シリコーンシーラントとは
シリコーンシーラントとは、主成分にシリコーン樹脂を使用したシーリング材の種類です。
建物や工作機械、自動車などの防水性と気密性を保つため、つなぎ目や隙間に充填するものをシーラントと言いますが、シーリングやコーキングとも呼ばれています。シーラントは、液体の状態で出てきますが、施工後は固まってゴムのような性質を持つようになります。
シリコーンシーラントは、他のシーリング材に比べて価格が比較的安価で、ホームセンターにもよく取り扱っているベーシックなシーリング材です。そのうえ、耐久性や密着性にも優れてます。
シリコーンシーラントの使用用途
シリコーンシーラントは、その特性から広範な用途で使用されます。主な使用例としては、建築や自動車の製造、家庭でのDIYなどです。例えば、建築では窓枠や浴室の目地 (壁と壁、壁と床の接合部) などに使われ、水や風の侵入を防ぎます。家庭でのDIYでは、水周りの補修や雨漏り防止などに活用されます。
主に建築物の防水性、気密性を保つために使われますが、瓦屋根の補修や配線、部材の末端処理にも用いられます。シリコーンシーラントは、耐候性と耐熱性に加え、耐寒性にも優れているので、ガラスや廻りやサッシ、浴槽からキッチン廻りなどの水場で使用されることが多いです。
また、接着剤としても使用可能で、長尺屋根の突合せ時にシリコーンシーラントを用いて屋根を接着する工法もあり、建築現場で重宝されています。
シリコーンシーラントの原理
シリコーンシーラントは、容器から液状で出てきますが、施工された後、硬化してゴムのような弾性を発現し、隙間などをシーリングします。シリコーンシーラントの成分は、シリコーン樹脂、充填剤の他に、架橋剤、触媒などです。
この中の架橋剤が空気中の湿気と反応すると、シリコーン樹脂を架橋する成分に変化します。この架橋剤によりシリコーン樹脂の高分子量化が進むことにより、シーラントが硬化します。
湿気硬化型のシリコーンシーラントの硬化機構としては数種類あり、架橋剤が空気中の水と反応して発生する副生物の種類から、脱オキシム型、脱アルコール型、脱酢酸型などがあります。副生物の中にはシーラントの被着物によっては悪影響を与えるものがあるため、硬化機構を把握した上で、シーラントを選択することが重要です。
シーラントの選び方
シーラントは組成面で、シリコーン、変性シリコーン以外にも、アクリル系、ウレタン系、ブチルゴム系など様々なものがあります。また、施工方法も一液湿気硬化型以外に、主剤と硬化剤を混合して使用する2液型など多種多様です。
それぞれの特徴を理解して、最適なシーラントを選択することが重要となります。選定時は、以下のポイントを考慮すると良いです。
1. 耐久性
一度塗布すれば長期間その効果を発揮し続けることが望ましいです。商品のパッケージには使用年数が記載されていることが多いです。
2. 伸縮性
家の素材が木材の場合は特に、温度変化で伸縮することがあるので、シーラントもそれに合わせて伸縮性に追随できるものが必要です。
3. 色
用途によっては、目立たない色を選ぶことが必要です。浴室やキッチンなど、目につく場所で使用する場合は、周囲の色と合う色にすると良いです。
シリコーンシーラントのその他情報
1. シリコーンシーラントのメリット・デメリット
メリット
シリコーンシーラントのメリットとして、耐熱耐寒性、コストパフォーマンスに優れている点が挙げられます。また、他のシーリング材と比べて乾燥時間が短く、充填してから24時間後には完全硬化する上、密着性にも優れていて下塗り塗料なしでも施工ができるので、スピーディに施工ができます。
デメリット
シリコーンシーラントは、上からは塗装ができません。シリコーンオイルが表面にブリードアウトしてしまうため、塗料を剥がしてしまいます。また、シリコーンオイルが周辺の汚れを吸着して外観を悪くする現象も起こることもデメリットの1つです。
塗装ができないため、基本的には外壁に使用できず、シリコーンシーラントは主に内装の水廻りに使用します。
2. 変性シリコーンシーラント
シリコーンシーラントと似た名前の製品で、変性シリコーンシーラントがあります。名前は似ていますが、成分としては、シリコーンシーラントとは大きく異なり、施工した上から塗装ができます。
また、シリコーンシーラントと比較すると耐久性が劣ります。同じような名前ですが、性能が全く異なるので、シーラント購入の際は、誤って購入しないように注意が必要です。
参考文献
https://www.sharpchem.co.jp/
https://gaiheki-com.com/cms/useful/post-1486/