スプレーノズルとは
スプレーノズルとは、一方向にため込んだ液体や気体に対し、流れる方向を定めて一気に噴出させるための装置のことです。
液体を噴出させるだけでなく、気体を噴出させるためにも使用することが可能で、これをエアノズルと呼びます。一方、液体用のスプレーノズルには1流体ノズルと2流体ノズルの2種類があります。
1流体ノズルとは、液体にかかる圧のみで液体を噴出させるスプレーノズルのことです。2流体ノズルとは、液体と圧縮空気を混合させることで液体を粉砕し、噴出させるスプレーノズルのことを指します。
スプレーノズルの使用用途
スプレーノズルは、液体や気体を欲しいスプレーパターンに応じて噴出させるすべての装置を指すため、産業用、工業用、家庭用問わず様々な用途で使用されています。最も身近なスプレーノズルを使用した製品でいえば、「霧吹き」です。
その他にも液体を微粒子にして拡散することで加湿したり、液体を満遍なく塗布したりと機能も多くあります。また、気体用のスプレーノズルでいえば、エアーを欲しい圧力でかけられるので細菌や目に見えないゴミをエアーシャワーで吹き飛ばしたり、切削した際のクズを吹き飛ばしたり冷却したりする用途があります。
スプレーノズルの原理
図2. 1流体ノズルと2流体ノズルの比較
1. 1流体ノズル
1流体ノズルは、液体に圧力をかけることで噴出口まで液体を持ち上げるため、スプレーノズルの先端パターンを変更することで様々な噴出軌道を作り出せます。2流体ノズルよりも噴射角度も広くとることが可能です。コンプレッサなども不要で、液体供給設備さえあれば手軽に使えることも大きなメリットです。
そのため、使用シーンに合わせて噴出軌道を変更したい場合は1流体ノズルがおすすめですが、スプレーとして機能させるためには高圧になってしまい、微量での塗布ができないというデメリットも存在します。
2. 2流体ノズル
2流体ノズルは、圧力だけでなく気流の力を使用して液体を噴出させるため、1流体よりも低圧で液体の微粒化することができます。さらに、液体の噴射流量を広くとることが可能です。
そのため、低圧で液体を噴出させたい場合や噴出口から出す微粒子をより細かくしたい場合は、2流体ノズルの方が向いています。しかし、液体のポンプとは別に圧縮空気も必要となるため、コンプレッサなどの設備も用意しなければなりません。
また、ノズルも複雑な構造をとるためコストが高くなることがデメリットです。
スプレーノズルの選び方
スプレーノズルを選定する際は、以下のポイントを確認することが大切です。
1. 設備の確認
まずは、スプレーノズルを選定する前に、設備の仕様を確認します。液体を送液するポンプの性能や配管径・長さ、圧縮空気の圧力などにより、スプレーノズルに供給できる圧力や流量が決まるためです。
また、スプレーノズルを取りつけるスペースがあるかなど取り合いの確認も必要です。そのほか、対象物に塗布するためにどれくらい離すことができるのかなども確認します。
2. 環境の確認
次に、使用環境の確認を行います。周囲の温度や使用する液体の粘度・表面張力、内部の圧力などにより強度、耐熱性、摩耗しないような材質にするなどの工夫が必要です。
また、液体に固形分などが含まれる場合や温度が高い場合は、スプレーノズルの詰まりが発生する恐れがあります。固形分のサイズを把握しておくと、スプレーノズル内部の最小通路径を考慮した選定が可能になることもあります。
3. スプレーノズルの仕様の決定
図2. スプレーノズルのパターン形状
目的を達成するためには、どういうパターンの塗布にする必要があるのか、流量はどれくらいか、どれくらいの範囲に吐出する必要があるのか、塗布量のばらつきの許容程度などを確認します。
スプレーパターンの形状にはフラット、フルコーン、ホロコーン、ストレート、カーテンなどがあります。スプレーノズルのカタログを参照し、スプレーパターンに合ったノズルの選定が必要です。
スプレーノズルのその他情報
スプレーノズル塗布性質
図3. スプレーノズルの塗布性質変化
スプレーノズルの種類決定後、所定の圧力下での流量及び角度を確認します。それぞれのパターンによって圧力を変えたときに、噴射角度の変化などに違いがあるため、注意が必要です。
一般的に、噴射圧力を高くすると噴射角度は広くなります。ただし、フルコーンノズルなど中子が入っているものは、ある圧力までは角度が広がり、それ以上の圧力になると角度が狭くなる場合もあります。