イージーレーザー

イージーレーザーとは

イージーレーザーとは、レーザーを用いて芯出し測定や水平測定などを行う装置のことです。

連結された回転機器どうしの回転軸にレーザーを照射することで軸のズレを測定します。機器や部品などの平行度や垂直度などを確認しながらの調整が可能です。回転軸どうしの接続にズレがおこると、軸のひずみや機器への負荷が発生し故障の原因となります。イージーレーザーを用いて測定と確認を行うことで、機器を長持ちさせます。また、保守点検の作業効率が向上するためコストの削減も期待できます。

経験や知識を積んだ職人でなくても容易に精度の高い測定を行うことが可能です。

イージーレーザーの使用用途

軸芯出し、平行や水平度の確認・調整など工作機器に幅広く利用されます。チェーンなどを有する回転機器、ロール設備、ガスや蒸気タービンなどの調整にも使用されます。軸芯出しとは、軸で連結された機器双方の回転軸が運転時に同一線上になるように調整する作業のことです。回転機器では回転軸のズレを修正することが重要です。

イージーレーザーの原理

光が拡散せず直進して一点を照射するレーザー光の原理を利用しています。レーザーを照射するレーザー発信器、照射されたレーザーの位置を感知するレーザー受光器があり、2つを安定して設置するためのブラケットが付属しています。更に測定値をデータとして表示し、端末上で扱うためのソフトウェアから成り立っています。

参考文献
https://www.easylaser.co.jp/
https://www.tetsugen.com/easylaser/lps/
https://www.tsubakimoto.jp/power-transmission/drive-chain/accessory/easy-laser/
https://www.tsubakimoto.jp/power-transmission/drive-chain/accessory/easy-laser/laser/

インクジェットプロッタ

インクジェットプロッタとは

インクジェットプロッタ

インクジェットプロッタとは、描画にインクジェット方式を用いたプロッタです。

プロッタには大きく3つの種類がありますが、インクジェットプロッタは、ラスタプロッタと呼ばれるプロッタに分類されます。プロッタはプリンターとは区別されます。印刷物に精度の高さが要求される図面などの印刷に、特に向いている出力装置です。

プロッタがプリンタと大きく異なる点は、描画の仕方です。プロッタは「線」を描きますが、プリンタは「点」の集まりによって画像などを描画します。プロッタは点ではなく線によって描画するために、図面などの描画においては正確で綺麗な描画が可能です。

また、大きなサイズの出力をメインとして行うため家庭用ではなく、事業用として用いられることがほとんどです。プロッタは線を描画することによる出力の動作と、出力後に元データに基づいて正確にカットするという裁断の動作を行うこともできます。

インクジェットプロッタの使用用途

インクジェットプロッタは、大判サイズでの線画の出力から裁断までを行う出力装置として、建築分野や産業分野における図面やポスターの大型出力印刷や、研究発表などのポスター印刷などを作成する用途で使用されています。

この他、データに忠実なカッティングを行うこともできることから、看板などの作成も可能です。建設現場や設計事務所や、学校などの教育機関や学会などでも、インクジェットプロッタは広く使用されています。

インクジェットプロッタの原理

インクジェットプロッタは、ラスタプロッタという方式に分類されます。プロッタにはインクジェットプロッタ以外に、ペンプロッタがあります。ペンプロッタと比較するとラスタプロッタによる出力は画質が落ちる一方で、高速描画ができる点で優れています。

インクジェットプロッタは、インクジェットプリンタと同じ原理をしています。インクカートリッジから内蔵されたインクをノズルに供給し、印刷対象物に対してノズルからインクを噴射することで出力を行います。出力の速度は劣るものの、印刷の品質が高いという点で優れています。

インクジェットプロッタのその他情報

プロッタの種類

1. ペンプロッタ
ペンプロッタでは、実際に紙の上にペンを動かして線を描きます。ペンにはインクペン、ボールペン、シャープペンシルなどを用います。入力したデータがそのまま出力され、実際にペンが移動して描画します。

2. ラスタプロッタ
入力されたデータを点として出力するプロッタです。入力データは、ベクタデータというデータで扱います。ベクタデータは複数の点の位置と、点同士を繋いだ線、曲線、色などを数値データ化したものです。

ベクタデータのメリットとして、拡大縮小してもエッジが綺麗に表示できることが挙げられます。反対に細かく複雑な画像を表現する場合には向いていません。

ラスタプロッタはベクタデータの画像を、点で描画していきます。インクジェット方式以外にも、静電、レーザー、感熱式、LEDといった描画方法があります。

3. カッティングプロッタ
カッティングプロッタは、描画した紙をカットすることができるプロッタです。カットする方法によって3つのタイプがあります。

  • グリッドローリングタイプ
    カットする紙やシートが動いてカットされるタイプです。このタイプでは用紙を広げる必要がないために、機械本体をコンパクトにすることができます。
  • フラットヘッドタイプ
    フラットヘッドタイプはヘッドに取り付けられたカッターが動くことで、紙やシートを切断します。細かい部分でもカットでき、最も一般的なカッティングプロッタです。
  • 小型タイプ
    個人でも使用できるよう、本体も小型化されています。

参考文献
https://www.kimoto.co.jp/products/design_products-inkjet
https://www.large-format-printer.jp/blog/cad-2/plotter/
http://www.pcpulab.mydns.jp/main/it/chapter2_3-6-2.htm

UV乾燥機

UV乾燥機とは

UV乾燥機

UV乾燥機とは、紫外線 (UV) 光を利用して物質を乾燥させるための機械です。

インクや接着剤、コーティング剤などの液体や薄膜を塗布した後、その表面を速やかに乾燥させるために使用されます。紫外線を利用するため、非常に高速な乾燥が可能です。

伝統的な熱乾燥方法と比較して、乾燥時間を大幅に短縮できます。これによって生産性が向上し、製品の生産時間が短縮されます。また、熱を発生させる必要がないため、他の熱乾燥方法と比較してエネルギー効率が高く、省エネルギーです。被乾燥物の熱変形や劣化のリスクも最小限に抑えることができます。熱に敏感な素材に適しています。

ただし、紫外線は人体に悪影響を及ぼす可能性があるため、安全対策が重要です。作業者は適切な保護装備を身に着け、適切な安全規定に従って作業する必要があります。

UV乾燥機の使用用途

UV乾燥機は、さまざまな産業分野で幅広く使用されています。主な使用用途は以下の通りです。

1. 印刷業

印刷業では、インクなどの乾燥に広く使用されています。チラシやパッケージなどの印刷物に使用されるインクは、UV光を照射することで瞬時に硬化させることが可能です。これにより、印刷物の生産性を向上させ、乾燥時間を短縮することができます。

2. 木材加工業

床材など、木材用途にもUV乾燥機が使用されます。木材の表面には艶出しと劣化防止を目的にニスが塗られることが多いです。ニスなどのコーティング剤を紫外線で硬化させることで、高品質な仕上がりを実現します。

3. 自動車産業

自動車部品や車体の塗装プロセスにおいても、UV乾燥機が使用されます。車体のパネルや内装部品に塗布された塗料を紫外線で硬化させることで、耐久性のある仕上がりを得ることが可能です。

UV乾燥機の原理

UV乾燥機は紫外線硬化という化学反応を利用します。インクなどが紫外線と反応すると、紫外線によって光化学反応と光重合反応が起こります。その結果、小さい分子量の物質同士が集まって高分子化し、融点が上昇して硬化・乾燥する仕組みです。

物質同士が重合する際には、特定の波長域の光にのみ反応を示すため、ランプの種類と硬化させたい材料の最適な組み合わせを選ぶことが重要です。

UV乾燥機の構造

UV乾燥機は主に光源、乾燥チャンバー、冷却システムなどで構成されます。

1. 光源

UV乾燥機の中心となる部分は、紫外線を発生する光源です。光源には特殊な紫外線ランプで使用されます。これらのランプは特定の波長範囲の紫外線を放射し、被乾燥物の表面に照射します。

2. 乾燥チャンバー

光源と被乾燥物を配置するための乾燥チャンバーがある場合も多いです。被乾燥物を収容するための専用のスペースであり、紫外線の照射範囲を確保します。適切なサイズや形状で設計されており、被乾燥物が均一に照射されるように配慮されます。

3. 冷却システム

UV乾燥機では紫外線ランプが発熱するため、冷却システムが必要です。冷却システムは、光源や乾燥チャンバーの冷却に使用されるファンや冷却装置を含みます。これによって光源や周囲部品の過熱を防ぎ、安定した動作を確保します。

UV乾燥機の種類

UV乾燥機はランプの種類に応じて用途が性能が異なります。以下はUV乾燥機に使用されるランプ種類一例です。

1. 水銀ランプ

UV乾燥に広く使用される伝統的な光源です。水銀蒸気を使用し、主に紫外線C波長を放射します。UVCは紫外線の中でも波長が短く、高いエネルギーを持っています。

水銀ランプは効率的であり、大面積の乾燥や硬化に最適です。主にコーティング剤の乾燥をするために使用されます。ただし、水銀ランプは使用後に廃棄物処理が必要であり、水銀の環境負荷に注意する必要があります。

2. メタルハライドランプ

水銀ランプの改良型であり、より高い効率と広い波長範囲の紫外線放射を実現するランプです。水銀と他の金属ハライドを含むガスを使用して光を発生させます。

これにより、より均一な照射や多様な化学反応を可能にします。印刷や塗装などの産業で広く使用されるランプです。

3. LEDランプ

LEDランプは発光ダイオードを使用したランプです。小型で照射範囲を制御しやすく、エネルギー効率が高いことが利点です。

特定の波長の光を放射するため、選択性のある硬化や特定の化学反応に適しています。また、長寿命でメンテナンスが簡単であり、点灯/消灯を瞬時に切り替えることが可能です。

参考文献
http://www.npt-print.co.jp/product/uv/uv.html
https://www.mino.co.jp/product/uvdryer/
https://www.u-vix.com/appendix/UV/appendix04.html

黒アルマイト

黒アルマイトとは黒アルマイト

黒アルマイトとは、アルマイト処理を施したアルミニウムの表面を染料で黒く着色した、カラーアルマイトの一種です。

アルマイトとは、アルミニウムを陽極で電気分解することで表面を酸化被膜で覆う、アルマイト処理を施したアルミニウムのことを指します。そのままのアルミニウムよりも腐食に強いのが特長です。

加工の前後処理などで光沢の具合を変えることができるため、つや消し黒色アルマイトや光沢黒色アルマイトなどの種類があります。使用する製品の機能や見た目の装飾などの特徴に合ったものを選ぶことが可能です。

黒アルマイトの使用用途

黒色アルマイトは、高い耐食性や耐摩耗性に加えて、強硬度と絶縁性などを有していることから、アルミ製品や、日用品などの身近なものから、電気機械や自動車や船舶まで幅広く使用されています。

具体的な製品には、お弁当箱や水筒、鍋などの調理器具といった生活用品、自動車や半導体の部品、医療機器などの産業機器や、船舶や航空機などの内装などです。また、光沢黒アルマイトやつや消し黒色アルマイトは光学製品などに用いられています。

黒アルマイトの原理

黒アルマイトは、「①アルミニウム素地のアルマイト処理」「②アルマイトの染色」という順番で製造されます。

1. アルマイト処理

アルマイトの模式図

図1. アルマイトの模式図

アルマイト処理は、アルミニウムを陽極として電解を行い、アルミニウム表面にアルマイト皮膜を作る処理方法です。アルマイト処理では、まず電解液中にアルミニウム素地の表面が溶け出してからアルマイト層が形成されるため、皮膜は無孔質のバリアー皮膜、多孔質皮膜の2層から構成されます。

アルマイト皮膜は硬く、耐摩耗性・耐食性に優れており、下のアルミニウム素地を保護することができます。メッキ処理が被メッキ物を陰極として電解を行い、表面に金属膜を析出させる処理方法であるのに対し、アルマイトはアルミニウム素地を陽極として用い、それ自体を電気分解する手法です。

2. アルマイトの染色

アルマイトに対する染色と封孔処理

図2. アルマイトに対する染色と封孔処理

前述の通り、アルマイト皮膜には多孔質皮膜の層が形成されます。黒アルマイトの製造においては、染色槽に投入し、この空洞部分に黒い染料を流して、セルに吸着させた後、吸着させたら封孔処理を行って空洞を塞ぎます。

アルマイトの酸化被膜の厚さによって、染料を吸着する量が変わるため、より濃色を出したい場合は、皮膜の厚みを大きくして、吸着させる染料の量を増やさなければなりません。光沢黒色アルマイトやつや消し黒色アルマイトは、化学薬品を用いて前処理を行っています。

光沢黒色アルマイトは、アルマイト素地に光沢を付加したものです。反対に、つや消し黒色アルマイトの場合は、マット加工を施すことで光沢を消しています。

黒アルマイトの種類

黒アルマイトは、膜厚と染料の観点から分類することができます。

1. 膜厚

黒アルマイトの標準的な膜厚は約10~30μmです。10μm以下など膜厚が薄い場合、表面の被膜に対する染料の付着量が少なくなり、充分な効果が得られません。特にムラのない黒色を得たい場合には、ある程度の膜厚を確保する必要があります。

また、30μm以上の厚い膜も形成できますが、細長い管の内部やとがった形状の内側部分 (鋭角部分) などの物理的制約がある箇所には適用できません。黒アルマイト処理によってできる被膜の性能は材料により大きく異なるので、染料との相性を考慮しつつ、膜厚を検討する必要があります。

2. 染料

代表的なクロム錯体有機アゾ染料の構造

図3. 代表的なクロム錯体有機アゾ染料の構造

黒アルマイトの染料で代表的なものとして、有機系クロム錯体染料が挙げられます。この染料の分子は金属クロムに有機配位子が1:1もしくは1:2で結合した構造です。

有機配位子がクロムと錯体化することで、単体の場合よりも耐光性や耐熱性が増しています。被膜の孔径が数百Åであるのに対し、染料分子のサイズがおよそ数十Åであるため、染料分子が被膜の孔の中に入り込み、吸着することで着色します。

主な有機配位子はベンゼンナフタレンなどの芳香環に、ニトロ基やアゾ基などの発色性を示す置換基が結合したものです。また、溶剤への溶解性を高めるためにスルホン酸基、ヒドロキシ基、アミノ基などが結合した染料も開発されています。

黒アルマイトでは、太陽光に含まれる紫外線や熱の影響で染料分子が分解し、変色や退色が起きることがあります。基本的に有機系の染料を使用していることが原因です。そのため、近年では紫外線などに強い染料も開発されています。

参考文献
https://www.toshin-alumite.jp/knowledge/
https://www.masudakagaku.com/business/
http://www.akg.jp/puresijyon/products/black_alm.htm
http://www.senpoku.co.jp/eng/alumite.html?lid=2
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sfj1989/50/4/50_4_315/_pdf/-char/ja
http://toeidenka.co.jp/assets/doc/Q&A_160921.pdf

高精度温度計

高精度温度計とは高精度温度計

高精度温度計とは、温度計の中でも高精度に温度を計測できる精密温度計測器のことです。

温度センサとあわせて使います。計測機本体と温度センサを併用して用いることで、正確な温度の計測が可能です。そのため、温度の調整や温度計の校正などに使用されています。

温度センサには、熱電体センサや測温抵抗体センサなどが用いられており、それぞれ特徴が異なるため、使用用途に適した温度センサを選択することが重要です。

高精度温度計の使用用途

高精度温度計は、温度計を校正する際に使用します。温度センサを組み合わせて用いることで温度の調整を行い、普段使いの温度計の校正温度が正しいかを確認します。しかし、高精度温度計は、普通の温度計よりも高額であったり、大型である分使い勝手は劣ったりするのが欠点です。

温度センサによってあらかじめ校正済みの正しい温度データをメモリーに内蔵し、高精度温度計のメモリーに内蔵されていないタイプでは外付けメモリーに保存します。このメモリーのデータを読み込むことで、高精度での計測が可能です。JISの温度許容差で定義されている誤差よりも、計測器やプローブの個体差も含めた精密な調整ができます。

高精度温度計の原理

Fig1 温度計の原理

図1. 温度計の原理

工業的によく用いられる温度センサには、熱電対と測温抵抗体があります。

1. 熱電体による温度センサ

Fig2 熱電対の許容差

図2. 熱電対の温度許容差

熱電体による温度センサは、2種類の異なる金属導体を組み合わせた温度センサのことです。異なる金属の接点に温度差が生じると金属同士の間に電圧が生じ、熱起電力が発生するゼーベック効果を利用して電圧を測定することで、温度を正確に計測しています。

小型化できることから、くる応答の速さと高温でも計測が可能なことが特徴です。熱電対の先端 (異なる金属線が接着されている部分) のみが測定部だと誤解しがちですが、異なる金属線の間で発生する起電力が測定対象になるため、導線部も含めた温度差が重要になります。測温抵抗体よりも温度許容差としては大きめです。

2. 測温抵抗体による温度センサ

Fig3 測温抵抗体の許容差

図3. 測温抵抗体の許容差

測温抵抗体による温度センサは、温度上昇にあわせて金属の電気抵抗が大きくなるという原理を利用したものです。純度の高い白金やニッケルなどを素線の材料として使用しています。

熱電体と比べて高温での使用ができず、カバー範囲は狭いです。しかし、低温から中温の領域で非常に高精度な温度の検出をすることができることや安定度が高いことが特徴です。

温度計の一般許容差は、JISにより規定されています。高精度温度計は通常の温度計と原理的には同様ですが、その中でもクラスの高いものを使用し、校正などをしっかり行うことで精度を保っています。

高精度温度計のその他情報

1. 高精度温度計の測定誤差

いくらスペック上厳密な校正を行っても、環境にあわない測定をすると正しい温度は測定できません。代表的な誤差要因は以下の通りです。

測温抵抗体の誤差要因

  • 通電電流による自己加熱の影響
  • 測定対象の温度変化による熱衝撃の影響
  • 振動、衝撃の影響

そのほか、異常電圧、電流 (落雷、高圧放電等) の影響や絶縁抵抗の低下による影響も要因として挙げられます。

2. 熱電対の誤差要因

最もよく使われるK型熱電対の誤差要因は以下の通りです。

還元性雰囲気における酸化
K型熱電対を800~1,000℃間の高温還元性雰囲気下で使用すると、数百℃も測定値がずれる場合があります。これはK型熱電対+側で使用されているクロメル線の表面酸化皮膜が還元性雰囲気の影響によって還元され、その後酸化しNiCr2O4が生成するために起こるためです。特に水素ガスは高温において一部の金属保護管を透過してしまうため、水素透過の少ないシース材を使用することが大切です。

シース中間温度による影響 (シャントエラー)
シースが測定対象温度よりも高温部に接触していると、測定対象部よりも高めの温度になります。これは800℃以上の高温でシース内部にある無機充填物の絶縁抵抗が低下するためです。設置方法に注意し、素線間の絶縁距離が大きくなるよう外径の太いシースを選択するのが有効的です。

K型熱電対の不可避誤差 (ショートレンジオーダリング)
K型熱電対を300~550℃の温度で使用すると、熱起電力の特性が変化し、誤差が生じる場合があります。これはクロメル合金の金属組織が300~550℃の温度で熱起電力が増加するためです。650℃以上に加熱すると元の特性に戻ります。

外部からの電気的影響
発電機やモーター等から発生するノイズが、誤差を引き起こす場合があります。ノイズの影響を最小限にするためにはシールド付き補償導線を使用します。シールド付き補償導線を使用しなかったり、2点接地型を用いたりすると、遮蔽効果が減少したり、かえって誘導電流を拾ったりする可能性もあるため、一般的には1点接地が推奨されます。

補償導線を使用しない場合の影響
熱熱電対は先端部の温度ではなく、先端と導線でつないでいるところの「温度差」が起電力となって測定されています。そのため、導線でつないでいるところまでが起電力発生部です。しかし、すべてを熱電対線にするとコストがかかったり、抵抗値が高くなりすぎるため補償導線が使われます。

なお、補償導線とは、組み合わせて使用する熱電対とほぼ同じ熱起電力である導線のことです。たまに熱電対の原理を勘違いして補償導線を使わず普通の導線を使用してしまったり、使用するべき導線を間違えてしまうことがあります。

そのほかにも測温抵抗体も熱電対も接触させて温度を測定するものになるため、接触の仕方や外部環境温度などにも注意が必要です。

参考文献
https://www.chino.co.jp/products/calibration/cab-f201/
https://www.daiichi-kagaku.co.jp/situdo/measure/anritsu_meter/hds-aps/
https://www.mksci.com/products/list/18.html
https://www.wika.co.jp/ctr2000_ja_jp.WIKA
https://www.watanabe-electric.co.jp/sensor/faq/sokuon/01.html
https://www.keyence.co.jp/ss/products/recorder/lab/thermometry/thermocouple.jsp
http://nds-nihondensoku.co.jp/about_thermometer
https://www.keyence.co.jp/ss/products/recorder/lab/thermometry/resistance_bulb.jsp
https://ednjapan.com/edn/articles/1604/01/news007.html

高効率モーター

高効率モーターとは高効率モーター

高効率モーターとは、電力を効率的に変換して動力を生み出すモーターです。

モーターは電力を受け取って回転運動を生み出しますが、その過程で一部の電力は熱や損失として失われます。高効率モーターは、電力損失を最小限に抑え、最大限に有効利用する設計がされた機器です。

高効率モーターは損失が少ないため、熱の発生が抑えられます。これによってモーターの内部温度が低くなるため、寿命が長くなることが利点です。また、電力消費を削減するため、環境に与える影響を軽減します。

エネルギー効率の向上は、温室効果ガスの排出削減やエネルギー資源の節約につながります。高効率モーターは産業や家庭用電化製品など、さまざまな分野で利用される機器です。エネルギー効率の改善と環境負荷の低減を目指す取り組みの一環として、高効率モーターの普及が進んでいます。

高効率モーターの使用用途

高効率モーターはさまざまな分野・用途で使用されます。

1. 工場・製造プラント

工場や製造プラントで使用されるモーターは、高い効率性が求められます。高効率モーターは、ポンプやコンプレッサーなどの駆動に使用されます。高効率モーターにより、エネルギーコストの削減や生産性の向上が可能です。

2. 電気自動車・ハイブリット自動車

高効率モーターは、電気自動車やハイブリッド自動車などの電動車両において重要な役割を果たしています。モーターの効率性が高いほど、駆動距離の延長や充電の効率化が可能です。

3. 家庭用電化製品

 家庭用電化製品においても、高効率モーターの使用が進んでいます。冷蔵庫や洗濯機などの家電製品において、省エネルギー性と静音性を実現するために高効率モーターが採用されています。

高効率モーターの原理

高効率モーターは、エネルギー変換の効率を最大化するように設計されています。特に、磁気回路の設計が重要です。磁気回路はコイルと磁性材料から構成されており、電流が流れることで磁場が生成されます。磁気回路の形状や材料を最適化することで、磁束の効率的な伝達と集中化が可能です。

また、損失を最小限に抑えるために、低損失材料が使用されることが多いです。鉄芯には低コア損失材料が使用され、コイルには低抵抗の導線が使用されます。これにより、熱損失やエネルギー損失を減らして効率を向上させます。

制御回路を効率化することで、損失を低減する場合も多いです。最適な電力供給や電流制御により、モーターの動作効率が最大限に引き出されます。また、電力回生やインバータによる速度制御などによって低損失化することが可能です。

高効率モーターの種類

高効率モーターには国際電気標準化機構 (IEC) によって定義されたモーターの効率等級があります。

1. IE1

従来の標準効率モーターです。効率が比較的低く、高い効率を求める場合には適していません。一般的な産業用途で使用され、コストを抑えたモーターとして広く利用されます。

2. IE2

IECの効率向上基準に基づいて設計されたモーターで、効率がIE1よりも高いです。IE2モーターはエネルギー消費削減を目的に開発され、効率的な運転を実現します。

3. IE3

更なる高効率化を実現するために開発されたモーターです。IE3モーターはIE2よりも高い効率を持ち、エネルギー消費をさらに削減します。現在、産業用に広く使用されているモーターです。

4. IE4

超高効率モーターとされています。IE3よりもさらに効率が高く、エネルギー消費を大幅に削減します。特殊な技術や設計が組み込まれており、省エネルギー性能の最大化に焦点を当てています。

ただし、IE4は高価でありIE3の方が経済的な場合も多いです。

5. IE5

IECの効率基準の中で最も高い等級です。IE4よりも更に高い効率を持ち、エネルギー消費をさらに効率的に削減します。最新の技術や設計が組み込まれています。

高効率モーターのその他情報

高効率モーターの注意点

高効率モーターは効率が高く、回転数が高くなる傾向にあります。ポンプやファンのモーターを一般型から高効率に変更した場合、消費電力が増加する恐れがあります。インペラカットなどによって負荷を低減させなければ、増エネすることも多いです。

また、始動電流も大きくなる恐れがあります。配線やブレーカなどの関連機器が問題ないかを事前に確認することが大切です。

参考文献
https://www.tmeic.co.jp/product/rotating_machinery/motor/high_efficiency/about_toprunner/
http://www.mohno-pump.co.jp/learning/manabiya/b6.html

高力ボルト

高力ボルトとは

高力ボルト

高力ボルトとは、主に鉄骨構造の建築用に使われる強度の高いボルトのことです。

一般的に使用されるSS400と呼ばれる鋼材の引っ張り強さは400N/mm2ですが、高力ボルトに使われる材料は、低くても800N/mm2の強度があります。そのため、一般的な機械用としては使用されずに、建設の分野で使用されます。

特に鉄骨造でよく採用される摩擦接合の継手として、鋼材同士を固定する際のボルトとして、広く使用されているボルトです。

高力ボルトの使用用途

高力ボルトの使用用途は、主に建築分野です。建物の構造を作る方法は色々ありますが、その中でも鉄骨で建物の構造を製作する方法は、コンクリート造に比べると非常に簡単です。

そのため、日本では多用されることの多い構造ですが、高力ボルトは鋼材同士の接合に使用されます。鉄骨造の場合は、鉄骨同士を溶接していると非常に手間がかかり、建設現場での溶接では品質も安定しません。

そこで、摩擦接合と呼ばれる方法で接合します。この摩擦力を発生させるのに高トルクが必要なため、高力ボルトが使用されます。

高力ボルトの原理

高力ボルトは、鉄骨同士の接合という大きなトルクが必要な箇所に有用で、クロム鋼クロムモリブデン鋼が長年使用されてきました。しかし、現在使われるようになってきたのは低炭素ボロン添加鋼です。低炭素ボロン添加綱により、クロム鋼やクロムモリブデン鋼で問題となった遅れ破壊対策が可能となりました。

また、高力ボルトの1つであるトルシア型高力ボルトは、締結作業の完了と軸力の確保、締結後に故意に緩めることができな構造になっているのが特徴です。

高力ボルトの種類

高力ボルトはその形状と使用方法によって、摩擦接合用高力六角ボルトと、トルシア型高力ボルトの2種類に分かれています。

1. 摩擦接合用高力六角ボルト

摩擦接合用高力六角ボルトは、建築部材の摩擦接合に用いるためのボルトです。「JIS B 1186 摩擦接合用高力六角ボルト 六角ナット・平座金のセット」で規定されています。摩擦接合とは、ボルトによって軸力から接合部材同士の摩擦力を発生させることで接合力を得る方式です。

ボルトには強度によって区分を表す記号がありますが、摩擦接合用高力六角ボルトはF10TやF8Tで表されます。なお、F8Tで区分されるボルトとして溶融亜鉛めっき高力ボルトが挙げられることがありますが、正確にはJIS規格には合致しておらず、国土交通大臣認定品であることがほとんどです。

溶融亜鉛めっきを施したボルトはめっきの膜厚が大きいため、嵌合性が悪くオーバータップという加工がめっき後に施されており、この処理がJIS B1186では認められていません。JIS該当品にはならず、国土交通大臣の認定を得た製品だけが実用されています。

2. トルシア型高力ボルト

トルシア型高力ボルトは、締め付け部が特殊な形状になっているため専用工具が必要になります。しかし、規定トルク以上で締め付ければ締め付け部が破断する形状になっており、トルク管理が非常に簡単です。

トルシア型高力ボルトは、頭部は六角形状ではなくリベットのような円形状です。締結作業はねじ先端部分を回しますが、軸部分に溝があり、締結作業が完了すると破断します。溝部分で破断するまで締め付けるため、軸力と一定以上加えることが可能です。

また、本体を回転させるためにチャックする部分が破断しているので、締結後に故意に回して緩めることができません。

高力ボルトのその他情報

 高力ボルトとハイテンションボルト違い

高力ボルトとハイテンションボルトは同一のものです。高張力鋼 (ハイテンションスティール) によって作られていることから、「高力」と「ハイテン」2つの呼び方をされます。

高張力鋼にも種類があり、ニッケル量を3%ほどに高め海岸付近での塩の耐性を高めたものや、NiやCuを添加量を増やして大気腐食力を高めた耐候性のものもあります。

参考文献
http://www.bolten.co.jp/products/product/101-detail
http://kentiku-kouzou.jp/koukouzou-suberikeisu.html
http://www.bolten.co.jp/products/product/101-detail

風量計

風量計とは

風量計とは、風の速度や風量を測定するための計測器具です。

主に気象学や環境モニタリング、建設、エネルギー産業、航空業界などで使用され、風のパラメータを正確に測定し、分析するのに役立ちます。風量計は、建物内の換気量を測定するのに風量計は非常に重要です。

一般的な建物は気密性に優れているので、そのままでは空気の入れ替わりが非常に少なくなります。そのため、換気扇やダクトなどで換気をしますが、換気量は室内の容積や人の人数などで規定されています。

似たようなもので風速計もありますが、風速計は速度を測定する器具です。風速から風量を測定するにはダクト等の面積を計算する必要があります。そのため、何を計測したいかによって風量計、風速計を使い分けることが重要です。

風量計の使用用途

風量計は、適切な風量が管理できているかを測定するために使用します。最もよく使用されるのが、建物の換気量が要求通りに使用されているかの確認です。建物の換気量は使用用途などによって厳密に決められており、その換気量を測定する際に風量計が使用されます。

また、換気量以外にも食品などに使用される乾燥機の風量測定にも使用されます。食品によっては高温で乾燥できない場合もあるので、低露点の風邪を大量に流し込んで乾燥を促します。

このとき、露点と同様に風量も重要になるので、その風量を測定するのに風量計は使用されています。

風量計の原理

風量計は風速計とは異なり、ダクトや配管から流れ出る全ての風を補足する必要があります。風速計であればダクトや配管内の一部でも測定できるので、プロペラの回転数やピトー管による圧損から測定できますが、風量はそのような測定はできません。

そのため、風量計は大きなコーンやフード等を取り付け、直接ダクトや配管に取り付けられるようになっています。また、ハイエンドなモデルでは吐き出し口だけでなく吸い込み口でも測定が可能です。

基本的に測定者による誤差はほとんど出ませんが、風の漏れなどには注意する必要があります。また、風量計はダクトに直接取り付けるため、本体のサイズが大きくなりがちです。少し使用しづらいことも欠点として挙げられます。

風量計の選び方

1. 測定範囲

風量計の使用目的に応じて、必要な風速の測定範囲を明確にします。風量計の選定範囲が実際の風速と一致しないと、正確なデータが得られません。用途に合わせて最適な範囲を選び、必要なデータを収集できるようにします。

2. 風向センサーの有無

風向情報が必要な場合、風向センサーを備えた風量計を選びます。風向情報は、航空業界や建設プロジェクトなどで重要です。僅かな風向きでプロジェクトや作業に影響を及ぼすため、高精度のものが求められます。

3. 精度と耐久性

測定の精度と風量計の耐久性は重要です。特に長期間の使用や過酷な環境での運用を考え、高精度で耐久性のあるモデルを選ぶ必要があります。データの正確性と長寿命を確保することで、作業の安定性が向上します。

4. データ管理と通信機能

測定データの管理やリアルタイムモニタリングが必要な場合、データ記録と通信機能を備えた風量計の検討が必要です。データの収集と共有が容易であれば、効率的な運用が可能となります。

リアルタイムな風量測定が求められる場合は通信機能の速度も重要となるため、用途を明確にしたうえで選ぶ必要があります。

参考文献
https://www.transtech.co.jp/product/tsi-laflobalometerhoods-6200
https://www.transtech.co.jp/product/tsi-accubalanceaircapturehood-model8380
https://i-sooki.co.jp/allproduct/ct01/model6750/

風向風速計

風向風速計とは

風向風速計

風向風速計とは、風速計と風向計の機能をどちらも備えた計測器のことです。

風速と風向を同時に測定することが出来るため、風の状態を観測するために用いられています。風向風速計には種類が多数あり、風杯型、風車型、超音波の3つのタイプが主なものです。風向は、36方位あり、10分間か2分間の平均の方向を風向として表示します。

風速は単位時間あたりの空気の移動距離を表したもので、こちらも10分間か2分間の平均の値を風速として、ノットという単位を用いて表示します。大型の高精度観測用から、小型で携帯できるものまであり、幅広い用途に対応しています。

風向風速計の使用用途

大型の高精度観測の用途では、風の状態を観測することで大気の運動を把握することができるため、風向風速は気象を予測するための指標として非常に重要な位置づけとなっています。

風の観測地によって雲の動きや風の強さを把握することで、災害や天気の予測を行うことが出来、日常の天気予報や花粉の予報などの身近な情報から、強風や暴風などや台風や波浪などの注意や警報の発令を行うことで、被害の拡大を防止したりすることに役立っています。

また、船舶や航空機を安全に運行させるためには風の情報が必須となるため、空港や沿岸部には風向風速計が設置され、常にリアルタイムの風の情報を把握しています。

小型の携帯用の風向風速計の用途は、屋内環境における風の状態を観測することを目的として用いられています。具体的には、空調やダクトなどの設備の検査や保守点検業務の際や、クリーンルーム内の空気循環の状態を調査するために使用されています。

風向風速計の原理

1. 風杯型風向風速計

回転軸の周りに半球か円錐の形状をしたカップを3から4方向に取り付けた構造をしています。カップ状の風杯が風を受けて回転する速度を計測することで、風速を測定します。

2. 風車型風向風速計

胴体部分とプロペラ部分からなり、胴体の先端についたプロペラが風を受けて回転することで風速を計測し、胴体が流線型をしているために風の向きに動くことで風向を計測することが可能です。

3. 超音波型風向風速計

超音波風向風速計は、音波の受信部と発信部を二基一組で設置して使用します。超音波の伝達速度は一定ですが、風の影響を受けると伝達する速度が変化するため、音波を空中に発して受信するまでの速度の差分をとることで、風速を計測します。

風光風速計のその他情報

風向風速計の設置場所

1. 観測場所
風速計は風に影響されやすいため、一般的に平坦で開けた場所に設置されます。建物や樹木などの障害物との距離は、障害物の高さの10倍以上必要です。

建物の端や凹凸のある崖の上から吹く風は、風の測定に大きな影響を与えます。風向計は鉄塔を利用してビルの屋上に設置するのが比較的一般的ですが、吹き付ける風や冷却塔などの屋上構造物、ビルの大きさや高さによる風の乱れの影響を受けにくい場所を選ぶことが望ましいといえます。

また、風速計の観測場所を選ぶ際風の乱れがない場所を選ぶことも重要です。風の乱れは近くにある建物の大きさや高さなど、さまざまな要因で発生します。そのため、風の乱れの影響を受けない場所を選ぶ必要があります。

2. 設置場所
風速計は機器支持部の底面が水平になるように、タワーやポストの上に設置します。これにより正確な測定値が得られるようになります。風速計が水平でないと、カップが均等に回転せず、測定値が不正確になります。

水平であるかどうかを判断するには、水準器を使用します。水平器を使用すると、取り付けベースの上部が水平かどうかを確認することが可能です。風速計が水平でなければカップが均等に回転せず、測定値が不正確になるため注意が必要です。

3. 高さ
風速計の高さは2つのポイントに注意して取り付けます。

1つ目は草木や他の建設物などによって邪魔されない高さであることです。2つ目は地表付近の温度勾配の影響を受けない高さであることです。風速計の理想的な高さは、10フィート (3メートル) です。橋梁上やトンネルの出口で風速を観測して自動車や列車を安全に運行させるなど、目的がはっきりしている場合は、目的に合わせて測定器の設置場所や高さを選択する必要があります。

参考文献
http://www.koshindenki.com/products.aspx?id=11
http://www.weather.co.jp/yng/yng.htm
https://www.rex-rental.jp/feature/37/anemometer
https://www.jma-net.go.jp/naha-airport/kansoku/wind/wind.html
https://fieldpro.jp/word/word-wind/ https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/kansoku_guide/tebiki.pdf

顕微鏡カメラ

顕微鏡カメラとは

顕微鏡カメラとは、顕微鏡に取り付けて使用するカメラのことです。

顕微鏡カメラを使用することで、顕微鏡で観察している内容をそのまま静止画や動画として撮影できるようになります。顕微鏡の接眼レンズをのぞき込まなくても、モニターで観察したり顕微鏡画像をデータとして保存することが可能です。

デジタル化によりUSBやHDMI端子でコンピューターやモニターに接続できるようになったため、観察と同時に計測や解析を行ったり、リアルタイムに大人数で観察したりすることが容易にできるようになりました。

顕微鏡カメラの使用用途

顕微鏡カメラは、研究や製造現場において観察、記録、計測など様々な用途に使用されています。

例えば一人の目視確認だけでは根拠に乏しい場合に、データとして観察結果を保存することで、研究発表や業務報告等の際に根拠の裏付けとして提示することが出来ます。

観察中に計測や解析をしたい場合にもコンピューターに顕微鏡カメラを接続することで、ソフトウェアで同時に作業を行うことができます。実習や発表の際にモニターに映し出して共有したり、診療の際に患者に目視で説明する場面にも使用されています。

顕微鏡カメラの原理

顕微鏡は、対物レンズで作られた拡大像を観察しています。

顕微鏡カメラは、写真投影用レンズ (カメラアダプター) とカメラ本体で構成されます。対物レンズで得られた拡大像を写真用投影レンズを使ってカメラ本体の撮像素子上に結像させることで電気信号に変換し、画像として出力します。

写真用投影レンズ (カメラアダプター) には、顕微鏡の三眼鏡筒に取り付けるタイプや接眼レンズの代わりに取り付けるタイプなどがあります。顕微鏡カメラは顕微鏡が捉えた高倍率の被写体をとらえるため、被写体のどの部分にフォーカスして観察しているのかを素早く把握する必要があります。

手動で顕微鏡を動かす素早い操作にも対応するため、メーカ毎に解像度やフレームレートを高めるなどして高画質な映像を高速に得られる工夫が施されています。

顕微鏡カメラの種類

顕微鏡カメラには、カラーカメラやモノクロカメラがあります。カメラによって色再現性や解像度などの特性が異なるため、観察対象の特徴や使用用途に合わせて顕微鏡カメラを選ぶ必要があります。

1. カラーカメラ

観察している標本の状態を色と共に記録します。カメラメーカーは接眼レンズを通した色に似た色を表現するために色補正技術を用いています。

2. モノクロカメラ

電子増倍機能素子を用いることでカラーカメラでは検出することが出来ない微弱な光を検出することができるため、微弱蛍光している標本などの映像化が可能です。特定の用途で能力を発揮しています。

顕微鏡カメラの選び方

顕微鏡カメラを選ぶ時は、以下の項目に注意して、観察対象の特徴や使用用途に合ったものを選んでください。

1. 解像度

画像をどこまで細かく分解できるかを表します。数値が大きくなるほど画質がよくなりますが、画像データの容量が大きくなります。

2. フレームレート

1秒間に何枚の画像を出力できるかを表します。数値が大きいほど標本や顕微鏡の素早い動きにも映像のブレや遅れが起こりにくくなります。

3. 感度

撮像素子が光を電気信号に変換する効率のことです。感度が高いほど弱い光でもカメラで撮影することができます。撮像素子の特性上、弱い光になるほど電気的ノイズが大きくなるため、低ノイズとか高 S/N という表現をすることもあります。

4. 色再現性

人の目と顕微鏡カメラのセンサーは、光や色に対する感度が異なります。そのため、顕微鏡カメラでは、観察している標本と同じような色に合わせる処理をしています。メーカー毎に特徴があるので、確認することをお勧めします。

参考文献
https://www.wraymer.com/camera/index.html
https://www.olympus-lifescience.com/ja/cameras/
https://www.microscope-net.com/products/camera/
http://www.bmsci.com/products/?id=1499167483-741708&ca=38&pca=1