くけい水路とは
くけい水路とは、水が流れる断面が長方形や正方形の形をした水路です。
くけいは矩形と書き、全ての角が直角の四角形を指します。一般的に鉄筋コンクリートなどで作られており、農業用水や都市の下水路として広く利用されます。断面が垂直に切り立っているため、台形のような法面を持つ水路と比較して、必要な用地幅を狭く抑えられる点が特徴です。市街地でも効率的に設置できるため、現代の土木工事において欠かせない構造物です。また底面と側面が平滑であるため、水の流れる抵抗が少なく、効率よく水を運びます。
製造方法には、工場で作られた製品を現場で組み合わせるプレキャスト方式と、現場で型枠を組んでコンクリートを流し込む場所打ち方式の二種類が存在します。設置場所の条件や水路の規模によって適切な工法を選定します。
くけい水路の使用用途
くけい水路は以下のような用途で使用します。
1. 農業用水路
田畑に水を引くための用水路や、余分な水を排出する排水路として利用します。以前は土で作られた水路が多く作られましたが、耐久性や管理のしやすさからコンクリート製のくけい水路への置き換えが進んでいます。耕作面積を最大限に確保したい農地において有効です。また水流がスムーズになることで、農業用水を効率的に配分できる利点もあります。
2. 都市下水道
市街地における雨水や生活排水を流すための都市下水路として活用します。都市部では建物が密集しており、水路のために広い土地を確保することが困難です。限られたスペースで多くの水を流す能力が必要なため、断面積を有効に使える矩形の形状が適しています。蓋をして道路の下に埋設することが容易であり、都市計画において重宝されています。
3. 産業用排水
工場の排水設備としても導入されます。工場地帯では大量の排水を迅速かつ安全に処理する必要があり、水理学的に安定した流れを確保できるくけい水路が有効です。定期的な清掃やメンテナンスが必要な場合でも、形状が単純であるため維持管理がしやすいという側面も持ち合わせています。