BTA加工

BTA加工とは

BTA (英: Boring & Trepanning Association) 加工とは、金属加工において深穴を掘削する方法の一つです。

高速で奇麗な深穴を開けることが可能な加工方法のことで、この方式を開発したDr.Beisnerが創設した団体の名前から加工名がつけられました。

深穴加工に適しており、精密な部品や工具の製造などに利用されます。従来の加工方法とは異なり、深穴を掘削する際に、中心軸に対して回転する刃を使用します。加工による振動や歪みが少なく、高速で正確な深穴を開けることが可能です。

また、オイルや冷却剤を使用し、適切な加工条件を設定することで高い精度と表面仕上げを実現できます。大量生産にも適しており、自動化された生産ラインに組み込まれることが多く、効率的な生産の実現が可能です。

BTA加工の使用用途

BTA加工は、材料に深穴をあけるために使用されます。特にφ10~φ200位の中~大径穴の加工に向いており、深穴加工が必要な多くの業界で使用されています。

構造用鋼やステンレス鋼、プリハードン鋼、軸受鋼、工具鋼、耐蝕・耐熱合金、チタン系、アルミニウム系、銅系、樹脂系などの素材に適用可能です。特に、ハードな素材や難加工材料に対しても、高速で正確な加工が可能であるため、自動車や航空機、医療機器などの産業分野で広く使用されています。

加工物の形状によっては、深穴加工が必要です。例えば、エンジン部品、油圧シリンダー、金型部品、バルブ、ピストン、コネクタなど、多くの製品には深穴加工が必要とされています。また、医療機器の製造でも、細かく複雑な構造のパーツを作る必要があるため、BTA加工が用いられることがあります。

BTA加工の原理

BTA加工の原理は、高圧に加圧された切削油を使い、刃物とボーリングバーを通じて深穴を開けることです。

切削油はポンプによって加圧された後、プレッシャーヘッドへ送られます。切削油は、刃物に到達して切粉と共にボーリングバーの内部を通り抜け、切粉受とマグネットフィルタを通過して取り除かれ、タンクに戻ります。このように、切粉が深穴の内面に触れることがないため、穴を美しく傷つけることなく掘ることが可能です。また、ボーリングバーはシリンドリカルであるため、捩りや曲げに対して非常に強く、高い効率で加工できます。

BTA加工の種類

BTA加工には、一般的なBTA加工とEjector式BTA加工の2種類があり、加工物に応じた選定が必要です。BTA加工は深穴加工に向いており、材料によって適用される方法が異なります。

高精度な加工が可能であることから、航空宇宙や自動車産業などの分野で幅広く使用されています。また、BTA加工機械自体も高度な技術を要するため、専門的な知識を持った技術者が必要です。

1. 一般的なBTA加工

一般的なBTA加工は、中空のボーリングバーを使用し、内径方向に切削する加工方法です。中空のボーリングバーの内部に切削油を送り込み、切削油とともに切粉を排出することで、美しい仕上がりを実現しています。主に深穴加工に向いており、材質には構造用鋼、ステンレス鋼、チタン合金などがあります。

2. Ejector式BTA加工

Ejector式BTA加工は、切粉をボーリングバー内部から排出しながら加工する方法です。中空のボーリングバーと、中心軸の周りに配置された専用のノズルで構成されている点が特徴です。加工時に、専用のプッシャーヘッドで圧力をかけ、ノズルから高速で噴射された切削油が刃物に達することで切削が行われます。

切粉は、ノズル内部に配置された専用のポンプによって排出されます。深穴加工の場合に、ボーリングバー内部に切粉をため込まないため、素材にダメージを与えることが少なく、高精度な加工が可能です。また、φ3~φ65程度の小径穴加工に適しており、工具鋼、チタン系、アルミニウム系などの素材に使用されます。

参考文献
https://www.sakkou.co.jp/BTA/BTA_machinery.html
https://fujishin.jp/page-115/page-185/

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