PWMコントローラとは
PWMコントローラとは、周波数の周期は一定のまま、電流や電圧などのパルス幅を変調する装置のことです。
PWMコントロール制御において、PWM回路を新たに設計することが不要になります。なお、PWMはpulse width modulation (パルス幅変調) の略です。
PWMコントローラを用いてパルス幅を変調することでデューティー比を変化させ、パルスのオン時間、オフ時間をコントロールします。ここでデューティー比は、パルス幅 / 周期で求められます。また、PWMのスイッチングには半導体素子が用いられています。
PWMコントローラの使用用途
PWMコントローラは、モーターの速度制御に使用されます。使用されるモーターは、ACモーターやDCモーター、同期モーターなどさまざまです。近年、製造業などに用いられているACモーターでは、モーターに取付けられたパルスジェネレータなどの速度検出器のフィードバックを使用します。
フィードバック信号を検出回路で演算し、モーターに与える必要な電圧を最終的に決定します。演算結果の電圧を実現するために使用するのが、PWMコントローラです。このコントローラは、一般的に基板内に内蔵されています。
PWMコントローラの原理
PWMコントローラは、オペアンプで構成される比較器を用いて、制御したい元となる正弦波とキャリアと呼ばれるのこぎり波 (三角波) を掛け合わせることで、出力するパルスを算出しています。パルスをつくるために、「正弦波>のこぎり波」のところはオン、「正弦波<のこぎり波」のところはオフとしています。掛け合わせたものが、パルスとして出力することが可能です。
このようにパルスをつくることで、正弦波の波高値が高い部分はパルスが「密」となり、低い部分はパルスが「疎」となります。なお、パルスをオン・オフするためにはスイッチング機構が必要です。スイッチングには、トランジスタやサイリスタなどの半導体が用いられています。
これらの半導体はゲート (ベース) 部に信号がきた時のみ、アノード (エミッタ) 、カソード (コレクタ) 間を通電させる機能があります。比較器の信号をゲートへ送ることで半導体自身がオン・オフを行い、結果的にパルスもオン・オフすることが可能です。
PWMコントローラの構造
PWMコントローラはデータレジスタ・カウンタ・比較器の3つから大きく構成されます。さらに、データレジスタは周期とデューティをそれぞれ決定する周期レジスタとデューティレジスタがあります。PWMコントローラの特徴は、周期レジスタとデューティレジスタそれぞれが比較器を持つことです。
それぞれの比較器の出力は、フリップフロップ回路のセット・リセット端子に接続されています。周期レジスタにはPWM信号周期の幅を設定し、デューティレジスタにはパルス幅を設定します。
カウンタスタート時に周期レジスタの比較器が、フリップフロップ出力を1にセットし、デューティレジスタの比較器がフリップフロップ出力を0にリセットする構成です。これを繰り返すことで、PWM信号を出力できます。
PWMコントローラのその他情報
PWMコントローラ使用時の注意点
PWMによる制御は電力パルスがONのときにモータへ電流を流し、OFFの時は流さないため、トランジスタや電流の負担が軽くなるメリットがあります。一方で、モータ内コイルのインダクタンスがPWM制御がOFFの時に自己誘導作用が発生してしまうのがデメリットです。
これは大きな逆起電力を誘発し、制御用トランジスタの破壊や周囲への雑音、大きな電磁波被害の原因となります。このデメリットを解消するために使用するのが、フライホイールダイオードです。
フライホールドダイオードをPWM制御回路に導入することで、モータオフ時に誘発する逆方向電力をダイオード経由でモータに回生することが可能です。