調節計

調節計とは調節計

調節計とは、機械の出力を自動調節するための装置です。

指示調節計または温度調節計という名称で製品販売されている場合が多いです。温度調節計として販売された機器でも、温度以外を調節可能な製品も多くあります。

温度・湿度・圧力・流量などの物理的なパラメーターをセンサーから入力して値を指示します。これが設定した目標値と同じになるようにフィードバックをかけます。調節したいパラメーターの現在値と設定値をモニタするディスプレイを有した製品が一般的です。

ディスプレイがアナログ指針の場合はアナログ調節計と呼ばれ、7セグメント表示の場合はデジタル調節計と呼ばれます。現在は、デジタル調節計が主流です。アナログ指針の場合は現在値表示が省略されている場合もあります。

調節計の使用用途

調節計は産業機器から家電製品まで広く使用されます。以下は、調節計の使用用途一例です。

  • 業務用水槽や貯液タンクの温度管理
  • エアコンの温度制御
  • 除湿機・加湿器の湿度管理
  • 細胞培養用のCO2インキュベータ における炭酸ガスの流量調節
  • 局所排気装置の圧力管理

パラメーターを一定に保ちたい場合に利用されます。また、コンピューターと連携して、モニターしたデータをロギングする場合もあります。

調節計の原理

調節計はセンサー部分、処理演算・モニタ部分、出力部分で構成されます。センサー部分は、物理量を入力する部分です。温度なら温度計、湿度なら湿度計と調節したい物理量のセンサーを使用します。

処理演算・モニタ部分では、値をモニタしながら出力値を調節します。測定値と目標値は回路に組み込まれたコンパレータなどで大小の比較を行い、出力値を決定して出力部分へ送ります。フィードバックを行うための制御動作にはさまざまな方式があります。

1. ON/OFF動作

測定値が目標値と比べて低いときは出力をONに、高いときはOFFにする動作です。この動作を繰り返すことで測定値を目標値付近に保ちます。

2. 比例動作 (P動作)

目標値との差に比例した制御出力を行う動作です。ON/OFF動作よりもなめらかな動作が可能ですが、目標値付近で比較的大きく変動します。目標値から少しずれたところで安定してしまうことをオフセットと呼び、積分動作などで調整します。

3. 積分動作 (I動作)

目標値と測定値における差の時間積分値を基に制御する動作です。比例動作でオフセットが出現した際、オフセットをなくすために使用することが多いです。比例動作と組み合わせて使用します。

4. 微分動作 (D動作)

測定値の変化率 (微分値) に応じて出力する動作です。現在値が急激に変化した場合に即座にもとに戻すような出力量を与えます。P、I、D動作それぞれを組み合わせたものをPID動作と呼び、各動作のメリットを合わせた効果が得られます。

調節計の選び方

調節計は取付サイズ、入力仕様、出力仕様、通信方式などに応じて選定します。

1. 取付サイズ

取付サイズは、調節計を取り付けるパネルの大きさです。一般的に調節計は、金属製制御盤の表面パネルに取り付けることが多いため、取り付けスペースに応じて製品を選定します。多くの調節計を並べたい場合は、小型の製品を選定します。

2. 入力仕様

入力仕様は、入力信号と入力点数などの仕様です。制御したい物理量に応じて選定します。入力信号が温度の場合は、測温抵抗体や熱電対が使用されるケースが多いです。

測温抵抗体は主にPT100Ω仕様が多く、熱電対は使用温度に応じてK、R、Bなどから使い分けられます。温度以外の場合は、4-20mA入力や1-5V入力の機器を繋げるケースが多いです。

入力信号は導入できる信号の数です。制御対象機器には制御ループを2つ組み合わせた「カスケード制御」を実施したい場合もあり、入力が2点以上必要となることがあります。

3. 出力仕様

出力仕様は出力機器へ伝送する信号の仕様です。アナログ制御の場合は4-20mAまたは1-5V出力が一般的です。ON-OFF制御の場合は接点出力またはトランジスタ出力が多いです。出力先の機器仕様に応じて選定します。

4. 通信方式

通信方式はコンピュータと通信するための方式です。通信によってコンピュータへ測定値や出力値を伝送したり、コンピュータから目標値を変化させたい場合に使用します。

コンピュータと通信を行う場合は、以前は、RS422やRS485などのシリアル通信が一般的でした。近年では、LANケーブルによるEthernet通信が主流です。

参考文献
https://www.fa.omron.co.jp/guide/technicalguide/53/103/index.html

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