LCRメーター

LCRメーターとは

LCRメーター

LCRメーターは、インピーダンスを測定するための装置です。LCRはL(インダクタンス)、C(キャパシタンス)、R(レジスタンス)を示す記号です。これら3つを合わせてインピーダンスと呼びます。LCRメーターは、インピーダンスを測定する測定機器を指します。

LCRの意味

L・C・Rの各成分には、電気的な特徴があります。それぞれを代表する電気部品はコイル、コンデンサ、電気抵抗です。

L成分

L成分はインダクタンス(Inductance)と呼ばれます。電磁誘導に関する法則であるレンツ(Lenz)の法則の頭文字からLと名付けられたと言われていますが、諸説あります。単位はヘンリー(H)です。

コイルに流れる電流が変化すると、その変化を妨げる方向に電力を生み出す性質があります。この性質の強さがインダクタンスと呼ばれる成分です。L成分が高い回路は電流変化に疎くなります。急峻なノイズ電流などに強い反面、交流回路で使用すると力率が遅れて効率が低下します。

C成分

C成分はキャパシタンス(Capacitance)と呼ばれます。コンデンサを英訳したキャパシタ(capacitor)が由来です。日本語では静電容量とも呼ばれます。C成分は電気の源である電荷を貯められる容量を示します。単位はファラッド(F)です。

コンデンサは回路上ではコイルと逆の役割を果たします。したがって、C成分が高い回路は電流を急峻に変化させます。交流回路では力率を進ませますが、ノイズ電流などを増幅する危険性があります。直流制御回路では電圧を増幅させたり、平滑化する役割を果たします。

R成分

R成分はレジスタンス(resistance)と呼ばれます。日本語訳すると抵抗で、文字通り電気抵抗を指します。単位はオーム(Ω)です。

電気抵抗が高いと、交流回路も直流回路も電流が流れにくくなります。交流直流共に送電効率が悪くなる半面、故障時の最大電流も小さくなります。

LCRメーターの使用用途

LCRメータは、産業分野では電子機器の開発や試験などにおいて用いられることが多いです。具体的にはコンデンサやコイルなど、電力・電子部品の性能試験に用いられます。日常生活では、主に医療分野においてLCRメータが使用されています。具体例としては、体脂肪率測定器などです。人体のインピーダンスを測定することで体脂肪率や水分量を測定できます。

上記の理由から医学研究でも重宝されます。LCRメータはCTやNMRのような高価な装置ではなく、低コストで導入しやすいというメリットがあります。

LCRメーターの原理

LCRメーターを用いたインピーダンスの測定は、対象物に交流電流を印加して測定します。基本原理としては、交流電圧を印可し、電流や位相差を測定してインピーダンスを計算します。

LCRメータは発振器・ベクトル電圧計・電流電圧変換器の3つの回路からなる自動平衡ブリッジと呼ばれる構成をしています。これはオペアンプを用いた反転増幅回路と同じ構成です。インピーダンスの計算はADコンバータを用いたデジタル変換で行われます。

LCRメーターを構成する要素として最も重要なのはベクトル電圧計で、ロックインアンプの原理を応用して入力信号に同期した参照信号を発生させることで、振幅や位相差を検出します。

自動平衡ブリッジをもとにしたLCRメーターでは100kHzを超えない低周波の測定に向いています。100kHz以上の高周波領域では、特性インピーダンスと呼ばれる部品自体のインピーダンスの影響が大きくなることが原因です。

参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jceeek/2018/0/2018_371/_pdf
https://www.techeyesonline.com/tech-column/detail/Reference-LCRMeter-01/?page=2

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