IP無線機

IP無線機とは

IP無線機

IP無線機とは、プレストーク (PTT) 方式の移動体通信サービスであり、携帯電話網やWi-Fi無線網を利用して、音声やデータをVoIP化して伝送する無線機です。

IPトランシーバやPoCトランシーバ、LTEトランシーバなどとも呼ばれます。キャリア自体が手がけるIP無線機のほか、MVNO方式でキャリアより携帯電話回線を借りIP無線機サービスを運営している会社も多数存在します。

免許が不要かつコストが低いため、小規模な企業や個人でも導入が可能です。建設現場や倉庫、物流業界などの業務分野で利用されています。

IP無線機は、最近ではスマートフォンとの連携機能も備えており、多様な用途で活用されています。

IP無線機の使用用途

IP無線機は従来の無線機より広範囲で通信可能な上、基地局の設備や免許も不要であるため、広大なエリアにわたるイベント会場や空港、地下鉄などで業務用の連絡手段として利用されています。

また、IP無線機では大人数で情報が共有できることと、電話回線が輻輳する事態でも繋がりやすいことから、消防本部と消防団や、災害時にも活用できる連絡手段として市役所などで導入されています。

携帯電話と違ってボタンを押すだけで通話できるため、道路交通法違反とならないと言われています。そのため、物流業界で本部からドライバーへの連絡に使用される場合も多いです。

IP無線機の原理

IP無線機は、VoIP (英: Voice over IP) を利用することで、音声データをデジタル信号に変換し、パケットデータとして伝送します。パケットデータの伝送路として、携帯電話会社の通信網を利用しています。

IP無線機と携帯電話の基地局との間ではデータの暗号化が行われるので、セキュリティを確保した通話が可能です。

IP無線機の種類

IP無線機は形状などによっていくつかの種類があります。

1. 携帯型

携帯型は、サイズがコンパクトで人が手に持ち移動しながら使える端末です。バッテリで動作し、およそ12時間~17時間稼働できます。イベントスタッフや交通誘導員や保安員などの利用に適しています。

2. 車載型

車載型は、自動車に搭載される端末です。自動車の電源を利用するため、充電の心配がありません。長時間の使用可能で、トラックやタクシーなどでの利用に適しています。

3. アプリ型

スマートフォンにアプリをインストールすることで、IP無線機として利用することができます。アプリならではの機能として録音や文字起こし、音声読み上げ機能などが機能として提供されています。

IP無線機の特徴

IP無線機には以下のような特徴があります。

1. 利用可能な場所が多い

携帯電話の電波が届く範囲であれば、山林やビルの間、地下など通常の無線では届きづらい場所でも電波が届きます。

2. グループ通信・個別通信が可能

IP無線機は、通話モードが多く、個別通話はもちろんグループ通話をすることができます。グループ通話では、一度に契約した移動局と一斉に通話したり、指令局同士と通話したりすることが可能です。重要な話や緊急時には、割り込んで通話もできます。

3. 通話が安定している

IP無線は携帯電話の仕組みを利用するため、他の無線機で経験する電波の混信や移動中の通話の途切れなどはほぼありません。そのため、安定した通話を行うことができます。

4. GPS機能が搭載されている

IP無線機に内蔵されたGPSを活用して、トラックやタクシーの位置の把握を行うことが可能です。ただし、機種によって機能が搭載されていない場合もあります。

5. 運転中でも使用可能

道路交通法により運転中に携帯電話は使用できませんが、IP無線機は道路交通法で利用が制限されている「無線通話装置」には該当せずしません。そのため、IP無線機を利用しても道路交通法には違反しないものと考えられます。

ただし、罰則の対象になる明確な基準がないため、IP無線機の使用中に交通事故が発生した場合は「安全運転義務違反」に問われる可能性があります。

6. 通信料は定額

IP無線機の通信料は月額固定なので、どれだけ使っても料金があがることはありません。

7. 災害時につながりやすい

災害時に通話が集中して輻輳が発生している状況でも、パケット通信のため比較的つながりやすいです。

参考文献
https://skytc.jp/ip-wireless/whatis/
https://www.softbank.jp/biz/mobile/lineup/ip-musenki/
http://ipradio.tanaka-denki.co.jp/case_study/index.html

FX側溝

FX側溝とは

FX側溝は通常の側溝より丸みがある形状で、安定性の高い側溝です。通常の側溝より軽量なので取り扱いやすく施工性がよいです。また、納まりがよいので蓋のがたつきが少なく、車が通った時の騒音を減らすことができます。

荷重強度や流量は通常の側溝と同程度で、余剰土量の縮減が可能なため環境に配慮してコストダウンできます。

また、従来の側溝よりFX側溝はスリムな形状なので、歩道幅を最大20cmも拡張することができます。

FX側溝の使用用途

FX側溝は、従来の側溝と同じ用途で利用されており、林道や生活道路などで導入されています。FX側溝は車両が走行した際に生じるがたつきが少ないので、夜間や市街地などにおける騒音の問題を軽減することができます。さらに蓋のがたつきによるコンクリートの劣化や破損を防ぐこともできます。FX側溝は軽くて施工しやすいため、従来の側溝よりも短時間で施工が済み、交通量の多い場所での導入例も多くあります。

出入口用、コーナー、泥ため、枡などのバリエーションがあります。

FX側溝の原理

従来の側溝は、蓋を水平に置くだけの構造だったので車両等が通過した際の安定性が悪くなっていました。FX側溝はトリプルサポート機能と呼ばれる形状に加工されていて安定性が向上しています。

FX側溝の側溝本体の蓋受け部分がR面、蓋下部がV面で接触しています。R面とV面で線接触させることによって蓋にかかる積載荷重の衝撃を吸収することができ、蓋のがたつきや跳ね上がりを軽減しています。蓋の側面の水平方向にもフィットポイントが作られていて、製品を一体化させることができ、ズレを防止しています。

また、側溝の側面が平坦なので、近くの構造物に密着した施工が可能です。そのため転圧が十分にできるので舗装の沈下を防ぐことができます。

側溝も蓋も軽量化されていて、300幅の従来の側溝の蓋では46kg程度ですが、FX側溝では29kg程度です。

従来の側溝より堀削量が少ないので掘削時間と残土処理の費用を削減することができます。

また、排水用のフィルターを取り付けることもできます。

参考文献

https://www.kyoei-kenzai.com/product/

FRPドレン

FRPドレンとは

FRPドレンとは、FRP (英:Fiber Reinforced Plastic) と呼ばれる繊維強化プラスチックでできているドレンです。

FRPドレンは軽量で強度が高く、防水性や耐久性に優れています。FRPドレンの特性を利用して、一般的に、地下や建物の床下などの排水に使用されます。

例えば、浴室やシャワールーム、トイレなどの排水水を効率的に排水するために有用です。FRPドレンには縦型のドレンと横型のドレンがあります。防水層にFRPが使用されている場合には、ドレン部分もFRPにするとシームレスで漏水防止の効果が高いです。

FRPドレンの使用用途

FRPドレンは、その軽量性、耐腐食性、耐久性などの特性から、さまざまな環境で広く使用されています。FRPドレンの一般的な使用用途は、以下のとおりです。

1. 建築物の床排水

建物の床面からの排水を処理するために使用されます。例えば、浴室、シャワールーム、キッチンなどの水回りの排水に使用されます。

2. 外部排水

雨水や地下水の排水に使用されます。例えば、道路、駐車場、公園、プール周辺などで見られる排水溝です。

3. 工業用排水

工業施設では、化学物質や腐食性液体の排水を処理するためにFRPドレンが使用されます。FRPは耐腐食性に優れているため、これらの環境での使用に適しています。

4. 水処理施設

浄水場や下水処理場などの水処理施設で使用されることもあります。これらの施設では、さまざまなプロセスからの水や廃水の排水を効率的に処理するために利用されます。

FRPドレンの原理

FRPドレンのFRP (英: Fiber Reinforced Plastic) とは、繊維強化プラスチックの略称のことです。FRPは不飽和ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂とガラス繊維やカーボン繊維などの強化繊維などが組み合わされてできています。

FRPドレンが高い防水効果を持つ理由は、以下の原理に基づいています。

1. FRP材料の耐腐食性

FRPは非金属性の材料であり、耐腐食性が高い特徴を持ちます。水や化学物質に対して優れた耐性を持つため、長期間にわたって防水性能を維持することができます。これにより、FRPドレンは劣化や腐食から守られ、防水効果が持続します。

2. 継ぎ目のない構造

FRPドレンは一体成形された構造を持ち、継ぎ目がありません。通常のドレンでは、接合部や継ぎ目から水が浸入する可能性がありますが、FRPドレンの一体成形構造により、浸水や漏水のリスクを最小限に抑えます。

継ぎ目がないことで、防水層の強度と信頼性が向上し、防水効果が高まります。

3. 高い強度と耐久性

FRPは繊維強化プラスチックであり、繊維と樹脂の組み合わせにより高い強度を持ちます。これにより、FRPドレンは地下や床下の環境においても耐久性があり、変形や破損のリスクが低くなります。強度が保たれることで、長期間にわたって防水効果を維持できます。

4. 高い適応性とカスタマイズ性

FRPドレンは、さまざまなサイズや形状にカスタマイズすることが可能です。建物や施設の要件に合わせて設計され、設置場所や排水ニーズに最適な解決策を提供します。これにより、密閉性と適合性が高まり、防水効果が向上します。

総合すると、FRPドレンの高い防水効果は、耐腐食性、継ぎ目のない構造、高い強度と耐久性、そして適応性とカスタマイズ性によって実現されます。これらの特性により、長期間にわたって効果的な防水を提供し、建物や構造物を保護します。

FRPドレンの種類

FRPドレンは、縦型のものと横型のものがあります。縦型FRPドレンは、縦方向に長い形状をもち、通常は地面に埋められます。床に穴を開けるので加工しづらいですが、排水効率が良いのが特徴です。万が一、防水層とドレンが剥離してしまっても、水が逆流しなければ漏水しません。

ただし、床に穴を開けて設置するため、使える床面積が小さくなってしまったりドレンの蓋が邪魔になってしまったりします。横型FRPドレンは、横方向に長い形状をもち、通常は壁に埋められます。床でなく壁に穴を開けるので、床面積を大きく使えます。

排水効率は縦型よりも悪いですが、下地処理がしやすく、取り付けや交換が容易に可能です。ただし、取り付け方次第で排水効率が変わり、また低い位置に設置しないと排水されない水が溜まってしまいます。

参考文献
https://www.iwata-frp.com/news/1417

FRPタンク

FRPタンクとはFRPタンク

FRPタンクとは、軽くて錆びない繊維強化プラスチックが使用されたタンクです。

FRPは耐候が良く、丈夫な素材です。そのため、自動車や船舶の外壁に利用されています。耐薬品性が高い製品も販売されており、貯蔵するタンクとしての性能が高いのが特徴です。原発で発生した放射性同位体などの貯蔵にも利用されています。

FRPの間に硬質発泡ウレタンフォームやポリスチレンフォームを積層した製品は、保温・断熱性に優れたタンクとして販売されています。

FRPタンクの使用用途

FRPタンクは民生品から産業製品まで、幅広い用途で製作・使用されます。具体的な使用用途は、以下の通りです。

  • 硫酸塩酸などの化学薬品用タンク
  • 上水道用の一時保管用タンク
  • 冷凍機におけるブライン貯液用タンク
  • 工場排水の一時貯蔵用タンク
  • 消火栓用補給水槽
  • 医療・研究用の廃液貯液用タンク
  • スクラバー循環液用タンク

保温性に優れたFRPタンクは、温・冷水槽やブライン槽といった用途で使用されます。また、FRPの耐薬品性が高いことから、医療機関から出る廃液や化学薬品タンクとしても利用されます。硫黄泉など温泉施設では温泉槽としても活用可能です。このように、FRPタンクは幅広い用途で利用されるため、さまざまな仕様の製品が販売されています。

FRPタンクの構造

FRPタンクは、FRPと呼ばれる材質で製作されたタンクです。FRPは、「Fiber Reinforced Plastics」の略で、ガラス繊維で強化されたプラスチックを指します。

プラスチックだけでは強度が足りない部分を、ガラス繊維等を混合することによって丈夫にした材質です。大型のFRPタンクは内部の支柱やステーをなくしてシンプルにすることで、腐食がないような構造にしています。

FRPタンクのその他情報

1. FRPタンクの材質

FRPは樹脂のプラスチックと繊維の組み合わせで性能が異なります。タンクの場合は、プラスチックの材質によって耐薬品性などが変わるので、用途に応じた選定が必要です。FRPタンクに使用される代表的な材質は下記の2つがあります。

ビニルエステル樹脂
ビスフェノール系の樹脂は酸・アルカリともに耐性が高く、耐蝕タンクに適応可能です。ノボラック系では特に耐酸性が高いため強酸用のタンクに利用され、熱にも強い材質です。不飽和ポリエステルよりも耐性が高いので、廃液タンクなどに利用されます。

不飽和ポリエステル樹脂
不飽和ポリエステルはビニルエステルより耐性は高くありません。特にイソフタル酸系の樹脂は耐薬品性が強くないため、水タンクなどに使用されるのが一般的です。ビスフェノール系は一般的な耐蝕性を持ち、タンクの強化層に利用されます。

2. FRPタンクの製法

FRPタンクの製造方法にはいくつか種類があります。代表的な製造方法は、以下の通りです。

ハンドレイアップ工法
タンクの基になる型を製造し、樹脂基材と繊維基材を積層します。乾燥後にはローラーや刷毛で樹脂基材を含侵塗布します。あらゆる大きさや複雑な形状にも対応可能です。ただし、全て手作業のため価格が高く、作業者の熟練度により品質に差が出る工法です。

スプレーアップ工法
繊維と樹脂をスプレーガンで型に吹き付け、硬化後に離型する工法です。ハンドレイアップ法より生産性を向上させた工法で、ある程度ロットがまとまった場合に適しています。

フィラメントワインディング工法
樹脂を含侵させたガラス繊維のロービングヤーンを定速で回転する型に巻き付ける工法です。円筒型の大型タンク製造に適しており、ハンドレイアップ工法より生産性が優れた工法です。均一で優れた強度特性を持たせて、寸法精度の高い製品を製造することができます。

ライニング工法
コンクリート槽や鉄槽の防食処理を目的とした工法です。槽の表面を洗浄研磨などで調整し、プライマを塗布します。その上に繊維基材を貼り付けて、樹脂をロールや刷毛で積層する工法です。液質に応じて何層も重ねることもできます。

3. FRPタンクのメリット・デメリット

ステンレスタンクと比較した場合、FRPタンクは以下のメリットとデメリットがあります。

メリット

  • 価格が安い
  • 重量が軽く施工や修理が容易
  • 保温性をもたせることが可能

デメリット

  • 紫外線により劣化する
  • 熱や衝撃に弱い
  • 不要になったときにリサイクルが困難

特に、炭素繊維で強化されたものはリサイクル方法が確立されていません。

4. FRPタンクの耐用年数

マンションなどの受水槽では15年とされます。ただし、補修が可能なため、使用環境によってはそれ以上の使用も可能です。一般的にマンションの場合は大規模修繕工事が10年間隔で計画されます。補修費用が潤沢なマンションは稀で、受水槽は補修再利用されます。

参考文献
https://www.dailite.co.jp/01_products/type-FRP/index.html
https://www.dailite.co.jp/01_products/type-FRP-maru/
https://www.webshiro.com/buturyufile_sc/FRP-Tunk.html
https://frp-tank.jp/frp/
http://www.tomidakasei.com/business.html
https://www.takashi-sangyo.co.jp/frp/
https://reuse-kouhou.com/base/frp.html

FRPシート

FRPシートとは

FRPシートとは、構造物や自動車のバンパーなどの補修のために使う繊維強化プラスチックのシート材料です。

FRPとは「Fiber Reinforced Plastics」の頭文字で、強化繊維としてガラス繊維が使用されています。樹脂には紫外線硬化性の材料が使われており、施工時に紫外線を照射して硬化させます。FRPシートは、はさみやカッターナイフで簡単に切断可能で、穴あけや塗装などの加工も容易です。

収縮はほとんどなく、安定した強度を得ることができます。FRPシートは補強以外にも防水性や絶縁性、耐候性、耐食性も優れているので、屋外用の保護シートとしても利用されています。特に塩害が生じやすい海の近くの建物や船の保護などに重宝されています。

FRPシートの使用用途

FRPシートは、大きな建築構造物の補強に使用されます。橋梁や歩道橋、照明柱、ダクト、配管、貯蔵用タンクなどの補修や延命化を目的として、施行されます。歩道橋や人道橋など、高い安全性が必要な場所では、基盤の金属の耐食性を高めることも可能です。

構造物以外では車のバンパーの補修、船舶、アウトドア用のカヌーの補修にも、FRPシートが使用されています。FRPシートを貼ることで防水性、絶縁性、耐熱性が高くなるので、制御盤や屋根、水門、プールなどの表面にも有用です。

FRPシートは金属、木材、コンクリート、プラスチック等に貼り付けられます。ただし、ポリエチレンポリカーボネートポリプロピレンガラス等への貼り付けは適合しません。

FRPシートの原理

FRPシートには、主に紫外線で硬化するエポキシアクリレートというビニルエステル樹脂をベースに、ガラス繊維で強化されています。FRPシートのような異なる材料が組み合わされたものを複合材料と呼びますが、ベースになる材料をマトリックスといいます。複合材料では強化繊維の含有率によって、材料の特性を変化させることが可能です。

なお、シートの表面は、マトリックスのプラスチックで保護コーティングされているのが一般的です。FRPシートでは、マトリックスは紫外線によって硬化します。FRPシートを施工する部分に貼り付けて紫外線を照射すると、貼り付けた形状に成形することができます。

FRPシートの特徴

FRPシートの特徴は、施工が容易にできることです。シートははさみでも切断できますが、硬化すれば大きな建築構造物の補強ができるほどの強度を発揮します。耐水性や耐薬品性、耐熱性にも優れているのも特徴です。硬化には紫外線を照射しますが、UV照射器を使うもの以外に、太陽光に当てることによって硬化する製品もあります。

食品関係などの製品に使う場合には、環境性能の優れた製品もあります。VOC規制対象物質未使用、ホルムアルデヒド未使用などの製品は、食品衛生法 器具及び容器包装の規格基準に適合した製品を選ぶことも可能です。

FRPシートのその他情報

FRPシートの施工方法

FRPシートを施行する際にはまず、下地に合わせて空気溜まりができないようにFRPシートを貼り付けます。下地にほこりやゴミなどの異物や油分がないように、取り除いておくことが大切です。紫外線を当てると内部の紫外線硬化樹脂が硬くなり、下地の形状に固定されます。

UVライトによる樹脂の硬化時間は約20分で、太陽光では約35分以上必要です。紫外線の量は季節や天候により変動するため、曇りの時は硬化不良になる可能性があります。このような場合には、予備試験を行った方が確実です。

貼り付けた後は、保護フィルムを外します。紫外線で硬化するので、施工中はビニールシート等で養生し、フィルムに太陽光等が当たらないようにしなければなりません。また、UVライトを使用する場合は、紫外線保護メガネを使用が必須です。FRPシートはスチレンを含むので、においが気になる場合もあります。製品によってはスチレン含有量を減らしているものもあります。

参考文献
https://www.sanko-techno.co.jp/products/e-sheet.php
http://www.anandenki.jp/maintenance/ultrapatch/index.php

FRPグレーチング

FRPグレーチングとは

FRPグレーチング

FRPグレーチングは、FRPを材料にしたグレーチングのことです。比較的新しい資材で、主に建築物に使用します。

FRPは「Fiber Reinforced Plastics」の頭文字を取った言葉で、日本語ではガラス繊維強化プラスチックと言います。プラスチック樹脂とガラス繊維を組み合わせた材料で、強度はプラスチックでありながら金属並です。腐食もしないため、腐食性物質を取り扱う工場や屋外などで多用されます。

FRPグレーチングの使用用途

FRPグレーチングは建築用資材として各所で利用されます。日常生活では、水族館の通路や排水溝のふたなどで見かける場合があります。金属素材のグレーチングを使用すれば、海水による腐食が発生するためです。

産業用としては、排煙脱硫プラントなどで使用されます。排煙脱硫プラントでは煙道にもFRPを用いることがあり、FRP素材は重宝されています。FRPには一般タイプと耐薬品タイプがあり、耐薬品タイプは薬品工場などで利用されることもあります。

最近ではテレビ番組で紹介されたことも影響して、住宅の2階部分の床材や吹き抜けなどに使用する場合もあります。

FRPグレーチングの原理

FRPはプラスチックにガラス繊維を混ぜて強化されます。弾性率が低く割れやすいプラスチックに、弾性率が高く丈夫なガラス繊維を混ぜることで強度を上げます。

FRPグレーチングは金属素材のグレーチングと比較して軽量です。具体的には鋳鉄の25%程度、アルミの60%程度の比重で耐食性にも優れます。建築資材として活用する際は、金属グレーチングよりも加工が容易です。ただし、プラスチックとガラス繊維の混合材料であるため、リサイクルや廃棄が困難です。

FRPグレーチングの着色では、表面塗装処理の場合と成型時に顔料を混入させる場合があります。成型時に混入させると表面の剥離が起こらず有利です。

FRPグレーチングの床材利用

FRPグレーチングは軽量で耐食性に優れる材料です。そのため、腐食環境である化学薬品工場や荷重軽減が必要な船舶などの床材に適します。ノンスリップ形状のFRPグレーチングを使用すると、歩行者の転倒防止にも貢献します。

FRPグレーチングは採光性が高く、住宅2階の窓から1階まで光を届けることができます。色を変えることで、印象を変えることも可能です。床材として使用した場合、裸足で長時間立ち続ける痛みを感じる可能性があります。長時間立つ場所には、FRPグレーチングの上にポリカーボネートを乗せて体重を分散します。

FRPグレーチングは絶縁体で電波は通し、着色も容易なため橋の床板・階段などにも活用できます。

FRPグレーチングのその他情報

1. FRPグレーチングの強度

FRPグレーチングの強度としては1平米あたり350kg程度まで耐えます。FRPグレーチングの寿命は、屋外暴露・促進暴露試験の結果から、20~30年程度であると予測されています。紫外線による外観の黄ばみは使用開始から5~10年で発生します。この黄ばみは塗装をすることで改善できます。

FRPグレーチングは全面への衝撃に対しては耐衝撃性を持ちます。ただし、刺突による耐衝撃性や落下荷重には制限があるため、製作メーカーの情報を確認する必要があります。

一般的なFRPグレーチングの耐熱性は約65~80℃であり、金属と比較して高くありません。高温下で使用する場合は特殊な樹脂を用いたFRPグレーチングを使用します。

2. FRPグレーチングの屋外利用

FRPグレーチングは耐候性が高く、気温変化による強度の低下はほとんどありません。そのため、屋外使用も可能です。屋外での使用例として、ベランダの床材、プラントの歩廊や階段の踏み板、排水溝の蓋、外壁の間仕切りなどが挙げられます。

参考文献

https://www.chubu-net.co.jp/frpgrating/lineup.html
https://www.frp-g.com/column/5/
https://www.compotec.jp/
https://ookabe-glass.com/qa/6808
http://www.agm.co.jp/product/architecture/grating/grating-faq.html
https://webc.daikure.co.jp/case/
https://www.frp-g.com/case/
https://ookabe-glass.com/case/8702

CVケーブル

CVケーブルとは

CVケーブル

CVケーブルとは、産業において電力送電に使用されるケーブルの一種です。正式名称は「架橋ポリエチレン絶縁ビニルシ-スケーブル(Cross-linked polyethylene insulated vinyl sheath cable) 」となります。

名称通り、架橋ポリエチレンを絶縁材料として使用し、ビニルをシース層として施したケーブルを指します。

CVケーブルの使用用途

CVケーブルの使用用途は、主に電力の送電です。市街地を歩いていると、電柱を見かけることがあるかと思います。電柱を観察すると、電柱を支持物として吊るされたケーブルを見ることができます。これがCVケーブルです。

CVケーブルは芯線がビニルシースやポリエチレンで覆われているため、雨風や太陽光に強い特徴があります。直接雨水が掛かる屋外などで使用されることが多いです。一般家屋内ではビニルシースケーブルと呼ばれるケーブルで配電されています。そのため、CVケーブルを家の中で見ることはありません。

CVケーブルの原理

高圧以上のCVケーブルは、主に芯線、半導電層、架橋ポリエチレン層、銅テープ層、ビニルシース層などの階層で構成されます。芯線は電気の通り道となる層です。主にやアルミなどを材料としています。多くの場合、細い銅線を複数本撚った撚線が使用されます。

芯線の周囲を半導電層で覆っており、半導電層は炭素を多く含むポリマーなどが材料です。半導電層によって架橋ポリエチレン層と芯線の隙間を埋めることで、架橋ポリエチレン層の電圧による劣化を防ぎます。架橋ポリエチレン層は、芯線を絶縁するための絶縁層です。架橋ポリエチレン層の外側にも半導電層があり、銅テープ層との隙間を埋めます。

銅テープ層は薄い銅膜で、芯線からの電磁波を外部へ漏らさないことを目的に設けられます。絶縁劣化時には銅テープ層を通じて芯線が接地するため、電気による人身事故防止の観点からも重要な層です。銅テープ層の周囲には防食のためのシースで覆われています。シースはビニルを材料としており、対候性向上を目的に多くは黒色です。

多芯ケーブルの場合は、シースと銅テープ層の間に介在物を入れて隙間を埋めます。介在物は主にジュートなどの絶縁繊維を材料とします。多芯ケーブルには、主に3芯ケーブルが使用されます。一般に送電系統が3相を多く使用するためです。

3芯ケーブルの場合は、トリプレックス構造のケーブルも多く用いられます。上記単芯ケーブルを3本撚線とした製品で、介在物がないため放熱性に優れています。CVTケーブルなどと呼ばれます。

CVケーブルのその他情報

CVケーブルの電圧による違い

CVケーブルは、使用電圧によって構造が一部異なります。

1. 特別高圧用CVケーブル
使用電圧が特別高圧の場合、絶縁距離を長くとるために架橋ポリエチレン層が厚くなります。上記の銅テープ層は、テープではなく可とう管や銅線のような構造とします。

電圧が高くなるに従って、架橋ポリエチレン層はより厚くなります。

2. 3.3kV用CVケーブル
電圧が3.3kVの場合、半導電層を用いない代わりにPETなどの絶縁体で隙間を埋めます。また、銅テープ層を単芯ごとに施さず、3芯まとめて銅テープ層を設けます。3.3kV用ケーブルの場合は銅テープ層を1層だけ接地します。6.6kV用ケーブルと比較して端末処理材も小さく、端末処理が簡単です。

3. 低圧用CVケーブル
電圧が低圧用の場合、半導電層や銅テープ層を用いないことがほとんどです。これは、電圧が低く、電磁波の発生が少ないためです。また、架橋ポリエチレン層も高圧ケーブルに比べて薄くなります。

参考文献
https://electric-facilities.jp/denki6/cv.html
https://www.hashimoto-kosan.jp/denryu/cv/
https://www.denzai-net.jp/technical/den_technical_d-05.html

CCTVレンズ

CCTVレンズとはCCTVレンズ

CCTVレンズとは、CCTVカメラ (Closed Circuit Television) 用のレンズです。

CCTVカメラは閉回路テレビなど、撮影された映像が特定の受像機 (TVモニタ) にだけ送信されるカメラのことで、建物内の監視カメラや防犯カメラに多く用いられています。CCTVレンズはあらゆる被写体に対して、バランスの撮れた収差補正を行うため、広範囲の画像を読み込むのに適しています。

CCTVレンズの使用用途

CCTVレンズは、CCTVカメラに用いられます。CCTVカメラが用いられるのは主に監視カメラ防犯カメラなどセキュリティ用途です。

セキュリティ用途以外では、道路状況の監視、画像認識、バーコードスキャン、ハイスピード画像処理、医療用、マシンビジョン・ロボットビジョン用などが挙げられます。近年は、カメラの高画素化に対応したメガピクセル対応や、赤外線等の特殊波長域のコーディング対応も可能となっています。

CCTVレンズの原理

CCTVレンズは従来、監視用を主なる目的としているため、あらゆる被写体距離に対して、バランスの取れた収差補正を行っています。その結果、倍率固定型テレセントリックレンズマクロレンズに比べて場合、個々の物理的特性が劣ることもあります。また、又汎用レンズとして外観も重視されており、外形寸法も大きめです。

CCTVレンズの種類

CCTVレンズも一般的なカメラレンズと同様に、複数の焦点距離のレンズが用意されています。焦点距離が短ければ視野が広くなり、焦点距離が長くなれば、望遠レンズとして視野は狭く、遠くの対象物を大きく映すことができます。

また、CCTVカメラの撮像素子は、撮像素子の大きさによっても種類分けされています。CCTVカメラの撮像素子のサイズの多くは、1/1.8インチ、2/3インチ、1/2.7インチ、1/3インチ、1インチです。カメラと接続するためのマウントには、CマウントとCSマウントの2種類があります。

CCTVレンズのその他情報

1. CCTVレンズの倍率

倍率とは、一般的に光学倍率を指しており、カメラサイズと視野の比率のことです。カメラサイズとは、ピクセルサイズに有効画素数を乗じたもので、対象物を何倍して撮像するかということです。倍率の計算に必要になる情報は、W.D. (ワークディスタンス、レンズから被写体までの距離) と焦点距離 (レンズからカメラ素子までの距離) があります。

被写体までの距離が同じ場合、焦点距離が短いほど広視野となり、広角レンズと呼ばれます。また、同じ大きさの被写体を映した場合、焦点距離が長いほど、ワークディスタンスも長くなり、望遠レンズと呼ばれます。

このようにカメラとレンズの選定では、倍率選択を最初に行い、そのあとに設置条件に合わせたレンズやカメラを選択していくことになるため、用途に合わせた適度な倍率設定が選定の第一条件です。

2. CCTVレンズの焦点距離

カメラとレンズの選定では倍率決定後、設置条件によりレンズとカメラを選定していきます。カメラの選定では、基本的に画素数とCCDサイズから選択していきますが、レンズの場合はワークディスタンスや必要視野、焦点距離を考慮して選択することが必要です。

工業用設備でのカメラ使用では、焦点距離が固定のレンズが多くなります。そのため、使用できるワークディスタンスには範囲があり、使用範囲内で必要視野になるレンズを選定しなければなりません。

一般的に焦点距離が長いほどワークディスタンスも長くなります。CCTVレンズは高倍率用途には不向きなので、高倍率で撮像する場合は、マクロレンズなどが有効です。また、レンズとカメラの間にスペーサを入れて、焦点距離を延ばすこともできます。メーカーの技術資料には、スペーサを使用した場合の視野とワークディスタンスも記載されています。

カメラとレンズの設置では、焦点を合わせるためにワークディスタンスで調整するのが一般的であり、撮像方向に調整ができる手動ステージなどに取り付けると、調整時に便利です。

参考文献
https://uniel-denshi.co.jp/REPORT/CCTV-ABC/CCTV-ABC.html
https://vst.co.jp/support/lens-choice/

CCFL

CCFLとはCCFL

CCFL (Cold Cathode Fluorescent Lamp) とは、冷陰極管という種類の蛍光灯です。

従来の蛍光灯は英語で「Hot Cathode Fluorescent Lamp」であり、HCFLと略称されます。日本語では熱陰極蛍光管と呼びます。HCFLは電極を加熱してエミッタから電子を放出するのに対して、CCFLは電極を加熱することなく電子を放出して点灯する点が特徴です。

フィラメントを持たないため、HCFLよりも長寿命です。さらに、演色性や輝度が高い上にHCFLよりも少ない消費電力で明るく照らせるという長所があります。

CCFLの使用用途

CCFLは光源として40年以上前から利用されており、家庭用の照明から産業用途まで幅広く使用されてきました。具体的な使用用途は、以下の通りです。

  • モニターのバックライト
  • FAX・スキャナーの読み取り光源
  • アミューズメント機器の装飾光源
  • オフィスや商業施設などの照明
  • 病院や介護施設などの公共施設照明

主に点滅点灯 (ON/OFF) を必要とする箇所で使用されていました。照明としては演色性が高い点から、人が常駐する場所に向いています。

CCFLの原理

CCFLとHCFLはどちらも蛍光灯ですが、CCFLはフィラメントを加熱しない点が特徴です。HCFLではフィラメントに高い電圧を印可して熱します。フィラメントが一定以上の温度となった場合に電子が放出され、それが水銀蒸気にぶつかり紫外線が発光されます。

紫外線はガラス管の内面に塗られた蛍光塗料にぶつかり、可視光へと変換されます。CCFLはフィラメントを持たず、代わりに金属カップが使用されている点が相違点です。

金属カップは高い電圧を印可すると直接電子を放出します。その後、HCFLと同様に紫外線を蛍光塗料で可視光へ変換します。

電子は非常に小さく、半径が約0.282×10-5nmです。ガラス管内部に空気を封入した場合は水銀蒸気に衝突する確率が低いため、ArやNeなどの不活性ガスが封入されます。

CCFLのその他情報

1. CCFLの寿命

照明の寿命はJISにおいて、「点灯初期の全光束が70%まで低減する総点灯時間」とされます。これに則った場合、CCFLの寿命は40,000時間程度です。

一方、HCFLは12,000時間程度です。HCFLはフィラメントの劣化がある上に管内が熱されるため、CCFLよりも短寿命と言えます。なお、LED照明の寿命は40,000時間程度のため、CCFLとほぼ同等です。

2. CCFLの消費電力

CCFLはHCFLと比較して、消費電力が低い省エネ機器です。HCFLの直管蛍光灯は、消費電力が32W程度とされます。一方CCFLは24W程度です。

これはCCFLがHCFLと違いフィラメントを加熱しないため、フィラメントによる熱損失が発生しないことが要因です。一方、LED照明で上記の直管蛍光灯と同等の照度を得る場合、消費電力は22Wです。消費電力の点ではCCFLよりもLED照明が優れていると言えます。

3. CCFLとRoHS指令

2006年にヨーロッパにおいて、RoHS (ローズ) 指令が施行されました。RoHS指令とは「Restriction of the use of certain Hazardous Substances in electrical and electronic equipment」の略称であり、日本語では「有害物質使用制限指令」と呼ばれます。

概要としては、規制対象物質を規定量以上使用した製品をヨーロッパにおいて販売してはならない規則です。この規制対象は現在10物質であり、その中に水銀も含まれます。なお、水銀の規定値は1,000ppm以下です。

CCFLやHCFLはガラス管内に必ず水銀を含みます。昨今、国内で販売されているCCFLはRoHS指令を遵守した規定値以下の鉛含有製品がほとんどです。ただし、水銀を含有するというイメージや商品電力の観点などから、現在はCCFLからLEDへ照明の主流が移行しました。

参考文献
https://solana.asia/led-ccfl/
https://aisave.asia/aboutccfl/

BTA加工

BTA加工とは

BTA (英: Boring & Trepanning Association) 加工とは、金属加工において深穴を掘削する方法の一つです。

高速で奇麗な深穴を開けることが可能な加工方法のことで、この方式を開発したDr.Beisnerが創設した団体の名前から加工名がつけられました。

深穴加工に適しており、精密な部品や工具の製造などに利用されます。従来の加工方法とは異なり、深穴を掘削する際に、中心軸に対して回転する刃を使用します。加工による振動や歪みが少なく、高速で正確な深穴を開けることが可能です。

また、オイルや冷却剤を使用し、適切な加工条件を設定することで高い精度と表面仕上げを実現できます。大量生産にも適しており、自動化された生産ラインに組み込まれることが多く、効率的な生産の実現が可能です。

BTA加工の使用用途

BTA加工は、材料に深穴をあけるために使用されます。特にφ10~φ200位の中~大径穴の加工に向いており、深穴加工が必要な多くの業界で使用されています。

構造用鋼やステンレス鋼、プリハードン鋼、軸受鋼、工具鋼、耐蝕・耐熱合金、チタン系、アルミニウム系、銅系、樹脂系などの素材に適用可能です。特に、ハードな素材や難加工材料に対しても、高速で正確な加工が可能であるため、自動車や航空機、医療機器などの産業分野で広く使用されています。

加工物の形状によっては、深穴加工が必要です。例えば、エンジン部品、油圧シリンダー、金型部品、バルブ、ピストン、コネクタなど、多くの製品には深穴加工が必要とされています。また、医療機器の製造でも、細かく複雑な構造のパーツを作る必要があるため、BTA加工が用いられることがあります。

BTA加工の原理

BTA加工の原理は、高圧に加圧された切削油を使い、刃物とボーリングバーを通じて深穴を開けることです。

切削油はポンプによって加圧された後、プレッシャーヘッドへ送られます。切削油は、刃物に到達して切粉と共にボーリングバーの内部を通り抜け、切粉受とマグネットフィルタを通過して取り除かれ、タンクに戻ります。このように、切粉が深穴の内面に触れることがないため、穴を美しく傷つけることなく掘ることが可能です。また、ボーリングバーはシリンドリカルであるため、捩りや曲げに対して非常に強く、高い効率で加工できます。

BTA加工の種類

BTA加工には、一般的なBTA加工とEjector式BTA加工の2種類があり、加工物に応じた選定が必要です。BTA加工は深穴加工に向いており、材料によって適用される方法が異なります。

高精度な加工が可能であることから、航空宇宙や自動車産業などの分野で幅広く使用されています。また、BTA加工機械自体も高度な技術を要するため、専門的な知識を持った技術者が必要です。

1. 一般的なBTA加工

一般的なBTA加工は、中空のボーリングバーを使用し、内径方向に切削する加工方法です。中空のボーリングバーの内部に切削油を送り込み、切削油とともに切粉を排出することで、美しい仕上がりを実現しています。主に深穴加工に向いており、材質には構造用鋼、ステンレス鋼、チタン合金などがあります。

2. Ejector式BTA加工

Ejector式BTA加工は、切粉をボーリングバー内部から排出しながら加工する方法です。中空のボーリングバーと、中心軸の周りに配置された専用のノズルで構成されている点が特徴です。加工時に、専用のプッシャーヘッドで圧力をかけ、ノズルから高速で噴射された切削油が刃物に達することで切削が行われます。

切粉は、ノズル内部に配置された専用のポンプによって排出されます。深穴加工の場合に、ボーリングバー内部に切粉をため込まないため、素材にダメージを与えることが少なく、高精度な加工が可能です。また、φ3~φ65程度の小径穴加工に適しており、工具鋼、チタン系、アルミニウム系などの素材に使用されます。

参考文献
https://www.sakkou.co.jp/BTA/BTA_machinery.html
https://fujishin.jp/page-115/page-185/