試験紙

監修:シグマアルドリッチジャパン合同会社

試験紙とは

試験紙とは、溶液の性質や溶液に含有する特定の化学物質の濃度を調べるために用いられる、指示薬を浸透させて乾燥させた紙です。

溶液の性質や含有物質によって試験紙に浸透した指示薬が呈色し、色見本と見比べて判定を行います。物理化学及び分析化学的性質を利用した比色分析の一種です (比色法) 。最も有名なものにpH試験紙 (万能試験紙) がありますが、その他にも様々な種類があります。

試験紙の使い方

図1. 試験紙の使い方

試験紙の使用用途

試験紙は、教育・研究・開発・品質管理や排水試験を始めとする、幅広い用途で使用されています。

1. 教育

教育では、小学校から大学まで、リトマス試験紙やヨウ化カリウムデンプン試験紙、塩化コバルト紙、pH試験紙など、様々な試験紙が活用されています。こうした試験紙は比色法により結果がわかりやすく、また、特別な機器を必要とせずに定性分析ができるため、教育機関で活用されています。

2. 研究・開発

研究・開発の分野においても試験紙は簡易的な分析の方法として広く使用されています。pH試験紙は溶液等の液性 (酸性/アルカリ性など) を判定するために、化学を始めとする様々な分野で使用されています。

また、水分試験紙は、固体表面上の付着水や有機溶剤中に含まれる水分の検出に用いられます。

酸化剤を測定するヨウ化カリウムデンプン試験紙は、微量の酸化剤と反応して呈色し、塩素、オゾン、過酸化水素、次亜塩素酸塩などの検出に使用されます。

3. 検査

試験紙の中には検査に用いられるものも多くあります。水質検査試験紙は、残留塩素の測定や、各種水質モニタリングに使用されます。具体的な用途は、

  • プール、浴槽施設における残留塩素の測定
  • 貯水槽、鑑賞魚水槽などにおける残留塩素濃度の測定
  • 飲料水の残留塩素濃度の測定
  • 食品工場などで消毒に使用される塩素消毒液の濃度測定
  • 工業排水、畜産排水などの窒素成分の測定 (排水処理施設のモニタリング)
  • 河川や湖沼水、地下水などの水質モニタリング (富栄養化対策)

などです。また、オイル試験紙は、水や土壌に含まれるオイルの有無を検出するために使用されることがあります。

尿検査用試験紙など、医療用に使用されている試験紙もあります。

この他にも、水溶液中の鉄、マンガン、カルシウムなどの金属を測定する試験紙やブドウ糖、アンモニウム、過塩素酸などの特定の化学物質を測定するための数多くの種類の試験紙が存在します。

試験紙の原理

通常、試験紙は、ろ紙に各種指示薬を染み込ませて製造されます。試験紙に測定したい試料溶液を滴下もしくは塗布する、あるいは、試験紙を浸すことで呈色させる仕組みです。また、試料溶液に試薬を添加してから試験紙に滴下して呈色を確認する試験紙もあります。

例えば、万能pH試験紙では、複数の指示薬を組み合わせて浸透させてあり、幅広いpHがわかるようになっています。万能pH試験紙を測定試料に浸漬し呈色させ、試験紙と付属のカラーチャート (色見本) を比較して試料溶液のpHを目視で読み取ります。また、試験紙によっては専用機器やスマートフォンでpHを読み取る事が出来るものもあります。

試験紙の種類

1. pH試験紙

pH試験紙で最も一般的なものは、ロールタイプの試験紙です。使用する分だけちぎって主に広い範囲を大まかに測る時に使用します。

その他に短冊タイプや、変色する部分が複数あるスティック状の試験紙もあります。

図2. pH試験紙

2. 水質検査試験

水質検査試験の分野では、窒素・リン成分を検出する試験紙や、残留塩素を検出する試験紙などがあります。

硝酸性窒素、亜硝酸性窒素、アンモニア性窒素、リン酸イオンなどを検出する試験紙は、主に排水中の成分検出に用いられています。

残留塩素を検出する試験紙は、塩素濃度の測定範囲毎に種類があり、用途によって使い分けられます。

この他にも、亜鉛、亜硝酸、アスコルビン酸、亜硫酸、アルミニウム、アンモニウム、過酢酸、過酸化物、カリウム、カルシウム、グルコース (ブドウ糖) 、クロム酸、コバルト、シアン化物、硝酸、スズ、全硬度 (総硬度) 、炭酸塩硬度、鉄、銅、鉛、ニッケル、ヒ素、ペルオキシダーゼ、ホルムアルデヒド、マンガン、モリブデン、硫酸、遊離脂肪酸などの試験紙があります。

3. その他

上記以外にも様々な試験紙があり、多様な分野で使用されています。

  • オイル試験紙は、水や土壌に含まれるオイルの有無を検出する試験紙です。炭化水素やガソリン、潤滑油と反応すると青色の試験紙が濃青色に変色します。
  • 塩化コバルト紙は、水分の有無を検出する試験紙で、乾燥時には濃青色ですが、水分を含むと淡紅色を呈します。
  • ヨウ化カリウムデンプン試験紙は、塩素、過酸化物など微量の酸化剤と反応して青紫色を呈する試験紙です。
  • ヨウ素試験紙は、ヨウ素の有無を検出します。ヨウ素が試験紙のデンプンと反応し、試験紙は青色に呈色します。例えば、ヨウ素を含む消毒剤の使用後に、ヨウ素が残留していないか確認することが可能です。また、教育現場でもヨウ素デンプン反応の観察のために用いられます。

本記事は試験紙を製造・販売するシグマアルドリッチジャパン合同会社様に監修を頂きました。

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PEEK3Dプリンタ

監修:株式会社システムクリエイト

PEEK3Dプリンタとは

PEEK3Dプリンタとは、PEEK樹脂及びその他のエンジニアリング・プラスチック、及びスーパーエンジニアリングプラスチックなど、特殊プラスチックの造形が可能な3Dプリンタです。

エンジニアリングプラスチック (エンプラ) とは、耐熱性、機械的強度などの性能が汎用プラスチックより優れ、工業用部品として適している素材です。PEEK樹脂をはじめとするスーパーエンジニアリングプラスチック (スーパーエンプラ) は、エンプラを上回る耐熱性、高温時の機械的強度を持ちます。

スーパーエンプラは、高い融点のため従来の3Dプリンタでの造形が難しい素材でした。PEEK3Dプリンタは、優れた温度コントロールにより、スーパーエンプラの加工も行うことができるようになっています。

PEEK3Dプリンタの使用用途

PEEK3Dプリンタでは、汎用樹脂からスーパーエンプラに至るまで数多くの材料に対応可能であることが多く、様々な産業用樹脂部品を製造することが可能です。下記のような様々な分野で活用されており、様々な樹脂部品が製造されています。

  • 航空宇宙
  • 自動車
  • 医療
  • ガス
  • 石油
  • 半導体
  • エレクトロニクス

特に、自動車や航空機の分野では、これまで金属部品を使用していた箇所を高強度のエンプラ製部品に置き換えることで車体・機体の軽量化が進んでいます。また、医療分野では、人工膝サポーターなどの医療器具を製作することに活用されています。

PEEK3Dプリンタの原理

1. PEEK樹脂及びスーパーエンプラの性質

エンジニアリングプラスチック (エンプラ) とは、強度と耐熱性に優れたプラスチックの総称であり、工業用部品として適した高機能樹脂です。一般的には、耐熱性100℃以上、強度49MPa以上、曲げ弾性率が2.4GPa以上を持つ素材をエンプラと呼び、150℃以上の連続使用温度を持つ樹脂素材をスーパープラスティック (スーパーエンプラ) と呼びます。

代表的なスーパーエンプラの1つが、PEEK (ポリエーテルエーテルケトン樹脂) です。PEEKは、200℃以上の耐熱性に優れ、また、機械的強度、耐薬品性、再スチーム、耐油性、電気絶縁性、耐放射線性などにも非常に優れています。

エンジニアリングプラスチックの素材例

図1. エンジニアリングプラスチックの例

2. PEEK3Dプリンタの仕組み

PEEK3Dプリンタは、熱融解積層方式で造形を行います。熱溶解積層とは、樹脂などを高温で溶解させ、ノズルから出力させながら重ねていくことで立体を造形する方式です。

PEEK樹脂をはじめとするスーパーエンプラは、融点が高いため、PEEK3Dプリンタは優れた昇温機能と共に、高温や温度変化に耐える構造を有しています。例えば、通常搭載されるノズルは最高で500℃前後まで昇温可能な高温対応ノズルです。造形を行うチャンバ内も高温環境になるため、機械ユニットに使用されるモータやリニアレール、駆動ベルトやPCB基板などには、高温耐性を持つ部品が使用されています。

PEEK3Dプリンタの仕組み

図2. PEEK3Dプリンタの仕組み

3. 3Dプリンターによる造形の利点

PEEK樹脂をはじめとするスーパーエンプラを用いて3Dプリントを行うことには、主に下記のような利点があります。

  • 切削機にはできない形状が造形可能
  • 軽量化が簡単にできる
  • 材料のロスが少なくコスト削減できる
  • 内製化によるリードタイムの短縮
  • 3Dデータを用いて形状をカスタマイズできる柔軟性

PEEK3Dプリンタの活用事例

図3. PEEK3Dプリンタの活用事例

PEEK3Dプリンタの種類

PEEK3Dプリンタには様々な製品があり、用途に合わせて使い分ける/選定することが可能です。最大造形体積は製品によって異なり、大型のものでは400x300x300mmまでの造形が可能です。基本的にノズル温度は前述の通り高温対応ですが、機種によって最高温度は450℃から540℃程度と幅があります。

医療現場に特化した機種では、フィラメントから発生する臭気を外部に漏らさないよう、高性能なHEPAフィルターを装備していることがあります。また、騒音が抑えられた機種ではオフィスなどに設置することも可能です。多様な機種があり、用途に合わせて自由に選択することができます。

本記事はPEEK3Dプリンタを製造・販売する株式会社システムクリエイト様に監修を頂きました。

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TVSダイオード

監修:Littelfuseジャパン合同会社

TVSダイオードとは

TVSダイオードとは、瞬間的な電圧サージから機器を保護するために設計された半導体デバイスです。

Transient Voltage Suppression (過渡電圧抑制) の略であり、一般的に電子回路や電気機器の保護装置として使用されます。雷や電源スイッチングなどの突発的な高電圧から回路を保護します。これにより、機器のダメージや故障を防ぐことが可能であり、機器の信頼性を向上させることが可能です。

TVSダイオードの使用用途

TVSダイオードは様々な機器に使用されます。以下はその一例です。

1. 通信機器

通信機器では、TVSダイオードがEthernetやUSBなどの通信ポートやインターフェースで使用されます。これらのポートは外部のデバイスと接続されており、静電気放電などの外部異常電圧から回路を保護する必要があります。また、通信回線自体もTVSダイオードで保護されることが多いです。

2. 自動車

自動車産業ではTVSダイオードが車両の電気系統で幅広く使用されます。エンジン制御モジュールやブレーキ制御システム、エアバッグシステムなどの制御ユニットにTVSダイオードが組み込まれています。これらの電子制御システムは、車両の動作に重要な役割を果たすため、過電圧や異常電圧から保護する必要があります。

3. 産業機械

工業環境では産業機械の内部回路などにTVSダイオードが使用されます。産業用ロボットやPLC (Programmable Logic Controller) および製造プロセス制御システムなどの産業用電子機器は厳しい環境条件下で動作することも多いです。これらの環境では電力の変動やノイズが発生しやすいため、TVSダイオードが回路を保護し、信頼性を向上させます。

4. 医療機器

医療機器では患者の安全性と信頼性が非常に重要です。医療機器の電子回路は電源からのサージやノイズによって誤動作することが許されません。したがって、心臓モニターや人工呼吸器、MRI機器などの医療機器には、TVSダイオードが組み込まれています。

TVSダイオードの原理

TVSダイオードの動作原理は通常のダイオードと同様に、半導体のpn接合に基づいています。p型半導体とn型半導体を接合することでダイオードとして動作します。

p型半導体は正孔(電子が不足した状態) を持つ半導体であり、n型半導体は自由電子を持つ半導体です。これらの半導体が接合すると、特定の条件下でp側の正孔とn側の自由電子が再結合して、電子がp側に移動しつつ正孔がn側に移動します。このプロセスにより電流の流れやすさを制御することが可能です。

TVSダイオードは高い電圧が加わるとpn接合が導通します。この際、ダイオードは過電圧をアースなどに逃し、回路内の他の部品が損傷を受けるのを防ぐ仕組みです。さらにTVSダイオードは非常に速い応答時間を有するため、保護回路として適しています。

また、TVSダイオードの多くはシリコンが基本材料です。シリコンは半導体材料として広く使用されており、安定性や信頼性に優れています。また、希少金属を使用せず、安価な点も特徴の一つです。

TVSダイオードの選び方

TVSダイオードを選ぶ際は、以下の要素を考慮することが重要です。

1. 実装方法

表面実装 (SMD) またはスルーホール (THD) などの実装方法を選択します。回路基板の設計や組立プロセスに合わせて、適切な実装方法を選ぶことが重要です。

2. ブレークダウン電圧

TVSダイオードのブレークダウン電圧により、過電圧保護デバイスの適用範囲を決定します。過電圧の予想される最大値よりも高いブレークダウン電圧を持つダイオードを選択します。

3. 最大電流

TVSダイオードが吸収できる最大電流は、回路内で発生する異常電流を処理する能力を示す指標です。回路で予想される最大電流よりも大きな最大電流を持つダイオードを選択する必要があります。

4. サイズ

TVSダイオードのサイズは、回路基板上での実装スペースや物理的な制約に応じて選択する必要があります。小型のダイオードは密度の高い回路に適していますが、大容量の過電圧を処理する場合には大型のダイオードが必要です。

5. 応答時間

TVSダイオードの応答時間は、過電圧が発生してからダイオードが反応するまでの時間を示します。瞬時の過電圧に対して速やかに反応するダイオードを選択することが、回路の保護に重要です。

本記事はTVSダイオードを製造・販売するLittelfuseジャパン合同会社様に監修を頂きました。

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パラメトリックスピーカー

監修:株式会社イーソニック

パラメトリックスピーカーとは

パラメトリックスピーカーとは、超音波を使って音を発生させることによりピンポイントに音を届けることの出来る超指向性スピーカーです。

音の伝わる強さが方向により異なる性質を音の指向性といいますが、この指向性が特に狭くなっている状態は超指向性と呼ばれています。パラメトリックスピーカーは超指向性を有し、パラメトリックスピーカーから出た音は広がらずに直進性が高く、ピンポイントに音を届けることが可能です。

パラメトリックスピーカーは、美術館や商業施設で特定の位置にいる人へ向けての音声案内など様々な場所で使用されています。また、パラメトリックスピーカーから出た音は、高い直進性で減衰も少なく壁などで反射することから、反射音を使った利用法もあります。

パラメトリックスピーカーの使用用途

パラメトリックスピーカーは様々なシーンで使用されています。以下はその使用用途の一例です。

1. 美術館・博物館

静かな環境である美術館や博物館において、特定の展示物の前にいる人に向けて展示品の説明を流すことが出来ます。パラメトリックスピーカーは超指向性を持つため、隣の展示物で別の説明を流しても隣同士の音声が干渉し合うことがありません。

また、鑑賞者の言語に合わせた案内をすることも可能です。

2. デジタルサイネージ

商業施設・駅などデジタルサイネージが配置された雑音が多い場所であっても、デジタルサイネージの前にいる人に向けて音声案内をすることが出来ます。

3. 注意喚起の呼びかけ

パラメトリックスピーカーは、エスカレーターの乗降時など注意が必要な場所での呼びかけにも有効です。また、危険なエリアに入りそうな人に注意喚起をすることも出来ます。

工場、工事現場、高速道路の注意喚起用として、パラメトリックスピーカーが設置されている例もあります。

4. テレワーク

テレワーク時に、短距離型のパラメトリックスピーカーを使用することにより、イヤホン無しで周りを気にせずにオンラインミーティングをすることが出来ます。また、環境音も聞きながらPC作業などを行いたい場合にも有効です。

5. 壁などの反射利用

パラメトリックスピーカーから出た音は、直進性が高く減衰も少なく壁・窓などで反射します。

アミューズメント施設でキャラクターなどの対象物へ向けてパラメトリックスピーカーを設置することで、対象物が音声を発しているかの様な効果を狙う利用の仕方もあります。

パラメトリックスピーカーの原理

パラメトリックスピーカーは、人間には聞こえない40kHz程度の周波数の超音波を使って音を発生させます。以下に主要な構造と原理を記載します。

1. パラメトリックアレイ構造

超音波の発生には、小型の超音波素子を複数個並べたパラメトリックアレイと呼ばれる構造をとります。直進性が高い超音波の性質とアレイ構造をとることにより、特定のエリアにだけ超指向性を有した音を発生させることが出来ます。

2. 振幅変調

超音波を聞こえる音に変える仕組みは、ラジオの原理と同様に周波数変調 (FM) と振幅変調 (AM) がありますが、ここでは代表的な振幅変調の原理を記載します。

パラメトリックスピーカーは、超音波を可聴音により振幅変調し、キャリア波と可聴音成分を有する側帯波の2種類の超音波を同時に発生させます。

2種類の超音波が空気中を伝搬する中で、2種類の超音波の干渉で生じたうなりが、空気の非線形性により可聴音として復調され聴こえる様になります。超音波が干渉する領域のみで復調するため、可聴音は超音波と同じ超指向性を有した音になります。

パラメトリックスピーカーの選び方

パラメトリックスピーカーを設置する際には、設置場所・用途に合った製品を選ぶことが大切です。以下に、主に考慮すべき項目を記載します。

1. 寸法・質量

狭い場所や端末などへの設置にはコンパクトな製品が向いており、隣り合ったランニングマシンにパラメトリックスピーカーを複数並べて設置した例もあります。

2. 出力レベル

広い設置場所での用途には出力レベルが高く長距離型のもの、テレワーク用には短距離型のパラメトリックスピーカーが向いています。

3. 周波数帯域

周波数帯域により聞こえる音域が様々変化しますので、音楽や音声案内など使用したい音域を考慮する必要があります。

4. その他

温度・湿度などの耐候性、屋外で使用する場合には耐久性・耐水性、アンプ内蔵型・外付け型など、使用用途に合わせ製品の特徴を確認します。

本記事はパラメトリックスピーカーを製造・販売する株式会社イーソニック様に監修を頂きました。

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温水器

監修:株式会社ミヤワキ

温水器とは

温水器とは、水を加熱して温水を供給する装置です。

温水を供給する設備にはガス式や電気式などが存在しますが、一般的には電気式の製品を温水器と呼びます。家庭やビルなどの建物で利用されており、お風呂や洗面所またはキッチンなどの温水を必要とする場所に設置されます。水を効率的に加熱して快適な温水を提供することを目的に設置されます。

温水器の使用用途

温水器は様々な用途で使用されます。以下はその一例です。

1. 工場

一部の工場では製造プロセスにおいて温水が使用されます。例えば、製品の洗浄や加熱が必要な場合などに温水器が活用されます。温水を利用することで、生産プロセスがスムーズに進行し、製品の品質を向上させることが可能です。

2. 商業施設

ホテルや旅館においてお風呂やシャワーまたは洗面所での温水供給が必要です。ホテルや旅館では、来訪者の快適さを重視して、常に温水を提供することが必要不可欠です。また、レストランやカフェ、大型商業施設などにも様々な用途で設置されます。

3. オフィス

オフィス内のトイレや洗面所では、従業員が手を洗ったり顔を洗ったりする際に温水が必要です。これにより、清潔さと快適さを確保することができます。温水器があることで、社員の利便性が向上し、業務効率が向上します。

4. 一般家庭

一般家庭では毎日の入浴やシャワーに温水を使用するために温水器が利用されます。特に寒い季節や冬場には、温かいお風呂やシャワーが必要不可欠です。冷たい水では洗顔や手洗いも不快に感じられるため、温水器があることで衛生面も向上します。

また、料理や食器洗いにも温水が必要です。温水器があれば、食材の調理や食器の洗浄がスムーズに行えます。また、温水を使うことで油汚れや食器の汚れを効果的に落とすことが可能です。

温水器の原理

温水器は水を加熱し、温水を供給する装置です。以下のような部品によって構成されます。

1. 給水口・排水口

温水器には水の給水口と温水の供給口があります。給水口から水がタンクに供給され、加熱された後に温水が排水口を通じて需要場所に送られます。ホースや配管によって水道などに接続することが多いです。

2. タンク

一般的には水を貯蔵するタンクがあります。タンクのサイズは温水の需要や使用状況に応じて異なります。一般的に大容量のタンクほど多くの温水を貯蔵することが可能です。

3. ヒーター

タンク内にはヒーターが設置されています。電気エネルギーを受け取り、発熱して周囲の水を加熱します。ヒーターは一般にニクロム線などの材料で製造されており、ステンレスなどの耐腐食性材料で覆われていることが多いです。

4. 温度制御装置

温水器には、水温を制御するための温度制御装置が備わっています。これにより、設定された温度を維持することが可能です。一般的には温度センサーが水温を監視し、必要に応じてヒーターの動作を制御します。

温水器の選び方

温水器を選ぶ際は、以下の選定要素を考慮することが重要です。

1. ヒーター能力

ヒーター能力は温水器が水を加熱する能力を示す指標です。一般的にはヒーター能力が高いほど、より速く大量の水を加熱することができます。使用人数や同時に必要な温水の量に応じて、適切なヒーター能力を選ぶことが重要です。

2. タンク容量

タンク容量は温水器が貯蔵できる水の量を示す指標です。タンク容量が大きいほど、多くの温水を貯蔵できます。一般用途の温水器ではタンク容量が10リットルから200リットル程度の範囲で選択でき、使用人数や温水の使用頻度に応じて選定します。

3. 可昇温度

可昇温度は温水器が水を加熱できる最大温度です。使用目的に応じて、適切な可昇温度を選択することが重要です。一般用の温水器であれば、60度程度の製品が多く販売されています。

4. 本体サイズ

温水器の本体サイズは、設置場所やスペースに合わせて選ぶ必要があります。一般的に、本体サイズが小さいほど設置場所を選びやすくなります。設置するスペースの制約や設置場所の条件に応じて、適切な本体サイズを選択することが重要です。

本記事は温水器を製造・販売する株式会社ミヤワキ様に監修を頂きました。

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太陽光架台

監修:RBI SOLAR株式会社

太陽光架台とは

太陽光架台とは、太陽光パネルを設置するための構造物です。

太陽光パネルは太陽光を電気エネルギーに変換するため、できるだけ効率的な位置に配置する必要があります。太陽光架台は太陽光パネルを地上や屋根などの適切な場所に取り付けるための支持構造物です。太陽光発電所の効率的な構築と運用に不可欠な製品です。

日照角度に応じて、様々な角度の製品が販売されています。日本国内では一般的に地面から5°~20°程度の製品を使用することが多いです。耐久性のある素材で作られており、厳しい気象条件に耐える構造となっています。

太陽光架台の使用用途

太陽光架台は太陽光パネルを設置するために使用されます。主な設置場所は以下の通りです。

1. 地上

地上に太陽光パネルを設置する際は、鋼鉄製やアルミ製などによる構造物となることが多いです。土地や農地などのスペースを利用して太陽光発電所を建設するために使用されます。地盤の状況や地形、気象条件を考慮して設計され、安定性と耐久性を確保します。

2. 折半屋根

折半屋根とは、ガルバリウム鋼板などの金属を加工して製作した屋根材です。折半屋根に太陽光パネルを設置する際は、クリップ状またはクランプ状の固定金具を使用することが多いです。傾斜用の架台などを使用して太陽に面するように角度を付けます。

3. 陸屋根

陸屋根とは、傾斜のない平らな屋根です。陸屋根に太陽光架台を設置し、パネルを建物の屋根に取り付けることで、建物の屋根スペースを活用して再生可能エネルギーを発電します。

屋根に取り付けるための耐風性や耐久性が必要であり、架台を強固にする際には耐荷重の計算なども実施しなければなりません。

太陽光架台の原理

太陽光架台の仕組みは太陽光パネルを効率的に配置し、最大限の太陽光を収集することです。太陽光パネルは太陽からの光を電気エネルギーに変換します。このため、太陽光パネルにできるだけ多くの太陽光を集中させる必要があります。

太陽光架台は太陽光パネルを適切な角度と方向に設置し、最適な太陽光取得効率を実現するための支持構造物です。基礎や架台によって構成されます。

太陽光架台の基礎は架台を地面や建物の屋根に固定するための構造物です。地盤の状況に応じて杭基礎やコンクリート基礎などから選定します。構造に応じて適切に設計され、降雪や突風、地震などが発生しても架台を安定させる役割を果たします。

太陽光架台の種類

太陽光架台は設置環境に応じて様々な種類が存在します。以下はその一例です。

1. 打設杭架台

杭打ち機で鋼鉄製の杭を打設し、その上に架台を設置します。地中に転石が少ない場合などに有効です。スクリューアンカー架台と比較し絶対的な強度があり、施工もスピーディーです。

2. 柱状改良・キャストイン架台

軟弱地盤や硬質地盤に対して用いられる杭設置方法です。スクリューアンカー架台と比較し強度と精度に優れます。一定以上の規模でコスト競争力が出てきます。根入れが短いため地中障害物に影響されにくい点も特長です。

3. ソーラーカーポート

ソーラーカーポートは太陽光パネルが屋根となり、その下に車両を駐車できる構造物です。駐車場や車庫に設置され、太陽光発電と同時に車両の保護や遮蔽を実現します。都市部や商業施設、工場などの駐車場などで利用されます。

4. コンクリート基礎架台

コンクリート基礎架台は頑丈なコンクリート基礎を使用する架台です。一般的には地盤が緩い場合などに使用されます。他の工法よりも高価です。耐久性が高く、長期間の使用に耐える点も特徴です。

5. スクリューアンカー架台

スクリューアンカー架台は地中に回転させて埋め込むアンカーを使用する架台です。地盤に打ち付けるのが容易なため、建設現場での迅速な設置が可能です。ただし、地中障害物に弱く、事前に十分な地盤調査を行うことが必要です。

6. 屋根用架台

屋根用架台は建物の屋根に太陽光パネルを取り付けるための架台です。屋根の形状や材質に合わせて設計されており、屋根に変更を加えることなく太陽光パネルを設置することができます。

7. フロート式架台

フロート式架台は水面に浮かべて太陽光パネルを設置する架台です。湖や貯水池などの水域に設置され、水上で太陽光発電を行います。水上に設置できる点が特徴であり、土地利用効率を最大限に引き出すことができます。

本記事は太陽光架台を製造・販売するRBI SOLAR株式会社様に監修を頂きました。

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粉末3Dプリンタ

監修:株式会社システムクリエイト

粉末3Dプリンタ

粉末3Dプリンタとは、粉末状の樹脂や金属にレーザーを照射し焼結させる粉末方式で造形を行う3Dプリンタです。

金属、砂、シリカ、樹脂など、他の方式では使用できない様々な材料での造形が可能で、高精度で高耐久の造形物の製作が可能です。そのため、試作品のみならず最終製品や鋳型の製造にも用いられます。

粉末3Dプリンタの使用用途

粉末3Dプリンタは、豊富な種類の素材を扱うことが可能で、耐久性の高い造形が可能なことから、幅広い用途で使用されています。一部では最終製品となる部品に使用されることも増えてきました。主な用途には下記のようなものがあります。

  • 各種プロトタイプ
  • 航空機、ロケット、医療、特装車、産業機器などの量産部品
  • 試作、少量生産、研究、教育などにおける造形
  • 性能評価試験用の実験モデル (風洞試験やベンチテストなど)

その他、シロッコファン、電動工具ハウジング、アート作品などが製作される場合もあります。また、高強度・高耐熱の造形品を製造できることから、金属パーツを樹脂化して軽量化を行うなどの用途で使用することも可能です。

粉末3Dプリンタの活用事例

図1. 粉末3Dプリンタの活用事例

粉末3Dプリンタの原理

1. 概要

粉末造形とは、粉末状の樹脂や金属材料にレーザーを照射して焼結させ、一層ずつ積層していく方法です。他の方法と比べて、素材選択の自由度が高く、耐久性のある造形物を作成できることが特徴と言えます。粉末の造形物は、強度・耐衝撃性・耐熱性・耐候性などの点で優れています。

他の3Dプリンターで主に使用される積層方式では積層方向に対しての強度面が脆いことが弱点の1つです。一方、粉末造形は数ある方式のなかでも強度が高く、ツメ形状やヒンジ形状などを作成してもある程度機能する強度を備えています。

2. 造形方法

粉末3Dプリンタには、主にパウダーベッド方式とバインダージェット方式の2種類の造形方式があります。パウダーベッド方式とは、パウダーベッド方式とは、材料となる粉末を敷き詰めてレーザーやビームを照射し、粉末粒子を焼結または溶解させることで造形を行う方法です。バインダージェット方式は、材料となる粉末に液体の結合材 (バインダ) を噴射して固形化する造形方法です。

パウダーベッド方式には、更に、選択的レーザー焼結 (SLS) 、選択的レーザー溶融 (SLM) 、直接金属レーザー焼結 (DMLS) 、電子ビーム溶解 (EBM) の下位分類があります。

SLS方式のプリンターは、材料粉末を融点に近い温度まで加熱して溶かし、CO2レーザーでモデルに従って粉末層を選択的に焼結します。このプロセスを繰り返すことで積層を行う仕組みです。SLMは、SLSと異なり、特に金属3Dプリントに特化した方式ですが、金属は、その他の熱可塑性プラスチックよりも密度が高く、重くなるため、サポートを必要とします。DMLSの場合、加熱によって材料を溶かす必要がなく、合金や異なる溶融温度を持つ複数の金属元素の混合物をプリントすることが可能です。EBMとは、電子ビームが使用され、導電性材料を必要とする手法です。

粉末3Dプリンタの造形方法

図2. 粉末3Dプリンタの造形方法

3. 積層目

粉末3Dプリンタは、粉末状の素材をレーザーで焼結していくため、表面がザラザラした感触になること、積層目が残ることが特徴の一つです。

そのため、完成した樹脂造形品に対して、強度・表面の粗さ・気密性の改善のために含浸と呼ばれる処理を行う場合があります。この処理は製品に薄く無色・透明なアクリル系樹脂を塗布するもので、製品表面の微細な隙間を埋める目的のために行われます。

粉末3Dプリンタの種類

粉末3Dプリンタには様々な種類があり、金属に特化したプリンタや、樹脂に特化したプリンタなどがあります。

金属用の粉末3Dプリンタでは、ステンレス、工具鋼、超合金、銅、チタン、アルミニウムなど、様々な汎用金属粉末を使用することが可能です。また、樹脂では、ナイロン6+ガラスビーズ、ナイロン11、ナイロン12、ポリプロピレン、エラストマ粉末などの素材が用いられます。特にナイロン6は熱収縮性が高く扱いにくい素材であるため、使用できる機種はとても希少です。搭載レーザーや、レーザ出力や速度、ベッド温度、溶解力、再コーティング速度も製品によって異なります。用途に合わせて適切な物を選定することが必要です。

粉末3Dプリンタの種類

図3. 粉末3Dプリンタの種類

本記事は粉末3Dプリンタを製造・販売する株式会社システムクリエイト様に監修を頂きました。

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シリコン3Dプリンタ

監修:株式会社システムクリエイト

シリコン3Dプリンタとは

シリコン3Dプリンタとは、シリコン素材を材料として造形を行うことができる3Dプリンタです。

3Dプリンタで使用できる素材としてはABS樹脂やPLA樹脂などが一般的ですが、シリコン素材は粘度が非常に高いため、従来は3Dプリントで正確に形状を再現することが困難でした。技術の進歩により、現在、一部の機種ではシリコン素材を用いて造形を行うことが可能です。3Dプリンタでの造形は金型造形の手間がかからないというメリットがあります。

シリコン3Dプリンタ

図1. シリコン3Dプリンタ

シリコン3Dプリンタの使用用途

シリコン3Dプリンタは、金型を製作せずに造形を行うことができるため、様々なものの造形に使用されています。軽くしなやかで、荷重に合わせて曲がり、元に戻る復元力を生かし、下記のような用途があります。

  • 消費者向け製品 (コネクタ、グロメット、アクチュエータ、キーパッド、腕時計バンド、靴のインソール、スマートフォンケース、ジュエリー鋳造、メガネフレーム、フィギュア・模型、シリコン製食品型)
  • 自動車部品、産業機器などにおける製品開発サイクルにおけるプロトタイプ
  • 各種部品の少量生産やカスタム製造のコスト効率化 (シールやガスケット、ボルト、ナットなど)
  • 治工具や金型 (鋳造用金型、治工具、マスキングツールなど)
  • 医療器具 (患者ごとにカスタマイズした義肢装具、補聴器)
  • 臓器モデル

3Dプリンタは、高精細で滑らかな造形を行うことができるため、ねじ山などの凹凸、指輪やネックレスなどのアクセサリや時計など、微細な加工も可能です。3Dデータからダイレクトにプリントを行い、鋳造の工程をより効率化します。また、医療器具では、患者の身体の形状に合わせて器具製作を行うことができます。金型が要らないため、各種プロトタイプの試作にも活用されている技術です。

シリコン3Dプリンタの活用事例

図2. シリコン3Dプリンタの活用事例

シリコン3Dプリンタの原理

1. 概要

シリコンは粘度が非常に高いため、3Dプリントで正確に形状を再現することが比較的難しい素材です。また、加熱して押し出したり、光硬化性樹脂材料のようにUV光で硬化させることなどもできません。質感はなめらかで、荷重に合わせて曲がり、元に戻る復元力があります。

3Dプリンターは、デジタルデータから3次元造形を行うことができる機械です。物体を連続の薄い層に分解し、それらの層を一つずつ積み重ねて物体を構築します。3Dプリンターでシリコーン素材を直接造形すると、金型を製作することなく、直接目的物を造形することができます。また、金型での製造では作りづらいハニカム構造などの造形も容易です。

2. 液体積層造形法

シリコン3Dプリンタの造形法では、液体積層造形法 (LAM方式) が採用されています。仕組みの概要は下記の通りです。ここで使用されるシリコンゴムは熱硬化性です。

  1. 2つの液状のシリコンゴムを混合し、エクストルーダーで押出して層を造形する
  2. 1層ずつ高温のハロゲンランプによって熱硬化させ積層造形する

液体積層造形法のメリットには下記のようなものがあります。

  • 金型成型品と同等物性の造形品ができる (引張強度、伸びなど)
  • 金型が不要なため、大幅なコスト削減が可能
  • 材料の色調を活かして透明色 (または乳白色) での造形が可能
  • 3Dプリンターならではの難しい形状が造形できる

例えば、内部が空洞になった形状や逆テーパー形状は金型成型では製造困難ですが、3Dプリンターでは造形可能です。また、金型が要らないため、試作品製作時は開発スピードが格段に上がります。

液体積層造形法

図3. 液体積層造形法

シリコン3Dプリンタの種類

シリコンの3Dプリント造形は高度な技術が必要であることから機種が限られており、あまり種類は多くありませんが、各製品で機能が工夫されています。

製品によっては、複数種類の硬度のシリコン材料に対応しているものも有り、作成したいモデルに必要な硬度や用途に合わせて自由に選ぶことが可能です。また、2液材料を混ぜて吐出するプリントヘッドと、1液材料を吐出するプリントヘッドの2基を搭載しているものもあり、モデル材となる2液用プリントヘッドとそれを支えるサポート材用の1液プリントヘッドの同時造形を行うこともできます。

本記事はシリコン3Dプリンタを製造・販売する株式会社システムクリエイト様に監修を頂きました。

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ソーラーカーポート

監修:RBI SOLAR株式会社

ソーラーカーポートとは

ソーラーカーポートは、太陽光パネルを搭載した屋根を有する駐車場です。

駐車スペースの上に設置された太陽光パネルが日光を受けて電力を生成し、その電力を車や建物に供給することができます。駐車場を有効に活用しつつ、そのスペースで太陽光発電を行うことができる点が特徴です。特に都市部などでは、土地利用効率を高めるための有効な方法です。

また、ソーラーカーポートを設置することで車両を太陽光や雨から保護することが可能です。車の外観や内装の保護だけでなく、保管されている車の寿命を延ばすことができます。
ただし、ソーラーカーポートは建築物と見なされることが多いため、建築基準や法規に準拠する必要があります。設置する場所や構造の高さまたは地盤の適合性など、様々な規制や許認可が適用される可能性があります。

ソーラーカーポートの使用用途

ソーラーカーポートは様々な場面で使用されます。以下はその一例です。

1. 商業施設

ショッピングセンターなどの駐車場にソーラーカーポートを設置することで、再生可能エネルギーの発電を行いながら、顧客に駐車スペースを提供することが可能です。空いているスペースを活用しつつ、建物の電力需要を部分的に賄うことができます。また、直射日光から車両を保護する役割も果たします。

2. 公共施設

公園や学校などの駐車場にソーラーカーポートを設置することで、利用者に屋根付きの駐車場を提供しつつ、再生可能エネルギーの普及を促進することが可能です。自治体のエネルギー消費を削減し、地域の持続可能性を向上させることができます。また、環境活動への取り組みとして、地域住民へのアピールともなります。

3. 工場

工場の駐車場にソーラーカーポートを設置することで、電力需要を一部賄いながら、エネルギーコストを削減することが可能です。従業員や訪問者に駐車スペースを提供しつつ、再生可能エネルギーの活用を促進することができます。

4. 一般家庭

一般家庭の駐車場にソーラーカーポートを設置することで、駐車場として活用しながら電気代を削減することが可能です。車両を直射日光や風雨から保護しつつ、再生可能エネルギーの利用を推進します。

ソーラーカーポートの原理

ソーラーカーポートはソーラーパネルを利用して太陽光を受け、電力を生成する仕組みです。ソーラーパネルや架台、パワーコンディショナなどで構成されます。

架台はソーラーパネルを支えるための支柱や構造物です。一般的には鋼鉄やアルミニウムなどの耐久性耐候性の高い材料で作られます。杭基礎やコンクリート基礎などによって、地面と固定されていることが多いです。

ソーラーカーポートの選び方

ソーラーカーポートを選ぶ際は、以下の選定要素を考慮することが重要です。

1. 駐車台数

ソーラーカーポートを設置する駐車場の台数に応じて、適切なサイズのカーポートを選びます。必要な駐車台数に合わせて、カーポートの長さや幅を決定します。

2. 基礎種類

ソーラーカーポートの基礎は、安定した構造を確保するために重要です。一般的な基礎の種類には、杭基礎やコンクリート基礎などが存在します。地盤の条件や風雪荷重などの要因に応じて適切な基礎を選択します。

3. 支柱本数

ソーラーカーポートの支柱の本数は少ない方が駐車しやすく、より多くのケースで受け入れられています。

4. 材質

ソーラーパネルには片面発電型や両面発電型などの種類があり、両面発電型は照り返しによる発電が可能です。また、架台にも鋼鉄製やアルミ製などの種類があります。鋼鉄製は支柱の数を削減することができますが、少々割高となる傾向にあります。一方、アルミ製は比較的安価ですが、支柱の数が多く駐車の際の障害となる場合があります。

本記事はソーラーカーポートを製造・販売するRBI SOLAR株式会社様に監修を頂きました。

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アクリルパイプ

監修:日本真空化学株式会社

アクリルパイプとは

アクリルパイプとは、アクリルを利用して製造された透明な円筒型のパイプです。

透明プラスチックの中でもひときわ透明度が高く、ショーケース等の各種ディスプレイや、水族館の大型水槽などにも採用されています。優れた耐薬品性、耐候性、加工性が特徴です。

アクリルパイプの使用用途

アクリルパイプは、高透明度を生かした多様な用途で使用されます。

  • 光学部品
  • 照明器具
  • 室内装飾や各種ディスプレイ、看板
  • ドリンクサーバー
  • 実験装置
  • 建材

アクリルパイプの原理

1. 製造法

アクリルパイプには押し出し製法で製造されるものもありますが、押し出し製法の場合には押し出して筒状に仕上げるため、わずかに押し出しの押し出し痕が残ります。

特に高透明度の製品は遠心重合製法で製造されます。遠心重合製法とは、高純度のメタクリル酸メチルモノマーを円筒状型管に注⼊し過熱回転させながら重合固化させ、更に外⾯仕上げをする製法です。この方法では素材を高速回転する製造機で噴射しながら形を作り上げていくため、摩擦が生じず表面に痕が残りません。

2. 工程

遠心重合製法で製造されるアクリルパイプの詳細な工程は下記の通りです。

原料の保管: 原料のメタクリル酸メチルモノマーは、地下タンクに貯蔵し保管される場合があります。地下タンクでの保管は、ドラム缶等での保管よりも品質の劣化が抑えられ、異物の混入も防止できます。

  1. 原料の重合・加熱: 熟成窯内でメタクリル酸メチルモノマーの重合反応や加熱を行い、固形化前のアクリル樹脂を生成します。
  2. 触媒の添加と撹拌: アクリル樹脂を固形化するための触媒を配合し、撹拌します。製作物の厚みや大きさ、室温によっても適切な触媒量は異なります。
  3. 材料の注入・成形: 材料を機械に注入し、パイプを成形します。遠心重合製法では、原料を筒状の型管に入れ、加熱回転させて成形します。
  4. 表面磨き・歪みの除去: 機械から成形したアクリルパイプを取り出して両端を切り落とした後、機械と人力の両方で表面を磨き光沢を出します。
  5. アニール処理: 成形品を加熱することでアクリルパイプを構成する分子を安定させる処理です。アクリルが変形する寸前の温度で成形品を加熱し、クリアな外観を保ちます。
  6. 検査・出荷: 目視で異物やキズ、歪みの有無を検査します。必要な場合は、画像測定器による検査が行われる場合もあります。

2. 性質

アクリルパイプは主に下記のような特徴があります。

  • 軽量性
  • 耐衝撃性
  • 高透明度
  • 耐薬品性
  • 耐候性
  • 加工性

アクリルパイプは非常に軽く、比重はアルミニウムの1/2.3、ガラスの1/2です。耐衝撃値は無機ガラスの15倍です。光線透過率も92%以上と高く、透明度が高い素材です。表⾯はガラスのように滑らかになっています。硬質ポリ塩化ビニル管・塩化ビニル管などの1.5倍の抗張⼒、1.5〜2倍の曲げ強度を示します。

耐薬品性では、無機塩類、油、ガソリン、酸やアルカリにも耐えることができます。耐候性も高く、⻑期間の屋外使⽤から寒冷地の使⽤まで可能です。また、⼯作機械での切削、切断、孔あけなどの加⼯もスムーズに行うことが可能です。また、加⼯⾯も研磨によって透明性と光沢を復活させることができます。 

アクリルパイプの種類

アクリルパイプには径の細いものから太いものまで様々なものがあります。最も細いものでは外径30mmから製造されており、標準サイズは概ね外径30mmから510mmです。それ以上の大径パイプでは600mm、800mm、1000mm、1200mm、2000mmなどがあります。

また、断面の仕上がりには、切りっぱなし (切断面に多少凹凸ができる) 、糸面取り (切断面を平坦にする) 、ツヤミガキ (平坦になった断面を更に磨く) などの処理の種類があります。色では、無色のクリアパイプだけではなく、意匠性の高い多彩な色調の製品た蛍光カラーの製品が提供されています。様々な製品があるため、多様な用途で使用することが可能です。

本記事はアクリルパイプを製造・販売する日本真空化学株式会社様に監修を頂きました。

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