サーモマーカ

サーモマーカとは

サーモマーカーは高温になると色が変わる

サーモマーカとは一定の温度を上回ると色が変化するマーカーです。一度色が変化すると元の色に戻らないため、サーモマーカの色が変化したところは高温になっている、もしくは一時的に高温になったことが視覚的にわかります。

ネジの締まり具合の確認にも利用可能

サーモマーカでネジの頭に線を引くことで示温シールの代わりとして使えるほか、ネジの締まり具合を視覚的に確認することができます。なお、紫外線によってサーモマーカの印は退色するため、屋外の使用には適していません。

サーモマーカの使用用途

ボイラー等の高温になる装置のネジに用いられる

サーモマーカは配管や電気設備、ボイラーなど局所的に高温になる危険性がある装置のネジや銅バーに用いられます。一般的に装置表面の温度を確認するには示温シールを用いますが、シールは剥がれたり接着力が弱いことがあるため、代わりにサーモマーカが用いられます。

ネジの緩みを確認するためにも用いられる

サーモマーカを使用するときはネジを締めた状態でネジを横断するように線を引きます。これによって表面の温度がわかるほか、装置の駆動中にネジが緩んだ場合に線がずれるため、ネジが緩んでいることも確認できます。

サーモマーカの特徴

サーモマーカーは温度が上がると色が変わり、元に戻らない

サーモマーカは油性ペンの一種です。室温では赤色ですが40℃から変色が始まり、80℃を超えると黄色になります。そして一度変色したら室温に戻った後も色が戻ることはありません。したがって、サーモマーカが変色した箇所を確認したら温度上昇している場所を特定できたり、蒸気等の漏れが発生している場所がわかります。また色が変化しているので高温であることを作業者に注意喚起することができます。ただし-25℃以下になると一度変色したマーカが元の色に戻る可能性があるため、使用場所の温度には注意が必要です。

サーモマーカーは耐候性に劣る、また剥がれやすいので注意

サーモマーカはインクの性質上、耐候性はあまり高くありません。そのため屋外で使用すると退色して色が判別しにくくなる可能性があります。また、一部のゴムやガムテープ、テフロンにはマーキングすることができません。使用前に試し書きを行い、対象にしっかりと色が付くことを確認してから現場で使用することを推奨します。なお、サーモマーカは通常のインクよりも剥がれやすいため、爪でこすったり摩擦を加えると色が落ちる可能性があります。

参考文献
https://jp.misumi-ec.com/vona2/detail/221004906565/
https://www.inaba.co.jp/jappy/610/016/690-360-65010.html

自動スプレーガン

自動スプレーガンとは

自動スプレーガンとは、自動で液体を噴霧する機械です。

噴霧する液体は様々で、水や油、塗装剤などで使用されます。指定した方向や角度に均一に吹きかけることが可能で、質の高い表面処理ができます。自動スプレーガンは、様々な製品の製造ラインで利用されている機械の1つです。

使用する液体や用途に応じて様々なタイプの物があり、手に持って使うタイプや設置するタイプの自動スプレーガンもあるなど、種類の豊富さも特徴です。設置型の自動スプレーガンは、製造過程の中でロボットに取り付けられて使われることもあります。

自動スプレーガンの使用用途

自動スプレーガンは、様々な製品の製造過程で使用されます。

1. 工業用塗装

自動スプレーガンは、自動車製造、航空機製造、家具製造など、工業用の塗装プロセスで広く使用されています。自動車においては、ボディの塗装は素早い完成と均一な制度が求められ、人の手では難しい作業です。

自動スプレーガンを使用することでロボットに取り付けられて自動車の塗装が行われるため、均一な塗膜を形成し、効率的に大量の部品や表面を塗装することが可能です。

2. 木工および家具製造

木材や家具の塗装、コーティング、仕上げに自動スプレーガンが使用されます。木材表面に均一な仕上げを施すことが可能です。

3. 金属コーティング

金属製品や部品にコーティングを施すために使用されます。防食コーティング、防錆コーティング、表面処理などが含まれます。

4. プラスチック成形

プラスチック製品は、表面処理や塗装を行うことがありますが、そのプロセスで活躍するのが自動スプレーガンです。これにより、プラスチック部品の外観や機能性を向上させることができます。

5. 電子機器製造

電子機器の基板やケースにコーティングを施すために使用されます。これにより、電子機器の外観や電磁シールド効果を向上させることが可能です。

6. 農業および園芸

自動スプレーガンは、農薬、肥料、除草剤などの農業用化学物質の散布に使用されます。農作物の保護や育成に貢献します。

7. 食品加工

食品産業で使用される場面としては、食品のコーティング、グレージング、風味付けなどです。食品に合わせて均一に噴射できるため、品質と外観を向上させることが可能です。

これらの用途以外にも、自動スプレーガンはさまざまな産業およびプロセスで使用され、塗料、コーティング、化学薬品、農薬、食品など、さまざまな材料の噴霧に貢献しています。

自動スプレーガンの原理

自動スプレーガンの主な機能は、以下の3つです。

1. 供給

供給の方法は主に2種類です。液体や粉末はフルード供給システムを通じてスプレーガンに供給され、圧縮空気はエア供給システムを通じてスプレーガンに供給されます。

フルード供給システムを通じて供給される材料は、特定の粘度や流動性を持っていることが重要です。エア供給の場合は、噴霧のパラメータを制御するために圧力や流量を細やかに調整しなければなりません。

2. 噴霧

液体や粉末は、スプレーガンヘッドから噴霧ノズルと呼ばれる小さな開口部に到達した後にエアブラストによって細かい粒子に変化することで噴射されます。エアブラストは液体または粉末を吹き飛ばし、所望の表面に均一に塗布またはコーティングすることが可能です。

ノズルの形状とサイズは、噴霧される液体の粒子サイズを制御するために適切な規格のものを選ぶ必要があります。

3. 制御

自動スプレーガンは通常、制御ユニットによって操作され、噴霧パターン、流量、圧力などのパラメータが調整されます。これにより、噴霧の一貫性と品質を確保することができます。

自動スプレーガンの選び方

自動スプレーガンを選ぶ際は、噴霧パターンの形状やサイズを考慮することが重要です。

1. 噴霧材料

噴霧材料の粘度に応じて適切な圧力と流量を提供できるスプレーガンを選ぶことも重要です。また、広範囲に均等に塗布する必要がある場合や、細かい噴霧が必要な場合など、要求される噴霧特性に合わせてスプレーガンを選択します。

2. メンテナンス性

メンテナンスやクリーニングの容易さを考慮することも必要です。作業の効率を高めるために、簡単に分解・洗浄できるモデルを選ぶことが重要です。

圧縮減容機

圧縮減容機とは

圧縮減容機

圧縮減容機とは、高い圧力を加えることによってごみを圧縮し容積を小さくする装置のことです。高い油圧をかけることで多くの場所をとってしまうごみをコンパクトにまとめることができます。ごみの保管スペースを削減することができる上に、ごみの収集や運搬にかかるコストを下げることができます。特に大量の廃棄物が出る食品加工現場や建設現場、プラスチック製品の工場で利用されます。また、大型のものは生産ラインと直結して使用されています。

圧縮減容機の使用用途

圧縮減容機は大量のごみが発生する場所で使われます。例えば建材加工工場です。大量の木材や木屑のごみが発生する現場なので、廃棄物の処理が非常に大変です。しかし、圧縮減容機を利用することでごみの容積を小さくし、コストを削減しているのです。また、プラスチック製品の製造工場でも広く使われています。プラスチックや発泡スチロールなどは圧縮することで大幅に容積を小さくすることができます。また、熱処理を行わずコンパクトにできるため、リサイクルに回すこともできます。

圧縮減容機の原理

圧縮減容機はごみを圧縮し、容積を小さくするために利用されます。ここでは、様々なごみが圧縮される原理や特徴についてご紹介します。

密閉空間に入れられたごみは数十トンもの高い油圧で圧縮されます。原理はシンプルで、圧縮板によって押しつぶされて容積が減っていきます。大規模な装置だと500kg以上のごみを一度に圧縮できるものあり、工場の製造ラインに直結されています。

また、発泡スチロールなどの脆いごみは一度粉砕されてから圧縮されます。大型の刃がついた粉砕部を通ることで細かく砕かれ、その後に圧縮されます。圧縮後は均等な形になり運搬や処理がしやすくなるのです。また、熱を加えず処理しているためリサイクルに支障が出ずに環境にも優しい方法です。しかし、圧縮時の摩擦で多少の熱が発生してしまうため、冷却水を用いる必要があります。

さらに、手軽に使える小型の装置もあります。紙類やペットボトル、缶などを圧縮できる装置でオフィスや商業施設に設置されています。

参考文献
https://www.moriyas.co.jp/product/kankyo_setubi/ippan_gomi/powerpress40.html
https://www.elcom-jp.com/products/compactor/styros

CPU

CPUとは

CPU

CPU (英: Central Processing Unit) とは、コンピュータの演算や制御を担当する装置です。

中央処理装置と訳され、コンピュータの中核となる重要な部品要素です。算術演算や論理演算を実行し、データ処理を行います。これにより、コンピュータは計算やデータ処理のタスクが実行することが可能です。

CPUは制御ユニット (英: Control Unit) と演算ユニット (英: Arithmetic Logic Unit) から構成されます。制御ユニットはプログラムの実行を制御し、演算ユニットは演算と論理処理を担当します。近年のCPUは複数の演算ユニット (コア) を持っており、複数タスクを同時に処理することが可能です。

CPUの使用用途

CPUはコンピュータの中核的な部品要素であり、さまざまな用途に使用されます。以下はCPUの主な使用用途です。

1. OA機器

OA機器のオフィス用アプリケーションは、ビジネス環境で広く使用されるソフトウェアです。主に文書作成やデータ処理、プレゼンテーション用資料作成などのタスクをサポートします。CPUはアプリケーションフォーマット設定やグラフィックス操作などを実行する役割を果たす装置です。

2. ゲーム

ゲームはCPUの性能を要求する高負荷な用途の1つです。リアルタイムの3Dグラフィックスや物理シミュレーションなどをCPUによって処理する必要があります。

高性能なCPUを使用することで、ゲームの応答性やフレームレートを向上させることが可能です。

3. 科学演算

科学・工学の分野では大量の数値データを処理して複雑な計算を実行する必要があります。CPUは数値シミュレーションや気象モデリング、統計解析などの科学計算タスクに使用されます。特に高性能なマルチコアCPUやGPUが、科学計算において重要です。

4. サーバー

サーバーコンピュータは、ネットワーク上で複数のクライアントからのリクエストを処理するために使用されます。データベース操作やウェブページの提供、ファイルの保存などを行うことが可能です。サーバー用CPUは同時に多数のリクエストを処理できる高性能なプロセッサであり、可用性と応答性を確保する役割を果たします。

CPUの原理

CPUはプログラムの実行やデータ処理・制御を担当するために設計されており、特定の命令セットアーキテクチャ (ISA) に従って動作します。ISAはCPUが理解し実行できる命令のセットです。この命令は、データを読み書きしたり、演算を行ったり、条件分岐したりするために発行されます。

CPU動作の基本的なサイクルは「フェッチ・デコード・実行」です。フェッチによってプログラムカウンタから次の命令をメモリから取得し、デコードによって取得した命令を解釈して実行する動作を決定します。最後に、命令が指示する操作を実際に実行する仕組みです。

また、CPUの動作原理は、コンピュータアーキテクチャやISAに依存します。メーカーが異なるとCPUの内部構造も異なる場合がありますが、上記の基本原則は一般的なCPUに適用されます。 CPUはコンピュータの「脳」として機能し、プログラムの実行やデータ処理の中心的な役割を果たす装置です。

CPUの選び方

CPUを選ぶ際には考慮すべき要素が存在します。以下はCPUを選ぶ際の選定要素一例です。

1. コア数

コア数はCPU内に存在する独立した演算ユニットの数です。現代のCPUは複数のコアを持っており、複数のタスクを同時に処理できます。コア数が多いほどマルチタスク処理のパフォーマンスが向上します。

2. クロック速度

クロック速度は、CPUが一秒間にクロックサイクルを何回行うかを示す指標です。一般的にはギガヘルツ (GHz) で表されます。高いクロック速度のCPUは、単一タスクを高速に処理するのに適しています。

3. TDP(Thermal Design Power)

TDPはCPUが発生する熱の最大許容値です。低いTDPのCPUは省エネで、高いTDPのCPUは高性能である傾向があります。TDPは冷却機器の選定やシステムの冷却設計に影響を与えます。

4. キャッシュ容量

CPU内には高速なキャッシュメモリが存在することが多いです。キャッシュ容量が多いほど、データのアクセスが高速化され、パフォーマンスが向上します。データ処理が多いアプリケーションや大規模なデータベース操作において重要です。

CPUのその他情報

1. CPUのアーキテクチャ

CPUには、アーキテクチャと呼ばれる基本設計があります。アーキテクチャはCPUの最も根幹となる部分であり、命令処理をどのように行うかなどが設計されたものです。CPUはメインメモリや内部キャッシュを利用して演算処理を行いますが、アーキテクチャによりその処理方法や演算ルールが異なります。

より表層レイアであるアプリケーションレベルでもこれらの違いが影響するため、OSやアプリケーションはCPUのアーキテクチャに合わせて設計を行うことが必要です。CPUのアーキテクチャには世代が存在し、おおむね数年ごとに更新されます。

アーキテクチャはCPUの性能に大きく影響するため、CPUを選択するときはどのアーキテクチャによるものなのかをチェックします。 

2. CPUの排熱

CPUの性能を最大限に引き出すためには、排熱処理が重要です。動作熱で高温となったCPUはさまざまな不具合を発生させるため、ファンを取り付けて排熱を行う場合が一般的です。CPUとファンの接触部には熱伝導性を高めるためにグリスを塗り、ファンによる排熱性能を高めます。

水循環で冷却する水冷式CPUも存在します。水冷式は冷却効果が高い反面、コストが高く、故障時に冷却液が漏れるリスクがあることに注意が必要です。

参考文献
https://www.tel.co.jp/museum/exhibition/principle/microprocessor.html
https://www.intel.co.jp/content/www/jp/ja/innovation/mpuworks.html
https://www.gsic.titech.ac.jp/matsuda/l/CS/arch/index.htm
http://www.pasonisan.com/pc-cpu/base-architecture.html

ピンホール検出器

ピンホール検出器とは

ピンホール検出器

ピンホール検出器とは、ピンホールと呼ばれる装置欠陥を検出するための装置のことです。ピンホールとは製品の製造過程でできてしまう小さな穴のことで、目に見えないほど小さなものがほとんどですが装置の不具合などを引き起こす危険があります。主に衝撃や移動時の振動などで発生しますが、金属のメッキや溶接過程においては発生するガスや空気が冷えて気泡だけが残ることによって発生します。ピンホール検出器は様々な方法でこれらの小さな穴を見つけることができるのです。

ピンホール検出器の使用用途

ピンホール検出器はピンホールを検出することで製品の欠陥や装置の不具合などを防ぐために使われますが、ピンホールが発生する場面は様々です。例えば、食品の容器や包装製品です。これらは衝撃が加わったり振動によって摩擦が生じたりするとピンホールが発生します。ピンホールは内容物の漏れや腐食を引き起こす可能性があるので、すぐに見つけなければなりません。また、メッキや塗装の際にも用いられます。塗装時に発生するガスによってピンホールが生まれる可能性があるのです。ピンホールによって汚れがたまったり腐食の原因になったりするので、ピンホール検出器を用いて見つけます。

ピンホール検出器の原理

ピンホール検出器には様々な方式があります。ここでは代表的な検査方法の原理や特徴などをいくつかご紹介します。

  • 気泡検査
    ピンホールを調べたい面に気泡を発生させる発泡液を塗ります。微小な穴があれば裏側から気泡が発生しピンホールを検出することができるのです。しかし、小さなピンホールの場合は時間がかかるので適していません。
  • 超音波検査
    微小な穴によって発生する超音波を検出することでピンホールを見つける方法です。ピンホールのある容器に圧縮した空気を入れると穴から空気が漏れ出ます。これは超音波となって周囲に広がるため、検出器で調べます。発生した超音波の位置や大きさからピンホールの位置や大きさを調べることができるのです。
  • 放電式検査
    放電現象を利用してピンホールを検出する方法です。調べたい面の表裏に電極を取り付け、高電圧をかけます。穴の部分に電圧がかけられると空気の絶縁は破壊され、放電が発生して電流が流れます。この放電による電流の変化からピンホールの有無を検出しているのです。しかし、絶縁体に発生したピンホールでなければ利用できない方式です。また、塗装面や薄膜の場合、高電圧によって傷つけてしまう恐れがあるので注意が必要です。

参考文献
http://www.sanko-denshi.co.jp/pinhole/syo-sai2.html

医療用被膜剤

被膜剤とは

被膜剤とは、皮膚に被膜を形成する薬剤です。皮膚や皮膚の傷口を保護するために用いられています。

被膜剤を皮膚に塗布すると、撥水性を持つ被膜が皮膚上に形成されます。この被膜は撥水性を長時間発揮し、水や刺激性を有する物質を通さないため、皮膚を刺激から守ることができるのです。

撥水性のあるこの被膜は、水洗いをしても通常は剥がれません。被膜は取り除かなくても問題ありませんが、市販されている皮膚用の剥離剤で剥がすことも可能です。

被膜剤の使用用途

被膜剤は、皮膚上に撥水性の被膜を形成する製品です。そのため、健常な皮膚や傷のある皮膚を保護する目的で使用されるのが一般的です。

主な使用例としては、便や消化液、尿などの水分や刺激性のものから皮膚を保護するケースなどが挙げられるでしょう。この用途で使用する場合は、傷口の周囲や失禁部位、人工肛門の周囲などに塗布されます。

摩擦やずれに対する保護を目的として、赤みまたは肌荒れが見られる皮膚に使用することもあります。医療用粘着テープなど、皮膚に貼った粘着製品の剥離時における痛み防止などが代表的な事例です。 

被膜剤の原理

被膜剤には被膜を形成する成分と、それを溶かすための溶剤が含まれています。

被膜を形成する成分としては、アクリル系の共重合体やポリフェニルメチルシロキサン、2-オクチルシアノアクリレートなどが挙げられます。皮膚に塗布した被膜剤が乾燥すると、これらの成分の働きにより、皮膚の形状に合った被膜が形成されるのです。

この被膜は保護機能を発揮するために必要な撥水性に加えて、無色透明、伸縮性があるなど、皮膚に塗布するのに適した特性を兼ね備えています。水分を通さない一方、酸素および水蒸気は通すので、皮膚自体への悪影響はありません。

被膜成分を溶かすための溶剤としては、ヘキサメチルジシロキサン、イソオクタンなどが代表的です。これらの溶剤は速乾性を有するため、皮膚に塗ってから乾くまでの時間が短いという特徴があります。

一般的な溶剤であるアルコールは皮膚や傷口にしみやすく、傷んだ皮膚への痛みが生じてしまうため、被膜剤の溶剤には適していません。例に挙げたような非アルコール系の溶剤は皮膚にしみにくく、これらを採用することで、塗布の際の皮膚への刺激を抑えることができます。

皮膚被膜剤の効果

皮膚被膜剤は、体内から出る汗や尿などの排泄物より、皮膚が受ける化学的刺激を低減し保護する役目があります。

この刺激低減は皮膚バリアとも呼ばれます。

刺激低減以外にも求められる効果があり、具体的な作用に関しては以下の項目が挙げられます。

  • 刺激を和らげる緩衝作用
  • 吸水
  • 保水作用
  • 皮膚への粘着作用
  • 菌を繁殖させないようにする静菌作用

上記の効果は、皮膚に薄い透明な膜を形成しても発揮することが皮膚被膜剤の条件といってもよいでしょう。

そのため医療時には、医用テープやストーマ装具装着のとき、下塗り用として使用されることが多いです。

皮膚被膜剤の種類

皮膚被膜剤の種類は大別すると、以下の2つに分けられます。

1、ワイプタイプ

ウェットティッシュのように1枚ずつ取り出して使用するものや、個包装となっているものがあります。 シート状になるため、保護したい患部を的確に狙って塗付することで肌に透明な膜を形成することが可能です。 速乾性ですが、製品によっては保湿成分を含有しているものがあります。

2、スプレータイプ

被膜剤を霧状で噴射するタイプになり、持ち運びがとても便利です。 肌に直接吹き付けるため、1人でも膜を形成できますが、ワイプタイプのように狙った箇所のみに膜を形成することは難しいです。 ワイプタイプ同様、速乾性と商品によっては保湿成分が含まれているものがあります。

市販されている被膜剤

以下に市販されている代表的な被膜剤を挙げます。

  • アダプト保護膜パック:アルコールフリーの滅菌処理がされています。
  • ウロレップ:低アルコール性、特殊ポリマー膜で敏感肌を護ります。
  • ブラバ皮膚被膜剤ワイプ:お肌の厚み感、ツッパリ感のない膜を形成します。
  • シレッセ皮膚被膜剤スプレー:アルコール・オイルフリーのスプレータイプで、排泄物からのダメージを保護します。
  • リモイスコート:微粒子構造の被膜が特徴で、つっぱり感、むれ感を抑えます。
  • キャビロン被膜スプレータイプ:膜耐久性、バリア、低刺激性に優れています。

上記以外にも市販されている様々な被膜剤があります。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsscr/30/3/30_66/_pdf/-char/ja 根本秀美
https://www.zaitac.co.jp/topics/detail.php?id=76

粉塵測定器

粉塵測定器とは

粉塵測定器

粉じん測定器とは、気体中の粒子を計測するために用いられる装置です。粉じん計やダストモニタとも呼ばれており、作業環境測定や、ビル管理のための粒子測定に使用されています。

気体中の粒子を測定できる装置としては、粉じん測定器の他にパーティクルカウンターがあります。こちらは医薬品や医療器具の製造工場内に設けられたクリーンルームや、品質試験用のアイソレータなど、粉じん測定器よりも清浄度の高い空間での使用を想定して設計されている製品です。 

粉塵測定器の使用用途

粉じん測定器は、清浄な空間での使用を前提としているパーティクルカウンターと異なり、ある程度浮遊粒子が多い場所で用いられる装置です。清浄度が管理されていない一般の部屋や屋外、もしくは工場など、さらに粒子濃度が高い空間での測定に適しています。

大気中で測定を実施できるので、PM2.5の測定を行う場合は粉じん測定器が使用されています。オイルミストを含めたミストについては、オイルによる装置内部の汚染やオイルミストの種類ごとに感受性が変わるといった課題があり、測定が難しい場合も珍しくありません。 

粉塵測定器の原理

粉じん測定器の測定方式にはいくつか種類があり、代表的なものとしては光散乱方式、ピエゾバランス(圧電天秤)方式などが挙げられます。このうち粉じん測定器で最も広く利用されているのは光散乱方式です。

気体中の粒子に光を入射すると、光の散乱が起こります。この散乱光の量は粉じん濃度に比例することが知られているため、散乱光量を測定することで粉じん濃度を推定できます。これが光散乱方式の測定原理です。

光散乱方式の注意点としては、粒子の性状が均一という前提条件を元にしていることです。この条件を満たしている場合は測定結果の再現性が良くなりますが、さまざまな性状の粒子が混在しているような場合は、測定結果の妥当性をその都度確認する必要があります。

一方ピエゾバランス方式では、天秤上に捕集した粒子の質量を測定することで、吸引した空気中の粉じん濃度を求めています。こちらの方式では粒子の質量を測定しているため、光散乱方式と異なり、粒子の性状による影響を受けないという利点があります。デメリットとしては、捕集できる粒子の量に限界があるため、定期的なクリーニングを必須とする点が挙げられます。 

参考文献
http://www.kanomax.co.jp/technical/detail_0030.html
https://www.transtech.co.jp/product/particle-qa
https://www.sibata.co.jp/faq/faq_digitalfunjin/

タッチパネル用手袋

タッチパネル用手袋とは

タッチパネル用手袋

タッチパネル用手袋とは、着用したままタッチパネルを操作できる手袋です。

通常の手袋を着用していると、指先がスクリーンに触れてもタッチ操作が反応しないことがあります。それに対して、タッチパネル用手袋は導電性の素材を使用しているため、着用したままでスマートフォンやタブレットの画面を正確に操作することが可能です。

スマートフォンなどのタッチパネルには、主に感圧式と静電容量式の2種類があります。タッチパネル未対応の通常の手袋や軍手を着用していると電流が通らないため、静電容量式のタッチパネルを操作できません。

この課題の解決策として、タッチパネル用手袋には導電性の糸が用いられています。この工夫により、静電容量式のタイプのタッチパネルでも手袋を着用したままの操作が可能です。 

タッチパネル用手袋の使用用途

タッチパネル用手袋は、さまざまな使用用途で便利です。以下にいくつかの主な使用用途を挙げます。

1. スマートフォン

寒い季節に通常の手袋を着用していると、指先の感度が低下してスマートフォンのタッチ操作が困難です。タッチパネル用手袋は導電性素材を使用しているため、手袋を着用したままでもスマートフォンを正確に操作できます。外出先でメッセージの送受信やウェブブラウジングを行いたいときに便利です。

2. アウトドア活動

登山やハイキングなどのアウトドア活動中でも、スマートフォンの操作が必要な場合があります。タッチパネル用手袋を使えば、寒さや風にさらされながらも手袋を脱ぐことなく、地図アプリやトレイルガイドを参照可能です。

3. ビジネス

ビジネスシーンでは、会議や商談中にスマートフォンを使用することがあります。タッチパネル用手袋を着用していれば、手袋を脱ぐことなくスマートフォンのプレゼンテーション資料を操作できるため、効率的なコミュニケーションが可能です。

4. 製造業

工場内での生産管理や監視のために、タッチパネルを使用することがあります。生産ラインの進捗状況や機器の操作をタッチスクリーンを介して行う際、タッチパネル用手袋を着用すれば清潔さを保ちながら操作が可能です。

また、工場内において冷蔵室などの寒い場所での作業といった、手袋の装着が必要な作業工程でも使用されています。タッチパネル用手袋の中にはクリーンルームで使用可能な製品もあり、こうした製品は電子部品の組み立て工程などにも用いることが可能です。

タッチパネル用手袋の原理

タッチパネル用手袋の原理は、導電性素材を使用することにあります。これにより手袋を着用したままでも電流がタッチスクリーンに伝わり、操作を検知する仕組みです。タッチパネルには静電容量式と静電誘導式の2種類が存在します。

1. 静電容量式

静電容量式のタッチパネルはスクリーン上に薄い導電性の層を配置し、その上に保護ガラスやプラスチックなどの非導電性層が被せられています。この構造により、導電性の手袋を着用すれば、指の位置や触れた位置を検出ウすることが可能です。

2. 静電誘導方式

静電誘導方式のタッチパネルはスクリーン上に導電性の配線を配置し、その上に絶縁層が被せられています。この構造により、導電性素材の手袋であれば指の近くに静電場が形成され、指の位置を検出することが可能です。

タッチパネル用手袋の選び方

タッチパネル用手袋を選ぶ際に考慮すべき要因は、いくつかあります。

1. 素材

タッチパネル用手袋の素材は、指の導電性と快適性に影響を与えます。一般的には、導電性繊維や導電性インクが使用されることが多いです。

これらの素材は手袋の指先や指の腹部に配置され、タッチスクリーンとの接触時に電流を通すことで操作が可能です。

2. コーディング材

タッチパネル用手袋は、さまざまなタイプのタッチスクリーンに対応できるように設計されることがあります。製造業者はデバイスとの互換性を保つためにコーディング材を選びます。ニトリルゴムやポリウレタンでコーティングされた製品が多いです。

3. サイズ

サイズは非常に重要な要素です。手袋が正確なサイズでない場合は指先や手のひらの位置がずれてしまい、操作性が低下する可能性があります。適切なサイズを選ぶことで、手袋が手にぴったりとフィットし、指の動きを妨げることなく操作することが可能です。

4. 滑り止め

一部のタッチパネル用手袋には、指先や手のひらに滑り止めの材料が使用されている場合があります。これにより、滑りやすいデバイスを持つ際に手の安定性が向上し、落下や誤操作を防ぐことができます。滑り止めのデザインや材料も選ぶ際に検討するポイントです。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/gomu/84/8/84_8_256/_pdf/-char/en
https://www.tanimura.biz/catalog/smart_glove.html
https://www.tanimura.biz/catalog/conductive_glove.html

磁束密度計

磁束密度計とは

磁束密度計とは、単位面積あたりの磁束の量と向きを測定する装置です。

以前はガウスメーターとも呼ばれていました。現在は、磁束密度の表記をSI単位系に従ってテスラで表すことになったため、テスラメーターと呼ぶことも多いです。磁束密度計は、磁場の強さを高い精度で測定することができます。これにより、科学的な研究や産業応用において正確なデータを得ることが可能です。

また、非侵襲的な測定方法であり、対象物に物理的な影響を与えることなく磁場を測定できます。特に医療分野での利用においては、患者に負担をかけずに診断情報を得る場合に有利です。

ただし、周囲の環境や外部の磁場が測定に影響を与えることがあります。特に工業施設などでは、周囲の磁場の影響を最小限にするための注意が必要です。

磁束密度計の使用用途

1. 科学研究

物理学や電磁気学の研究において、磁場の強さを測定することで、異なる条件や素材における磁場の振る舞いを理解しようとします。磁場が物質の性質や電気的振る舞いに与える影響を調査したり、基本的な物理法則の検証に利用されたりすることが多いです。

2. 工業応用

電磁気学の理論や磁場の測定結果を基に、電気機器の設計や評価を行います。モーターやトランスなどの電磁気デバイスの性能評価に使用され、効率の向上や信頼性の確保に使用されることが多いです。

3. 医療分野

医療画像診断装置やMRIなどで強力な磁場を利用する際に、磁場の強さを正確に測定することが重要です。MRIでは体内の水素原子の振動を利用してイメージを生成するため、磁場の精密な測定が求められます。

4. 素材評価

特定の素材や材料の磁気特性を評価するためにも使用されます。例えば、磁性材料の性能評価や磁場への応答を調査し、製品の品質向上や新素材の開発に活用することが可能です。

磁束密度計の原理

磁束密度計は、磁場の強さを測定するためのさまざまな原理を使用しています。以下はいくつか代表的な磁束密度計の原理です。

1. ホール効果センサー

ホール効果センサーは、電流を流す導体中で磁場がかかると、センサーの一側の面に電圧差が生じる現象を利用しています。このホール電圧は磁場の強さに比例するため、センサーの出力電圧から磁束密度を計測することが可能です。

2. フラックスゲートセンサー

フラックスゲートセンサーは、磁場を感知するためにコイルを使用します。コイル内には測定対象の磁場とは逆向きの磁場をかけ、コイル中の磁場をほぼゼロにします。その後、測定対象の磁場が加わるとコイル内の磁場が変化し、これを検知して磁束密度を計測することが可能です。

3. 磁気抵抗センサー

磁気抵抗センサーは、磁場に対する物質の磁気抵抗変化を利用する仕組みです。磁気抵抗素子に電流を流し、磁場がかかると素子の抵抗が変化します。この抵抗変化から磁束密度を計測します。

磁束密度計の選び方

磁束密度計を選ぶ際は、以下のような選定要素を考慮することが必要です。

1. 分解能

分解能は測定される値の最小単位を示します。高い分解能の磁束密度計はより微細な磁場変化を検出可能です。

研究や詳細な測定が必要な場合は、高い分解能の磁束密度計が適しています。一方で、粗い測定で十分な場合は、低い分解能の機器でも問題ない場合も多いです。

2. 測定レンジ

測定レンジは、磁束密度計が測定できる磁場の強さの範囲を示します。選ぶべき測定レンジは対象となる磁場の強さに適合している必要があります。測定対象の磁場が予想以上に大きい場合、広い測定レンジを持つ磁束密度計を選ぶことが重要です。

3. 電源

磁束密度計は、電源を必要とする場合が多いです。使用場所によっては電源が手に入りにくい場合もあるため、電池駆動のモデルを選ぶことも検討すべきです。また、電源に関わるコストや交換頻度も考慮します。

4. ハンディ・据置

磁束密度計はハンディ型と据置型があり、使用シーンに応じて選ぶことが大切です。フィールドでの測定や移動が多い場合は、ハンディ型が便利です。一方で、実験室などで安定した環境下で測定する場合は、据置型を検討することができます。

参考文献
https://axel.as-1.co.jp/asone/d/61-8882-61/
https://www.keisokuten.jp/products/2612.html
http://ims-jp.com/column_a/

内径測定器

内径測定器とは

内径測定器

内径測定器とは、円柱や穴などの内径を測定する装置の総称です。

多くの製品には、取付用の穴や配線を通す管が存在します。内径測定器はそれらの大きさや寸法を測るための機器です。内径を測定することができる装置にはノギスマイクロメーターなどがありますが、特に内径を測るのに特化した装置は「ホールテスト」と呼ばれます。

ダイヤルを回すことで太さを調節し、内径に合わせることで正確な値を読み取ることができます。数μm程度まで測定することが可能で、目測で確認する「アナログタイプ」と自動で値が算出される「デジタルタイプ」があります。

内径測定器の使用用途

内径測定器は幅広い場面で使用される装置です。具体的には、工場で製造または加工された製品の内径寸法を測る際に使用されます。製品の製造過程では大小さまざまな穴が必要となります。部品同士をつなぎ合わせたり配線を通す必要があるためです。

穴の大きさが少しでもずれるだけで部品が結合できなくなったり、故障や欠陥の原因となったりするため、正確な測定が求められます。ホールテストは数μm程度の精度で細かく測ることが可能で、穴や管の内径を容易に測定する際に適しています。また、ねじ穴を正確に計測することで強固な結合を可能にして、安全性を高めるためにも使用されます。

内径測定器の原理

内径を測定することのできる装置は数多くありますが、例としてホールテストの構造や特徴を解説します。

ホールテストは穴に差し込むようにして内径を計測する機器で、2つまたは3つの測定子を用います。ダイヤルを回すと測定子は徐々に広がり、穴の内側に当たって止まります。この位置を測定することで内径を調べられます。ホールテストのメリットは以下の通りです。

  • 高い精度の測定が比較的容易にできる。
  • ばらつきが少ない測定ができる。
  • 内径がある程度以上の大きさがある場合には3点で計測するので、安定して測定できる。

一方、以下のようなデメリットも存在します。

  • 値段が高い。
  • 校正が必要。
  • 測定範囲が狭いので、ニーズによっては複数個必要。

ホールテストは装置自体が高額な上に繊細な装置です。また、測定前には必ず校正をしなければならず、手間がかかります。さらに、測定できる穴の種類や大きさが限られるため、対象に応じて複数のホールテストを使い分ける必要があります。

内径測定器の種類

内径測定器は、「ホールテスト / ボアマチック」「内側マイクロメータ」「シリンダーゲージ」の3つに大別されます。

1. ホールテスト / ボアマチック

ホールテスト / ボアマチックは、穴の内径と3つの点で接して内径を測定するため、内側マイクロや3点マイクロなどとも呼ばれます。なお、穴が小さい場合には (6mm以下) 2点接触式になります。構造上3点接触の機構を組み込めないのが理由です。特に、デジタル表示ができるものをボアマチックと呼ぶこともあります。さらにABSボアマチックは、電源を入れる度に原点合わせを不要にしたものを指します。

2. 内側マイクロメータ

内側マイクロメータは、内径の両端に接して測定するものをいいます。ちょうど直径の長さを測定するものになります。ロッドを継ぎ足すことによって、大きな穴径も測定できるようになります。ただし2点で接して測定するので特に穴の深さが深い場合には、測定点が斜めにならないように注意が必要です。内径の中心軸に対して直角に測ることが大切です。

3. シリンダーゲージ

シリンダーゲージは、内側マイクロ同様に2点で測定します。内側マイクロメータのように、計測器本体が穴の中に入らないような小さな穴の測定に使います。測定子の部分だけが穴の中に入り、測定値を表示するダイアルなどは穴の外で読み取れる構造になっています。内径が小さくまた深い穴の測定に適した内径測定器です。

参考文献
https://info.alumania.net/diy
https://www.mitutoyo.co.jp/support/service/catalog/07_kogu/r284_4.pdf