クリーンルームケーブル

クリーンルームケーブルとは

クリーンルームケーブルとは、塵や埃の発生を抑える設計が施された特殊なケーブルです。

一般的なケーブルは絶縁体や保護被覆に塩化ビニルなどの素材が採用されます。通常の環境であれば問題はありませんが、高清浄度が求められるクリーンルーム内においては汚染源となるリスクがあります。クリーンルームケーブルはこうした発塵問題を解決するケーブルです。

ケーブルの外被には自己潤滑性に優れたフッ素樹脂や、耐摩耗性を高めた特殊なエラストマー素材などを使用します。表面が滑らかで硬いため、摩擦による粉塵が出にくい構造です。また、発塵抑制だけでなく素材から揮発するガスの抑制も考慮されています。このように、クリーンルームケーブルは半導体などの精密部品分野において、歩留まり向上や品質維持に寄与します。

クリーンルームケーブルの使用用途

クリーンルームケーブルは以下のような用途で使用します。

1. 半導体製造

代表的な使用場所は半導体ウェハーを加工する製造装置の内部です。半導体チップの回路線幅はnm単位であるため、目に見えない微細な粒子がウェハーに付着するだけで不良品となります。製造装置内ではウェハーを搬送するロボットアームや露光装置のステージなどが高速で稼働します。こうした可動部分に使用する電気配線には、低発塵性のクリーンケーブルが不可欠です。

2. 医薬品・食品製造

人の体内に入る医薬品や食品を扱う製造ラインでも、クリーンルームケーブルは重宝されます。これらの現場では異物混入を防ぐための衛生管理が厳格に行われており、製造機械から発生する摩耗粉は大きなリスク要因です。そのため、発塵が少ないクリーンルームケーブルは無菌室やクリーンブース内の自動機などに多く採用されます。

3. ディスプレイ製造

液晶パネルや有機ELディスプレイの製造工程も高度なクリーン環境です。これらの製造に使用するガラス基板は静電気を帯びやすく、空気中の塵埃を引き寄せやすいため、徹底した発塵対策が必要です。ガラス基板を運ぶ搬送装置は何度も同じ場所を往復しますが、クリーンルームケーブルを使用することで発塵を抑えられます。