電流を測定するものです。

他にも、交流 (AC) クランプメーターや交直流両用 (AC/DC) クランプメーターがあります。ただし、直流専用のクランプメーターは微小電流測定等限られた製品しか見当たりません。通常は、交直両用のクランプメーターを利用して直流電流を測定します。

クランプメーターは、被測定回路の電線を挟むことでそこを流れる電流値の測定が可能です。通常、電流値を測定する場合は、一旦回路を切断して電流計を挿入する必要がありますが、クランプメーターでは電線をヘッド部に挟むだけなので、手軽な上安全性にも優れた方法です。

直流クランプメーターの使用用途

直流クランプメーターは前項で記した通り、微小電流測定に使用されており、0.1mAから100mA程度の電流測定に対応します。一方、一般的な交直両用のクランプメーターは10mAから100A以上の測定レンジであることから、半導体電子回路で使うには直流クランプメーターが適しています。

なお、直流高電圧回路用に特化した直流クランプメーターは製品化されておらず、交直両用のクランプメーターが利用されます。クランプメーターでは、回路を切断せず電流を測定するので、高電圧回路でも比較的安全に作業することが可能です。特に電気工事の際は非常に便利であるため、電気工事などの際にも重宝されています。

直流クランプメーターの原理

直流クランプメーターを含むクランプメーターでは、測定したい電線を挟むクランプ部とクランプ部が検出した磁界の強さを電流値に換算して表示する処理部から成ります。通常、電線に電気が流れている場合は、その電線の周辺に磁力線が発生しています。この磁力線をクランプ部のコアに閉じ込めます。

クランプ部の構成は、磁性体材料から成るコアとコア内の磁力線を検出する手段の2つです。また、コアの一部が分割できる構造で、そこを通して電線を挟みます。なお、測定時にはコアを閉じた状態にします。交流電流用のクランプ部では、コアにコイルを巻きトランスの原理を利用して挟んだ電線に流れる電流を検出するタイプが広く使われていますが、これでは直流電流を測定することはできません。

直流電流を計測するクランプ部は、ホール素子をコアの内部に埋め込んだものが主流となっています。ホール素子は、コア内の磁力線の密度に応じた電圧を出力するホール効果を利用するため、直流であっても電流測定が可能です。また、交流電流にもホール素子は反応するので、その出力電圧を測定してケーブルに流れる電流値を算出することができます。

従って、ホール素子を使ったクランプ部は交直両対応のものが主流ですが、コアが磁化されるとその影響で電流値の測定誤差が大きくなる欠点があります。そのため、定期的にコアの残留磁気を除去することが必要です。なお、ホール素子の出力電圧から電線に流れる電流を求める部分は処理部が対応します。

直流クランプメーターのその他情報

直流クランプメーターの使い方

1. クランプ方法
クランプメータ-の操作は、ケーブルをヘッド部で挟むだけの至極簡単なものです。ケーブルをヘッドの中心に置くと測定誤差が小さくなりますが、多少ズレても大きな影響はありません。

2. 電流の向き
直流電流測定の際は、ケーブルに流れる電流の方向に注意が必要です。一般的なクランプメーターのヘッド部には”+”と”-“が表示がされています。これが電流の向きを示すガイドとなり、直流電流が”+”から”-“方向に流れる場合はプラスの電流値、”-“から”+”方向に流れる場合はマイナスの電流値となります。

3. リーク電流測定
機器に流れる電流を測定する場合は、往路もしくは復路どちらかのケーブルをヘッドに通します。しかし、機器内部で漏洩電流があると、アース (大地) に電流の一部が流れるため、往路の電流に対して復路の電流が若干少なくなります。

そこで、アース線にクランプ部を挟んで流れる電流を測定すると、リーク電流と見なすことが可能です。なお、リーク電流は数mAから数十mA程度なので、微小電流測定に適した直流専用のクランプメーターはこの用途にも合致します。

直流検電器

直流検電器とは

直流検電器 (英:direct current electroscope) とは、直流回路の活電状態を判別するための専用機器のことです。

直流検電器の検知部を調べたい電路に接触させることで、その中に電気が通っているか否かを調べることができます。

通常、電気が流れている回路は交流電圧が使用されていることが多く、検電器においても交流電圧専用の検電器が一般的です。電車の線や電気ケーブルなど一部直流回路を使用している場合があり、種類が異なる検電器を使うと、感電の可能性があるため注意が必要です。

直流検電器の使用用途

直流検電器を使うのは直流回路の場合です。身近には、電車の線や発電所のケーブルなどがあります。

具体的用途は、直流式電気鉄道の電車線・電車用変電所などの電路、電気めっき・電気分解・電気精錬などの設備の電路、直流式特別高圧送電の電路などです。また、発電所・変電所・受配電設備などの直流操作回路、非常用電源・発電機起動用に使用される蓄電池回路などにも使われます。

さらに、点検、測定及び試験の際に直流が使われる場合の用途もあります。ケーブルなどによる直流絶縁耐力試験回路に使用し、また、電気設備の電気工事・定期点検などで、停電時における進相用コンデンサーの残留電荷を確認する場合にも使います。

電気工事を行う際は、検電器を使って電気が通っていないことを確認した上で作業を始めます。高圧電流が流れている場合には保護具などを着用することが大切です。

直流検電器の原理

直流検電器は、検知部を接触した場所に電気が通っているかを調べる機器です。検電方法により原理が異なります。

1. 箔検電器

電源が不要で、静電気を検出する際に使われます。1方に2枚の金属箔、もう1方に金属板がついた金属棒を、密閉された容器の蓋から差し込んだ構造です。研究・教育用に多く使われます。

2. 風車式検電器

イオンの移動を検知すると、風車と呼ばれる車輪が回転します。電池が要らず経年による劣化が少ない検電器です。高電圧設備の活線状態の調査に使われます。

3. ネオン式検電器

内部に内蔵しているネオン管が帯電を感知すると発光します。周囲環境が明るい場合は、ネオンの発光が見にくいデメリットがあります。

4. 電子式検電器

  • 静電容量式

    電線などの測定物と検電器の間に静電容量が生成され、同時に、人体と大地の間にも静電容量が生成されます。測定物に電圧がかかった時に人体を通って微小な電流が流れ、これを増幅してLEDライトを点灯させ、アラーム音を鳴らします。

  • 液晶式

    液晶に鏡を接触させ、液晶の反対側に発光素子と受光素子を設置します。停電状態では、発光素子からの光が、液晶を通過し鏡で反射して再び液晶を通って受光素子に達します。この時液晶は透明です。電圧がかかると、加圧部を中心に静電界が構成され、液晶が黒色に変化します。色の変化を目視して、判別が可能です。

直流検電器の種類

1. 電源の種類別

  • 交直両用

    直流回路か交流回路どちらかを使用しているかによって使う検電器の種類が変わります。回路が不明の場合は、両方の電圧が感知できる直交流検電器を使います。接地線が付いており、直流の測定には必ず接地します。

  • 直流用

    直流専用の検電器です。接地線が付いているので、必ず接地してから使います。

2. 電圧による種類

  • 低圧用

    直流750V程度以下に使用します。感度調整ができるタイプもあります。

  • 高低圧用・特高用

    電力設備などの検査に使います。高低圧用は直流7kV程度まで、特高用は直流90kV程度まで感知が可能です。

直流検電器のその他情報

直流検電器の使い方

直流検電器の使い方の第1歩は、感度を調整することです。感度が高すぎると、本来検電したい電線以外の電気を検出することがあります。感度調整をする部分は通常蓋がしてあり、蓋を開けて調整します。ー (マイナス) 側にすれば感度が弱くなります。最初はー側に最大に調整します。

次に電源ボタンを押すと、検出端のランプが光ります。光らない場合は、電池交換が必要です。そして測定場所に検知部が触れると、異なる色に光って音が出ます。電気が流れていない場合は白い光のままで、すぐ判別が可能です。

厚銅基板

厚銅基板とは

厚銅基板とは、使用されている部分の厚みが大きい銅基板の一種です。

通常の銅基板であれば、銅厚は30‐100μm程度ですが、厚銅基板に使用されている銅厚は140μm以上にもなります。銅厚が厚いことで、通常の銅基板では流すことのできないような大きな電流を流すことができ、より高出力の機械を動かすことができるようになりました。最近では高出力の機械が一般的になったので厚銅基板を使用する機会も増えています。

厚銅基板の使用用途

厚銅基板は、高出力や高電流なものを流すために必要な基盤であり、高電流を流した時に発生する熱を放散できます。そのため小型で高電流を流したい場所に使用されることが多く、その中でもより耐久性が必要な製品によく搭載されます。特によく使用されているものは、パワーモジュールという自動車向けの電子部品です。

もともと自動車の電源と電子機器への配電は専用の配電を行っていましたが、複雑な配線が必要なためにかなりのコストがかかっていました。しかし、厚銅基板を用いて高電流を流せるようになったため配線設計がしやすくなり製品の小型化が可能になりました。

厚銅基板の原理

通常の銅基板では銅厚は15~35μm程度のものが多いですが、厚銅基板では銅厚が140μmを超えています。銅自体の熱伝導率が高いため、銅厚みを厚くすることによってより小さな面積でも多くの電流を流すことが可能になります。

また基板自体の放熱性が高いことも特徴です。基板の放熱性が高まることで、部品の動作時の温度が上がらず効率よく部品を動かすことができ部品の寿命も長くなりやすいです。

厚銅基板の種類

厚銅基板には大きくわけて4つの種類があります。

  1. 金属加工したバスバーを回路に埋め込むような製法で作られるバスバー基板
  2. ザグリ加工をすることで導体をむきだしの状態にした放熱性の高いキャビティー基板
  3. 高熱を発する部品の直下に銅が注入されている放熱性の高い銅インレイ基板
  4. 1つの基板の中で厚みの異なる銅パターンが入っている同一面異厚銅基板

同一面異厚銅基板は、同一面で複数の配線を設計できます。使用用途にあわせて選定することが重要です。

アスファルト補修材

アスファルト補修材とは

アスファルト補修材

アスファルト補修材とは、車両の通行や天候の変化によりひび割れや凹み、擦り減り等の老朽化したアスファルトを、部分的に補修するための補修材です。

ホームセンターなどで手軽に購入することができ、補修する箇所に補修材を流し込み、転圧をかけるだけで施工ができる「揮発硬化タイプ」から、流し込んだところに水をかけて硬化を促進させる「化学反応タイプ」の2種類があり、それぞれで用途や特徴が異なりますので、施工の種類によって使い分けます。

アスファルト補修材の使用用途

主に道路工事において老朽化したアスファルトの補修工事から仮復旧作業、さらに家庭の駐車場補修や雑草避けのための舗装など、規模の大小に関係なく様々な場面において使用されています。

化学反応タイプの補修材は、全天候型となっているため、雨天時や施工場所が湿潤状態でも使用可能となっており、道路の補修工事には最も適しています。

揮発硬化タイプは、耐久性では劣る反面、水を必要とせず、スコップなどで転圧をかけるだけで施工できますので、管の仮復旧作業に使われています。

アスファルト補修材の特徴

アスファルト補修材は、補修している間の道路封鎖時間をなるべく最小限に抑えるため、流し込んで転圧をかけた後、およそ1~2時間程度で硬化する早さが特徴です。

補修材は、硬化した後の硬さが硬すぎると車両通行時の歪みでひび割れが起きやすくなりますので、ある程度柔軟性を持たせて歪みに追従できるような柔軟性と硬化のバラつきにくさが求められます。

アスファルトには、冷えると固まる性質を持つ「加熱式」と、常温保存が可能な「常温合材」に分けられます。

加熱式は、加熱してから使用するため緊急の補修には適しておらず、新たに道路や駐車場を新設するときに使用するのに対し、常温合材は袋詰めで保管できてすぐに使えるため、補修材としては常温合材が使われています。

常温合材は種類によって強度やコストが異なり、揮発硬化タイプは強度が低い分安価なのに対し、化学反応タイプは強度に優れている反面、価格が高価なのがデメリットです。

半導体レーザー

半導体レーザーとは

半導体レーザーとは、レーザー発振の媒質として半導体を使用しており、電流を流すことでレーザー光が放出されます。一般的にはレーザーダイオードとも呼ばれています。

レーザー発振器として、現在多くの機器に使用されています。

あらゆる分野で使用されている理由としては、レーザーとして小型が可能、レーザー発振が低電圧、低電流で行える、光への変換効率が高い、異なる波長のレーザーを作りやすい特徴があるためです。

半導体レーザーの使用用途

半導体レーザーの用途範囲は多岐に渡りますが、レーザー光の波長や出力によって適用できる分野が変化します。

例えば光の波長はエネルギーの強さと密接に関わってきます。

そのためレーザー波長が長くてエネルギーの低いものは、自動車の衝突防止などのセンサー、光計測器、レーザー通信などに使用されます。

他方で波長が短くエネルギーの強いものは、ブルーレイやDVDのレーザによる書き込み、プリンター、レーザー加工などです。

半導体レーザーの原理

半導体レーザーが光を効率良く放出できるのは、電流を流すことで発生させることが可能だからです。これは電流を熱エネルギーに変換していた白熱電球とは異なります。

半導体レーザーの内部は簡単に述べると電極の間に、P型領域、発光層(活性層)、N型領域と呼ばれる層を形成しています。

電極より電流を流すと、P型領域からホール(正孔)、N型領域から電子が発光層に流入します。

その発光層でホールと電子が結合して光を放出しますが、この段階ではレーザー光としての特性は持ちません。

放出された光は他の電子に刺激を与え、刺激を受けた電子がホールと結合し光を放出していきます。これを誘導放出と言います。

また発生層内のミラーにより光は反射していくため、さらなる誘導放出が促され、光は増幅されて強いレーザー光となり外部へ放出されます。

近年は半導体の微細構造化も進んできたため、半導体レーザーの発光効率も著しく向上していますので、応用範囲の拡大も期待されています。

アルコールチェッカー

監修:HOUSEI株式会社

アルコールチェッカーとは

アルコール検知器

アルコールチェッカーとは、呼気中のアルコール濃度を数値化する端末機です。

対象者が息を吹きかけることで、簡単に同数値のチェックができます。道路交通法の改正により事業運転者の運転前後のアルコールチェックが義務化されており、対象は緑ナンバーだけでなく白ナンバー車 (注1) にも拡大されています。自動車運転の適性を迅速かつ正確に判断可能ですが、事業運営形態に合わせて業務負担軽減と効率化を考慮して選ぶことが大切です。

対象となる事業者は安全運転管理者を選定し、安全運転管理者は運転者のアルコールチェックの実施に立ち会い、目視の確認とともにそのチェック結果を記録する必要があるため、運転者と安全運転管理者の日々の必須業務になります。チェック記録は専用の台帳に記載し1年間保管が必要です。

(注1) 白ナンバー車5台以上、定員11人乗り以上の自動車1台以上保有の事業者で、二輪車は0.5台として算出します。

アルコールチェッカーの使用用途

アルコールチェッカーは、飲酒運転およびそれにより引き起こされる事故を未然に防ぐことを目的に使用されます。安全性と健康、さらに企業のコンプライアンス遵守を重視する現代社会において、その重要性は増しています。

アルコールチェックは社会全体の安全意識を高め、飲酒運転によるトラブルを未然に防止する助けとなります。安心で安全な社会を築き、また企業においても従業員の安全確保や信頼性向上にも貢献し、企業全体のパフォーマンスを向上させることが可能です。アルコールチェッカーの普及と積極的な活用によって、より安全で持続可能な社会を実現することが期待されます。

アルコールチェッカーの原理

アルコールチェッカーは、主に半導体式ガスセンサーと電気化学式 (燃料電池式) センサーの2つの主要なタイプに分類されます。

1. 半導体式ガスセンサー

半導体式ガスセンサーは、金属酸化物の半導体素子を用いてアルコールの濃度を検知します。アルコールガスがセンサーに触れると金属酸化物の表面で化学反応が起こり、抵抗値が変化します。この変化を利用してアルコールの濃度を推定します。半導体式ガスセンサーは、小型・軽量で低コストなため、一般的な携帯型アルコール検知器に広く利用可能です。

2. 電気化学式センサー

電気化学式センサーは、アルコールガスの酸化反応に基づいて検知します。アルコールガスがセンサーに到達すると、触媒表面で酸化反応が起こり、電流が生成されます。アルコールの濃度が増すと電流の変化も増加します。このセンサーは高精度かつ高感度であり、産業用アプリケーションや呼気アルコール検査装置に使用されることがあります。アルコールチェッカーのセンサーは劣化するため、法令により定期的なメンテナンスが必要です。

アルコールチェッカーの種類

アルコールチェッカーの主な種類と特性は下記の通りです。

1. 据え置き型アルコールチェッカー

据え置き型アルコールチェッカーは、オフィスや職場での点呼におけるチェックに最適です。共通の検知器を交代で利用、直接口をつける部分は各自のマウスピースやストローを用いる機種が多いです。設定や使い方も事業所ごとに統一されており、メンテナンスや管理も容易です。据え置き型には、更に連携する機器があり、連携する機器によりそれぞれ特性があります。

  1. PCアプリ接続型
    PCと専用のアプリを立ち上げ、個人のID番号を入力して、個人を特定してから、検査結果を記録するタイプです。PCを設置するスペースが必要になります。
  2. 顔認証端末連携型
    PCを介せず顔認証で個人を特定して、検査値などを自動記録するタイプです。検査中の画像も自動保存される機種もあります。顔認証端末はPCと比べ小さいことから、省スペースにもなります。

2. 携帯型スマートフォン接続アルコールチェッカー

営業担当者やフィールド作業員など、外出先でのアルコールチェックに便利なモバイル型アルコールチェッカーです。直行・直帰、出先でのアルコール検査に有用です。

スマートフォンと接続することで個人を特定し、時間と場所を選ばずにチェックが可能になります。チェックされた記録データはスマートフォンアプリに保存され、更にサービスによりますが、クラウド上にチェック記録データが送信されます。主に運転者1人につき1台保有するケースです。

顔認証端末連携型やスマートフォン接続連携型は、なりすましやミス不正の防止効果が高い特性もあります。いずれのタイプも機種によりチェック記録の自動エクセル記載機能もあり、日々のチェック業務に大変便利です。

本記事はアルコールチェッカーを製造・販売するHOUSEI株式会社様に監修を頂きました。

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産業用SSD

産業用SSDとは産業用SSD

産業用SSDとはSSDの1種で、その名称の通り産業用の装置や機器に組み込まれるSSDです。

SSDについてはすでに知られているように、Solid State Driveの略称で、機器に内蔵するメモリーチップに必要なデータを読み書きします。

SSDは衝撃に強い、データの読み書き速度が速い、チップ自体のサイズが小さいなどの特徴があります。産業用SSDはそれらの特徴をさらに高性能にした記録媒体になります。

産業用SSDの使用用途

産業用SSDの使用用途は製造業や寒暖差の激しい極地、医療機器など高耐久、高品質が必要な箇所に組み込まれます。

その適用範囲は据え置き型の大型装置から、持ち運びが容易なポータブル機器に及びます。

これまでは産業分野で使用されることの多かったSSDですが、近年はオフィス製品や家電などにも適用されるようになってきました。

私たちの身近な製品にも高耐久、高速性がより求められるようになったということです。

産業用SSDの特徴

産業用SSDは一般のSSDとほぼ同じですが、以下のような違いがあります。

1つは幅広い温度範囲でも使用できる高耐久性です。基本は0~85℃程度の温度範囲を持ちますが、温度拡張版もありマイナス30~85℃で動作するものもあります。

2つ目は長期利用可能の実現です。産業用に使用するSSDは絶えずデータの読み書きを繰り返し、かつ膨大なデータを保存しますが、メモリーチップも摩耗していき故障します。

そのため1つのセルに1バイトのデータを保存できるSLCを採用しています。SLCは非常に高い耐久性と信頼性を持つ反面、大容量には向かないという特性を持っていました。

しかし技術進歩により大容量の問題も解決されたため、産業用SSDへ適用されました。

3つ目はデータ読み書きの高速性です。読み書き速度は3000~3470MB/秒程度になります。製品にもよりますが、一般のSSDがおおよそ500 MB/秒なのを見ると約6倍の速さになります。

パワー半導体

パワー半導体とは

パワー半導体とは大きな電流や、高い電圧に対して壊れることなく取り扱うことが可能な半導体です。

名が示すように導体と絶縁体の両方の特性を持つのが半導体で、電気の整流や信号の増幅、電気のスイッチングを行います。

通常の半導体は小さな電圧を扱うように設計されています。そのため大きな電圧を扱うと発熱によって機器などの内部が高温化となり故障の原因となりますが、パワー半導体はこれらを効率よく扱う技術が組み込まれています。

パワー半導体の使用用途

PCなどに使用されている半導体は電圧をかけてデータの記録や演算を行うのに対し、パワー半導体は電力の制御や供給が主で、大きな電圧や電流を扱います。

そのためパワー半導体の使用用途はテレビやエアコンなどの白物家電から自動車、鉄道、発電装置など、その範囲は幅広いです。

現在の主力分野は産業機器になっていますが、環境・エネルギーや自動運転が注目を浴びていますので、今後はエネルギー分野や自動車分野への供給が多くなっていくと考えます。

パワー半導体の特徴

パワー半導体は大きな電圧、電流の制御と供給が主な働きですが、どこからパワー半導体となるのか定義は明確に決定されていません。

製造メーカーにもよりますが、定格電流がおおよそ1A以上のものを扱うとされています。

パワー半導体の働きは以下の4つになります。

  • 1つ目はコンバーターとしての役割です。発電所から流れてくる電流は交流ですが、家電は直流で動作するため、この変換を家電内のコンバーターで行います。
  • 2つ目はインバーターです。コンバーターが変換した直流を交流に再度変換します。このインバーターで装置や家電製品のモーター制御を行います。
  • 3つ目は周波数変換です。現在の一般家電製品ではあまり気にしませんが、産業機器や電機工具などはある特定の周波数でしか稼働しないものがあるため、機器内部のパワー半導体で変換しています。
  • 4つ目はレギュレーターです。直流の電圧を安定化させるために使用します。交流から変換された直流は不安定なためレギュレーターを使用します。

IPD

IPDとは

IPDとはInteligent Power Deviceの略で、半導体パワースイッチと呼ばれ、別称としてIPS、スマートスイッチとも呼ばれます。

IPDは過電流や過電圧など、装置に負荷異常が発生したとき、スイッチがオフ状態となり逆起エネルギーを吸収して保護する機能を有しています。

半導体スイッチとしてはMOSFETが有名ですが、こちらは負荷異常が発生した場合にスイッチ自体が故障しますので、IPDはそれよりも高性能になります。

IPDの使用用途

IPDは過電流、過電圧、ショート、過熱などの負荷による故障を保護するため、使用用途はさまざまな範囲に適用されます。

例えば故障による装置の停止が起こった場合に大事故や人の生命に関わってくような箇所で、電気自動車や建設機器や工事用車種、製造業用装置、医療用装置の部品がメインターゲットです。

機器内部のランプ、ヒーター、モーター、ソノレイドなど逆起エネルギーが発生するものに搭載されます。

その他にも大型のサーバーやPCも対象なります。

IPDの特徴

IPDのスイッチング構造原理は一般的な半導体スイッチの構造とは違います。

例えばMOSFETの場合は回路のどこかでショートが発生すると、過電流が流れ故障となり装置や機器は動かなくなります。

しかしIPDは回路上でショートが発生して過電流が流れても、そのエネルギーを吸収する回路と過電流や過熱から保護する回路を組み込んでいるので故障せずスイッチとしての機能が維持されます。

IPD2つ目の特徴はヒューズとしての役割です。

ヒューズは過電流が流れた場合に、それ以上電流が回路に流れ込むのを止めますが、復帰には新たなヒューズへ交換する必要があります。

しかしIPDをヒューズに応用すると過電流遮断はヒューズと同じですが、過電流を検知および自己復帰型であるため交換を必要としません。

3つ目はリレーとしての特徴です。

IPDは電気回路のオンオフを電流で行うため、機械的な接点持つ通常のメカリレーと比較し信頼性が上です。

デプロイメント

デプロイメントとは

デプロイメント (英: Deployment) とは、アプリケーションやサービスなどの開発工程でシステムをユーザーが利用できる状態にする活動です。

デプロイやソフトウェアデプロイメントとも呼ばれ、ソフトウェアシステムを利用可能にするための活動全般を示す言葉です。

デプロイメントには構成するプログラムをパッケージ化、使用する環境に導入できる状態にするビルドやリリース、実際にプログラムを導入するインストール、プログラムの設定やライセンス認証をするアクティベートなどの操作が含まれます。

デプロイメントの使用用途

開発したアプリケーションやサービス、そのアップデートをユーザーが利用できる状態にするためにデプロイメントを行います。通常は、その際にアプリケーションの停止やサーバーの再起動が必要です。

デバッグによってソースコードをコンパイルし、1つの実行ファイルにまとめます。アプリケーションを停止した後に作成したファイルを実行して環境にプログラムを導入し、サーバーの再起動をして動作確認を行います。異常がなければデプロイメントは完了です。

デプロイメントの原理

デプロイメントの種類によって原理が異なります。具体的には、ブルーグリーンデプロイメント (英: Blue/Green Deployment) 、イミュータブルデプロイメント (英: Immutable Deployment) 、シンボリックリンクデプロイメント (英: Symbolic Deployment) 、ローリングデプロイメント (英: Rolling Deployment) などがあります。

1. ブルーグリーンデプロイメント

ブルーグリーンデプロイメントでは現在の本番環境のブルーと開発する新環境のグリーンの2種類を用意します。新環境のデプロイメントが完了したらブルーとグリーンを入れ替えてアップデートします。

2. イミュータブルデプロイメント

イミュータブルデプロイメントでは新環境に切り替えて問題がなければその都度元の環境を破棄します。ブルーグリーンデプロイメントと似ていますが、旧サーバーを残さない点が大きく違います。

3. シンボリックデプロイメント

シンボリックデプロイメントでは現在のプログラムとは違う場所に新しいプログラムを配置してシンボリックリンクを変更して切り替えます。つまり2つサーバー環境があるブルーグリーンデプロイメントやイミュータブルデプロイメントとは異なり、サーバー環境が1つです。

4. ローリングデプロイメント

ローリングデプロイメントではサーバーを複数用意し、順番にデプロイメントを行います。

デプロイメントの選び方

デプロイメントは実施する要件や環境で選択される方法が違います。

1. ブルーグリーンデプロイメント

ブルーグリーンデプロイメントはグリーン環境の構築中でもブルー環境を引き続き起動でき、継続的にシステムを使用可能です。新環境で問題が起こっても元の環境に簡単に戻れます。システムを停止するダウンタイムはほとんど発生しませんが、両方の環境を維持するコストがかかります。

2. イミュータブルデプロイメント

イミュータブルデプロイメントはグリーン環境に問題なく移行した際にブルー環境を消します。旧サーバーを残すブルーグリーンデプロイメントと比べて環境を維持するコストが低いです。

3. シンボリックデプロイメント

シンボリックデプロイメントはサーバーを増やさないため、低コストで済みます。しかしサーバーが1つしかないため、再起動を求められたりサーバーエラーが起きた場合に複数のシステムが影響を受けるリスクがあります。

4. ローリングデプロイメント

ローリングデプロイメントは高速に実行されます。ただし新旧の環境が混在し分離できないため、リスクがあります。デプロイメントが成功しなかった場合にはロールバックプロセスが複雑です。