CVケーブル

CVケーブルとは

CVケーブル

CVケーブルとは、産業において電力送電に使用されるケーブルの一種です。正式名称は「架橋ポリエチレン絶縁ビニルシ-スケーブル(Cross-linked polyethylene insulated vinyl sheath cable) 」となります。

名称通り、架橋ポリエチレンを絶縁材料として使用し、ビニルをシース層として施したケーブルを指します。

CVケーブルの使用用途

CVケーブルの使用用途は、主に電力の送電です。市街地を歩いていると、電柱を見かけることがあるかと思います。電柱を観察すると、電柱を支持物として吊るされたケーブルを見ることができます。これがCVケーブルです。

CVケーブルは芯線がビニルシースやポリエチレンで覆われているため、雨風や太陽光に強い特徴があります。直接雨水が掛かる屋外などで使用されることが多いです。一般家屋内ではビニルシースケーブルと呼ばれるケーブルで配電されています。そのため、CVケーブルを家の中で見ることはありません。

CVケーブルの原理

高圧以上のCVケーブルは、主に芯線、半導電層、架橋ポリエチレン層、銅テープ層、ビニルシース層などの階層で構成されます。芯線は電気の通り道となる層です。主にやアルミなどを材料としています。多くの場合、細い銅線を複数本撚った撚線が使用されます。

芯線の周囲を半導電層で覆っており、半導電層は炭素を多く含むポリマーなどが材料です。半導電層によって架橋ポリエチレン層と芯線の隙間を埋めることで、架橋ポリエチレン層の電圧による劣化を防ぎます。架橋ポリエチレン層は、芯線を絶縁するための絶縁層です。架橋ポリエチレン層の外側にも半導電層があり、銅テープ層との隙間を埋めます。

銅テープ層は薄い銅膜で、芯線からの電磁波を外部へ漏らさないことを目的に設けられます。絶縁劣化時には銅テープ層を通じて芯線が接地するため、電気による人身事故防止の観点からも重要な層です。銅テープ層の周囲には防食のためのシースで覆われています。シースはビニルを材料としており、対候性向上を目的に多くは黒色です。

多芯ケーブルの場合は、シースと銅テープ層の間に介在物を入れて隙間を埋めます。介在物は主にジュートなどの絶縁繊維を材料とします。多芯ケーブルには、主に3芯ケーブルが使用されます。一般に送電系統が3相を多く使用するためです。

3芯ケーブルの場合は、トリプレックス構造のケーブルも多く用いられます。上記単芯ケーブルを3本撚線とした製品で、介在物がないため放熱性に優れています。CVTケーブルなどと呼ばれます。

CVケーブルのその他情報

CVケーブルの電圧による違い

CVケーブルは、使用電圧によって構造が一部異なります。

1. 特別高圧用CVケーブル
使用電圧が特別高圧の場合、絶縁距離を長くとるために架橋ポリエチレン層が厚くなります。上記の銅テープ層は、テープではなく可とう管や銅線のような構造とします。

電圧が高くなるに従って、架橋ポリエチレン層はより厚くなります。

2. 3.3kV用CVケーブル
電圧が3.3kVの場合、半導電層を用いない代わりにPETなどの絶縁体で隙間を埋めます。また、銅テープ層を単芯ごとに施さず、3芯まとめて銅テープ層を設けます。3.3kV用ケーブルの場合は銅テープ層を1層だけ接地します。6.6kV用ケーブルと比較して端末処理材も小さく、端末処理が簡単です。

3. 低圧用CVケーブル
電圧が低圧用の場合、半導電層や銅テープ層を用いないことがほとんどです。これは、電圧が低く、電磁波の発生が少ないためです。また、架橋ポリエチレン層も高圧ケーブルに比べて薄くなります。

参考文献
https://electric-facilities.jp/denki6/cv.html
https://www.hashimoto-kosan.jp/denryu/cv/
https://www.denzai-net.jp/technical/den_technical_d-05.html

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