すべり止め手袋

すべり止め手袋とは

すべり止め手袋

すべり止め手袋とは、物を掴んだ際に滑りにくいように作られた手袋です。

さまざまな用途で使用されており、表面にすべり止めが塗布されている点が特徴です。すべり止め手袋を使用することで、物をしっかりつかむことができます。これにより、物を落とすリスクが減少し、安全性が向上します。

また、切創や擦り傷から手を守るために耐切創性の素材で作られていることが多く、手をさまざまな危険から保護することが可能です。また、作業効率も向上します。特に濡れた状態や滑りやすい表面での作業において、すべり止め手袋が有利です。

ただし、すべり止め手袋は一般的にゴムや綿などで製造されており、熱に弱いことが多いです。熱に弱い素材で作られた手袋を熱い物品に触れさせると、手に火傷を負う可能性があります。

すべり止め手袋の使用用途

すべり止め手袋はさまざまな用途で使用されます。以下はすべり止め手袋の主な使用用途です。

1. 建設現場

建設現場では仮設足場上での作業が発生することも多いです。足場の上での作業は高所から物を落下させるリスクが伴うため、滑り止め手袋によって安全な作業をサポートします。

また、建設労働者は重い材料や工具を持ち上げ、運搬することがあります。滑り止め手袋は重い物をしっかりと持つのに役立ち、手の安全性を確保することが可能です。

2. 物流

倉庫作業員は商品や荷物の積み降ろしを行います。滑り止め手袋を使用することで、荷物を安全に持ち上げ、荷崩れやけがを防ぐことが可能です。また、商品をパレットに積み重ねたり、パレットを倉庫内で移動させたりする際にも、すべり止め手袋によって安全性を向上させることができます。

3. 工場

工場での機械操作や設備のメンテナンス時にすべり止め手袋が使用されます。操作対象物を確実につかむのに役立ち、手の安全を向上させる際に有利です。また、さまざまな手工具を使用する際、すべり止め手袋は手の滑りを防ぎます。

4. 清掃

床を掃除する際、特に湿った床での滑りを防ぐためにすべり止め手袋を使用します。これにより、清掃業務者が安全に作業をすることが可能です。また、強力な清掃液や化学薬品を使用する場合、化学物質から手を守るために特別なすべり止め手袋を使用します。

すべり止め手袋の原理

すべり止め手袋の主要な原理は摩擦力の増加です。滑りやすい表面において、手袋の素材が物と手の間に追加の摩擦を生成することで物をしっかりつかむ助けになります。これにより、作業中に滑り落ちにくくなる仕組みです。

すべり止めにはゴムやラテックス、ポリウレタン、ニトリルなどの素材が一般的に使用されます。これらの素材は滑りにくさと耐摩耗性を提供しつつ、手を保護することが可能です。

また、すべり止め手袋には滑り止め効果を高めるための特別なパターンやテクスチャが施されています。突起などのパターンによって接触面積を増やし、滑り止め効果を持続させることが可能です。これらのパターンはさまざま形状の製品があります。

滑り止め手袋の原理は、物と手の間に追加の摩擦を生み出して手の滑りを防ぐことです。この原理は多くの作業環境で安全性と作業効率を向上させるのに役立ちます。

すべり止め手袋の選び方

すべり止め手袋を選ぶ際に考慮すべき要因は、いくつかあります。

1. 手袋の材質

手袋の部分は手に直接触れる材料です。ポリエステルや綿、ナイロンなどの材料が使用されます。作業に適した材料を選択します。

ポリエステルは軽量で耐久性がありますが、通気性が低い点が特徴です。綿は柔らかく快適な着用感ですが、耐摩耗性はポリエステルやナイロンに比べて劣ります。ナイロンは合成繊維で、軽量で伸縮性があります。

2. すべり止めの材質

すべり止め部の材質は作業対象物に触れる材料であり、ラバーコーティングやシリコンが使用されます。ラバーコーティングは一般的なすべり止め素材で、多くの表面に効果的です。シリコン製は高温環境での作業に適しており、柔軟性と耐熱性があります。

3. サイズ

手袋は正確なサイズで使用することが必要です。手袋が大きすぎると滑り止め効果が低下し、手の動きが制限される可能性があります。手袋が小さすぎると快適さが損なわれ、手に圧迫感が生じる可能性があります。

参考文献
https://kametec.info/2016/10/24/161021_work_gloves/

バキュームピンセット

バキュームピンセットとはバキュームピンセット

画像出典元: Amazon

バキュームピンセットとは、真空状態を利用して微細な対象物を取り扱うための道具です。

非常に小さいまたは精密な部品をつかむために使用されます。バキュームピックと呼ばれる製品は類似品です。バキュームピンセットを使用することで、微小な部品や精密な構成要素を非常に正確に取り扱うことができます。手の振動や不安定さの影響を受けずに、微細な作業が可能です。

また、オブジェクトを吸引するため、直接触れる必要がありません。これにより、部品やサンプルの汚染や損傷を最小限に抑えることができます。ただし、バキュームピンセットの効果的な動作にはバキュームの完全なシールが必要です。

不適切なシールやバキューム漏れがあると、オブジェクトを正確につかむことができない可能性があります。

バキュームピンセットの使用用途

バキュームピンセットは、微細なオブジェクトや精密な部品を取り扱うさまざまな用途に利用されます。通常のピンセットではつかめない部品を真空を利用してつかむのに使われます。以下は、バキュームピンセットの主な使用用途です。

1. 電子製品

電子回路に使用される集積回路 (IC) チップは非常に小さく、ピンセットを使って正確に配置する必要があります。バキュームピンセットは吸引カップを用いてICチップを確実に持ち上げ、基板に配置することが可能です。

また、面実装技術 (SMT) を使用する場合、非常に小さな抵抗器やコンデンサなどを基板に配置する必要があります。バキュームピンセットはこれらの部品を正確に取り扱うのに最適です。

2. 光学製品

レンズや鏡などの光学部品は微細な塗装やコーティングが施されていることが多く、非常に注意深い操作が必要です。バキュームピンセットはこれらの部品をクリーンで精密に取り扱うのに役立ちます。

3. 装飾品

装飾品製作においてが微細なデザインや細部の作業が必要な場合があります。バキュームピンセットはこれらの精密作業を行う際に有利です。また、宝石を装飾品に取り付ける際、バキュームピンセットを使って美しい仕上がりを実現することが可能です。

バキュームピンセットの原理

バキュームピンセットの原理は、空気圧差を利用して微小なオブジェクトをつかむことです。本体や吸引カップ、バキュームポンプなどで構成されます。

1. バキュームポンプ

バキュームピンセットは、内部に小さな空気圧差を生成するためのバキュームポンプを使用します。バキュームポンプは外部のポンプと接続されることもありますが、ピンセットの本体に組み込まれていることが多いです。これによって、ピンセット内部の空間から空気を吸い出し、低圧状態を作り出します。

2. 吸引カップ

バキュームピンセットの先端には、微細なオブジェクトをつかむための吸引カップが取り付けられています。この吸引カップはバキュームポンプが作り出す低圧状態に対応して設計されている場合が一般的です。

3. バキュームポンプ

吸引カップを微小なオブジェクトの近くに配置し、バキュームポンプを作動させます。バキュームポンプが空気を吸い出すことで吸引カップの内部圧力が下がり、オブジェクトを吸引することが可能です。この吸引力は、オブジェクトをつかんで持ち上げたり、配置したりするのに使用されます。

バキュームピンセットの選び方

バキュームピンセットを選ぶ際には、いくつかの重要な要因を考慮する必要があります。以下はバキュームピンセットの選定要素です。

1. 電源

バキュームピンセットには、電源供給が必要なモデルと、バッテリー駆動のモデルがあります。電源供給が必要なモデルは連続して使用できる一方で、電源ケーブルの制約があることが多いです。バッテリー駆動のモデルはポータブルで使用できますが、バッテリーの充電が必要です。

2. 外形寸法

バキュームピンセットの外形寸法は、操作性と作業スペースに影響を与えます。特に狭い作業環境で使用する場合は、小型でコンパクトなモデルが有利です。

3. 真空度

バキュームピンセットの真空度は、吸引力の強さに関連しています。高い真空度を持つモデルは、微細なオブジェクトを強力につかむのに最適です。真空度が高いほど吸引力が強くなりますが、必要以上に強力な吸引力があるとオブジェクトを損傷する可能性があります。

参考文献
https://www.hakko.com/japan/products/hakko_393.html
https://www.hakko.com/japan/products/pick-up_tool/
https://www.fluoro.co.jp/product/vacuum-wand-j.html

PWMコントローラ

PWMコントローラとは

PWMコントローラ

PWMコントローラとは、周波数の周期は一定のまま、電流や電圧などのパルス幅を変調する装置のことです。

PWMコントロール制御において、PWM回路を新たに設計することが不要になります。なお、PWMはpulse width modulation (パルス幅変調) の略です。

PWMコントローラを用いてパルス幅を変調することでデューティー比を変化させ、パルスのオン時間、オフ時間をコントロールします。ここでデューティー比は、パルス幅 / 周期で求められます。また、PWMのスイッチングには半導体素子が用いられています。

PWMコントローラの使用用途

PWMコントローラは、モーターの速度制御に使用されます。使用されるモーターは、ACモーターDCモーター同期モーターなどさまざまです。近年、製造業などに用いられているACモーターでは、モーターに取付けられたパルスジェネレータなどの速度検出器のフィードバックを使用します。

フィードバック信号を検出回路で演算し、モーターに与える必要な電圧を最終的に決定します。演算結果の電圧を実現するために使用するのが、PWMコントローラです。このコントローラは、一般的に基板内に内蔵されています。

PWMコントローラの原理

PWMコントローラは、オペアンプで構成される比較器を用いて、制御したい元となる正弦波とキャリアと呼ばれるのこぎり波 (三角波) を掛け合わせることで、出力するパルスを算出しています。パルスをつくるために、「正弦波>のこぎり波」のところはオン、「正弦波<のこぎり波」のところはオフとしています。掛け合わせたものが、パルスとして出力することが可能です。

このようにパルスをつくることで、正弦波の波高値が高い部分はパルスが「密」となり、低い部分はパルスが「疎」となります。なお、パルスをオン・オフするためにはスイッチング機構が必要です。スイッチングには、トランジスタやサイリスタなどの半導体が用いられています。

これらの半導体はゲート (ベース) 部に信号がきた時のみ、アノード (エミッタ) 、カソード (コレクタ) 間を通電させる機能があります。比較器の信号をゲートへ送ることで半導体自身がオン・オフを行い、結果的にパルスもオン・オフすることが可能です。

PWMコントローラの構造

PWMコントローラはデータレジスタ・カウンタ・比較器の3つから大きく構成されます。さらに、データレジスタは周期とデューティをそれぞれ決定する周期レジスタとデューティレジスタがあります。PWMコントローラの特徴は、周期レジスタとデューティレジスタそれぞれが比較器を持つことです。

それぞれの比較器の出力は、フリップフロップ回路のセット・リセット端子に接続されています。周期レジスタにはPWM信号周期の幅を設定し、デューティレジスタにはパルス幅を設定します。

カウンタスタート時に周期レジスタの比較器が、フリップフロップ出力を1にセットし、デューティレジスタの比較器がフリップフロップ出力を0にリセットする構成です。これを繰り返すことで、PWM信号を出力できます。

PWMコントローラのその他情報

PWMコントローラ使用時の注意点

PWMによる制御は電力パルスがONのときにモータへ電流を流し、OFFの時は流さないため、トランジスタや電流の負担が軽くなるメリットがあります。一方で、モータ内コイルのインダクタンスがPWM制御がOFFの時に自己誘導作用が発生してしまうのがデメリットです。

これは大きな逆起電力を誘発し、制御用トランジスタの破壊や周囲への雑音、大きな電磁波被害の原因となります。このデメリットを解消するために使用するのが、フライホイールダイオードです。

フライホールドダイオードをPWM制御回路に導入することで、モータオフ時に誘発する逆方向電力をダイオード経由でモータに回生することが可能です。

電源リール

電源リールとは

電源リール

電源リールはコードリールや電工ドラムなどとも呼ばれており、延長コードを介して電源を延長させることが出来る便利な器具です。

電源リールには延長コードとそのコードを巻いて収納するドラム部分、そしてドラムの側面の中央部にはコンセントの差し込みプラグがついています。これにより、電源リールのケーブルを壁にあるコンセントに差し込み、延長コードを延ばすことで壁のコンセントから得た電気をコードの長さが許す限りの距離まで延長させることができます。

電源リールの使用用途

電源リールは工事現場では必須のアイテムになります。

工事現場では電動のドリルやノコギリ、溶接機などを使用して、金属材料や木材の切断、穴あけ、溶接などを行います。バッテリー式の電動工具も多種多様にありますので、バッテリー式では持ち運びに便利である一方で、バッテリーが切れてしまえば使用できません。一日中作業する現場では電源をコンセントから取るタイプの工具が好まれます。

しかし、工具のコードの長さにより使用できる範囲が制限されますので、工具の使用に自由度が欲しい場合に電源リールは使用されています。

電源リールの原理

電源リールには様々な仕様がありますので基本的に用途に合わせて使用することが理想ですが、実際は何台も購入せずに作業現場ではに一台や二台と言った少数の電源リールを使いまわしています。これは何台も購入すると保管場所や移動が大変であることに加えて、一台あれば大抵の場合で事足りるからです。

電源リールの仕様にコード長がありますが、一般的に10メートルから50メートルまであります。コードは長い方が使い勝手がよく便利な一方で、コードの重さにより重くなってしまいます。また、コードに電流が流れると発熱しますので、巻いたまま使用するとドラムに熱が蓄積して発火した事故も起こっています。コードが長い程熱が発生してしまうので、コードは出した状態で使用しなければなりませんが長いとコードの出し入れに労力を使います。

一方で短いと使いやすいのですが使える範囲に制限が出てしまいますので一般家庭で使用する際にはコード長は20メートルもあれば家全体をカバーできると思います。

エジェクタピン

エジェクタピンとは

エジェクタピン

エジェクタピンとは、アルミダイカストや樹脂部品の成形工程において、金型から成形品を取り出すために使用される金型構成部品の一つです。

金型を用いた成形では、2つの金型の間に材料となる溶けた金属や樹脂を流し込み、材料が冷却されて固まった後に成形品が取り出されます。エジェクタピンは、金型に張り付いている成形品に対して、金型から突き出す動きをすることによって、成形品を金型から取り出します。

つまり、エジェクタピンがなければ、金型から製品を押し出すことができません。

エジェクタピンの使用用途

エジェクタピンは、金型を用いた成形において使用されています。アルミ合金、マグネシウム合金、鋳鉄などの金属の金型によるダイカスト成形製品、さまざまな樹脂部品の射出成形において、必要となる金型部品です。

エジェクタピンは通常、規格品として販売されています。広く用いられている丸型のエジェクタピンなら、軸径、全長、ツバ径、ツバ厚、材質などによって、選択することができます。また、丸ピンと角ピンの2種類があります。

丸ピンは主に底が浅い、ふたのような成形製品に使います。できるだけリブ  (突起部・ふち) に近い部分の四隅や、離型抵抗という、金型から製品を引き剥がしにくい場所に設置します。

一方で、角ピンは主に底が深い成形品に使います。樹脂成形品の場合、押し出しによって樹脂が白くなる (白化する) ことがあるため、製品の目立ちにくい縁 (ふち) の部分に使われます。

エジェクタピンの原理

エジェクタピンは金型に張り付いた成形品を、押し出すことによって、金型から引き剥がすように作用して取り出します。金型は通常、固定型と可動型に分けられます。金型が閉じて2つの金型の隙間に材料となる金属や樹脂が流し込まれた後、可動型がスライドして金型が開きます。

金型が開いても成形品は、可動型に張り付いたままです。次に、可動型に埋め込まれた状態になっていたエジェクタピンが、可動型から突き出る動きをすることによって、成形品は可動型から分離されます。

エジェクタピンは、成形機の突出板という部品に固定されています。突出板は、成形機のエジェクタロッドと呼ばれる部品によって押し出され、エジェクタピンを金型から突き出すことになります。

エジェクタピンの構造

ストレート型のエジェクタピンの場合、ストレート形状の摺動部と非摺動部とツバ部から構成されています。

1. 摺動部

摺動部は、コアの取り付け穴に挿入されており、ショット毎に摩擦移動をするため、高い精度での機械加工と、良好な表面粗さに仕上げられていることが求められます。ピンの円周方向の寸法が精度よく仕上がっていないと、クリアランスに溶けた金属や樹脂が入り込んでバリが発生しまうためです。

2. 非摺動部

非摺動部は、ツバ部との連携をする部分です。ツバ部はその根元において、ストレート部分との間で段差を有する形状であるため、ピンに対してかかる圧縮および曲げ応力などによって、段差状の根元には応力が集中します。そこで、ツバ部根元には焼きなましなどの処理が行われ、応力集中に対する強度を確保します。

また、成形品の形状によっては、エジェクターピンが回転することにより、肉厚の変動に伴う形状変形や、エジェクタピン自身の破損につながることがあります。その場合は、エジェクターピンの頭を回転不能にする加工も検討すると良いでしょう。具体的には、エジェクターピンの頭部分に小さな突起を設けたり、頭部分を部分的にカットした形状に加工したりする方法があります。

参考文献
https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1212/14/news025.html
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/plastic_mold_design/pl01/c0960.html
https://meigikanagata.com/eject2/
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/plastic_mold_design/pl07/c0618.html
https://www.kreuz.jp/product/cate04/cate0402/

ベルトクランプ

ベルトクランプとはベルトクランプ

ベルトクランプは例えば窓枠などを作るときに木材にボンドを塗った後に形が崩れないように締め付けを行う器具です。

ベルトクランプは四角い枠などを作る際に四方の角をコーナーパッドで押さえてベルトを締め付けて使用しますが、コーナーパッドを取り外しても様々な用途に使用することができます。

ベルトクランプは締め付けを行うベルトと四方の隅を押さえつけるコーナーパッド、そしてベルトの締め付けを行うラチェット機構を内蔵するハンドル部分から構成されています。

ベルトクランプの使用用途

ベルトクランプは工作を行う際に非常に重宝するクランプで、扉や箱などの四角形の工作物の外枠を押さえる場合などに使用されます。

ベルトクランプはラチェットで締めるので簡単にそして正確に締まる上に、同時に四点を締め付けることが出来ることが特徴です。他のクランプですと工作物を上下から挟み込みますので二点のみの締め込みになり、四角形の枠などへの使用には適していません。

さらに、コーナーパッドを取り外すとベルト前面で締め付けられますので、桶など円筒形の工作物の締め付けにも使用できます。

ベルトクランプの原理

ベルトクランプは工作別にベルトを巻き付けて締め付けを行いますので、ベルト全体に締め付けの圧力がかかります。この点が一般的なクランプとは機構が異なっています。

クランプとは締め付けるという意味なのですが、最も一般的なクランプは万力やCクランプなど、ネジを締め込むことで上下から徐々に締まっていくタイプです。このタイプのクランプは上下の2点から締め付けることに対しては非常に優秀であり、2つのパーツをボンドで接着するなどと言う用途には向いています。

一方で、ベルトクランプは2点のみを締め付けるという用途には余り向いていません。これはベルトクランプを使用すると工作物に巻き付けたベルトが工作物の意図しない場所に当たってしまい、締め付けの圧力を分散させて邪魔をしてしまいますので圧力を2点のみに集中しにくいということなどにあります。

従って、ベルトが工作物に当たらない用途、もしくはベルトが工作物前面に均等に当たる場合にはベルトクランプが非常に有効になります。

参考文献
http://yarouzo.blog.jp/archives/731705.html
https://isamu-f.com/douguclamp/

操作盤

操作盤とは

操作盤

操作盤とは、主に機械装置やシステムなどを制御・操作するためのパネルまたは機器です。

工場や発電所などで使用されることがあります。操作盤は機械やシステムを効果的に制御および監視するためのユーザーインターフェースを提供します。運用者は操作盤を使用して設備の動作を調整し、必要な情報をリアルタイムで確認することが可能です。

配線で接続することで、制御機器と離れた位置で機械を操作することもできます。また、適切に設計された操作盤は、安全な操作をサポートします。緊急停止スイッチや異常警報機能などが組み込まれ、危険な状況や故障を検出して対処することが可能です。

ただし、 操作盤の設計と操作は複雑な場合があります。適切な操作方法を定めることが大切です。

操作盤の使用用途

操作盤はさまざまな用途で使用されます。以下は操作盤の使用用途です。

1. 工場

工場内の生産ラインでは、製品の製造や加工プロセスを管理するために操作盤が使用されます。操作盤によって機械の起動・停止や速度調整等が可能です。場合によってはプロセスのさまざまな現在状況も表示され、作業者が効率的なプロセス制御を行います。

また、化学工場やプラントなどの産業プロセスにおいても操作盤を使用することが多いです。プロセスのパラメーターを監視し、制御するために使用されます。温度や圧力、液位などのデータを操作盤上で表示し、プロセスの安定性と品質を確認することが可能です。

2. 発電所

発電機や電力供給システムの動作を監視し、制御するために操作盤が使用されます。操作盤を通じて発電量や電圧などを監視し、安定した電力供給に貢献します。

3. 商業施設

消防設備やセキュリティシステムは、異常や緊急事態の検出と対応が必要です。操作盤は警報の表示や状況のモニタリングに使用され、迅速な対応を支援します。

また、操作盤を使用して照明や暖房・冷房などを制御する場合も多いです。施設全体のエネルギー効率を向上させ、利用者の快適性を確保します。

操作盤の原理

操作盤は制御対象の機械によって個別に設計する機器です。構成要素としては、操作部や表示部、電気配線、筐体などに分けられます。

1. 操作部

操作部は、機械やシステムの制御を担当する要素です。ボタンやダイヤル、キーパッドなどで構成されます。ボタンは機器の起動・停止や機能の切り替えなどを行うための操作要素であり、押すことで操作信号を制御機器に送ります。

ダイヤルは連続的な調整を行うために使用され、つまみを回すなどを行って機械動作を調整することが可能です。キーパッドは数値やコードの入力に使用され、制御や設定に関連する情報を入力することができます。

2. 表示部

機械やプロセスの状態や情報を表示する役割の部品です。タッチパネルを使用して、系統全体の状態を表示する場合も多いです。安価な操作盤では、ランプや指示指針によって状態表示を行います。

3. 電気配線

操作盤内部には電気回路が配置され、システムの制御や電力供給を行います。多芯線による制御配線や、電力供給用の配線が入線されることが多いです。通信を使用する場合は、Ethernetケーブルやシリアル通信ケーブルが入線されます。

4. 筐体

操作盤を保護し、外部からの物理的な影響や環境からの影響を軽減するための外部ケースです。頑丈な金属製が多いですが、硬質プラスチックなどが使用される場合もあります。扉やカバーが付いており、開放することで内部機器を点検可能です。

操作盤の選び方

操作盤は、用途に合わせて個別に設計する場合が多いです。

1. プロセス

まず、どのようなプロセスを制御・監視する必要があるのかを明確にします。工業プロセスや建築物管理など、用途によって必要な操作盤の機能や特性が異なる場合が多いです。

2. 操作部品

プロセスに応じて、必要な操作部品を決定します。安価な製品を選びたい場合は、押ボタンなどの安価な製品を選定します。タッチパネルなどは高価ですが、プログラム次第で幅広い機器の操作と表示を実施することが可能です。

3. 使用環境

その他、使用環境も重要な要素です。屋外設置の場合は防塵性や防水性が求められる場合があります。操作盤のIP規格 (防塵・防水規格) を確認して適切な筐体を選びます。

参考文献
https://elec-tech.info/seigyoban1/

ウレタンベアリング

ウレタンベアリングとは

ウレタンベアリング

ウレタンベアリングとは、ウレタン樹脂 (ポリウレタン) を主要な素材として使用して作られたべアリングです。

ベアリングは機械部品同士の摩擦を減少させ、回転する軸を支持する部品です。軸の滑らかな回転と正確な運動を可能にする役割を果たします。ウレタンベアリングは耐摩耗性が高く、長寿命です。

したがって、長期間の使用においても性能が維持されます。また、比較的軽量な素材であるため、機械部品の重量を軽減しつエネルギー効率を向上させることが可能です。ウレタンは滑らかな表面を持ち、低摩擦で動作するため、運動部品の効率的な運動を可能にします。

化学的にも安定しており、腐食性環境下での使用に適しています。ただし、金属ベアリングに比べて耐荷重能力が低いため、適切な設計と選定が重要となります。

ウレタンベアリングの使用用途

ウレタンベアリングは、その特性によってさまざまな用途に使用されます。以下はウレタンベアリングの使用用途です。

1. 軽荷重な機械部品

ウレタンベアリングは、軽量な機械部品での使用に適しています。例えば、コンベヤーなどのローラーとして使用されることがあります。これらの用途では製品や物資の運搬が行われるため、軽量かつ低摩擦の特性が重要です。

2. 低速運動部品

ウレタンベアリングは低速運動部品に適しています。例えば、製品の挿入や組み立て作業用の機械指などに使用されます。低速運動の際に滑らかな動きを提供し、正確な操作が可能です。

3. 食品・医療

ウレタンの吸音性能は、振動や騒音の制御が必要な用途に適しています。食品加工機械や医療機器などでは、作業中の振動や騒音を最小限に抑えるためにウレタンベアリングが使用されることも多いです。これにより、作業環境や製品への影響を減少させることができます。

また、ウレタンは化学的にも安定した素材です。食品加工機械では食品との接触面で清潔さが保たれます。医療機器では、滑らかな運動とクリーンな状態が重要です。

ウレタンベアリングの原理

ウレタンベアリングの動作原理は、その特性に基づいて摩擦を減少させ、軸受けとしての機能を果たすことです。ウレタン樹脂は柔軟で弾性があり、一般的に低い摩擦係数を持ちます。この特性により、ウレタンベアリングは滑らかな運動を可能にし、エネルギー損失を最小限に抑えることが可能です。

また、ウレタンは振動や衝撃を吸収する能力を持つ素材です。これにより、運動中の振動や騒音を低減する効果があります。特に、静かな作業環境や振動の影響を最小限に抑えたい場面で有用です。

ウレタンベアリングは特定の軽荷重で低速運動、振動や騒音の制御が求められる用途に適しています。ただし、高荷重や高速運動の場合、適切な材料やデザインが必要です。適切な条件下で使用することで、ウレタンベアリングの特性を最大限に活かせます。

ウレタンベアリングの選び方

ウレタンベアリングを選ぶ際は、以下の点を考慮する必要があります。

1. ウレタン硬度

ウレタンの硬度は、ベアリングの耐摩耗性や荷重耐性に影響を与えます。一般的に硬いウレタンは耐摩耗性が高いですが、柔らかいウレタンはショック吸収性に優れます。用途に合わせてウレタンの硬度を選ぶことが重要です。

硬いウレタンは荷重がかかる用途に適しています。また、柔らかいウレタンは振動吸収が求められる用途に最適です。

2. ウレタン種類

ウレタンは異なる種類や組成が存在します。特定の用途に適したウレタン種類を選ぶことが重要です。耐油性や耐摩耗性、静音性などの特性を考慮してウレタン種類を選びます。

3. 使用温度

ウレタンの耐熱性は限られており、高温環境では変形や劣化が生じる可能性があります。使用温度に合わせてウレタンを選ぶか、別のベアリング材料を検討することが必要です。

4. 寸法

ベアリングの寸法は、装置内での適切な運動を保証するために非常に重要です。軸径、外径、幅などの寸法を適切に選ぶ必要があります。これにより、ベアリングが正確な位置に取り付けられ、運動がスムーズに行われることを確保します。

参考文献
https://toyo-urethane.co.jp/products.html#roll
https://www.monotaro.com/s/pages/productinfo/bearing_type/

ACDCコンバータ

ACDCコンバータとは

ACDCコンバータ

ACDCコンバータとは、交流電源 (AC) を直流電源 (DC) に変換する装置のことです。

家庭内の身近な機器などでも多く使用されていますが、一般的に商用電源である交流電圧を直流電圧に変換し、電子機器や電気機器がDC電源を必要とする場合に使用します。ACDCコンバータにはトランスと整流器やスイッチングレギュレータなどの回路が内蔵されており、交流入力をパルス幅変調 (PWM) などの方法でDCに変換します。

コンバータの出力電圧や電流容量にはさまざまなものがあり、用途に合わせた選択が必要です。高品質なコンバータを使用して、入力される交流電力を効率的にDC電力に変換し、電子機器などへ安定した電源供給が可能となります。

ACDCコンバータの使用用途

ACDCコンバータは、現代の電気製品の大多数にとって必要不可欠な存在です。特に、AC電源から、DC電源を必要とする各種の電子機器で広く利用されています。以下、その具体的な使用事例をいくつか述べます。

1. 家庭電化製品

家庭内の電子機器の大部分は直流電源を必要とします。テレビ、冷蔵庫、洗濯機、エアコンなどの大型家電から、モバイルデバイス、パソコン、電子レンジなどの小型家電まで、これら全ての製品はACDCコンバータを利用してAC電源をDC電源に変換しています。

2. 工業機器

ACDCコンバータは、プラントや工場で使用される多種多様な機器にも重要な役割を果たします。これには、電動工具、自動化装置、CNCマシンなどが含まれます。

3. 電源アダプタ

このアダプタはACDCコンバータの一種で、スマートフォン、タブレット、ラップトップなどのポータブルデバイスを充電するために使用されます。

4. 電気自動車

電気自動車 (EV) の充電システムでは、ACDCコンバータが必須です。AC電源から車両のバッテリーへの直流電力供給を担当しています。

ACDCコンバータの原理

ACDCコンバータは、電源を交流 (AC) から直流 (DC) に変換するためのデバイスです。これらの変換器は、主にトランス方式とスイッチング方式で作動しています。

1. トランス方式

トランス方式のACDCコンバータは、電気エネルギーの伝送に使用されるトランスを中心に構成されます。主な動作の流れは以下の通りです。

  1. 交流電源がトランスに供給されます。このトランスは一次巻線と二次巻線を有しており、電源電圧を降下または昇圧します。
  2. トランスの出力側である二次巻線からの出力は、AC電源のままですが、電圧は変換されています。
  3. この二次側のAC出力は、整流器 (通常はダイオード) を介してDCに変換されます。しかし、この時点では直流電圧は波打っています (脈流) 。
  4. 最後に、このパルス波形の直流電圧は、平滑化コンデンサにより平滑化され、安定したDC出力が得られます。

トランス方式は構造がシンプルである一方、大型で重く、また電力変換効率が低い傾向があります。

2. スイッチング方式

スイッチング方式のACDCコンバータは、その高効率性とコンパクトさから、現代の電子機器の電源供給によく使用されます。主な動作の流れは以下の通りです。

  1. AC電源は、ブリッジ整流器を介してDC (パルス波形) に変換されます。
  2. このパルス波形のDC電源は、スイッチング要素 (通常はトランジスタ) を使って高周波のパルス列に変換されます。このスイッチング動作は、非常に高速で行われ、スイッチング周波数は数十kHzから数MHzの範囲になります。
  3. この高周波のパルス列は、トランスを介して適切な電圧に変換されます。
  4. 変換後のパルス列は再度整流され、しかしまだ波打ったDC (パルス波形) となります。
  5. 最後に、この波打ったDCは平滑化回路により安定したDC出力に変換されます。

スイッチング方式は、高効率でコンパクトな設計が可能である一方、電源ノイズが大きく、また設計が複雑になる特性があります。

ACDCコンバータの種類

ACDCコンバータは、用途や設計の要求に応じて様々な形状、大きさ、仕様で提供されています。

1. アダプタ型

小型電子機器やノートパソコンなどに使われるACDCコンバータです。主にスイッチング方式を採用していて小型の形状で提供されています。

2. オープンフレームコンバータ

固定設備や産業用機器に組み込まれることを前提として設計されています。これらのコンバータは、裸の基板形式で提供され、最終製品内の適切な場所に取り付けられます。

3. DINレールマウントコンバータ

主に産業環境で使用され、DINレールに直接取り付けることができます。頑丈で堅牢な設計が特徴で、厳しい環境条件下でも信頼性を確保できます。

4. ラックマウントコンバータ

サーバーのラックに設置が可能で、通常、高電力のACDC変換を必要とするデータセンターなどで使用されます。

参考文献
https://www.rohm.co.jp/electronics-basics/ac-dc-converters/acdc_what4

ブラシ付きDCモーター

ブラシ付きDCモーターとは

ブラシ付きDCモーター

ブラシ付きDCモーターとは、ブラシと呼ばれる部品を有するDCモーターです。

回転子内のブラシを介して、直流電流を送り込むことによって動作します。ブラシ付きDCモーターは、比較的単純な制御回路で動作させることができます。回転方向や速度の制御が容易である点が特徴です。

また、他のモーターと比較して高い起動トルクを得ることが可能で、低速から高速まで幅広い速度範囲での運転に対応しています。さらに、ブラシ付きDCモーターの仕組みは比較的簡単で理解しやすいため、初心者や教育用途に適しています。製造コストも比較的低く、手頃な価格で入手可能です。

ただし、ブラシ付きDCモーターのブラシは、回転子との接触部分で摩耗が生じます。これにより寿命が制限され、定期的なブラシ交換が必要となります。

ブラシ付きDCモーターの使用用途

ブラシ付きDCモーターはさまざまな用途で使用されます。以下はブラシ付きDCモーターの使用用途一例です。

1. 電動工具

ブラシ付きDCモーターは、電動工具において一般的な動力源です。高い起動トルクと比較的コンパクトなサイズが、ドリルや振動ツールなどで必要な要件を満たします。これらの工具は、建築や修理作業などで広く使用されています。

2. 玩具

ラジコンカーやラジコンヘリコプター、モデル飛行機などの動力源として使用されることが多いです。これらのおもちゃにブラシ付きDCモーターが使用される理由は、低コストと簡単な制御が可能であるためです。おもちゃの動力源として適しており、楽しい遊び体験を提供します。

3. ハンディファン

ハンディファンは、夏や暑い環境での使用に適した小型のファンです。ブラシ付きDCモーターは手のひらサイズのファンの動力源として広く採用されています。低電力で効率的に風を送ることが可能です。

4. 家電製品

家電製品においても、ブラシ付きDCモーターが使用されることが多いです。電動歯ブラシやハンドミキサーなどが使用される機器の一例です。その他にも、ヘアドライヤーなどの小型の家電製品での動力源として機能します。

ブラシ付きDCモーターの原理

ブラシ付きDCモーターの原理は、電流と磁場の相互作用により動作する仕組みです。モーター内の主要な部品は、回転子と固定子、ブラシなどです。

固定子はモーター回転軸の外部に位置し、永久磁石や電磁石で構成されます。回転子はモーターの回転軸に直結され、複数のコイルで構成されます。ブラシは回転子と接しつつ電源を供給する部品です。

モーターの電源がオンになると、回転子のコイルに電流が流れ始めます。この電流によって回転子のコイルは電磁石となり、コイルのまわりに磁場が生じます。固定子の永久磁石と回転子のコイルの磁場が相互作用することで、回転子にトルクが生じて回転する仕組みです。

回転子が回転すると、ブラシは回転子のコイルに連続的に電流を供給します。この電流の向きは、回転子の位置によって変化します。また、ブラシによって回転子のコイルにかかる電流の向きが変わることで、回転子の回転が持続します。

ブラシ付きDCモーターの選び方

ブラシ付きDCモーターを選ぶ際には、いくつかの重要な要素を考慮する必要があります。以下は主な選定要素の一例です。

1. 定格電圧

ブラシ付きDCモーターは、特定の定格電圧で動作します。選択するモーターの定格電圧は、使用する電源に合わせて選ぶことが必要です。過電圧が加わるとモーターに損傷を与える可能性があるため、正確な定格電圧を確認して適切な電源を供給する必要があります。

2. 電力

電力はモーターが供給する出力電力の大きさです。選択するモーターの電力は、必要とするトルクや回転力に対応できるかを確認するために重要です。通常、電力容量が大きいモーターほど、より大きな負荷に対して強力な動作が期待できます。

3. 取付方法

ブラシ付きDCモーターには、さまざまな取付方法があります。例えば、軸取付型やフランジ取付型などがその一例です。用途に適した取付方法を選ぶことで、モーターの設置や連結が容易になります。

また、取り付けスペースや機構に合わせて適切な取付方法を選択することも重要です。

参考文献
https://toshiba.semicon-storage.com/jp/semiconductor/knowledge/e-learning/brushless-motor/chapter1/brushless-motors-brushed-DC-motor.html
https://toshiba.semicon-storage.com/jp/semiconductor/knowledge/e-learning/brushless-motor/chapter2/comparison-brushed-dc-motor-and-brushless-motor.html