熱硬化性樹脂成形

熱硬化性樹脂成形とは

熱硬化性樹脂成形とは、加熱によって樹脂を化学反応させて硬化する成形加工サービスです。

この技術は、金型内で材料に熱を加え、化学的な架橋反応を促進することで、三次元網目構造を持つ強固な成形品を作り出します。この硬化物は、再加熱を行っても溶融しない不溶不融の性質を持つため、極めて高い耐熱性・寸法安定性と、優れた電気絶縁性を備えています。

代表的な工法として圧縮成形やトランスファー成形、射出成形が挙げられ、これらは金属部品の代替や高機能化を目的とした製品開発において重要な役割を果たしています。特に、高温環境下や高い機械的ストレス下でも物性が低下しにくいため、信頼性が最優先される産業分野において広く採用されています。

熱硬化性樹脂成形の用途

熱硬化性樹脂成形の主な用途を以下に示します。

1. 自動車・輸送機器分野

自動車産業では、燃費規制への対応や走行性能向上のため、金属部品を樹脂に置き換える軽量化技術として熱硬化性樹脂成形が多用されています。

エンジンルーム内のプーリーやブレーキピストンなど、高温かつ高強度が求められる部位にはフェノール樹脂などが採用されています。さらに、電気自動車 (EV) の普及に伴い、駆動モーターの封止材やインバーター周辺の絶縁部品にも、放熱性と電気特性に優れる熱硬化性材料の需要が急増しています。

2. 電子・電気デバイス分野

電子機器の小型化と高性能化を支える基盤技術として、エポキシ樹脂などを利用した精密成形が不可欠です。

半導体チップを湿気や衝撃から守る封止工程や、高密度な配線を持つプリント基板の製造において、熱硬化性樹脂成形は中心的な役割を担っています。また、リフロー実装時の高温に耐える耐熱性と、微細な回路を守る寸法安定性により、スマートフォンやサーバー機器の信頼性が担保されています。

3. 重電・産業インフラ分野

発電所や変電所で使用される遮断器や開閉器などの重電機器には、高電圧に耐える絶縁構造物が必要です。

ここでは、機械的強度と長期的な電気絶縁性を兼ね備えた不飽和ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂の成形品が活用されています。また、屋外の送電設備における碍子など、耐候性が求められるインフラ部材としても実績を重ねています。