FRPタンク

FRPタンクとはFRPタンク

FRPタンクとは、軽くて錆びない繊維強化プラスチックが使用されたタンクです。

FRPは耐候が良く、丈夫な素材です。そのため、自動車や船舶の外壁に利用されています。耐薬品性が高い製品も販売されており、貯蔵するタンクとしての性能が高いのが特徴です。原発で発生した放射性同位体などの貯蔵にも利用されています。

FRPの間に硬質発泡ウレタンフォームやポリスチレンフォームを積層した製品は、保温・断熱性に優れたタンクとして販売されています。

FRPタンクの使用用途

FRPタンクは民生品から産業製品まで、幅広い用途で製作・使用されます。具体的な使用用途は、以下の通りです。

  • 硫酸塩酸などの化学薬品用タンク
  • 上水道用の一時保管用タンク
  • 冷凍機におけるブライン貯液用タンク
  • 工場排水の一時貯蔵用タンク
  • 消火栓用補給水槽
  • 医療・研究用の廃液貯液用タンク
  • スクラバー循環液用タンク

保温性に優れたFRPタンクは、温・冷水槽やブライン槽といった用途で使用されます。また、FRPの耐薬品性が高いことから、医療機関から出る廃液や化学薬品タンクとしても利用されます。硫黄泉など温泉施設では温泉槽としても活用可能です。このように、FRPタンクは幅広い用途で利用されるため、さまざまな仕様の製品が販売されています。

FRPタンクの構造

FRPタンクは、FRPと呼ばれる材質で製作されたタンクです。FRPは、「Fiber Reinforced Plastics」の略で、ガラス繊維で強化されたプラスチックを指します。

プラスチックだけでは強度が足りない部分を、ガラス繊維等を混合することによって丈夫にした材質です。大型のFRPタンクは内部の支柱やステーをなくしてシンプルにすることで、腐食がないような構造にしています。

FRPタンクのその他情報

1. FRPタンクの材質

FRPは樹脂のプラスチックと繊維の組み合わせで性能が異なります。タンクの場合は、プラスチックの材質によって耐薬品性などが変わるので、用途に応じた選定が必要です。FRPタンクに使用される代表的な材質は下記の2つがあります。

ビニルエステル樹脂
ビスフェノール系の樹脂は酸・アルカリともに耐性が高く、耐蝕タンクに適応可能です。ノボラック系では特に耐酸性が高いため強酸用のタンクに利用され、熱にも強い材質です。不飽和ポリエステルよりも耐性が高いので、廃液タンクなどに利用されます。

不飽和ポリエステル樹脂
不飽和ポリエステルはビニルエステルより耐性は高くありません。特にイソフタル酸系の樹脂は耐薬品性が強くないため、水タンクなどに使用されるのが一般的です。ビスフェノール系は一般的な耐蝕性を持ち、タンクの強化層に利用されます。

2. FRPタンクの製法

FRPタンクの製造方法にはいくつか種類があります。代表的な製造方法は、以下の通りです。

ハンドレイアップ工法
タンクの基になる型を製造し、樹脂基材と繊維基材を積層します。乾燥後にはローラーや刷毛で樹脂基材を含侵塗布します。あらゆる大きさや複雑な形状にも対応可能です。ただし、全て手作業のため価格が高く、作業者の熟練度により品質に差が出る工法です。

スプレーアップ工法
繊維と樹脂をスプレーガンで型に吹き付け、硬化後に離型する工法です。ハンドレイアップ法より生産性を向上させた工法で、ある程度ロットがまとまった場合に適しています。

フィラメントワインディング工法
樹脂を含侵させたガラス繊維のロービングヤーンを定速で回転する型に巻き付ける工法です。円筒型の大型タンク製造に適しており、ハンドレイアップ工法より生産性が優れた工法です。均一で優れた強度特性を持たせて、寸法精度の高い製品を製造することができます。

ライニング工法
コンクリート槽や鉄槽の防食処理を目的とした工法です。槽の表面を洗浄研磨などで調整し、プライマを塗布します。その上に繊維基材を貼り付けて、樹脂をロールや刷毛で積層する工法です。液質に応じて何層も重ねることもできます。

3. FRPタンクのメリット・デメリット

ステンレスタンクと比較した場合、FRPタンクは以下のメリットとデメリットがあります。

メリット

  • 価格が安い
  • 重量が軽く施工や修理が容易
  • 保温性をもたせることが可能

デメリット

  • 紫外線により劣化する
  • 熱や衝撃に弱い
  • 不要になったときにリサイクルが困難

特に、炭素繊維で強化されたものはリサイクル方法が確立されていません。

4. FRPタンクの耐用年数

マンションなどの受水槽では15年とされます。ただし、補修が可能なため、使用環境によってはそれ以上の使用も可能です。一般的にマンションの場合は大規模修繕工事が10年間隔で計画されます。補修費用が潤沢なマンションは稀で、受水槽は補修再利用されます。

参考文献
https://www.dailite.co.jp/01_products/type-FRP/index.html
https://www.dailite.co.jp/01_products/type-FRP-maru/
https://www.webshiro.com/buturyufile_sc/FRP-Tunk.html
https://frp-tank.jp/frp/
http://www.tomidakasei.com/business.html
https://www.takashi-sangyo.co.jp/frp/
https://reuse-kouhou.com/base/frp.html

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