焼却炉とは
焼却炉とは、ごみなどの廃棄物を燃焼処分する施設です。
有機物などを多く含む廃棄物を燃焼させる施設で、ストーカー炉などの構造を主に採用されます。廃棄物の体積を大幅に減らし、埋め立てる量を少なくすることが可能です。また、燃焼させることで病原菌などを死滅させ、公衆衛生を保つ効果もあります。
炉内で廃棄物を燃やすと、廃棄物中の有機物は熱によって分解されます。このとき、燃焼の管理が非常に重要になります。燃焼温度が低い状態や、酸素が不十分な状態で燃やすと不完全燃焼となり、ダイオキシン類のような有害な物質が発生しやすくなります。特にポリ塩化ビニルなどが含まれていると、生成量が増加するとされます。そのため、現在の焼却では800度以上の高温で安定して燃やし続け、有害物質の発生を抑制する対策が取られます。
焼却炉の使用用途
焼却炉は以下のような用途で使用されます。
1. 一般廃棄物の処理
家庭や事務所から出る生ごみや紙くず及びプラスチック類といった、一般ごみを処理するために使用されます。市町村などが設置する清掃工場がこの役割を担っており、地域社会の環境衛生を維持する上で不可欠な施設です。ごみの体積を大幅に減らすことで、最終処分場をより長く使い続けられるようにする目的があります。
2. 産業廃棄物の処理
工場の生産活動などで発生する、特別な管理が必要な廃棄物を安全に処理するために利用されます。産業廃棄物には有害な化学物質を含む汚泥や廃油、廃プラスチックなど様々な種類があります。これらの性質に合わせて設計された専用の焼却炉で、有害物質を無害化、または安定化させてから処分します。
3. 廃棄物発電
ごみを単に燃やすだけでなく、その際に発生する熱を有効活用する用途です。焼却時に発生する高温の燃焼ガスを利用してボイラーで蒸気を作り、タービンを回して発電を行います。この方法はサーマルリサイクルとも呼ばれ、廃棄物をエネルギー資源として捉える考え方です。電力の供給だけでなく、温水を周辺施設に供給する熱源としても利用される場合があります。