直流検電器とは
直流検電器 (英:direct current electroscope) とは、直流回路の活電状態を判別するための専用機器のことです。
直流検電器の検知部を調べたい電路に接触させることで、その中に電気が通っているか否かを調べることができます。
通常、電気が流れている回路は交流電圧が使用されていることが多く、検電器においても交流電圧専用の検電器が一般的です。電車の線や電気ケーブルなど一部直流回路を使用している場合があり、種類が異なる検電器を使うと、感電の可能性があるため注意が必要です。
直流検電器の使用用途
直流検電器を使うのは直流回路の場合です。身近には、電車の線や発電所のケーブルなどがあります。
具体的用途は、直流式電気鉄道の電車線・電車用変電所などの電路、電気めっき・電気分解・電気精錬などの設備の電路、直流式特別高圧送電の電路などです。また、発電所・変電所・受配電設備などの直流操作回路、非常用電源・発電機起動用に使用される蓄電池回路などにも使われます。
さらに、点検、測定及び試験の際に直流が使われる場合の用途もあります。ケーブルなどによる直流絶縁耐力試験回路に使用し、また、電気設備の電気工事・定期点検などで、停電時における進相用コンデンサーの残留電荷を確認する場合にも使います。
電気工事を行う際は、検電器を使って電気が通っていないことを確認した上で作業を始めます。高圧電流が流れている場合には保護具などを着用することが大切です。
直流検電器の原理
直流検電器は、検知部を接触した場所に電気が通っているかを調べる機器です。検電方法により原理が異なります。
1. 箔検電器
電源が不要で、静電気を検出する際に使われます。1方に2枚の金属箔、もう1方に金属板がついた金属棒を、密閉された容器の蓋から差し込んだ構造です。研究・教育用に多く使われます。
2. 風車式検電器
イオンの移動を検知すると、風車と呼ばれる車輪が回転します。電池が要らず経年による劣化が少ない検電器です。高電圧設備の活線状態の調査に使われます。
3. ネオン式検電器
内部に内蔵しているネオン管が帯電を感知すると発光します。周囲環境が明るい場合は、ネオンの発光が見にくいデメリットがあります。
4. 電子式検電器
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静電容量式
電線などの測定物と検電器の間に静電容量が生成され、同時に、人体と大地の間にも静電容量が生成されます。測定物に電圧がかかった時に人体を通って微小な電流が流れ、これを増幅してLEDライトを点灯させ、アラーム音を鳴らします。
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液晶式
液晶に鏡を接触させ、液晶の反対側に発光素子と受光素子を設置します。停電状態では、発光素子からの光が、液晶を通過し鏡で反射して再び液晶を通って受光素子に達します。この時液晶は透明です。電圧がかかると、加圧部を中心に静電界が構成され、液晶が黒色に変化します。色の変化を目視して、判別が可能です。
直流検電器の種類
1. 電源の種類別
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交直両用
直流回路か交流回路どちらかを使用しているかによって使う検電器の種類が変わります。回路が不明の場合は、両方の電圧が感知できる直交流検電器を使います。接地線が付いており、直流の測定には必ず接地します。
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直流用
直流専用の検電器です。接地線が付いているので、必ず接地してから使います。
2. 電圧による種類
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低圧用
直流750V程度以下に使用します。感度調整ができるタイプもあります。
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高低圧用・特高用
電力設備などの検査に使います。高低圧用は直流7kV程度まで、特高用は直流90kV程度まで感知が可能です。
直流検電器のその他情報
直流検電器の使い方
直流検電器の使い方の第1歩は、感度を調整することです。感度が高すぎると、本来検電したい電線以外の電気を検出することがあります。感度調整をする部分は通常蓋がしてあり、蓋を開けて調整します。ー (マイナス) 側にすれば感度が弱くなります。最初はー側に最大に調整します。
次に電源ボタンを押すと、検出端のランプが光ります。光らない場合は、電池交換が必要です。そして測定場所に検知部が触れると、異なる色に光って音が出ます。電気が流れていない場合は白い光のままで、すぐ判別が可能です。