デジタルポテンショメータ

デジタルポテンショメータとは

デジタルポテンショメータ (英: Digital potentiometer) とは、本来アナログ制御されている可変抵抗の摺動子 (ワイパー) をデジタル制御するための集積回路のことです。

アナログの可変抵抗器と比べて機械的に動かす摺動部を持たないため、非常に構造的に堅牢で故障しにくく、長期間の使用が可能で信頼性が高いのが特徴です。マイコンなどと組み合わせてアナログ回路に実装することで、抵抗値を自由にコントロールしながら電流量を自動的に調整できます。

デジタルポテンショメータの使用用途

デジタルポテンショメータは、オーディオ機器のボリューム用途やデジタル化された家電品例えばAIスピーカーやLED調光用などの制御用途に使用されています。デジタル化された可変抵抗器とも言えるため、摺動部分を持ったアナログ回路の代替として使用されます。

例えば、オーディオ機器の音量調整やディスプレイの輝度・コントラストの調整など、これまで物理的なダイヤルなどで制御していたものをデジタル制御できるようになります。近年では家電のIoTが進んでいるため、アナログ値のデジタル制御は、AIスピーカーとの相性などから需要が高まっています。

デジタルポテンショメータの原理

デジタルポテンショメータの原理は、従来はアナログ的に機械で動作させていた可変抵抗の摺動子 (ワイパー) 部分をデジタル回路と抵抗の組み合わせで切り替え制御する可変抵抗の動作にあります。 

アナログ回路部分は、固定抵抗が直列に接続されており、接続点はCOMSトランジスタによってスイッチングされる仕組みです。これによって、デジタル回路部分からの信号によって抵抗値を切り替える、可変抵抗を実現します。

デジタル回路部分は、アップダウンカウンタとEFPROMなどの不揮発性メモリとデコーダによって構成されており、設定したい抵抗値を入力すると、カウンタ部分に書き込まれ、不揮発性メモリに入力されます。

この情報をデコーダで読み出し、その値に対応するCMOSトランジスタのスイッチを入れます。デジタル入力によって擬似的に可変抵抗の値を設定することが可能です。外部からの入力は不揮発性のメモリに格納されるため、回路の電源を切った後でも情報が保存されます。

デジタルポテンショメータのその他情報

1. アナログ調整用トリマからの置き換え

昨今では、デジタル家電やIoT電子機器に代表されるように、アナログ機械式の調整から、プログラミングによるデジタル制御への置換が進んでいます。アナログ調整の場合、製造ラインでは最後は人手による調整を経ての出荷が必要になりますが、デジタルポテンショメータを用いることで、マイコン制御などにより自動調整化ができます。

また、自動キャリブレーションも実現可能で、機器の高精度化にも寄与します。機械式なアナログ調整用トリマと異なり、デジタルの制御コードを認識していない外部の人間による調整は不可能なので、セキュリティ面でも有利です。

これらの高い信頼性の担保から、昨今では音量や画面のLEDコントラストが重要なアミューズメント機器へのデジタルポテンショメータの応用展開も盛んに行われています。

2. デジタルポテンショメータのデジタル制御方法

デジタルポテンショメータの制御インターフェイスとしては、通常はSPI (Serial Peripheral Interface) インターフェイスやI2Cインターフェイス、UP/DOWNインターフェイスなどが用意されています。さらに、デジタルポテンショメータをD/Aコンバータ的に連続変化させたいようなアプリケーションでは、デジタル制御時のクロック周波数にも注意が必要です。

通常は最大3MHz程度ですが、製品スペックを事前に確認することが大切です。また、メーカーからこれらの制御用のアプリケーションソフトは通常は用意されており、必要に応じて技術サポートも提供されます。

そのほか、ユーザー自身がプログラミングソフト開発したい場合のGUI (Graphical User Interface) 含めた開発サポートキットが用意されているケースもあります。

参考文献
https://jp.rs-online.com/web/generalDisplay.html?id=ideas-and-advice/digital-potentiometer-guide
https://components101.com/articles/how-digital-potentiometer-works-and-how-to-use-it

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