セラミックヒーター

セラミックヒーターとは

セラミックヒーターとは、発熱体をセラミックで被覆した形態のヒーターです。

工業用や家庭用に広く使用されています。被覆材であるセラミックが加熱されて遠赤外線を放射する仕組みです。遠赤外線は、物質に吸収されて熱となる (放射伝熱) ため、空気などの媒体を昇温すること無く、対象物を効率よく加熱することができます。また、セラミックを使用した発熱体の一種として、PTCヒーターと呼ばれる自己制御型発熱体があります。

セラミックヒーターの使用用途

セラミックヒーターは、家庭用では温熱機器・暖房装置として使用されていますが、工業用をはじめとする業務用では暖房以外にも様々な加熱用途で広く使用されています。

  • 水道:給配水管、水道管、バルブ等の加熱・保温
  • パイプラインなどにおける、水・オイル供給管の保温
  • 塗装乾燥
  • スクリーン印刷乾燥
  • 塩化ビニール・アクリルなどの樹脂の加工にあたって行う予熱・軟化、及び、樹脂加工後の硬化
  • ゴム加硫
  • アニール炉
  • フィルム塗布乾燥、フィルム延伸
  • ディスプレイ乾燥
  • 食品の脱水・乾燥・焙煎
  • コンベアー等での移動物の加熱
  • 結露防止・凍結防止
  • 融雪
  • 医療・理美容機器

セラミックヒーターは、媒質 (空気など) による加熱ではなく、遠赤外線による加熱を行います。そのため、開放空間など、通常のヒーターでは温まりにくい場所での使用や、対象物をピンポイントで加熱したい用途などに特に使用されているヒーターです。

セラミックヒーターの原理

1. 概要

セラミックヒーターは、発熱体が線状や棒状、もしくは面状にセラミックで被覆されている構造です。編組み構造のセラミックヒーターは、セラミックを電熱線で編み込んだ構造であり、線状や棒状では対応できない二次曲面に自由に対応することができます。

使用されるセラミックの種類は様々ですが、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミなどが使用されます。セラミックは高温でも酸化しにくく長時間一定の品質で使用し続けることができ、遠赤外線を吸収・放熱しやすい性質です。セラミックヒーターの特徴・性能としては下記のようなものが挙げられます。

  • 酸化や腐食に強い
  • 遠赤外線を吸収・放射しやすい
  • 放射伝熱のクリーン性能 (加熱時にCO2排出を行わない)
  • 加熱効率が高いことによる省エネ効果・設備のコンパクト化

2. PTCヒーター

PTCヒーターとは、半導体セラミックの一種であるチタン酸バリウム (BaTio3) を主成分とした発熱体です。PTCは、Positive Temperature Coefficientの略称です。「正温度係数」の意味を持つ通り、電気の抵抗値が正の数 (係数) だけ変化します。

PTCヒーターの素子の成分であるチタン酸バリウムは、キュリー温度を超えると正方晶系から立法晶系へと相転移し、電気抵抗値が急激に上昇します。この電気抵抗値の上昇により、自己温度制御作用が働きます。

すなわち、発熱によって昇温する際、キュリー温度を超えると抵抗値が上がります。抵抗値の上昇に伴い、電流が少なくなって昇温が止まり、結果的に温度が下がります。更に、温度下降によって抵抗値が下がるために電流が多くなり、また発熱が進行します。このような特性を利用して、PTCヒーターは自己制御型発熱体として利用することができます。

セラミックヒーターの種類

セラミックヒーターには、形状の上では線状・面状・棒状などの種類があります。様々な大きさ・想定用途があるため、目的に合わせて適切な製品を選定することが必要です。最高使用温度は、通常、500℃、600℃、1000℃などが主流です。また、一般的なニクロム線やカーボン繊維を発熱体としてセラミックで被覆した製品の他に、発熱体自体がセラミックである自己制御型のPTCヒーターなどの製品があります。PTCヒーターは、200℃、280〜290℃などが中心です。

用いられるセラミックには、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミ、などがあります。PTCヒーターは発熱体としてチタン酸バリウムが用いられます。アルミナヒーターは、⾼い出⼒と⽐較的⾼い形状⾃由度があり、窒化ケイ素は、高い強度と瞬間的な昇温速度高温発熱性能に優れています。また、窒化アルミはセラミックの中でも優れた高熱伝導率性を誇る素材です。

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