真空グリース

真空グリースとは

真空グリースとは、真空環境下で使用される潤滑剤です。

一般的に真空状態では通常の潤滑剤が効果を発揮しづらい特性があります。したがって、高い真空度の機械では真空グリースを使用されることが多いです。真空グリースは耐熱性が高い上に揮発性は低く、真空中でも安定性が高い点が特徴です。

真空グリースの使用用途

真空グリースは真空の環境で幅広く使用されています。以下はその主な一例です。

1. 航空宇宙産業

宇宙船や宇宙探査機は極めて厳しい条件下での動作が求められます。真空グリースは宇宙空間でも機械を潤滑し、耐熱性や低揮発性などの特性を活かして重要な役割を果たします。機器や機械部品の摩擦を軽減し、運用中の問題を最小限に抑えることが可能です。

2. 半導体産業

半導体製造プロセスは高真空環境が必要な場合も多いです。真空グリースは半導体製造装置内での潤滑やシーリングに使用され、機器の動作安定性や生産性の向上に貢献します。特に、ハンドリングマシーンやバルブなどの部品において重要な役割を果たします。

3. 光学装置産業

光学機器やレーザー装置などの高精度な機器では、摩擦や振動が許容されません。真空グリースはこれらの機器の摺動部品や機構部分の潤滑に使用され、正確な動作と安定した性能を確保します。また、光学レンズや鏡面の保護や保守にも利用されることが多いです。

4. 研究・開発

物理学や化学などの研究分野では、高真空環境が必要とされる実験装置や加速器が使用されます。真空グリースはこれらの装置内での部品の潤滑などに必要不可欠です。また、真空を作り出すための真空ポンプやバルブにも使用され、漏れを防止しつつ滑らかな動作を保証します。

真空グリースの原理

真空グリースは高真空環境下での潤滑やシールに使用される特殊な潤滑剤です。その主な原理は高真空度下での安定性と低揮発性です。一般的な潤滑剤やシーリング材は高真空環境下では気化してしまい、効果を失うことがありますが、真空グリースは上記特性から高真空条件下でも効果的に機能します。

真空グリースは一般的に以下のような構成要素で作られています。

1. 基油

基油は真空グリースの主要な成分となる油脂です。一般的にはシリコーンオイルやミネラルオイルなどが使用されます。これらの基油は、潤滑性やシーリング効果を提供するための基本的な役割を果たします。

2. 増粘剤

増粘剤は基油を固体状態にし、グリースの粘度を調整する役割を果たす薬剤です。一般的には、リチウムやカルシウムなどの金属酸塩が使用されます。これにより、油を固体として取り扱うことが可能となります。

3. 添加剤

添加剤は、真空グリースの性能を向上させるために添加される化学物質です。耐熱性や耐酸化性を向上させるための抗酸化剤や、摩擦係数を減少させるための摩擦抑制剤などが使用されます。

真空グリースの選び方

真空グリースを選ぶ際は、以下の選定要素を考慮することが重要です。

1. ちょう度(粘度)

真空グリースの粘度は、潤滑剤の適用範囲や環境に影響を与えます。一般的に高負荷での動作を必要とする場合は、より低いちょう度のグリースが有利です。高速度の場合は、高いちょう度のグリースを選択します。

2. 材質

真空グリースの基油と増粘剤の材質は、潤滑性や耐熱性などの特性に影響を与えます。一般的に使用される基油にはシリコーンオイルやポリアルキレンオイル、ミネラルオイルなどがあります。増粘剤にはリチウムやカルシウムまたはポリウレアなどが一般的です。

3. 使用温度

真空グリースは適用される環境の温度範囲に応じて選択する必要があります。過酷な温度条件下で使用される場合は、耐熱性が高いグリースが必要です。また、低温下での動作が必要な場合は、低温での流動性が確保されたグリースが適しています。

4. 耐真空度

真空グリースは、高真空環境下での安定性が求められます。耐真空度はグリースが高真空条件下での効果を維持できるかどうかを示す指標です。特に、宇宙産業や半導体製造装置などの高真空環境で使用する場合は、耐真空度の高いグリースを選択する必要があります。

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絶対に触らないでください(日本会社ニュース)

Twitter、Instagram、PinterestのSNSアカウントを開設いたしました

産業用製品比較サイトのメトリーは、この度、Twitter、Instagram、Pinterestの3つのSNSアカウントを開設いたしました。これにより、最新の産業用製品情報や比較結果、活用事例などを、より多くの方々にお届けできるようになります。

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ファインバブルノズル

監修:株式会社ライヴス

ファインバブルノズルとは

ファインバブルノズルとは、直径100μm未満の微細な泡を作り出すことができるノズルです。

液体内の微細な気泡であるファインバブルは、環境、食品、美容、農業、医薬など、多様な分野で活用されている技術です。ファインバブルのうち、直径100μm未満、1μm以上の泡をマイクロバブル、更に小さい直径1μm未満の泡を「ウルトラファインバブル」と呼びます。

気泡の生成法には様々な方法があります。

サイズの大きなマイクロバブルを作るには、液のせん断によって気泡を粉砕する方法や、液中溶存ガスを析出させる方法などがあります。

また、さらに小さなウルトラファインバブルを作るにはマイクロバブルを原料として高速旋回によって粉砕する方法や、加圧溶解と急減圧によってマイクロバブルとウルトラファインバブルを発生させマイクロバブルを浮上分離する方法、そして液中の溶存ガスからキャビテーションによって直接ウルトラファインバブルを発生させる方法などがあります。

ファインバブルノズルの使用用途

ファインバブルノズルによって発生するバブルには洗浄効果や生理活性効果、浄化効果などさまざまな効果があり多様な分野で使用されています。

1. 環境

環境用途には、溶存酸素濃度を向上させることによる湖沼やダム湖、曝気槽、調整槽などの浄化や、地下ピットなどにおける臭気の低減などがあります。また、汚水・排水の処理や洗浄にも使用されます。ウルトラファインバブルを使用することで給排水の配管内部を清浄化し、設備の保全にも役立ちます。

2. 工業用途

工業用途では、各種洗浄や、配管や設備に発生するバイオフィルムやスケールの抑制に使用されています。下記は、主な用途の例です。

  • 金属部品の油分洗浄
  • 冷却塔での細菌・水垢・藻の抑制
  • 研削盤クーラント液などに使用することによる研削加工の改善
  • シリコンウエハーの超鏡面研磨加工
  • 循環配管内部の清浄化
  • 排水処理の負担軽減

3. 水産

水産業はファインバブルノズルが効果的に使用されている分野の一つです。養殖や漁獲から出荷までの間の畜養において、溶存酸素濃度の上昇、生理活性の向上、水質改善などの目的に使用します。

ガス溶解技術と併用することで窒素ガスを利用して鮮度保持に使用する場合もあります。また陸上養殖など水を循環させて使用する現場では接液部の清浄化や藻の繁殖を抑制するなど施設のメンテナンス性の向上を目的に使用することも増えています。現在使用されている主な水産物は下記の通りです。

  • 海苔
  • 貝類 (カキ、ホタテ)
  • ウニ
  • エビ、カニ
  • ウナギ、ヒラメ

4. 農業

農業分野では、農作物栽培に使用する水・肥料に利用されるほか、また収穫した農作物の洗浄にもファインバブルが利用されています。

特にウルトラファインバブルは気泡が長期間水に存在し続けるため溶存酸素濃度の向上が容易であることに加え、通常の水と比較してぬれ性が向上しているため、土や農作物の根に浸透しやすくなることで成長を促進することが期待できます。現在ファインバブルが使用されている主な作物は下記の通りです。

  • トマト、ミニトマト
  • イチゴ
  • レタス
  • ホウレン草

5. 医療

ファインバブルノズルは、医療における清浄化用途でも使用されている技術です。大量になる水の使用量を抑えることができるため、コスト削減につながる可能性があります。

医療現場では、ウルトラファインバブルが清浄化用途で使用されています。特に歯科医院では治療に水を多用することもあり、清潔な水環境を維持するためウルトラファインバブルノズルが使用されることがあります。また近年では透析病院においても活用が始まっています。

医療分野での主な用途には下記のようなものがあります。

  • 医療器具の洗浄
  • 人工透析における逆浸透膜、循環ラインの清浄化
  • 歯科利用 (診察台のユニットチューブ、口腔ケア、消毒室での器具洗浄)

6. その他

ファインバブルノズルは、その他にも様々な分野で使用されています。下記は用途例の一部です。

  • 入浴施設における配管の清浄化および人工炭酸泉の生成
  • 公共施設等でのトイレ配管の尿石の剥離・悪臭の除去
  • >家庭内における浴室、キッチン、洗面、洗濯機などの清性向上や、配水管におけるスケール蓄積の防止
  • 美容における温浴効果、保温効果・保湿効果

ファインバブルノズルの原理

1. ファインバブルの性質

ファインバブルは、気泡サイズによりマイクロバブルとウルトラファインバブルの2種類に分けられます。マイクロバブルとは直径100μm未満、1μm以上の気泡であり、それよりも更に小さい直径1μm未満の気泡はウルトラファインバブルと呼ばれます。これらは負の電荷を帯びている気泡です。

マイクロバブルの存在する水は白濁したように見えますが、ウルトラファインバブルは極度に小さいため目視することができず、無色透明に見えます。マイクロバブルはゆっくりと水中を浮上し消滅します。ウルトラファインバブルは、刺激を与えなければほとんど溶解も浮上もしないことが大きな特徴とされています。

2. ファインバブルノズルの仕組み

ファインバブルノズルは、ノズルを通る水流に微細な空気の泡を発生させる装置です。

例えばアスピレータと呼ばれる自吸式のノズルは、一般的にT字型管になっておりT字の水平線にあたる管の一方を水道の一次側、もう一方を二次側に接続します。水平方向に水を流すと一部細くなった部分で水圧が低下し流速が増しベンチュリ効果によって内部に負圧が発生し、空気を自吸します。自吸した空気は、内部構造で粉砕され微細な気泡を生成し、噴射されます。

一般的な構造では、ノズルに絞り部を設けることで多数の高流速部 (キャビテーションポイント) が形成され、この内部機構によって激しい乱流を起こすことで、バブルはさらに微細化されていく、という仕組みです。

ファインバブルノズルの種類

ファインバブルノズルは様々な分野で使用されていることから、製品の種類も多様です。

解決したい課題に合わせて必要な効果を発揮するノズルを選択する必要があります。

  • どんな液体を通すのか
  • マイクロバブルを作るのかそれともウルトラファインバブルを作るのか
  • 必要な流量はどれくらいか
  • 設置環境はどんな場所か
  • ガス溶解 (酸素や窒素、オゾンなど) が必要な現場か

などファインバブルが必要な現場によって選択するノズル (およびメーカー) が変わります。各メーカーや商品の情報をご確認ください。

本記事はファインバブルノズルを製造・販売する株式会社ライヴス様に監修を頂きました。

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絶対に触らないでください(日本会社ニュース)

メトリーが、日本貿易振興機構 (ジェトロ) に公認サービスとして、日本企業の海外進出をサポートすることが決定しました

メトリーが、日本貿易振興機構 (ジェトロ) に公認サービスとして、日本企業の海外進出をサポートすることが決定しました。

日本企業の海外展開に貢献できるよう邁進して参ります。

ジェトロについて

ジェトロは貿易・投資促進と開発途上国研究を通じ、日本の経済・社会の更なる発展に貢献することを目指しています。

70カ所を超える海外事務所ならびに本部(東京)、大阪本部、アジア経済研究所および国内事務所をあわせ約50の国内拠点から成る国内外ネットワークをフルに活用し、対日投資の促進、農林水産物・食品の輸出や中堅・中小企業等の海外展開支援に機動的かつ効率的に取り組むとともに、調査や研究を通じ我が国企業活動や通商政策に貢献します。

食品機械用潤滑油

食品機械用潤滑油とは

食品機械用潤滑油とは、食品加工業界などで機械の潤滑に使用される特殊な油です。

食品の製造や加工に関わる機械で使用されるため、食品と接触しても安全でなければなりません。一般的には食品添加物として承認され、特定の基準や規制に適合している製品を食品機械用潤滑油とします。機械の動作をスムーズにして摩耗を減らしつつ、食品品質や安全性を保つことが可能です。

一般的な特性として、食品の味や香りに影響を与えないように無臭性・無味性です。これにより、製品の味や香りを損なうことなく、安全に使用することが可能です。また、化学的に安定しており、食品との反応を起こさないように設計されています。

食品機械用潤滑油の使用用途

食品機械用潤滑油は主に食品業界で使用されます。以下はその用途の一例です。

1. 製粉機

食品加工において粉砕作業を行う製粉機では、高速回転のローターが使用されます。ハンマーミルやローラーミルなどが代表例であり、穀物などの食品原料を粉砕するために使用することが多いです。これらの部品は、高い耐久性と耐摩耗性を持つ潤滑油が必要です。

2. コンベア

食品包装機のコンベアは製品を運搬するための主要な機械です。これらのコンベアに使用されるチェーンなどは長時間連続して稼働するため、高い耐久性と摩耗耐性が求められます。食品安全性を考慮して、チェーンの潤滑には適切な食品機械用潤滑油が使用されます。

3. 押出機

押出機は、スクリューを使用して圧力をかけることで加工物を所定の形状に押し出す装置です。スクリュー回転時に潤滑が不十分だと、摩擦や熱が発生して効率が低下します。したがって、スクリューと軸受には、高温・高圧下での潤滑性を確保するために食品機械用潤滑油が使用されます。

4. フライヤー

フライヤーは熱した油を使用して食品を揚げるための調理器具です。商業用フライヤーではバスケットやラックが油の中で回転することがあるため、適切な潤滑が必要です。食品機械用潤滑油を使用することで回転部品の摩耗を軽減し、スムーズな動作を維持することができます。

食品機械用潤滑油の原理

食品機械用潤滑油の主な原理は、機械部品の表面摩擦を軽減して潤滑性を提供することです。これにより、摩耗が軽減され、機械の寿命が延びます。

潤滑油は機械部品を錆や腐食から保護するためのバリアとしても機能します。特に食品加工環境では、湿気や食品からの腐食性物質が部品に影響を与える可能性が高いです。潤滑油で覆うことにより、食品加工機械を保護する役割も果たします。

また、潤滑油は機械部品で発生する熱の発生を抑制し、部品を冷却する役割も担っています。特に高負荷や高速運転時には潤滑油が部品の温度を下げます。これにより、機械の長寿命化や効率的な運転を支援することが可能です。

食品機械用潤滑油に一般的な材料にはミネラル油や合成油または植物由来の油が使用されます。これに抗酸化剤や防錆剤、粘度改善剤、摩擦削減剤などの添加物を混ぜることがあります。添加剤は食品安全基準に適合し、食品との接触に安全な薬液が使用されます。

食品機械用潤滑油の選び方

食品機械用潤滑油を選ぶ際は、以下の要素を考慮することが重要です。

1. 粘度

潤滑油の粘度は、機械部品の動作条件に適合している必要があります。たとえば、高負荷や低温環境では高粘度の油が適していますが、高速回転部品には低粘度の油が有利です。NLGIやJISなどによって規格が定められているため、これらを活用して選定することが望ましいです。

2. 添加剤

添加剤は機械保護の観点から重要です。一般的には抗酸化剤や防錆剤などが含有しています。これにより、機械の腐食劣化や油の酸化を防ぐことが可能であり、食品機械や油の寿命を延ばします。

3. 規格

食品機械用潤滑油は食品との接触があるため、特定の食品安全基準に適合している必要があります。一般的には国際的な衛生基準機関であるNSFなどの規格を尺度とされることが多いです。一部の食品加工機械では特定の潤滑油の使用を推奨している場合もあります。

フラットヒーター

監修:株式会社熱学技術

フラットヒーターとは

フラットヒーターとは、産業用途などに用いられる平形のシーズヒーターです。

シーズヒーター (英:Sheathed Heater) とは、金属管の中心に電熱線などの発熱体を配置し、絶縁物を充填した電気ヒーターです。通常のシーズヒーターは金属管が丸形ですが、フラットヒーターは扁平形をしています。液体・気体・固体の加熱に使用される、産業用ヒーターの一種です。丸形シーズヒーターが線接触での加熱となるのに対し、面接触で熱伝達されるため、加熱効率に優れています。

フラットヒーターの使用用途

フラットヒーターは、通常の丸形シーズヒーターと同様、各種分野における加熱に使用されています。油、水、薬液などの液体や固体加熱など広く加熱一般に使用することができ、主な用途には下記のようなものがあります。

  • フライヤーなどの業務用厨房機器
  • ホットプレート
  • 配管加熱
  • 理化学機器
  • 金型加熱
  • 各種洗浄装置の加熱用部品

特に多く使用されているのが、油を加熱して使用するフライヤーです。コンビニエンスストアなどの揚げ物の調理に採用されています。ヒーター発熱部の間隔を広く確保することができるため、揚げ物のカスが付きにくく、油の劣化が少なく、また、清掃がしやすいというメリットがあります。

また、金型加熱は、プラスチック成形工程に使用される用途です。金型を加熱して適切な温度に保つことで、プラスチックが均一に溶解します。

フラットヒーターの原理

1. シーズヒーターの原理

フラットヒーターは、シーズヒーターの一種です。シーズヒーターは、金属製のパイプの中に、電熱線をコイル状にしたものを通し、金属パイプと電熱線が接触しないように、絶縁粉末を詰めて密封する仕組みのヒーターです。電熱線をシース (鞘)に収めていることから、シーズヒーターと呼ばれます。

電熱線にはニクロム線、絶縁粉末には酸化マグネシウム (MgO) などが使用されることが一般的です。シース材質には、SUS316Lなどが使用されます。

2. フラットヒーターの特徴

通常のシーズヒーターは丸形ですが、フラットヒーターは平形をしています。平形で厚みが薄い為、通常のシーズヒーターよりも小さなRで曲げることができます。表面積が広く、熱効率に優れ、電力密度を低く設定できることが特徴です。狭い空間に大きな発熱面積をとることができます。

また、フラットヒーターは通常、1本のヒーターで3相電源への直接接続が可能です。このため、丸形シーズヒーターが3本のヒーター本数が必要なところ、ヒーター本数は1本で済みます (ヒーター本数が1/3) 。また、内部Y結線タイプの場合リード線本数は3本となり (通常の丸形シーズヒーターでは6本) 、結線作業を削減することが可能です。内蔵されている電熱線は2本から3本であることが一般的です。

フラットヒーターの種類

フラットヒーターは、用途に合わせて様々な曲げ形状の種類があるヒーターです。同心円状、四角形状、直線状の折り返しなどの様々な平面的形状のほか、直方体などの3次元的形状の製品もあります。曲げ形状の制約は、通常の場合最小曲げRt面R15、最小曲げRw面R40程度です。一般的なフラットヒーターは、幅22.5mm、厚み7.7mm、最大のシース長は4,000mm〜5,500mmです。最高温度は、ステンレス製の製品で650℃です。

また、大型の油加熱などでは、複数本 (4本、6本など) のヒーターがセットで使用される場合もあります。特殊なものでは、熱電対内蔵のフラットヒーターなどもあります。

フラットヒーターの種類

図1. フラットヒーターの種類

本記事はフラットヒーターを製造・販売する株式会社熱学技術様に監修を頂きました。

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ICP発光分光分析装置

監修:アメテック株式会社スペクトロ事業部

ICP発光分光分析装置とは

ICP発光分光分析装置とは、プラズマを利用して元素の定量分析を実施する高度な分析装置です。

ICPはInductively Coupled Plasmaを略した言葉で、日本語では高周波誘導結合プラズマと呼ばれます。高温のプラズマを使用する技術であり、元素を高い温度で励起させることが可能です。励起した元素はそれぞれの元素ごとに異なる波長で発光するため、光を検知することで定量分析する仕組みです。

ICP発光分光分析装置は非常に高感度であり、超微量の元素を検出することができます。これにより、微量成分や希少元素の検出が可能です。また、一度に複数の元素を同時に分析できるため、サンプルの分析時間を短縮することもできます。

ICP発光分光分析装置の使用用途

ICP発光分光分析装置は様々な用途で使用されます。以下はその一例です。

1. 環境測定

大気・水質・土壌の調査において使用されます。大気汚染の調査としては、大気中の微量元素や有害物質の分析にICP発光分光分析が使用されます。特に産業地域や交通量の多い地域での大気汚染調査において、微量の金属や有害物質の検出が重要です。

水質調査にも活用され、水中の微量元素や汚染物質の分析にICP発光分光分析が利用されます。土壌汚染の調査においては、土壌中の微量元素や汚染物質の分析にICP発光分光分析が有用です。農地の土壌改良や土壌汚染の調査、地盤調査などに利用されます。

2. 食品・農業

食品や農作物中の微量栄養素の分析にICP発光分光分析が用いられます。特に鉄分や亜鉛、マグネシウムなどの重要な栄養素の含有量を測定し、食品の栄養価を評価します。また、農作物中の農薬残留物の分析にICP発光分光分析を使用する場合も多いです。

3. 医薬品

医薬品中の微量元素や不純物の分析にICP発光分光分析が使用されます。薬品の安全性や品質を確保するために、微量の金属や有害物質も厳しく監視します。これにより、品質保証上の事故などを防止することが可能です。

4. 材料産業

半導体業界では、半導体材料中の微量不純物や元素の分析にICP発光分光分析が使用されます。半導体製造プロセスの管理や不純物の特定に有用です。高分子材料業界ではポリマー材料中の元素組成や添加物を分析し、品質管理や成分解析に活用されます。

ICP発光分光分析装置の原理

ICP発光分光分析装置はプラズマを生成して元素を発生させることで定量分析します。

最初に、高周波の電気的エネルギーによってアルゴンなどのガスを導電性の高いプラズマ状態に変化させます。このプラズマは約 6,000℃以上の高温となることが多いです。

ICP発光分光分析装置

試料は液体形態で導入されることが多く、高温のプラズマ中に噴霧されます。このプロセスにより、試料中の元素が気化され、プラズマ中に放出されます。プラズマ中の高温の電子が試料中の原子やイオンを励起させ、これにより元素が光を放出する仕組みです。

元素が励起されると元素ごとに特有の波長で光を放出します。これらの光は光ファイバーなどの装置を介して分光器に導かれ、波長分解されます。その後、分光器は各元素の発光スペクトルを検出し、それぞれの波長での発光強度を測定することで定量分析することが可能です。

ICP発光分光分析装置

ICP発光分光分析装置の選び方

ICP発光分光分析装置を選ぶ際は、以下の要素を考慮することが重要です。

1. 対応元素

装置が対応している元素範囲を確認します。特定の元素に焦点を当てている場合や、広範な元素分析を行う場合には、装置が対応している元素に注意して選択します。対応する光の波長で表現している機器も多いです。

2. 分光器内雰囲気

分光器内の雰囲気が重要です。一般的に、窒素やアルゴン雰囲気、真空雰囲気などが使用されます。装置の性能や感度、安定性に影響を与えるため、選択する装置の分光器内雰囲気も考慮する必要があります。

3. プラズマ出力

プラズマの出力は、分析の感度や安定性に影響します。高いプラズマ出力は高感度な分析を可能にし、安定性を向上させます。サンプルの性質や要件に合わせて、適切なプラズマ出力を選択することが重要です。

本記事はICP発光分光分析装置を製造・販売するアメテック株式会社スペクトロ事業部様に監修を頂きました。

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メトリーが、製造業マーケティングにおすすめの専門サイトとして、株式会社オロパスに紹介されました

メトリーが、製造業マーケティングにおすすめの専門サイトとして、株式会社オロパスに紹介されました。

記事内容
BtoB製造業のマーケティングはなぜ難しいのか?実践すべき施策を成功事例を交えて解説」という記事内の【BtoB製造業のマーケティングにおすすめの専門サイトのご紹介
https://www.pascaljp.com/blog/?p=5690

白色干渉計

監修:アメテック株式会社ザイゴ事業部

白色干渉計とは

白色干渉計のイメージ

白色干渉計とは、光の干渉を利用して対象物表面の形状や特性を測定する装置です。

光の干渉とは、光波が出会って相互作用し合う現象です。2つ以上の光波が出会うと、その波の振幅が加算または相殺されることがあります。これによって、明るい部分や暗い部分が現れる現象が干渉です。

白色干渉計は白色光を光源とし、干渉対物レンズを通して対象物へ照射し、光の干渉具合を検知することで表面性状を測定する装置です。微細な表面の凹凸を顕微鏡視野で測定することができます。高さ方向ではナノメートルオーダーの変化を捉えることが可能であり、視野全体を一括で測定することから短時間で対象物の表面を測定することが可能です。光学式のため、測定対象物にダメージを与えない非接触測定である点も特徴です。

一般的には、光を反射しやすい物体の表面測定に使用します。また、振動などによって測定結果が影響される場合もあります。

白色干渉計の使用用途

白色干渉計は様々な産業で使用されます。以下はその一例です。

1. 半導体産業

半導体製造では非常に薄い薄膜を堆積させることが一般的です。その為、堆積させる前のウェーハの表面性状は重要になります。白色干渉計はこれらの表面形状を非常に高い精度で測定するのに役立ちます。微細構造物の形状や透明膜の膜厚評価にも利用されます。

2. 素材産業

素材の表面形状は、その性能や特性に大きな影響を与えます。白色干渉計は表面の凹凸や形状を非常に高い精度で測定するのに使用されます。例えば、防錆コーティングや光学コーティングなどの状態確認がその一例です。

3. 光学部品産業

光学部品の製造業界では、白色干渉計がレンズやミラーなどの光学部品の表面形状や品質を検査するために使用されます。表面の平坦性や粗さを評価し、製品の品質を確保するのに役立ちます。

4. 精密機械産業

精密機械部品の製造では、部品の表面形状が非常に重要です。例えば、精密歯車やベアリングなどの部品は、表面の平坦性や粗さが性能に直接影響します。白色干渉計はこれらの表面形状を非常に高い精度で評価するため、製品の品質を確保することが可能です。

白色干渉計の原理

白色干渉計の原理は光の干渉に基づいています。光は波動の性質を持ち、2つの光波が合わさるときには、波の位相が一致する部分では光の強度が増幅され、波の位相が逆位相の部分では光の強度が減衰します。これにより、明るい干渉縞と暗い干渉縞が交互に現れる干渉パターンが形成されます。

白色干渉計は光源として白色光を使用するため、干渉パターンはさまざまな波長の光の干渉によって形成されます。これにより、高精度な表面性状の測定が可能であり、高さ方向の分解能は対物レンズの倍率に依存しません。干渉パターンから、表面の高さや形状の微細な変化を測定することができます。

白色干渉計は干渉対物レンズという特殊な対物レンズを使用します。干渉対物レンズ内で入射光を分割するためにビームスプリッターが使用されます。光を分割することで、参照光とサンプル表面からの反射光を比較することができます。参照光は平らな鏡などが使用され、これらの比較によって表面性状を測定します。

白色干渉計の選び方

白色干渉計を選ぶ際は、以下の要素を考慮することが重要です。

1. 分解能

分解能は測定装置が試料の表面形状や特性をどれだけ詳細に解像するかを示す指標です。分解能が高いほど、より微細な特徴を捉えることができます。nmやμmなどの単位で表されることが多く、目的に応じて十分な分解能を持つ装置を選ぶことが重要です。

2. 繰り返し再現性

繰り返し再現性は、目的のサンプルを測定したときに、どの程度の再現性があるかを示します。いくら高精度に測定が出来ていても、同じサンプルを測定したときに値がバラついてしまったら、どのデータを信頼するべきか分からない為、非常に重要な指標の一つです。

3. 感度

非常に粗い粗面や急峻な形状を測定するためには、感度が非常に重要です。感度が良くない場合、データ抜けが生じたり、極端な場合は測定データが全く取得できなかったりする場合があります。また、サブナノのSaを持つような超鏡面の表面性状を測定する場合も、感度が劣ると信号がノイズに埋もれてしまい、測定結果に正確性を欠くこととなります。

4. 視野角

視野角は測定装置が試料の面積をどれだけ広範囲にカバーできるかを示す指標です。広い視野角を持つ装置は大きな試料や広範囲の測定に適しています。視野角の選定は、試料のサイズや形状に合わせて行う必要があります。

5. 試料サイズ

対象の試料サイズは白色干渉計の重要な要素です。一般的に大きな試料を測定したい場合、大型の装置を導入する必要があります。試料設置台の耐荷重なども確認する必要があります。

6. インターフェース

白色干渉計のインターフェースは、装置の使いやすさやデータの取り扱いやすさに影響します。PC接続やデータの保存・解析機能、ユーザーインターフェースの使いやすさなどが重要な要素です。また、自動化やリモートアクセスなどの機能も、用途によっては重要な場合があります。

本記事は白色干渉計を製造・販売するアメテック株式会社ザイゴ事業部様に監修を頂きました。

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試験紙

監修:シグマアルドリッチジャパン合同会社

試験紙とは

試験紙とは、溶液の性質や溶液に含有する特定の化学物質の濃度を調べるために用いられる、指示薬を浸透させて乾燥させた紙です。

溶液の性質や含有物質によって試験紙に浸透した指示薬が呈色し、色見本と見比べて判定を行います。物理化学及び分析化学的性質を利用した比色分析の一種です (比色法) 。最も有名なものにpH試験紙 (万能試験紙) がありますが、その他にも様々な種類があります。

試験紙の使い方

図1. 試験紙の使い方

試験紙の使用用途

試験紙は、教育・研究・開発・品質管理や排水試験を始めとする、幅広い用途で使用されています。

1. 教育

教育では、小学校から大学まで、リトマス試験紙やヨウ化カリウムデンプン試験紙、塩化コバルト紙、pH試験紙など、様々な試験紙が活用されています。こうした試験紙は比色法により結果がわかりやすく、また、特別な機器を必要とせずに定性分析ができるため、教育機関で活用されています。

2. 研究・開発

研究・開発の分野においても試験紙は簡易的な分析の方法として広く使用されています。pH試験紙は溶液等の液性 (酸性/アルカリ性など) を判定するために、化学を始めとする様々な分野で使用されています。

また、水分試験紙は、固体表面上の付着水や有機溶剤中に含まれる水分の検出に用いられます。

酸化剤を測定するヨウ化カリウムデンプン試験紙は、微量の酸化剤と反応して呈色し、塩素、オゾン、過酸化水素、次亜塩素酸塩などの検出に使用されます。

3. 検査

試験紙の中には検査に用いられるものも多くあります。水質検査試験紙は、残留塩素の測定や、各種水質モニタリングに使用されます。具体的な用途は、

  • プール、浴槽施設における残留塩素の測定
  • 貯水槽、鑑賞魚水槽などにおける残留塩素濃度の測定
  • 飲料水の残留塩素濃度の測定
  • 食品工場などで消毒に使用される塩素消毒液の濃度測定
  • 工業排水、畜産排水などの窒素成分の測定 (排水処理施設のモニタリング)
  • 河川や湖沼水、地下水などの水質モニタリング (富栄養化対策)

などです。また、オイル試験紙は、水や土壌に含まれるオイルの有無を検出するために使用されることがあります。

尿検査用試験紙など、医療用に使用されている試験紙もあります。

この他にも、水溶液中の鉄、マンガン、カルシウムなどの金属を測定する試験紙やブドウ糖、アンモニウム、過塩素酸などの特定の化学物質を測定するための数多くの種類の試験紙が存在します。

試験紙の原理

通常、試験紙は、ろ紙に各種指示薬を染み込ませて製造されます。試験紙に測定したい試料溶液を滴下もしくは塗布する、あるいは、試験紙を浸すことで呈色させる仕組みです。また、試料溶液に試薬を添加してから試験紙に滴下して呈色を確認する試験紙もあります。

例えば、万能pH試験紙では、複数の指示薬を組み合わせて浸透させてあり、幅広いpHがわかるようになっています。万能pH試験紙を測定試料に浸漬し呈色させ、試験紙と付属のカラーチャート (色見本) を比較して試料溶液のpHを目視で読み取ります。また、試験紙によっては専用機器やスマートフォンでpHを読み取る事が出来るものもあります。

試験紙の種類

1. pH試験紙

pH試験紙で最も一般的なものは、ロールタイプの試験紙です。使用する分だけちぎって主に広い範囲を大まかに測る時に使用します。

その他に短冊タイプや、変色する部分が複数あるスティック状の試験紙もあります。

図2. pH試験紙

2. 水質検査試験

水質検査試験の分野では、窒素・リン成分を検出する試験紙や、残留塩素を検出する試験紙などがあります。

硝酸性窒素、亜硝酸性窒素、アンモニア性窒素、リン酸イオンなどを検出する試験紙は、主に排水中の成分検出に用いられています。

残留塩素を検出する試験紙は、塩素濃度の測定範囲毎に種類があり、用途によって使い分けられます。

この他にも、亜鉛、亜硝酸、アスコルビン酸、亜硫酸、アルミニウム、アンモニウム、過酢酸、過酸化物、カリウム、カルシウム、グルコース (ブドウ糖) 、クロム酸、コバルト、シアン化物、硝酸、スズ、全硬度 (総硬度) 、炭酸塩硬度、鉄、銅、鉛、ニッケル、ヒ素、ペルオキシダーゼ、ホルムアルデヒド、マンガン、モリブデン、硫酸、遊離脂肪酸などの試験紙があります。

3. その他

上記以外にも様々な試験紙があり、多様な分野で使用されています。

  • オイル試験紙は、水や土壌に含まれるオイルの有無を検出する試験紙です。炭化水素やガソリン、潤滑油と反応すると青色の試験紙が濃青色に変色します。
  • 塩化コバルト紙は、水分の有無を検出する試験紙で、乾燥時には濃青色ですが、水分を含むと淡紅色を呈します。
  • ヨウ化カリウムデンプン試験紙は、塩素、過酸化物など微量の酸化剤と反応して青紫色を呈する試験紙です。
  • ヨウ素試験紙は、ヨウ素の有無を検出します。ヨウ素が試験紙のデンプンと反応し、試験紙は青色に呈色します。例えば、ヨウ素を含む消毒剤の使用後に、ヨウ素が残留していないか確認することが可能です。また、教育現場でもヨウ素デンプン反応の観察のために用いられます。

本記事は試験紙を製造・販売するシグマアルドリッチジャパン合同会社様に監修を頂きました。

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