エジェクタピンとは
エジェクタピンとは、アルミダイカストや樹脂部品の成形工程において、金型から成形品を取り出すために使用される金型構成部品の一つです。
金型を用いた成形では、2つの金型の間に材料となる溶けた金属や樹脂を流し込み、材料が冷却されて固まった後に成形品が取り出されます。エジェクタピンは、金型に張り付いている成形品に対して、金型から突き出す動きをすることによって、成形品を金型から取り出します。
つまり、エジェクタピンがなければ、金型から製品を押し出すことができません。
エジェクタピンの使用用途
エジェクタピンは、金型を用いた成形において使用されています。アルミ合金、マグネシウム合金、鋳鉄などの金属の金型によるダイカスト成形製品、さまざまな樹脂部品の射出成形において、必要となる金型部品です。
エジェクタピンは通常、規格品として販売されています。広く用いられている丸型のエジェクタピンなら、軸径、全長、ツバ径、ツバ厚、材質などによって、選択することができます。また、丸ピンと角ピンの2種類があります。
丸ピンは主に底が浅い、ふたのような成形製品に使います。できるだけリブ (突起部・ふち) に近い部分の四隅や、離型抵抗という、金型から製品を引き剥がしにくい場所に設置します。
一方で、角ピンは主に底が深い成形品に使います。樹脂成形品の場合、押し出しによって樹脂が白くなる (白化する) ことがあるため、製品の目立ちにくい縁 (ふち) の部分に使われます。
エジェクタピンの原理
エジェクタピンは金型に張り付いた成形品を、押し出すことによって、金型から引き剥がすように作用して取り出します。金型は通常、固定型と可動型に分けられます。金型が閉じて2つの金型の隙間に材料となる金属や樹脂が流し込まれた後、可動型がスライドして金型が開きます。
金型が開いても成形品は、可動型に張り付いたままです。次に、可動型に埋め込まれた状態になっていたエジェクタピンが、可動型から突き出る動きをすることによって、成形品は可動型から分離されます。
エジェクタピンは、成形機の突出板という部品に固定されています。突出板は、成形機のエジェクタロッドと呼ばれる部品によって押し出され、エジェクタピンを金型から突き出すことになります。
エジェクタピンの構造
ストレート型のエジェクタピンの場合、ストレート形状の摺動部と非摺動部とツバ部から構成されています。
1. 摺動部
摺動部は、コアの取り付け穴に挿入されており、ショット毎に摩擦移動をするため、高い精度での機械加工と、良好な表面粗さに仕上げられていることが求められます。ピンの円周方向の寸法が精度よく仕上がっていないと、クリアランスに溶けた金属や樹脂が入り込んでバリが発生しまうためです。
2. 非摺動部
非摺動部は、ツバ部との連携をする部分です。ツバ部はその根元において、ストレート部分との間で段差を有する形状であるため、ピンに対してかかる圧縮および曲げ応力などによって、段差状の根元には応力が集中します。そこで、ツバ部根元には焼きなましなどの処理が行われ、応力集中に対する強度を確保します。
また、成形品の形状によっては、エジェクターピンが回転することにより、肉厚の変動に伴う形状変形や、エジェクタピン自身の破損につながることがあります。その場合は、エジェクターピンの頭を回転不能にする加工も検討すると良いでしょう。具体的には、エジェクターピンの頭部分に小さな突起を設けたり、頭部分を部分的にカットした形状に加工したりする方法があります。
参考文献
https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1212/14/news025.html
https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/plastic_mold_design/pl01/c0960.html
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https://jp.misumi-ec.com/tech-info/categories/plastic_mold_design/pl07/c0618.html
https://www.kreuz.jp/product/cate04/cate0402/