レゾルバ

レゾルバとは

レゾルバとは、エンコーダの一種で回転角度を測定するためのセンサーです。

回転角度を検出する装置のうち、特に電磁誘導によって磁場の変化を読み取り、回転角検出するものをレゾルバといいます。レゾルバが読み取った回転に関する情報は電気信号として出力され、レゾルバを取り付けた回転機器にフィードバックをかけることができます。

レゾルバの使用用途

レゾルバは、主に産業機器に使用されます。白物家電や商業施設では目にすることはありません。回転角を測定する対象はサーボモーターが主流です。

サーボモーターが正確な動作を行うには、モータの回転数などを検出してフィードバックを行う必要があります。レゾルバは、このようなサーボモーターを利用した高精度な位置決めを行う際に組み合わせて利用されます。

近年では、電気自動車に使用される場合があります。電気自動車の走行制御や電動パワーステアリングなどに応用し、高度なモーター制御が可能です。レゾルバによって省電力かつ精密に制御可能なため、自動車へも普及が進んでいます。

レゾルバの原理

レゾルバの基本原理は、トランスとほぼ同じです。コイルの巻き付いた2本のコアから構成されています。

回転によって一次側コアと二次側コアの相対位置が変化し、一次側と二次側にずれが生じます。交流電流値を測定することで、回転角度を検出するのがレゾルバの原理です。例えば、回転角度が0度の場合、コア同士の相対位置は変わらないために入出力電圧にずれは生じません。180度のとき入出力電圧の位相が逆転します。

レゾルバにおいて、対象と連動して回転する部位をロータ、コイルを内蔵した部分をステータと呼びます。ロータがステータと同心円の形状だと、ロータ一回転分につき等倍の出力が得られます。それに対して、楕円状にすると二倍、三角形の場合は三倍の出力を得ることが可能です。

したがって、ロータ形状によって出力信号の倍率を制御することができます。このようにレゾルバは、コアとコイルによって構成されるシンプルな構造をしているため、悪環境でも使用に耐えられるというメリットがあります。

レゾルバのその他情報

1. レゾルバの使い方

レゾルバから出力された信号は、RDCによって回転角度や回転角速度に変換されます。RDCはレゾルバ・デジタル・コンバーターの略で、CPUが演算処理出来るようにデジタル信号へ変換します。

RDCは回転角度信号をデジタル化する際に、レゾルバの製造ばらつきを補正することも可能です。サーボモーターや自動車走行用モーターへ行われる演算処理は、一般的にPID制御です。目標となる回転数とレゾルバで検出した回転角度や回転角速度を比較し、モーターに与えるエネルギー量を決定します。

位置決めや制御の精度を上げるには、回転角度検出とエネルギー量決定タイミングの時間差を最小限にする必要がありますが、これはCPUの動作周波数の上限に左右されます。

2. レゾルバの今後

レゾルバは基本構成がシンプルですが高価です。部品費用だけでなく、高精度を担保したレゾルバを安定製造し続けることはコストがかかります。レゾルバには複数のステータ巻線がありますが、全ての線を均一に巻きつけることが重要です。巻きつけがばらつくと出力信号に影響し、位置検出の精度低下に繋がります。

近年では、レゾルバの代替として磁気式センサーの採用が進められています。磁気式センサーにはさまざまな種類がありますが、多くは磁気抵抗効果を利用したMRセンサです。磁気抵抗効果とは外部磁場の強さや方向によって電気抵抗が変化する現象のことを言います。磁気センサーは用途に応じて以下から選択します。

  • AMR (異方性磁気抵抗効果:Anisotropic magnetoresistance effect) 素子
  • GMR (巨大磁気抵抗効果:Giant magnetoresistance effect) 素子
  • TMR (トンネル磁気抵抗効果:Tunnel magnetoresistance effect) 素子

磁気式センサはメリットは、軸受回転輪と一体化可能なことやRDCのような信号処理回路が不要なことです。小型化・軽量化・低コスト化が期待されています。

参考文献
http://select.marutsu.co.jp/list/detail.php?id=996
https://www.minebeamitsumi.com/strengths/column/resolver/
https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1703/30/news037.html
https://www.ntn.co.jp/japan/news/new_products/news201000022.html
https://www.jp.tdk.com/tech-mag/front_line/004

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