磁束密度計

磁束密度計とは

磁束密度計とは、単位面積あたりの磁束の量と向きを測定する装置です。

以前はガウスメーターとも呼ばれていました。現在は、磁束密度の表記をSI単位系に従ってテスラで表すことになったため、テスラメーターと呼ぶことも多いです。磁束密度計は、磁場の強さを高い精度で測定することができます。これにより、科学的な研究や産業応用において正確なデータを得ることが可能です。

また、非侵襲的な測定方法であり、対象物に物理的な影響を与えることなく磁場を測定できます。特に医療分野での利用においては、患者に負担をかけずに診断情報を得る場合に有利です。

ただし、周囲の環境や外部の磁場が測定に影響を与えることがあります。特に工業施設などでは、周囲の磁場の影響を最小限にするための注意が必要です。

磁束密度計の使用用途

1. 科学研究

物理学や電磁気学の研究において、磁場の強さを測定することで、異なる条件や素材における磁場の振る舞いを理解しようとします。磁場が物質の性質や電気的振る舞いに与える影響を調査したり、基本的な物理法則の検証に利用されたりすることが多いです。

2. 工業応用

電磁気学の理論や磁場の測定結果を基に、電気機器の設計や評価を行います。モーターやトランスなどの電磁気デバイスの性能評価に使用され、効率の向上や信頼性の確保に使用されることが多いです。

3. 医療分野

医療画像診断装置やMRIなどで強力な磁場を利用する際に、磁場の強さを正確に測定することが重要です。MRIでは体内の水素原子の振動を利用してイメージを生成するため、磁場の精密な測定が求められます。

4. 素材評価

特定の素材や材料の磁気特性を評価するためにも使用されます。例えば、磁性材料の性能評価や磁場への応答を調査し、製品の品質向上や新素材の開発に活用することが可能です。

磁束密度計の原理

磁束密度計は、磁場の強さを測定するためのさまざまな原理を使用しています。以下はいくつか代表的な磁束密度計の原理です。

1. ホール効果センサー

ホール効果センサーは、電流を流す導体中で磁場がかかると、センサーの一側の面に電圧差が生じる現象を利用しています。このホール電圧は磁場の強さに比例するため、センサーの出力電圧から磁束密度を計測することが可能です。

2. フラックスゲートセンサー

フラックスゲートセンサーは、磁場を感知するためにコイルを使用します。コイル内には測定対象の磁場とは逆向きの磁場をかけ、コイル中の磁場をほぼゼロにします。その後、測定対象の磁場が加わるとコイル内の磁場が変化し、これを検知して磁束密度を計測することが可能です。

3. 磁気抵抗センサー

磁気抵抗センサーは、磁場に対する物質の磁気抵抗変化を利用する仕組みです。磁気抵抗素子に電流を流し、磁場がかかると素子の抵抗が変化します。この抵抗変化から磁束密度を計測します。

磁束密度計の選び方

磁束密度計を選ぶ際は、以下のような選定要素を考慮することが必要です。

1. 分解能

分解能は測定される値の最小単位を示します。高い分解能の磁束密度計はより微細な磁場変化を検出可能です。

研究や詳細な測定が必要な場合は、高い分解能の磁束密度計が適しています。一方で、粗い測定で十分な場合は、低い分解能の機器でも問題ない場合も多いです。

2. 測定レンジ

測定レンジは、磁束密度計が測定できる磁場の強さの範囲を示します。選ぶべき測定レンジは対象となる磁場の強さに適合している必要があります。測定対象の磁場が予想以上に大きい場合、広い測定レンジを持つ磁束密度計を選ぶことが重要です。

3. 電源

磁束密度計は、電源を必要とする場合が多いです。使用場所によっては電源が手に入りにくい場合もあるため、電池駆動のモデルを選ぶことも検討すべきです。また、電源に関わるコストや交換頻度も考慮します。

4. ハンディ・据置

磁束密度計はハンディ型と据置型があり、使用シーンに応じて選ぶことが大切です。フィールドでの測定や移動が多い場合は、ハンディ型が便利です。一方で、実験室などで安定した環境下で測定する場合は、据置型を検討することができます。

参考文献
https://axel.as-1.co.jp/asone/d/61-8882-61/
https://www.keisokuten.jp/products/2612.html
http://ims-jp.com/column_a/

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