放熱対策部品とは
放熱対策部品とは、電子関連の機器やシステムが動作する際に発生する熱を逃すための部品です。
電子基板でよく使われるコンデンサやダイオード、トランジスタなどの部品は、通電することで熱を発生しお互いに影響を受けてしまいます。発生した熱は主に表面積や排出口などで冷却していますが、近年は製品の小型化に伴って部品の面積が減少しているため、放熱対策部品を使って放熱するようになりました。
放熱対策部品の使用用途
放熱対策部品は主に電子部品産業で使用されます。小型製品には熱伝導性材料 (TIM) 、大型の製品にはヒートシンクが活用されます。
1. 熱伝導性材料 (TIM)
TIM (英: Thermal Interface Material) とは、機器内部で発生した熱を放熱するために部材の間に介在させる熱伝導材料のことです。
発熱源と冷却器の間に発生する空気の層は効率的な伝熱を妨げますが、TIMを使用することで熱抵抗を低くすることができます。TIMの多くは放熱シートや伝導性シートとして製品化されており、シート以外には放熱グリスなどが存在します。放熱シートの材料には、主に窒化ホウ素、窒化アルミニウム、アルミナ、カーボンなどが使用されています。
2. ヒートシンク
ヒートシンクは、放熱板とも呼ばれます。表面積が広いフィンと呼ばれる板を蛇腹や剣山のように構成した放熱器で放熱効率が高い製品です。しかし、面積を必要とするため設置可能な場所が限られています。
放熱対策部品の種類
放熱対策部品にはTIM材などの薄型材料が多く利用されていますが、そのほかにもヒートパイプやベイパーチャンバーなども活用されています。
1. ヒートパイプ
ヒートパイプは、銅などの金属で構成されており、作動液 (ガスや水) が内部に封入されています。この作動液の蒸発潜熱で熱の輸送と放熱を行います。一般的には、メンテナンスの必要が少なく、パソコンや電子機器、自動車、変電所などで使用されています。
2. ベイパーチャンバー
ベイパーチャンバーは、ヒートパイプを薄く小型化した製品を指します。原理はヒートパイプと同じです。製品の厚みは薄いもので約200マイクロメートルのため、電子機器 (スマートフォンやスマートグラスなど) への応用が期待されています。
3. 放熱塗料
放熱塗料は、主に熱放射の仕組みを取り入れて開発された製品を指します。塗膜の熱伝導効率による放熱ではなく、熱を電磁波として熱放射することで放熱する仕組みです。モーターやエンジン、排気関連製品、照明、ヒートシンクなど、多種多様な用途に使用されています。
4. 放熱ファン
放熱ファンは、いくつかのプロペラが回転することで、風を送り出します。強制的に風を発生させて冷却する強制空冷法によって放熱します。主にコンピューターやサーバー、電源装置、配電盤などで使用されています。
5. 放熱グリス
放熱グリスは適度な粘度があり、塗布することで熱伝導性を向上させます。また、熱抵抗を低下させる効果も有しており、CPUグリスとも呼ばれます。半導体デバイスなどから発生した熱をヒートシンクなどに伝達することで放熱します。
放熱対策部品のその他情報
放熱対策部品の設計
放熱対策部品は、設計段階において機器の総発熱量や許容温度、寸法による制約、設置する環境条件などをシュミレーションしているため、熱対策が必要な機器に対して最適な設計で製造されています。
例えば自動車の部品では、金属製の部品や樹脂成形品を使用することで放熱を行なっていますが、他の電子機器が多く搭載されており、お互いに電波を受発信しています。機器同士の電波の妨害を起こさないために、EMC対策製品 (電波の受発信を妨げない) を選定して設計します。