PWM

PWMとはPWM

PWMとは「Pulse Width Modulation」の略で、様々な幅を持ったパルス波を生成する技術です。パルス波はデジタル信号ですが、色々なパルス波を組み合わせることで、正弦波を始めとする様々な疑似アナログ信号に変換することができます。

PWMは一定の周期でパルス幅を変調させる技術です。パルス幅には一定で周波数を変調させるPFMという技術もあり区別されますが、どちらも通電・非通電のスイッチングに利用されます。

PWMの使用用途

PWMは一般に電源の電圧制御や半導体に対する通電・非通電のサイクルの制御に使用されます。特に、DCモーターを効率的に制御する目的で使われることが多いです。モーターに対する電圧印加時間をコントロールすることで、実行電圧の制御が可能となります。

また、インバーター回路において変調した交流電流を生成する際に、PWMを用いて様々な幅を持ったパルス電圧を生成し、これを合成することで直流-交流の変換を行うことが可能です。さらには、インバーター回路のみならずスイッチング電源の制御や、光色に影響を与えないようLEDの調光などにもPWMは用いられています。

PWMの原理

パルス幅変調を行うPWM回路は、トランジスタを利用して回路のスイッチオン・スイッチオフを繰り返すことで様々な幅を持ったパルス波を生成しています。

PWMでは、一定の周期でパルス幅を変調するので、デューティサイクルを変化させています。デューティサイクルとは、パルス幅を周期で割り算したもので、「%(パーセンテージ)」で表されます。電圧制御においてはパルス電圧とデューティサイクルを積算したものが実行電圧となり、デューティサイクル100%の場合、直流電源を使用したときと同じになります。

PWMを用いて電圧制御を行う場合、電源がオフになる時間が生じるため、定常的に働く直流電源を使用するよりも電力効率がよくなるという特徴があります。また、マイコンなどのデジタル回路において、パルス波を合成するだけで疑似アナログ信号を生成できるので、D/Aコンバータなどを使用せずにデジタル回路だけで構成されたアナログ変換回路を構築することが可能です。

PMWのその他情報

1. 制御

電子回路で負荷を動的にコントロールする場合、負荷を定電圧で制御する方法と負荷を定電流で制御する方法の他に、負荷をPWMで制御する方法があります。

最近では環境問題、エネルギー問題などから、よりエネルギー効率の良い方法がトレンドとなっています。定電圧制御や定電流制御など、リニア方式の効率が悪い理由は下記の通りです。

  • 安定させるためのマージンが数Vは必要であること
  • 電圧または電流をしぼる場合、しぼった成分は回路内で消費されてロスとなること

例えば、最大電圧10V電流容量2Aの安定化電源を5V2Aで使用する場合、電源回路のパワー部で消費されるロス電力は、パワー部の入力電圧を12Vとすると、(12V-5V)x2A=14Wとなり、負荷で消費される電力は5V×2A=10Wとなります。

負荷で消費される電力の1.4倍の電力が回路内でロスとして消費されます。無駄な電力消費である上に、使用部品も大きくなり、コスト、サイズ、重量がアップしてしまいます。

一方、PWM制御では出力電圧は変えず、パルスの幅を出力に応じて可変する制御法であり、例えば10Vでデューティー比50%のPWMだと、見かけ上の駆動電圧は5Vとなり、理論上の損失はなく、実際の効率は非常に良くなる手法と言えます。

2. デューティー比

PWM制御ではデューティー比という言葉がよく出てきます。これは、パルス幅/周期で、デューティー比50%のPWM波形ではHとLは同じ幅です。

デューティー比を変えると見かけ上の電圧が変わります。例えば、10VのPWMでデューティー比を0%→25%→50%→75%→100%と変化したとき、負荷への見掛け上の電圧は0V→2.5V→5V→7.5V→10Vとなります。

マイコンなどでアナログ信号を出力するにはD/Aコンバーターを必要としますが、PWMを使えば疑似的にアナログ信号を作り出すことが可能です。PWMのスイッチング周波数を適度に取り、マイコンなどでプログラマブルにデューティー比を加減すると、マイコンのI/O端子で、デジタル信号レベルまでの任意のアナログ信号を作り出すことが可能です。

この場合、I/O端子に適切なLPFを挿入し、PWMのスイッチング周波数成分およびその高調波成分を取り除く必要があります。

3. PWM制御のノイズ

PWM制御がモーターの動作の制御やインバーターの高効率化のためによく用いられていることは前述の通りですが、ユーザーを悩ませる課題にPWM制御によるノイズ問題があります。PWMはトランジスタの高速のON/OFFでデューティー比を含めて制御しますので、様々なスイッチング周波数のノイズを生成します。

この周波数はおおよそ30~40MHzで、周囲の人や環境への騒音問題だけでなく、低周波数帯を用いるAMラジオやセンサーなどに雑音として影響を与えます。そのため、何らかのノイズ対策を要することが多いです。具体的な対策として、インバーター装置の場合、装置を筐体で覆う、電源ケーブルを短くする、フェライトやLCチョークなどのノイズフィルタを挿入するなどが挙げられます。

PWM制御ではこのスイッチング周波数をユーザーが変更可能な場合もあるため、試してみるのも一つの手です。スイッチングのキャリア周波数を下げると全体のスイッチングノイズ自体は低減できますが、一般にモーターの騒音は大きくなります。

スイッチングキャリア周波数を低周波数から高周波数まで積極的に分散させる変調方式を採用することで、モーター固有の発生ノイズを低減させている製品事例もあります。

参考文献
https://synapse.kyoto/glossary/pwm/page001.html
https://dotstud.io/docs/pulse-width-modulation/

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