含浸加工とは
含浸加工とは、金属部品などの微細な隙間に樹脂を浸透させて固めることで気密性を向上させるサービスです。
一般的に金属部品を製造する際、溶かした金属を型に流し込んで成形する鋳造という方法が主流です。鋳造で作られた製品の内部には、小さな穴 (巣穴) や隙間が無数に発生してしまうことがあります。こうした微細な穴を放置しておくと、部品の内部から気体や液体が漏れ出す原因となります。含浸加工は、この微細な穴に化学薬品や樹脂を深部まで行き渡らせて硬化させることで隙間を完全に埋める処理です。
部品の気密性を高める効果があり、耐圧性の向上に寄与します。高い信頼性が求められる工業製品には不可欠な工程です。また金属粉末を圧縮して焼結させた焼結金属や、多孔質であるセラミックスなどの幅広い素材に対して適用できます。
含浸加工の用途
含浸加工は以下のような用途で適用されます。
1. 自動車・バイク部品
エンジンブロックやシリンダーヘッドといった主要な駆動部品の多くは、アルミダイカストなどの鋳造によって製造します。エンジン周りの部品は内部でオイルや冷却水が高温・高圧状態で循環しているため、わずかな隙間が重大な故障につながりかねません。含浸加工は、耐圧性と気密性を確保する上で不可欠な工程です。
2. ガス・水道機器
ガスメーターのバルブや水道の蛇口などは、気体や液体を制御するための高い気密性が求められる製品です。万が一、素材の内部の気孔を通じてガスが漏れ出せば、引火や爆発といった大きな事故を引き起こすリスクがあります。含浸加工によって気密性を向上させることで、安全性と信頼性を引き上げます。
3. メッキ・塗装
製品の表面に行うメッキ加工や塗装の前処理として含浸加工が利用されています。素材に穴や隙間が残ったまま表面処理を行うと、その隙間に洗浄液やメッキ液などの薬品が入り込んでしまいます。あらかじめ含浸加工によって素材の穴を樹脂で塞いでおくことで、薬品の侵入や残留を物理的に阻止します。表面処理の仕上がりが美しくなるだけでなく、内部からの腐食を予防できます。